連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。
 
人数が増えるとどうしても描写に時間が掛かる。
そんな投稿者ですが何卒お許しくだされ。

さて、遂に行動を始めた四人の行く末や如何にといった感じで今回も始めていきますよ~。





三番勝負 邪心光剣・フリード・セルゼン 上

 

 

「―――……で、本当のところはどうなの。あの旗本って奴のこと、信じたわけじゃないんでしょう?」

 

 目の前を先導する二人の背中を注視しながら、紫藤イリナは隣を歩くゼノヴィアに囁くようにして話しかけた。

 

「……何故そう思う?」

「だって派遣していた神父が既に殺られてること、話してないでしょ? 少なくともコカビエルにはそれ相応の手下がいることは分かってるのに、それを黙ってるんですもん」

 

 奏平たちが何やら話をしているのをいいことに、イリナはゼノヴィアが会議の時にあえて語らなかったことを声に出して指摘していた。

 それに迂闊な奴めと少しだけ思いながらも、前の二人に反応がないことを確かめたゼノヴィアはどうしてそんなことをしたのかを話し出した。

 

「……今回の悪魔側の対応、色々とおかしいとところがある。いくら眷属のためとはいえ、仮にも領地持ちの悪魔が非常事態にも関わらずそのまま引っ込んでいるというのはあまりに不自然だ」

「んー、そうかしら。ここの悪魔にとってその眷属がよっぽど大切な奴だったんじゃない? わざわざ別の悪魔に代行を頼むくらいだし、それだけそいつの治療に集中したかったとか」

「私はそうは思わん。むしろ戦力の公開を避けたのではないかと踏んでいる。こちら側に知らせたくない情報があったからこそ、あえて一人だけを戦力として選出したにではないかとな」

「いや、そうだとしたら最悪な人選じゃない? あいつ、私たちのことヤバイくらい睨み付けてたじゃない」

 

 そういってイリナは前を並んで歩いている左の方、先ほどまで拘束具に身を包んで威圧感を放っていた方に視線を向ける。

 

「訳ありだっていってたけど、何なのかしらあいつ。あの様子だとよっぽど恨みがありそうだったけど」

「確か私たちが聖剣を披露したときに一番反応していたな」

「そうよ! あの時のあいつ、今にも襲いかかってきそうだったじゃない。あんなに背中預けるとかありえないわよ!」

 

 その時のことを思い出したのか、イリナは身を守るように自分の体を抱き締めて大袈裟に振る舞ってみせる。

 相方のその様子に呆れつつも、ゼノヴィアは会話を続けていく。

 

「そうだ、そんな奴らに雇われた傭兵だぞ? いくら腕が立つとはいえ、悪魔側であるのは疑いようもないことだろう。どんな契約を結んでいるか分からん以上、余計なことを話すわけにはいかん」

 

 得体の知れない相手なのだからと、ゼノヴィアは警戒心を露にして奏平の背中を睨み付ける。

 グレモリーが協力できない原因となったと自分で言うわりには悪魔たちとの関係が悪いように見えず、むしろ良好な間柄を築いているようだった。

 プライドが高い悪魔たちが、身内に近い者を傷つけられてそんな風に振る舞えるだろうか。ゼノヴィアのこれまでの経験からすれば、それはありえないことだった。

 むしろ先ほど言ったような、戦力を隠匿するための方便として奴は連れてこられたのではないか。そう考えるとこの傭兵の存在にも納得できる部分があるのだ。

 

「コカビエルは好戦的な奴だ。必ず手下を使って仕掛けてくる……そうなればイリナ、分かっているな」

「ああ、そういうことね……了解よ」

 

 刺客の情報は自分たちだけが知っている。仕掛けてきたそいつを叩きのめしてコカビエルの居場所を聞き出してやろうと彼女たちは画策しているのだ。

 信用ならない相手と行動を共にするくらいなら、自分達だけで動いた方がいい。

 

 そう考えている彼女たちの後ろから、足音を消し近づく影が―――

 

 

 

 

 

△     △     △ 

 

 

 

 

 

「―――……で、どうだったよ。本物の聖剣とやらを見れたんだ、感想の一つでも語ってもらおうか」

 

 後ろからついて来ている教会の奴らを意識の端に入れつつ、隣を歩く木場に話を振る。

 俺の言ったこととはいえ、これまで大人しくさせ過ぎたせいでかなり鬱憤を溜めさせてしまっていることだろう。その証拠に極めて不機嫌だというのを全身で表現している。

 

「……実に不愉快だったよ。みんなの命を奪う原因になったエクスカリバーが目の前にあったんだからね。自分でもよく我慢できたと思っているよ」

 

