連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

13 / 29
どうも、アゲインです。

遂に主人公が戦います、ここまで長かった……。
パタポン要素、と言えるほど出せているか分かりませんが楽しんでいただけたら幸いです。

兵藤一誠、

     ―――さあ、お前の罪を数えろ。


抜けよ真打ち、龍狩りのお時間

 俺の異能『四方太鼓』はゲームの機能を基準に、いくつかのコマンド入力によってコンボを重ね自己強化をしていくことができる能力だ。

 そのコンボが一定数越えたときに『フィーバー』という、全能力強化状態になれるのだが、これにはもう一つ、上の段階が存在している。

 

 

 ―――それが『ヒーローモード』、一つの分野に特化した形態。

 

 

 事前にフィーバー状態になっていなければならないものの、その能力はそれまでの俺を凌駕する。

 

「騎士の仮面、タテラーゼ。俺の持つ能力の根幹をなす三つの内の一つだ。

 この盾系統は主に前衛。

 物理攻撃及び防御に優れた動きができる。まあ例外はあるがこの姿の時はだいたいそういうもんだって思ってくれていい」

 

 上空から落下したにも関わらずそれによるダメージは全くといっていいほどないように、元気よく槍傷の痛みにのたうち回っている兵藤に向けて聞こえていないだろう説明を続けていく。

 

「おうおう痛ぇか、ざまぁねぇぜ。

 そいつは『飛槍パルキューラ』、よく飛ぶこともさることながらその威力、正確性はご覧の通り。他に特別なことはないが、カトンボを落とすのには十分過ぎるぐらいだろ?」

 

 腹部に突き刺さったままの槍を必死に引き抜こうと、傷のない方の腕で槍の柄を掴んでいる。しかし引き抜く時の痛みが邪魔をするのか、どうにも満足に引き抜けないでいる。

 その無様な様子は笑いを誘ったが、いい加減真面目にしなければ後ろに控えているお客様方にせっつかれてしまう。

 それは少々面倒、なので―――

 

「ほらよ」

 

 ―――手こずっている兵藤から、槍を俺の手に移動させた。

 俺の手から離れた武器、防具に関してはいつでも自分の意思で回収することができる。ゲーム時代の途切れない遠距離攻撃や投擲なんかを再現しているんだろう。

 そんなことは知らない兵藤は、突然異物が自分の体からなくなったことに驚いた様子を見せている。

 しかしそれもほんの少しの間のこと。

 機敏な動作で起き上がり、次の相手はお前かというような視線をこちらに向けてくる。

 

「ヴウゥゥウウウ……!!」

「おお、やる気満々じゃねぇの。そんな体でよくやるもんだ」

 

 全身を丸焼きにされ、右腕と腹部に深い傷を負いながらも衰えない闘争心。度重なるダメージによる強い怒りによって空気を振動させるほどの威圧が奴を中心に放たれている。

 目の前の邪魔者を消し去りたい、獣となった目がそう語り掛けてきているようだ。

 

 それに対し、俺の方は気楽なものだ。

 既に戦力的な測定は済み、勝ち筋など幾通りでも容易に組み立てられる。手負いとなり、そもそも冷静な判断もできないような相手など最早敵ですらない。

 

 

 だが―――それでも。

 

 

 命ぜられたオーダーがある以上、仕事は完璧にこなさなければならない。

 

「感謝してくれよな、実際のところ初撃でテメェのド頭ぶち抜くこともできたんだぜ。でもよう、依頼主様のご意向でその程度で済んでるんだからよ。

 『可能なかぎり命は保証する』って契約なもんであんまし強すぎるのにもなれねぇし、これでも最低限の力で加減できるよう配慮してるんだ」

 

 手にした槍を弄びながらぐちぐちと言っているのを好機と見たか、不意にそらした視線を隙と見たのか。

 こちらがほぼ棒立ちであることをいいことに、傷やダメージがあることを感じさせない速度でこちらに詰め寄り鋭い爪による攻撃を躊躇なく繰り出した。

 

「―――効かんね、生憎」

 

 だがそれは、俺の取り出した盾によって防がれる。

 大きな音と散る火花。

 鋼鉄も切り裂くだろうその一撃を防いだその盾は、しかし一筋の傷もなくその強固なる姿をもって敵を阻む。

 突然のそれの出現と、当たると思われた攻撃が防がれたことによって生じた兵藤の隙。

 それを見逃すはずがなく、今度は俺が動く。

 

