連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

まずは投稿が遅れましたこと、お詫び申し上げます。
一度書いたはいいもの、中々煮詰まらず。こうしてズルズルと時間を掛けてしまいました。


また、感想欄や活動報告で多くの意見考察をいただけましたこと、誠に感謝いたします。
お陰様で自分の納得できる設定でこの章を進めていけます。本当にありがとうございました。
感想返しが出来ておらず皆様をご不快にさせていないかが心配です。できれば返信をもう少しだけお待ち下さると助かります。

今後も皆様と一緒に楽しい作品を作れるよう努力して参りますので、どうか応援のほどよろしくお願いいたします。



それでは続きをどうぞ。




一番勝負 廉造魔剣・木場裕斗 <破…?>

 

―――そして今、彼らは刃を持たぬ剣を持ち、衆人環視の中雌雄を決しようとしていた。

 

 

 

 放課後の談笑中いきなり目の前に現れた木場の、突然の対戦の申し出。

 普段の木場とは違う尋常ではないその態度に周囲の生徒たちが唖然とする中、奏平が間を置かず了承したことで近くにいた彼らは思わずギョッとした表情で奏平の方へ顔を向けてしまう。

 それに構うことなく話を進める二人。

 

 ―――そしてあれよあれよという間に舞台は整い、こうして時間は元の場面へと舞い戻るのだった。

 

 

 

△     △     △

 

 

 

 目の前の相手の視界の中央に据えながら、深く呼吸を行う。

 木場にとってこの戦いは、今も床に伏している仲間ための戦いだった。

 それがどれほど愚かな行いか、彼自身も十分に分かっている。

 しかし、それでもここで動かなければどうしようもないほどに、彼の心は悲鳴をあげていたのだ。

 主も救えず、仲間を傷つけら、それでも剣士である自分には戦うことしか出来ない。

 このもどかしさ、悔しさ、怒り、後悔。

 様々な感情が入り乱れる心が求めたのは―――やはり、戦うことだった。

 

 どこまでいっても、自分は所詮剣士でしかないのだと、彼は理解している。

 そんな自分が仲間のためにできることは、戦って、一矢報いること。無惨にやられてしまった仲間のために、どうにかして一発この男に入れてやりたい。

 それだけを思い、彼は今”恥知らず”の汚名を被ることを覚悟してこの場へと立っていた。

 でも―――

 

 

 

 

 ―――でも僕は何故、彼に挑むのだろう?

 

 

 頭の片隅にあるその疑問が、少しだけ浮かんでまた沈んでいった。

 目の前の相手に集中していく意識がそれを押し込んだからだった。

 

 

 

△     △     △

 

 

 

 ―――そんな鬼気迫る木場とは対照的に、奏平は静かなものであった。

 木場の内心が燃え盛るようなものであるのに関わらず、それを受け動じぬ様はまるで『凪』。波一つない湖面のような静けさは、単にその過酷な経験からくるものであった。

 その経験から、この手合いに言葉による説得など無駄であり、自身の敵意こそを相手が望むことを理解していたからだ。それが目の前の相手に対する、最大限の敬意だと考えて。

 

 しかし彼はその敵意の高さに反するように、驚くほど冷静な状態でこの戦いに挑んでいる。

 今も木場に注意を向けながら、視界の端では周囲の観察を怠っていない。その結果、一般生徒とは違う種類の視線がいくつか向けられていることに気付いていた。

 こちらを探るようなその視線、その正体について思案するもある程度の候補は挙がるが答えは出ず。その答えに行き着くほどの時間がないことを動き出した木場によって察した奏平は、一先ずその疑問を忘れ去りこの剣士との一戦に没入するのだった。

 

 

 

△     △     △

 

 

 

「―――はぁっ!!」

 

 開始の合図はお互いになく、最初に仕掛けたのは上段に大きく構えをとった木場であった。

 並の競技者では追い付けないほどの加速を一歩で行い、あっという間に距離を詰める。

 間合いに入った瞬間、高速の一閃。

 容赦のない振り下ろしが奏平の頭部に襲いかかる。

 

「……」

 

 それに対し、奏平は敢えて半歩、前に出た。

 全力での一撃は途中でその軌道を変えることはできず、本来狙っていた場所から木場の有効打がズレる。

 その剣筋へ奏平の竹刀が軽く添えられるようにして置かれたかと思えば、接触の瞬間その軌道が大きく外側へと逸らされた。

 

「何っ!?」

「……」

 

 先の交錯、木場が先手を取ったかに見えたが実際は違う。

 奏平は木場の竹刀が振り降ろされる軌道を予測し、万全の力が入りきるその前には既に自身の竹刀を構えていたのだ。そして竹刀同士が当たる瞬間に、自分に当たらないよう軌道をねじ曲げたのである。

