連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~ 作:アゲイン
ようやく登場、教会勢。
グレモリーが引っ込んでることで色々変わってる所をどうにかこうにか、時間が掛かりましたができる限り矛盾が出ないようには……できたかなぁ?
何分正史とは異なる展開で削ってる場面が多く、その修正の多いこと多いこと。
でも愚痴ってる時間はないんだなぁ……これが。
正直に言って、俺はこのエクスカリバーという存在がひっじょ~~~~に疑わしい。
いや、聖剣かどうかを疑っているわけではなく、エクスカリバーという伝説上の武器がどうして十字教の勢力中にあるのか理解できないのだ。
伝説がもし本当であるのならこの聖剣は湖の精霊に返還されたはずである。土着信仰の精霊である彼女に回収されたにも関わらずそれがどうして十字教の大戦なんぞに持ち出されてるんだ、いつか甦る王のために管理しっかりしてよ。俺はどこにこの憤りをぶつければいい?
マーリンとかいう魔術師か? 聖剣を託した湖の精霊か? それとも最後を頼まれた騎士にでも言えばいいのか?
出来るかバーカ!! どいつもこいつも手の届かないところにいるから会うことすら不可能だわ!!
……しかし、いくら正体が怪しかろうと聖剣は聖剣、眼前にある存在感は神秘的なものを感じさせる。
……そう、眼前にあるのだ、その聖剣が。
一人は背中に背負った袋の中、特別製のものに覆われてはいるものの、入っている物が物だけにはっきりと聖なる気配が感じ取れる。
もう一人は一見その身に武器を帯びているようには見えない、にも関わらずその体からは隣の奴と同じような気配を漂わせている。
気付く者には気付かれる、そんな気配を垂れ流しているにも関わらず、この二人は何の問題もないかのように振る舞っている。
この悪魔が治める町で、聖剣を狙った堕天使たちが潜伏しているにも関わらず、この教会から派遣されて来た二人の信仰者たちの行動はあまりにも考え無しだ。どこにいるかもわからない敵対勢力に対し、餌をぶら下げたまま無防備にここまで来たというのだ、こいつらは。
「……バカかおい、何でそうなる」
暗い雰囲気を維持したままの木場を引き連れ、先に待っていた俺たちの前に現れた教会から派遣されてきたという二人の戦士だった。
シトリー眷属の案内によって生徒会室に連れてこられた彼女たちのその姿を見た俺の評価は急激に低下している。
人数もそうだが何よりも心構えが舐め腐ってるとしか思えないこんなやつらが本当に増援なのか、そういう感情が咄嗟のことで抑えられずつい口を滑らせてしまった。
入室した途端に言われた方は当然いい気はしないだろう。発言者である俺に対し、目に見えて怒りを宿した視線を向けてきている。
まず口を開いたのは青髪の方、聖剣を袋に入れてる迂闊な奴だ。
「貴様、不躾にも程があるぞ! いきなり何だお前は!」
「いや、もっと隠せよ。何でそんな堂々と聖剣晒してんだ、敵に見つかる前に警察のお縄につくぞ」
肩を怒らせ目の前に立つ相手を見上げ、何だと言われたので答えてやった。
実際警察に職務質問されれば問題になるような装いだ、いくら宗教関係者とはいえ疑いの目は免れまい。
既に最低評価の相手に対し遠慮などなく、そういうことやぞと忠告してやれば、
「何を言うか。これは聖なる行い、それを阻む者がいるものか」
という、最高に頭の悪い発言が飛んでくるものだからどうにもならないのだろう。これだから狂信者は、神の教えを最上位のものとして掲げるのはいいがそれが表の世界でも通じると考えるのは如何ともし難いものだ。
「……そうじゃなくてもわざわざ敵に居場所を教えるようなことをする必要はないだろう。相手の戦力もまだ分かっていないってのに……」
「そうなれば迎え撃つだけだ、聖剣の使い手として、神の僕として私たちは必ず使命を果たす。例えこの命を失うことになったとしてもだ」
