連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

地獄のランダム五連勤がやっと終わりました……。
ようやく続きが投稿できます、お待たせいたしました。



回想―――魔剣士の憂鬱 前半

 事の発端は自身の主、リアス・グレモリーが婚約者であるライザー・フェニックスとの婚約解消を賭けたレーティング・ゲームを行ったことから始まった。

 

 主のために戦意をみなぎらせる仲間たち。必ずこの戦いに勝利するのだと、主の願いを叶えこれまでの恩に少しでも報いるのだと。

 そう固く決心して、戦いへと望んだ。

 

 

 

 

 

 ―――だが……それがどれほど脆弱な意思であったのか、それを思い知らされるのにさほど時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 

 通常それぞれの眷属たちと共に戦うはずにも関わらず、たった一人で戦場へと現れたライザー。

 ハンデだという彼は、自分の眷属には手を出させないことを約束し、そして実際に自分一人で僕たち全員を相手取った。

 その不遜な態度に、舐められてたまるものかと一斉に攻撃を食らわせる僕たち。

 

 

 イッセーくんのドラゴンショット。

 子猫ちゃんの拳打。

 朱乃さんの雷撃。

 部長の破滅の魔弾。

 僕も魔剣を造り出して攻撃する。

 

 

 ―――しかし、そのいずれもライザーには効かなかった。

 いきなり熱波が襲いかかってきたかと思えば、目の前のライザーが赤い鎧に身を包んでいた。

 急な変化に驚く間もなく、腕の一振りで発生させた巨大すぎる炎が僕らを攻撃全てを飲み込む。その赤い津波に接近していた僕ら前衛の三人は勿論、後衛で攻撃をしていた二人も逃げられずその炎を食らってしまう。

 掻き消される攻撃、唯一部長の魔弾だけが残りライザーに迫ったものの、奴はいつの間にかあった背中の翼のようなものでその魔弾を弾いてしまったらしい。

 そしてライザーはそのまま炎を繰り出し続け、一度もその場から動くことなく僕らを叩き潰した。

 ……というのも、これはアーシアから後で聞いた話だ。

 

 

 

 

 

 ―――炎によっていたぶられ、気絶させられた僕たちは、目覚めたときには部室に横たわっていた。

 咄嗟起き上がって部室を見渡すと、自分と同じように傷付いた仲間達が唯一無事だったらしいアーシアに治療を受けている様子が目に飛び込んできた。だけど、その中に部長の姿がないことに気付いて背筋が凍りついた。

 まだ少しだけふらつく頭を無理矢理押さえ、泣きじゃくっているアーシアへと近づき何が起こったのかを聞こうとする。

 イッセーくんの治療をしていた手を止めず、彼女の口からたどたどしく語られたのは―――

 

 

 

 

 

「……っくそぉ……!!!」

 

 

 

 

 

 ―――自分たちの、無惨な敗北の事実。

 

 

 

 

 

 あまりの無力感に、思わず拳で床を叩いてしまった。

 一矢報いることすらできず、ただ力の差を教えられただけ。上位貴族であっても、戦いなら負けるものかと意気込んでのこの体たらく。

 主から聞いていた相手の印象と実際に会った人物の性格の変化にもっと注意していれば、こんな結果にはならなかったのではないか。

 僕がそんな後悔を一人していると、アーシアの治療によって回復したイッセーくんが目を覚ました。

 

 一番に部長の心配をする彼に、残酷な事実を告げねばならないことに心を痛めつつ、それでもはっきりと、自分たちは主を守れなかったのだということを告げた。

 

 それを聞いた彼は目を見開き、愕然とした表情でこちらを見つめ、力なく天井へと顔を動かす。今だ傷の癒えない体を強張らせ、悔しさに声をあらげ涙を流す彼の姿を前に、僕は慰めることもできない自分が情けなくて黙り込むことしかできなかった。

 

 

 

 ―――その後、他の仲間たちも目を覚まし、それぞれが敗戦の事実を認識していく。主を守れなかったことに悲しみと後悔の涙を流して、その日は眠ることができなかった。

 