 あまりに自然な動作のよって敵対する者はおろか、観衆ですら見逃してしまった先出し。機先を制された木場の攻撃はそのまま奏平の意図する通りの動きとなり、最小限の力のみで容易く先程の一撃を受け流したのだ。

 

「くっ……!!」

 

 それをやられた木場の方は勢いに後押しを受けたようなもので、意図しない方向に自らの体が泳いでいくのを止められない。そのまま床に激突するか―――と、いうところで機敏な身体操作がそれを阻む。

 自身に御せないほどとなった勢いを、前に出した片脚を踏ん張らせることで減衰させる。更に床に胸が着きそうなほど異常なまでに低い姿勢となり、竹刀を片手に持ち変え自由になったもう片方の腕一本で残りの勢いを吸収する。

 

「せぇええっ!!」

「ほう……」

 

 奏平の後方に這いつくばるような姿勢から一転、回転と跳躍を腕の力だけで同時に行う荒業を披露してみせる木場。捻りを加えた一撃が、またもや奏平の頭部に振り下ろされる。

 その曲芸のような攻撃に対し、今度は迎え撃つようにして竹刀を振るう奏平。

 

 

 

 

 

 全体重を落下の勢いのまま腕力に乗せ、関節のしなりも使った先程の打ち込みを越える木場の"一太刀"。

 

 依然片手で竹刀を振るい、視覚の外から襲いかかる攻撃に不用意な対応をしてみせる奏平の"一太刀"。

 

 

 

 

 

 片や全力の攻撃、それに対するにはあまりにも不十分な迎撃を敢行した結果は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そんな」

「おお、やるじゃん」  

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――あろうことか、押しつ押されぬ鍔迫り合い。

 

 

 同等の力がせめぎ合う、まさかの展開に流石に度肝を抜かれた木場だったが、それも一瞬のこと。

 その均衡を崩すべく、宙より舞い戻った両足でしっかりと床を踏みしめ更に前へ。

 

「はあぁぁっぁあああああああああ!!!!!!」

 

 そこから繰り出される乱打、乱打、乱打。

 息もつかせぬ連撃によってこの男の防御をこじ開ける。自慢のスピードにものを言わせ、対処のしようがないほどの攻撃を浴びせてやる。

 

 

 

「あああぁあああ!!!!」 

 

 

 

 そのつもりで放つ、

 

 

 

「あああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 そのことごとくが、

 

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 ―――まるで、意味を成さない。

 

 

「どうなっているんだ君は!?」

 

 常人では反応できない速度で繰り出されているはずの木場の攻撃。

それは嵐の中に立ち尽くしているようなものであり、一度でも受け損えばそこから崩されるほどのものだ。

 だが、

 

 

 

 

「―――おうおうおう、せわしねぇぜ」

 

 

 

 

 だがそれを、奏平は自然体のまま涼しい顔で捌き続ける!

 全身くまなく襲いかかる竹刀の猛攻を、その刀身が体に届く前に全て弾き返している。

 まるで目の前に壁でもあるかのように、木場の攻撃が一定の範囲から先に進まない。

 それも片手を体の後ろに回したまま、もう片方の腕のみで竹刀を扱い両手で攻撃を繰り出してくる木場に匹敵する威力と速度で対抗している。

 

 

  

 

 

 それが示すものは―――格差だ。

 圧倒的なまでの力量差が、二人の間に存在している。

 その格差を、他でもない木場自身が何よりも感じとっている!

 

 

 

 

 

「―――だけどっ……!!」

 

 それでも、と。

 それでも、この胸の内に込み上げる感情が相手への攻撃を駆り立てる。

 木場はその感情がもたらす力を全身にみなぎらせ、更なる攻勢を仕掛けるべく竹刀を加速させていく。

 だがそれは、自制していた力をも動員させるということで―――

 

 

  

 

 

「僕はっ!!」

「っテメェ!?」

 

 

 

 

 

 ―――それはつまり、悪魔としての力を解放し、人間を越えた挙動を発揮するということであった。

 

 瞬間的に高まる木場の圧力にそのことを察した奏平は、この戦いを終わらせることを即座に決めた。

 裏の事情に無関係な一般人が多くを占めるこの場で明らかにおかしい動きをしてしまっては、悪魔貴族のお膝元とはいえ流石に誤魔化すことは難しい。

 そうなる前に、次の一手で終わらせなければならない。

 

 

 そう判断した奏平は、ここで初めて自分から攻撃を仕掛ける。

 

 

 狙いは木場の竹刀を持つ手。

 振られてからでは遅すぎる故に、振られる前にその手から武器を取り上げるしかない。

 

「―――蒼天流剣術、奥義が一つ」

 

 そのために繰り出すは、自身が最速を誇る技。

 先の先を取ることだけを目指し、それのみに注力したその後を省みぬ捨て身の奥義。

 

