連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

これにて一章は終わり。
一区切りつくところまで無事にくることができました。
これも応援してくださった読者の皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

また、その後押しもあり、念願のランキング入りを果たすこともできました。
重ねて皆様に感謝いたしますともに、これからも面白い作品を提供できるよう努力していきます。

前置きが長くなりましたが、一章最終話。
最後までどうぞ、楽しんでいってください。


不死鳥騒動の終息、さらば宿敵また会う日まで

 先ほどの戦い、戦いと呼べるものであったかどうか。

 猛獣相手に意地を張ったようで、どうにも据わりが悪いというか。

 こう……上げていたテンションの行き先を間違えてしまったせいか、今思うとやり過ぎたというかやらなくてもいいことをしてしまったというか。

 既にヒーローモードを解き元の姿へと戻っていた俺はそんなことを脈絡もなく考えながら歩いていると、ふと背後に誰かが降り立つ気配がしたので足を止める。

 

「……終わったな」

「ああ、まあな」

 

 自身もまた変身を解き、落ち着いた声色で語り掛けてきたのは案の定ライザーであった。

 

「……このようなことになったのだ、予定していたことの殆どは中止にせねばなるまい。この後他の貴族たちに対する説明や賠償交渉が待っているかと思うと頭が痛い」

「はっ、そんなもん全部あのお嬢様ん家に押し付けちまえばいいじゃねぇか」

「そうもいかん。婚約を破棄させていただかなくてはいかんのでな、この位の苦労は背負わねば魔王様に顔向けできん」

 

 当たり前のことのように言っているライザーだが、俺はその選択をしたということに少々驚く。

 

「なんでぇ、別れちまうのか?」

「もとより政略のための婚約であった。こうも嫌われ、邪魔をされるようでは、な。縁を結ぶ相手は俺ではなく、あの男の方であったのかもしれん」

 

 ふっと気が抜けたような雰囲気を漂わせているライザーの様子から、お嬢様が今とっている行動が手に取るように分かった。

 実際耳をすませてみれば、まるで鼻詰まりでも起こしたような音を響かせて男の名前を叫ぶ女の声が聞こえてくる。

 

「一応俺の方で傷の回復はさせておいた。そろそろ目が覚めていることだろう」

「バチくそ回復力の”フェニックスの涙”か。あのお高いもんをポンと出せるとは、稼いでるところの坊っちゃんはやっぱり違うねぇ」

「ぬかせ。俺がこれを持っていることなどお前は分かっていたのだろうが。出なければあそこまで無惨な姿にはすまい」

 

 俺がおどけたように振る舞えば、馬鹿にするなというように返してくるライザー。

 それが何だか面白くてクツクツと笑ってしまう。

 

「ははははは、いいなぁやっぱ。今のお前はどうにも悪魔って感じがしねぇぜ」

「……そう言われて俺にどうしろと?」

「別に、言ってみただけだ」

 

 さて。

 

「ほらよ」

「む?」

 

 俺の台詞にいぶかしむような表情を浮かべているだろうライザーへ向けて、背後を見ずに懐から取り出したそれを投げ渡す。

 しっかりと受け取ったライザーは手の中で淡い輝きを放つそれに思わず目を見張る。

 

「これは……」

「一応の保険だ。それもついでに兵藤にやっといてくれ。あんだけ暴れたんだ、神滅具の悪影響がどんな風に出てくるか見当がつかねぇ。野郎にゃまだまだ使い道がある。そいつを使えば死人も甦るってな具合で、最悪寿命が削られていようがある程度は持ち直すだろうよ」

 

 それは俺の持つ回復薬の中でも一番の効果を誇る隠し玉、ゲームの中でさえこれがあれば土壇場の起死回生もできるほどのそれは、今のところ俺にしか製造できないレアモノだ。

 

「『虹色の薬』という、俺もかなりお世話になった秘薬だ。愛しの眷属君がこれからも無事生きていけるってんなら、わがまま姫もお前の話に聞く耳持つだろうさ。それを使って魔王様からせいぜい良い条件を引き出すこった」

「ふっ、アフターフォローも仕事の内か、傭兵?」

「そりゃあもう、こういうちょっとしたことが中々馬鹿にできないんだぜ? 顧客の満足度がそのまま報酬に繋がることがざらなんでね」

 

