連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

相変わらず展開が遅くて申し訳ない、今回もまた話が進行しないです。



二番勝負 圧壊聖剣・ゼノヴィア・クァルタ その二

「あのぉ……私がお茶を入れてる間にどうしてこんなことになってるんですか?」

 

 ソーナは自分の目の前で繰り広げられている光景が嘘であってほしかった。

 自分がほんの少し席を外してした間に交わされた彼らの会話は、途切れ途切れであったが届いていた。

 少なくとも友好的な雰囲気ではあったはず。

 

「それがどうして……こんなことに?」

 

 でも目の前の光景は、それとは逆。

 教会から派遣されてきた二人の騎士、その内の一人が今回の事態にあたって協力を依頼した傭兵と戦っている。

 慌てた様子の眷属たちに連れられて来たはいいものの、突然の事態に思考が追い付かない。

 

 

 

 人目のつかない旧校舎の片隅で繰り広げられている剣劇の応酬は、そんな彼女たちを差し置いて激化していく。

 それはまさしく、力と技のぶつかり合いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――やるではないか、傭兵!!」

「―――はっ、こっちはとんだ肩透かしだが?」

「―――ぬかせ!!」

 

 軽い攻防を繰り返し、お互いの力量をだいたいだが測ることはできた。今は鍔迫り合いによって単純な力比べをしているが、こんな(なり)にも関わらずかなりの膂力を発揮してこちらを押し切らんとグイグイきている。

 

「私の破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)は文字通り、破壊力に特化した聖剣だ。並みの武器では打ち合うことすら不可能な代物だが、貴様のそれはその基準を満たしているらしい。まさかこの聖剣に匹敵する剣があるとはな!」

 

 ゼノヴィアの持つ聖剣はロングソード程度の大きさしかないはずなのに、威力はまるで鉄の塊でも叩きつけられているような感じだ。なるほど、こいつらが自慢するのも理解できる。

 しかし、

 

「生憎、得物の性能なら負けてねぇ。この『護剣フェンダス』は使い手に堅固の守りをもたらす守護の剣。いくらお前の剛剣だろうと、俺にとっては十分防ぎきれる程度の攻撃だ」

 

 それはこちらも同じこと。奴の聖剣が矛ならば、俺のは剣の形をした盾のようなもの。そしてこと剣の扱いにおいて、聖騎士相手だろうと負けるような柔な鍛練は積んでいない。

 

「さあどうした、もう五分もねぇぞ!! 一介の傭兵相手に情けねぇな騎士様よおお!!!」

「ほざくな傭兵!! ならば次の一撃で終わりにしてくれる!!」

 

 そして煽り耐性もない、こう言えば簡単に動いてくれるだろうという俺の思惑通りの行動をこいつはしてくれた。

 こちらの挑発に即反応したゼノヴィアは鍔迫り合いをふりほどこうと剣に更なる力を込める。弾き飛ばして体勢を崩し、必殺の一撃を食らわさそうということなのだろう。

 

「―――狙い通りだ」

「―――何!?」

 

 タイミングさえ分かっていれば対処は簡単、手押し相撲の要領で腕を引き押し付けられる力を受け流す。それはまるで剣と剣が吸い付いているかのような奇妙な現象、ゼノヴィアもこれには驚いた。

 前に流されていく体は完全に相手に制御され、抵抗しようにも枠に囚われたかのようにその外へ動かすことができない。

 

(馬鹿な……!? 触れているのは剣先のみのはず……!! 何故ここまで逆らえんのだ!!)

 

 ゼノヴィアは剣士であるが故にそれ以外の戦闘はどちらかといえば不得手である。

 世の中には相手の力を利用する技術があることは知っているが、それも格闘技のような素手主体のもののはずだ。武器でもできないことはないだろうが、それでも限度というものがある。

 

「剣術なのか、これは……!!」

「蒼天流剣術、奥義が一つ―――『柔剣・(かいな)』」

 

 戸惑いの声を挙げるゼノヴィアへ、あえてその技の名を告げる。

 飾った物言いが苦手な師匠がつけた名前はシンプルそのものだが、それは正しく名前通りとでもいうべきか。

 まるで本当の腕によって掴み取られたかのように相手の剣を誘導し、果ては体の動きすら操ってみせる。

 柔剣の極意に触れるこの奥義を前にして、この聖騎士程度の実力で抗うことは不可能に等しい。

 最早掌の上といった所、レールの上を動くが如く大きく体勢を崩すゼノヴィアの下に体を滑り込ませ、腹に掌打を食らわす。

 

「ぐっ!」

 

 それは彼女の体を浮き上がらせ、遠くへと放り飛ばす。

 だがそこは流石聖騎士、空中で体勢を立て直したゼノヴィアは驚愕したような表情を浮かべながらもしっかりと地面に着地する。

 

(何なんだ!? この私が実力を見切れないだと!!)