 

 

「―――【一心剣】」

 

 

 

 誰よりも先に目の前の敵を倒す。

 ただそれだけを考え、ただそれだけを実行する。

 単純化された思考と動作が意識すら置き去りにし、戦闘の呼吸の間隙を突いて竹刀が延びる。

 本来は高速の斬撃により相手に何もさせないままに斬り伏せるその一撃は、今回ばかりは状況がそうもいかず一点集中の刺突がその代役を果たして木場へと襲いかかる。

 

 

 

 渾身の一撃を振り下ろさんとする木場、それを阻止せんと対抗する奏平。

 力と力が激突する。

 その最後の数瞬だった。

 

 

 

 

 

「―――そこの二人、動きを止めなさい!!!」

 

 

 

 

 

 途端、投げ掛けられる突然の制止命令。

 ほぼ届き掛けていた奏平の竹刀が、もしもに備え残していた意識に反応し反射的に停止する。

 しかし木場にその命令に従えるほどの猶予はない。両手に溜め込まれていた力を解放しようと留まることなく、奏平の脳天に容赦なく無刃の凶器が差し迫る……!!

 だが―――

 

 

 

 

 

「―――しゃあねぇな……!!」

 

 

 

 

 

 ―――だがそれを、それをも阻むほどに旗本奏平は【戦士】であった。

 

 

 

「……っ!?」

「ったく……」

 

 繰り出された凶撃は、狙いの頭に届くことなく。

 振りだされる、その寸前で差し出された左手で、武器を持たぬはずの左手だけで停められていたのだ。

 人外の膂力で繰り出されんとした一撃は、その始動から完全に塞き止められた。それは激流の前に板を立て、それのみをもってして河の流れに逆らおうというもの。

 

 

 

 それを成すのは、その人外に対抗できる力を持ちながらこの場にて尚人間の範疇に収まったままの、二十歳にもならぬ男。

 

 

 

 木場の手に伝わる感覚が、自身の竹刀に込められた力が何なのかを如実に伝えてくる。

 これはそんな力技ではないと。

 そんな荒くれた、粗野な技術ではないと。

 

 それを理解したとき、木場は目の前にいる相手の姿が途端に大きくなっていることに気付いた。まるで巨人がそこにいるかのような存在感が、リアルな感覚となって自分を圧倒している。

 今になって初めて、木場は自分が挑んでいる相手がどのような男であるかを理解した。それは先ほどの格差を分からせられるものよりも如実に、深く心に突き刺さる。

 途端に沸き上がる恐怖が戦意を蝕む。戦う意思が挫けそうになる。

 だがそれが、逆に彼を冷静にさせ周囲の状況に意識を向けさせることとなる。

 

 

 

 

 

「―――二人ともそこまでに!! この場は生徒会が預かります!! 今すぐ距離をとって、武器から手を離して!!」

 

 

 

 

 

 そしてようやく、自分達の他に誰かがいることに、戦いの場の変化に気付き。

 自分が何をしようとしていたかに気付き。

 そして―――

 

 

 

 

  

「―――この場は生徒会長、支取蒼那が取り仕切ります。あなたたち、こんなことをしてただでは済みませんよ!!」

 

 生徒会室で詳しく聞かせてもらいます、と。そう言いながら現れた彼女の存在に気付き。

 

 

 

 

 

 ―――その声を聞いて急激に、自分の中の感情が萎んでいくことにどこかほっとした感情を覚えて。そうすると、竹刀を握る腕の力を抜くことにためらいはなかった。

 

 

 

 その様子からもう戦う意思がないことが分かった奏平が彼から距離を取り、近寄ってきた他の生徒会役員に竹刀を渡す。対面で俯いていた木場へも同様に竹刀を手渡すよう促すが反応がなく、役員の生徒が恐る恐る彼から竹刀を抜き取っていた。

 

 その間にも他の役員たちが動き回り、決闘の空気に当てられた見物人の生徒たちを散らばらせていく。そして少し時間が掛かったものの、数名の、裏の事情を知る関係者たちだけがこの場に残ることとなった。

 無言の静寂が支配するその空間の中で、戦士はこの介入者たちがもたらす変化に一人、思考を巡らせる。

 

 

 

  

 

 

 ―――これこそが、新たな争乱の幕開け。それを告げる出会いであったことを理解する間もなく、彼らは未来に迫る危機に立ち向かわなくてはならない。

 異端者の存在によって歪み始めた世界の流れが、また一つ。本来の歴史から逸脱した戦史が紡がれようとしていた。




読了ありがとうございました。


これすらも序の口ということはもうお分かりだと思いますが、これからこの作品に足りていなかったモノがドンドンと出てきます。
タグ、あらすじ。
お前らはそのために存在していたのじゃよ。
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