 今回の依頼主はグレモリーではあるが、そもそも俺はライザーにお呼ばれしたからこの場にいるのだ。主賓の顔を立てずに去れば他の悪魔たちに顰蹙を買うことになるだろう。

 それを見過ごすくらいなら、この程度の出費痛くも痒くもない。

 

「よかろう、それではありがたく使わせてもらう。帰りはレイヴェルに任せよう」

「あいよ、んじゃ」

「待て、最後に一つ聞かせろ」

 

 別れの挨拶でも、と思った俺の言葉を遮ってライザーが真剣な様子で短く問い掛けてくる。

 挙げようとした手を腰に戻し、もう少しばかり話に付き合うことにする。

 

「何だ? まだ何かあんのか」

 

 急かすようにその内容を聞こうとすれば、問い掛けてきたはずのライザーは何故か言い淀むような雰囲気で言葉に詰まっている様子だった。

 いぶかしむ俺が振り返るのを見て意を決したか、向き合う俺の腰に視線と指を向けてくる。

 

「その、腰の剣を抜かなかったのは何故だ。

 お前ならばわざわざ別の武器を使わずとも、あの人龍に遅れを取るまい。ここで無駄に手札を晒す必要もないはずだ」

 

 それは俺が所持をしつつもついぞこの場では抜かなかった刀に関する疑問だった。

 後生大事に抱えたこいつがどうして使われなかったのか、ライザーはそれが疑問なのだろう。

 

「はっ、お前そんなことわざわざ気にしてたのかよ、笑える」

「くっ……ええい良いから答えろ!! それも何か特別なモノなのだろう、早く戦いの時のようにつらつらと話せ!!」

 

 こいつも男の子ということなのだろう。ああいう武器に心が踊るのも無理はあるまい。

 別に減るもんじゃねぇし、喋ってもいいが……。 

 

「教えねぇ」

「何!?」

 

 

 

 ―――それは、おもしろくないだろう。

 

 

 

「そんなに知りたきゃ今度こそ抜かせるんだな。そんときゃこいつの斬れ味、嫌になるほど味わわせてやる。

 

 

 ―――それまで誰にも見せねぇよ、こいつの次の獲物はテメェだライザー」

 

 

 ―――それまでお互い、精進しようや。

 

 

 言うべきことは言い切った。

 ライザーがそれに対してどんな表情をしていたかは、振り返ってしまった俺には分からない。

 だが歩き始めた俺の背に、奴の笑い声が高々と聞こえてくる。

 それが何とも楽しそうなものだから、俺もそれにつられて自然と口の端が上がってしまう。

 離れていくに従って遠ざかっていく笑い声、そして一頻り笑い終えたライザーは周囲に聞かせるように声を張り上げ檄を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

『―――聞けぇ!! この場に招かれた悪魔たちよ!!

 

 此度の余興、予想外の乱入者のお陰で大分予定から外れてしまい、皆を混乱させる事となってしまったことだろう!!

 

 だが! かの赤き龍の暴走も、協力者との共闘で無事に鎮めることができた!!

 

 赤き龍、恐るるに足らず!!

 

 しかし、これはほんの序章に過ぎぬのだ!!

 

 龍をめぐる混迷の世界に、これから我らは立ち向かわかねばならん!!

 

 その時が訪れたのなら、我らがすべきことは何か!!

 

 答えは一つ、戦うことだ!!

 

 我ら悪魔が他の奴等に戦線で遅れをとることなど、言語道断!! 許されることではない!!

 

 悪魔たちよ!! 栄えある貴族たちよ!!

 

 停滞の時期が終焉を迎えるぞ、動乱の世がすぐ側まで来ているぞ!!

 

 備え、鍛えんとする者たちに、我らフェニックス家は多大な支援をもって応えよう!!

 

 さあ!! この俺と戦列を共にする勇気ある者はいるか!! この期に名を上げんとする者はいるか!! 強敵を望む腕自慢がいるなら名乗り出るがいい!!

 

 

 

 魔王様の膝元に集いし我らの誇りを、今こそ天地に示すのだ!!