青髪の信者はそれはもう自信満々といった様子で、こりゃ口でどうこう言ったところで動くような人種じゃないなということを理解する。こいつの自信の根底には『神様』の存在があるのだろう、その絶対性がこいつにこのふざけた台詞を吐かせているのだろう。全くもって反吐が出る。
「……そっちもそういうスタンスな感じ? 正直もう嫌になってきたんだけど」
仕事に対するモチベーションが駄々下がりしているが、聞くべき所は聞いておかなければ何も始められない。嫌々だがそれでも何とか青髪から視線を切り、もう一人の方へと顔を向ける。
俺と青髪の会話を聞いていた亜麻色の髪を二つに分けた、所謂ツインテールとかいう髪型の奴へと話を振る。
「当たり前でしょ、奪われたものは取り返す。神の膝元から所有物を盗んだ罪の大きさ、堕天使たちの命で償ってもらうわ」
そして予想通りのこの反応、こいつも負けず劣らずの狂信者のようで嫌になってくる。どうしてこう、空気の読めない連中を派遣してきたのかとため息を吐きたくなる。
「ところでそっちの悪魔」
そんな俺の様子などいざ知らず、彼女たちはその隣にいる木場の方に興味があるようだった。
まあ、それも仕方がない。
「どうしてそんな格好をしている。何故そうも厳重に拘束されているのだ?」
―――何たってこいつ今、両腕をガチガチに固められているだけに留まらず、口も開かないように囚人用のモノで封鎖しているからな。
だがしかし上半分、つまり眼だけはフリーでギンギラギンだ。
視線の先にぶら下がっている標的に対し、その唯一自由な瞳だけででも成し遂げてみせるとでも言いたげな力をそこに宿している。
「……まあ、それも含めて話をしよう。立たせたままじゃなんだったな。すまんが会長さんよ、茶ぁ入れてくれや」
「分かりました、お二方もどうぞ席へ。準備する間に話を進めておいていただいても?」
「あいよ、自己紹介くらいはしとくわ」
いつまでも嘆いてはいられない。近くにある脅威に対し動かなければ、この先もっと面倒なことになる。
それだけは絶対に避けなければならない。ならば絡むのが面倒でもやるしかないのだ。そうしなければ最悪の事態になる、そうなる未来を避けないきゃいけないなら、それがどんだけ嫌な相手とでも組んでやるよ。
そのことを理解できていない連中に囲まれながら、これを纏めなければいけないという事実が重く肩にのし掛かっていた。
△ △ △
最悪な第一印象を与えあった俺たちだったが、一先ず今後の方針を決めるため各々用意された席に大人しく座っている。
一応この場の説明役を仰せつかった俺から始めることにして、話を進行させていこう。
「さぁて、とりあえずは自己紹介……俺は旗本奏平、特に所属はないが傭兵をやってる。ここにいるのは生徒会長様に依頼されたからで、あんたらの手助けが主な仕事だ」
木場の説明は後で纏めてやるとして、今度は教会側のお二方に名前を聞くとしよう。
「カトリック教派の聖剣使い、ゼノヴィア・クァルタだ。
「私は紫藤イリナ、プロテスタントの聖剣使いよ。私の聖剣はこの
よし、ようやく名前を聞き出せた。ていうか名刺代わりに聖剣出してくんじゃねぇ。おもむろに袋から出したり、紐を剣に戻したりするなよ。木場が憎悪で憤死しそうになってるだろ。
まあいい、とにかく青髪の方がゼノヴィア、ツインテの方が紫藤と呼ぼう。
「OK、把握した。そんで話の続きだが」
「いや、無駄な手出しは不要だ。この程度のこと、私たちだけで成し遂げてみせる」
「それで被害が広がったら元も子もねぇんだよ、いきなり市街地でドンパチ始める気か? 敵がそこらへん考慮してくれるとでも? そもそも、土地勘もねぇところで闇雲に動くのがあんたらの仕事の仕方なのか?」
「そうなる前に倒せばいいだけだ。神の御加護がある限り、我らに敗北はない」
「ちゃんと話聞いてる?」
ああもう、これだから狂信者という奴は!!