 

 ゼノヴィアは戦いが始まってからこれまで、勝ち気な台詞とは裏腹に相手の繰り出す見慣れない技の連続に完全に惑わされていた。

 こちらの攻め気が高まる度、的確にそれを阻まれてしまう。いつもならそれごとパワーで打ち砕いてきた彼女だが、今回の相手にはそれが通じない。

 高い技量によって受け流されているのだと頭では分かっているが、だからといってそれをどうにかできるほどの策はない。こんなところで力一辺倒でやってきた弊害が現れることになるとは思ってもいなかった彼女は久々に背筋に冷や汗が流れるのを感じていた。

 

「……なるほど、言うだけのことはある」

 

 屈んだ姿勢から既に立ち上がっている奏平を見据えながら若干手詰まりなのをバレないように表情を引き締め剣を構えるゼノヴィア。

 余裕の姿勢を崩さない奏平は攻め込んでこない彼女に対し、地面に剣を突き立て再開を促す。

 

「どうした? まだ時間はあるぞ」

「……!!」

 

 その立ち姿に、ゼノヴィアは何とも言いがたい圧力を感じ腰が引けてしまっていた。

 聖騎士と言えども彼女もまだ十代の少女、経験不足は否めない。

 そんな彼女にとって奏平という戦士はこれまで戦ったことのあるどのタイプの敵とも合致しない。圧倒的強者特有の、気配ともいうべきものを感じないにも関わらず確実に勝てると断言できない。

 

 

「……いや、もういいだろう」

 

 

 そう判断した彼女は大人しく剣を納めることを選んだ。

 それを見た奏平も同じく剣を回収し、重くなっていた空気を払拭させる。

 

「お前の実力は今ので分かった。こちらの動きについてこれないこともないようだ」

「ご理解いただけて嬉しい限りだ。それなら同行の件、問題はないな?」

「私はいい。イリナ、お前も構わないな」

 

 二人の戦闘体勢が解けたことを確認したのか、観客たちが近寄ってきている。

 その中から感心したような表情をしている紫藤が会話に加わってくる。

 

「驚いたわ、あなたがここまで攻めあぐねるなんて」

「見ての通りだ。在野にここまでの使い手がいたとは思わなかったよ」

「身を守るのが得意そうだったし、私もいいと思うわ。これなら背中を気にせず戦えるしね」

 

 しばらくそうして話をしていた彼女たちだったが、それである程度意見が纏まったのかこちらへと向き直りこの後のことについて聞いてきた。

 

「どうする、こちらはすぐにでも行動を始めようと思っているが?」

「大丈夫だ、フットワークの軽さには自信がある。怪しい所の情報は事前に集めてもらってるんで、そこら辺の案内しながら敵の拠点を探すことになるが……」

「いいじゃない、こそこそ隠れてるなら燻り出してやろうじゃないの」

「そうだな。傭兵よ、早速その候補地に案内してもらえるか」  

「分かった、おい木場ぁ!! 行くぞついてこい!!」

 

 こちらで話を進めてしまっていたために立ちっぱなしになっていた生徒会メンバーの中から、ゆっくりとした動作で進み出てくる木場。

 拘束具は外されているものの、相変わらず悪感情に彩られた瞳を聖騎士の二人に向けている。

 それに嘆息しながらも、こいつに約束させたことを守っている以上何かを言うことはできない。そのくらいは許してやらなければこいつも自分を抑えることは出来ないだろうしな。

 

 

 

 

 

 そうして聖騎士二人に俺、木場を加えた四人はその他の面々をおきざりにし早々に行動を始めるのだった。

 そのとき何とも言えない表情でソーナ・シトリーが俺たちを見ていたのが妙に印象に残っていたが、呼び止められることもなかったので

特に反応することはなかったのだが……はて、何か忘れていたような気もするんだが?

 

 それが思い出せないことに若干頭を悩ませつつ、結局は道案内に集中するためにそれも忘れてしまっていたのだが。

 とにかく堕天使討伐のために動き出した俺たち、まずは候補としてあげられていた場所の一つの目指して歩みを進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――そしてそれを、遠くから監視している存在がいた。

 

 影の中で佇むその男は動き出した刺客たちを見据え、実に楽しげな表情を浮かべている。嗜虐的なその表情は、これから起こる事に対する期待で暗く輝いていた。

 そして自らの望みのため、すぐさま背後に控えていた配下に指を振り指示を下す。

 それに男の配下の一人、数本の剣を携えたカソック姿の青年が応え姿を消した。

 

 

 

 

 

 これにより事態は急速に動き始める。

 聖剣をめぐる戦い、その前哨戦はすぐそこまできていた。




ソーナ「あの……私が入れたお茶はどうしたら?」
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