 

 

                              』

 

 

 

 いつの間にか側にいたレイヴェルが用意した転移の魔方陣を潜り抜けながら、悪魔たちの大歓声で溢れる冥界を後にする。

 何ともまあ、大したもんだなライザーの野郎。

 悪魔たちのあの熱狂ぶり、そんじょそこらのカリスマ性じゃああはならねぇ。

 どうにもこの一件で一皮剥けたみたいだ、これから奴がどれほど強くなることか想像できやしねぇ。その原因の一端が自分にあるのに言い表せぬ感情を抱きながら、もう少しあの場にいたかったという思いを振り切って魔方陣へと歩みを進める。

 

「旗本様、今宵は本当にありがとうございました。兄に代わり、心より御礼を申し上げます」

「構わねぇよ、おかげでこっちもモチベが爆上がりだ。お前の兄貴に火ぃ付けられちまったからな」

「それはよう御座いました。どうか次の機会では、お二人が満足のいく決着がつけられることを願っております」

 

 そんな会話をしていると、目の前の景色が移り変わりここに来る前にいた居間が現れてくる。

 そして無事に元の世界へと帰還し一息ついていた俺に向けて、レイヴェルは丁寧な礼をして別れを告げる。

 

「それでは旗本様、此度はこれにて。いずれまたお会いする時までどうかご壮健であらせられますよう」

「おう、そっちこそ闘り合うまでくたばんじゃねぇぞ、って伝えといてくれ。しばらくそっちはごたつくだろうし……ああそれと、リアス・グレモリーでもあのメイドっぽいのにでもいいからこう言っといてくれ」

 

 釘を刺しておくのを忘れていたが丁度いい、ついでだが言伝を頼んでおくか。

 

「―――『契約を忘れるな』

 

 それだけはきっちりとあいつらに言い聞かせておいてくれ。重要なことだから、忘れたなんて言わせないようにきっちりと、しっかりと頼むぜ」

 

 レイヴェルは俺の頼みに、深くを聞かず分かりましたと短く応え、もう一度礼をして魔方陣へとそのまま姿を消していくのだった。

 静かになった部屋に一人残された俺は、懐に押し込んでいた一枚の紙を取り出して、もう一度その内容を確認する。

 

「『―――傭兵・旗本奏平は上位貴族リアス・グレモリーの眷属である下級悪魔・兵藤一誠の暴走を可能な限り身命を維持した状態で阻止するべし。

 

 この依頼が達成されたとき、リアス・グレモリーは報酬として現魔王サーゼクス・グレモリーとの公式の会見を確約することとする』」

 

 実際にはもっと色々と書き込んでいるのだが、一番重要なことはこの書類にリアス・グレモリーの正式な署名がなされていることである。

 あの土壇場で冷静な判断が出来ていなかった彼女にはこの書面のガバガバ加減が理解できていなかっただろうが、既に出来上がったものにイチャモンをつけさせはしない。

 

「……ようやく一つ、機会を得られた。

 一歩ずつだが、進んでいるぞ、俺は。

 理想の実現にはまだまだ遠いが、とにかく一歩だ」

 

 この紙っぺら一枚、俺がこの騒動で手に入れたにしては安いものだと考える者もいるだろう。

 だがこれが俺にとってどれほどの価値を持つのか、それを正確に理解できる奴がいるだろうか。だからこそ、これは誰にも分からない切り札になり得るのだ。そのためならば手札に一枚や二枚、それこそ安いというものだ。

 

 確認を済ませた書類を丁寧に折り畳み直し、再び懐へと仕舞い直す。

 動き出した世界の行く末を想像し、そこにどれだけ食い込めるかわくわくしている自分を感じながら寝室へと向かう。

 やりたいこと、確認しなければならないことはあるが、今日は一先ず。このいい気分のまま眠ることにするとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――こうして、不死鳥に端を発する一連の騒動は終息し、これを切っ掛けに新たな兆しが悪魔たちの中で生まれることとなる。

 一山越えたというべきだろうが、しかし。

 既に新たな騒動の原因が駒王町へとその狙いを定めていた。

 俺がそれを知ることになるのは、もう少し後のこと。

 今はただ、心地いい睡魔へと身を委ね、微睡みの世界へと意識を手放すばかりであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございました。

この後、11時頃に活動報告の方を上げさせていただく予定です。
何分仕事の関係でこんな時間でないとゆっくり書き込めないもので、ご迷惑をお掛けしますがどうかご了承下さいますようお願いいたします。
これからもどうか、応援のほど重ねてお願いいたします。
それでは。
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