威勢はいいものの考え無しなのは何も解決していないのだが、それが分かる相手であればこうも話をするのに苦労はしないだろう。
心の底から面倒臭い、できれば今すぐここを立ち去りたいくらいだ。
だがしかし、ここで見放したらもっと面倒になりそうな予感がすることと、一度引き受けた仕事を投げ出すのはどうかという葛藤が何とか逃げ出したくなる気持ちを押し留めている。
「……本来この土地はグレモリー家が管理してるのは知ってるよな」
「ああ、まだ会ったことはないが、それが?」
「今奴らは俺がボコした眷属の治療のために冥界に引きこもってる。残ってるのは横にいるこいつと……もう一人って話だったか?
そんでまあ治療が済むまでの間シトリー家が管理を代行してるんだが、慣れない業務でこっちの厄介事にまで手が回らねぇ。出来ても見回りによる情報収集、実働までにはどうしても人員を割けない」
そういう訳で、
「つまり今動けるのは俺と、こいつだけだ。木場裕斗っていうんだが……こいつもちょいとばかし訳有りでよ、そのせいでこんなことになってる始末さ。
もう少し待てば俺の呼んだ増援が来るが……、お前らはそれを待たずに動くつもりだろう?」
「無論、そちらがそのような状態では協力など寧ろ邪魔だろう」
わーおバッサリ、めげそう。
こりゃ増援の正体とか知ったら十中八九反対されるだろうなぁ。
しゃあない、さっさと手札を切ろう。先に恩を売っておいた方が話が進みそうだ。
「拠点の候補だった教会は整備不足で住めるもんじゃなかったろう、別の拠点……というか俺の拠点に部屋を用意してある。
初対面で信用なんてないと思うが、悪魔が手配した所より幾分か安心できるだろう。部屋のランクもスイート並みとは言えないが、それなりに快適な寝食を保証する。
その代わり、あんたらの仕事に俺たちも同行させてほしい。こちらは増援が来るまでに解決できればよし、出来なくても四人固まっていれば流石の敵さんも容易に手を出してはこないだろう……と思うんだがねぇ」
どうだい、そこんとこ―――と。
二人の信者に対してこちらが出来ることを提示すれば、そういえばそうだった、みたいな顔をしている。よし、事前調査が上手い具合に効いてるぜ。
この感じならこちらの提案も受け入れてもらえるだろうと考えていると、
「ふむ、どうだイリナ。いい提案だと思うが」
「お金が掛からないのはいいわね。男と一つ屋根の下ってのはどうかと思うけど」
「一時的なものだ」
「ん~~それなら彼のところがよかったなぁ、久々に会いたかったんだけど」
というような話し合いが彼女たちの間で行われている。
紫藤の方に若干気になるワードがあるが、はて誰のことだろうか?
こんなときに無関係な奴を巻き込むようなことをしてほしくないのだが、正直そいつのところにお泊まりしたいならこれが終わってからにしてほしいもんだ。
そんなことを考えている内に方針が纏まったようで、二人の視線がこちらへと戻る。
「いいだろう、傭兵。お前の提案を受けよう」
「おお、そりゃよかった」
「ただし―――」
「―――足手まといはいらん。傭兵、貴様の力量を見せてもらおうか」
そういって、青髪の彼女は背中の聖剣に手を伸ばしながら立ち上がる。真っ直ぐと突き刺さる好戦的な眼差しが、それが冗談の類いでないことをもの雄弁に物語っている。
この感じ、どうやら騎士様の肩慣らし相手に選ばれたようだ。
「……」
ちらりと横に視線を動かす。
聖剣に対する憎悪を絶やすことなく睨み続ける木場の様子を視界に入れ、内心ため息を吐きながら立ち上がる。
これっぽっちの会話の間にもうガス抜きが必要なくらい高ぶっているとは、目の前の存在がよっぽど憎いのだろう。
だが、それを理由に暴れさせるわけにはいかない。
「……わかった、ただあまり時間を掛けたくない。町だの拠点だのの案内もある――――――
「
小癪な言い回しに口角を上げるだけに反応を留め、最近こんな役回りばっかりだと嘆く思考を意識して頭から追い出す。
どうにもならないこの流れだが、前向きに考えれば丁度いい機会でもある。
―――そのために精々、励むとしよう。
読了ありがとうございました。
教会勢の口調ってこれであってるんだろうか?
違和感があるようでしたらどなたか指摘していいただけると助かります。