 

 

△     △     △ 

 

 

 

 それから数日が経ち、意気消沈している僕たちの前にライザーの眷属が現れ、彼女の口から婚約発表の日時が発表された。

 淡々とした口調で話をしていく彼女に対して僕たちが異を唱えることはできない。彼女はあくまでゲームの勝者としての立場からここにいるからだ。

 

 しかし、その中で一人、悪魔となって日が浅いイッセーくんがその慣例に反発する。部長の意思を無視したこの婚約を許すことができなかったのだろう。彼はメッセンジャーである彼女に食って掛かり、あろうことか再度レーティング・ゲームを行うこと提案してしまったんだ。

 その突然の申し出に、むしろ僕たちの方が驚愕してしまった。それは先日の戦いを経験し、お互いの力量差をまざまざと見せつけられたとは思えない発言だったからだ。

 もう一度戦ったところで勝てるなんて考えられないほどの隔絶したライザーという存在が、炎の痛みと共に脳裏へ甦る。体が自然と震え出し、冷や汗が背筋を伝うのを感じている。

 あまりにも無謀なその提案に思考が追い付かず、制止の言葉が出て来ない。

 

 その間にも使者の彼女に言い募る彼だったが勿論それが許されるはずもなく、すげなく断られてしまう。それでもなお言い寄るイッセーくんに、ライザーの眷属である彼女は分かりやすい手段を用いてきた。

 魔方陣をその手の中に発生させたかと思うと、イッセーくんの三方向にそれと同じものが浮かび、その中から魔力の鎖が飛び出し彼を縛り上げる。

 容易く自由を奪われた彼は床に倒れ込まされ、強制的に這いつくばらされてしまった。

 床の上で呻く彼に向けて、使者の彼女は見下すようにして言い放つ。

 

 

 

『―――戦士足り得ないあなたでは、お兄様の相手は勤まりません。無論、あなたの主を取り戻すなど、その様では出来ようはずもない。

 今のお兄様に敵う相手は、それこそあの御方ぐらいなものでしょう。

 どうです、話くらいは聞いてくださるかもしれませんわよ。旗本様も、元同族の頼みならば耳を貸してくれるやもしれませんし、ね』

 

 

  

 それまで頑として変わらなかった彼女の表情が、その名を口にした途端花が開くように朗らかなものとなった。

 彼女が語るあの方―――それが以前部室に現れた傭兵を名乗る男であることに驚きと疑問が頭に浮かぶ。

 何故、そのような顔をするのかというのもあるが、一番はあのライザーに敵うということを、その眷属である彼女が語ったからだ。

 

 ライザーの強さは僕が今まで出会った存在の中でも上位にあたるものだ。僕たち全員で戦っても、まるで歯が立たなかったというのに、彼女はまるで自分の主が倒されるかもしれないということまで仄めかしている。

 

 旗本奏平―――僕たちのような存在を相手にする傭兵とはいえ、彼は人間のはずだ。

 確かに昔ライザーと引き分けたというようなことは語っていたが、それも昔のこと。

 今のライザーにたかだか人間が敵うなど、とそんなことを思っていたらいつの間にか音もなく彼女の姿は消えていて、魔法の鎖もなくなっていた。

 胸の中にわだかまる感情、納得できない事柄を整理するのにしばらく時間が掛かった。

 他のみんなも同じようで、お互いに顔を見合いどうにか落ち着こうとしている。

 

 だからだろう、その時イッセーくんが浮かべていた表情に気付けなかったのは。彼がこの時何を考えていたのか、それを理解できていれば、僕は更なる後悔をせずに済んだかもしれないのに。

 




読了ありがとうございました。

しばらくは木場くん視点と第三者視点で話を進めていきます。
彼の視点で第一章で触れていなかったリアス陣営のことを振り返りつつ、彼が奏平と戦うことを選んだ経緯を語っていきたいと思います。
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