「大人しく地面に膝着けや、クソ野郎」

 

 全身を使って、押し潰すように。

 瞬発的にぐぐっと力を込め、盾を壁として相手に押し付ける。

 その予想外の圧力に兵藤は徐々に膝を折り、地面に屈するような体勢になっていく。

 兵藤も抵抗してはいうものの、傷の影響か思ったような力を発揮できてない。このまま体が沈んでいくのを嫌ったのか無理矢理にもう片方の腕を振り上げ盾を横に弾こうとしてきたので、タイミングを見て体を引き屈ませる。

 攻撃を空かされ浮き上がる兵藤の体、その下に潜り込み、

 

「―――昇・竜・剣ッ!!」

 

 槍から持ち変えていた剣を使い、さらけ出された胸元を逆袈裟気味に斬り上げる。

 その一撃は先に槍によって付けられていた傷を更に押し広げるように深く、大きくしていく。

 だがそれで終わらない。追撃……いかせてもらぞ兵藤。

 

「烏天狗から直々に仕込まれた剣術だ、速いぜこいつは!!」

 

 本来であれば俊敏とは言えないタテラーゼであっても、それはあくまでゲーム内でのこと。システムの縛りがさほどない俺にとっては足枷にすらならない。

 

「でもってこいつは『竜剣ドリグレア』! 龍狩りにゃお誂え向きの得物だぜ!!」

 

 兵藤を斬り裂いた剣は湾曲した刃を持っており、凡そまともな用途で使うものではない。

 それもそのはず、これは本来竜を手間なくぶっ殺すために鱗だ骨だのをすっ飛ばして直接心臓を貫けるようにと設計された剣だ。切れ味は勿論だが、この剣自体に備わっている『竜特効』は所持している武器の中でも一二を争うほど。

 そんな魔剣で、龍を相手に、出し惜しみなく高等技術を行使する。

 

 

 

「蒼天流剣術、奥義が一つ―――【禊】」

 

 

 

 静の構えから一転。高速で繰り出された剣撃が、次々に兵藤の全身へと襲いかかる。

 容易に自身の体を斬り裂いた刃の脅威に、兵藤はこれ以上食らうわけにはおかないと身を捩り回避を試みる。しかし上下左右、時には背後から迫る刃の包囲網になす術なく。動きを止め、固く防御を行うしか選択肢がなくなっていた。

 

「それでいい。テメェにゃ死んでもらうわけにはいかねぇんだ。死んだら契約が達成できねぇ、それは不味いんだ。依頼主はテメェを正気に戻すことと、命を助けることを俺に注文してきた。

 生かさず殺さず。

 こいつは難しいオーダーだ、達成が困難な部類の依頼だ。

 だからよう、それならむしろギリギリの方がいい。ギリギリ生きていて、ギリギリ死にそうなくらい方が。

 

 

 ―――だから剥ぐ。

 

 

 テメェが死なない程度に全身の装甲をひっぺがして、ギリギリ生きていられる程度にな。これは、そういう技だ」

 

 禊―――転じて身削ぎ。

 体の内部ではなく外部を狙い、鎧もしくは肉を削ぎ落とすこの技。

 生身の相手に使えば容易に殺人剣となるが、こういった生命力がゴキブリみたいな相手だと程よく無力化できる技となる。

 

「ギッ、ィイィイアアァアアア……!?!?!?!?」

 

 徐々に徐々に剥ぎ取られていく痛みに呻く兵藤、この調子ならまあ瀕死に追い込むぐらいでどうにか終われそうだ。

 後はお嬢様のところの眷属にでも治療させれば問題ないだろう。いざとなればこちらも方法がないわけではないので躊躇する必要もないしな。

 徐々に欠けていく兵藤の鎧を確かめながら、仕上げに入るべく更に速度をあげていく。

 

 

 

 ―――決着はもう、時間の問題。だが、いつだってイレギュラーは付き物だってことを忘れちゃならない。

 相手はドラゴン、その底力がまだある。

 しっかりと固められたガードの奥で、ギラつく眼光がそう物語っていた。




読了ありがとうございました。

次回、決着。
長々と伸ばした第一章ももう少しで終わり。
一章終了後に活動報告の方で今後の予定をお知らせしますのでよろしければ覗いていってください。
その時に何かご質問があればできる限りお答えしようかとも思っていますので気軽にどうぞ。
それでは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。