 実際木場は俺との取り決めがなければ、最初の邂逅の時すぐにでも戦いを仕掛けていただろう。そうしなかったのは一重に、俺に暴れることを禁止されていたからである。

 

「『許可を出すまで教会側と戦わないこと』―――そんなことに従う義理はないけど、約束を破ったら今度はどんな目に合わされるか分かったもんじゃないからね。

 それだったら堕天使側と戦った方が早い、あっちのエクスカリバーなら壊したところで文句はないだろ?」

「どうせ元から奴らのもんじゃねぇんだ、いくら壊したところで顰蹙を買うのはあちらさんだ」

 

 それに、

 

 

 

 

 

「―――お前が本当に復讐するべきなのは、コカビエルについてる奴の方だろう?」

 

 グレモリーの眷属は全て転生悪魔であるらしく、その中でも木場の元々の所属は教会なのだという。教会暗部の実験によって当時の仲間を理不尽に殺され、自身もまた命尽きようとしていたときグレモリーに救われたのだとか。

 仲間の命を奪う原因となったエクスカリバー、その存在を木場に消えない心の傷を残している。

 

「大戦を生き残った幹部なんだ、エクスカリバー何ぞなくても大抵の願いは叶えられる。そんな奴がわざわざ聖剣なんぞを持ち出して、一体何をしようってんだ?明らかに余計なことじゃあねぇか。

 

 

 でも、お前は”知ってるはず”だ。

 

 

 どこまでも聖剣のこだわるような、そのために大勢の命を奪うような、そういう自分の都合だけの屑の存在をお前は知ってるはずだ」

 

 

 

「……バルパー」

 

 

 

 木場が呟くようにして、一つの名前を口にした。

 それが、コカビエルに協力している男なのだろう。

 それは木場の仲間たちを実験に使い、最後に処分と称して全員を毒ガスで殺した男の名前なのだろう。

 それこそが、木場が本当に倒さなければいけない、乗り越えなければいけない、本当の仇なのだろう。

 

「あいつらはあの聖剣のためにどれだけの命が散ったのか、何にも知らないだろうさ。どんな過去があるのか、そりゃ知りもしないだろうさ。

 そんな奴らが嬉々としてその聖剣を振るってるんだ、当事者のお前としちゃいい気分にゃなれないだろう。

 でもな、あいつらがお前の仲間を殺したのか? 違うだろ?

 殺したのはバルパーだ、聖剣が殺したわけでもなければ騎士どもが協力したわけでもない」

 

 間違えるなよ、剣を向けるべき相手を。

 

「所詮聖剣も道具だ、道具に意思はねぇ。壊したところで一時満足する程度のこと、そんなことを目標にして本当の解放が訪れることはねぇ。

 やるなら元から絶て、お前の歩みを縛り続ける、その因縁の根本をな」

 

 その後にそれでもというなら、いくらでも戦わせてやる。

 そう木場に言おうとして、ふと後ろに気配がないことに気付い、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――な、にぃいいい!!!!?」

 

 

 

 思わず振り返り、驚愕に声を張り上げた。

 視界の中に、ついてきているはずの二人の姿が見当たらない。そればかりか、俺たちが本来目指していた道とは違うところを進んでいる。

 それがいつからなのか分からない、分からないが既に”何か”が起こっているということだけは理解できる!!

 

「あいつらがいない……どういうことだ?」

 

 木場もおかしいことが起こっているということに気付いたのか、回りを見渡して疑問の声をあげている。

 

「一本道、一本道だったはずだ……! 俺たちは()()()()に一本の道を進んでいたはずじゃあねぇか!!

 いくらお前との話に集中していたって、それを勘違いするほど抜けてたわけじゃねぇぞ俺は……!?」

 

 急いで端末を取り出してGPS機能で今いる位置を確認する。

 

「やっぱりだ……やっぱり違う。違う道を俺たちは進んでいる!!」 

 

 地図機能と一緒になっているこれを見る限り、目指していた方向とは少し違うところに俺たちはいる。

 俺は急いで道を戻り、その途中にあるそれを見つけた。

 

「ここだ、この分かれ道だ……! 入り口は少し小さいが、方向からすればこっちがそうだ!!

 いくら話に夢中になっていたって見逃すほどじゃねぇ!」

 

 ちくしょうが、そういうことか。もう仕掛けてきていやがったのだ。

 敵がコカビエルだけではないと木場に言っておいて、俺こそが油断していた。

 潜伏しているということをいいように考え過ぎていた、目的の達成のために大人しくしているものだと勘違いしていた!!

 

「……幻覚と透過、悪用するのに十分すぎる……! 行くぞ木場、奴らが危ない!!」

「ちょっと待ってくれ! 一体何が!?」

 

 奪われた聖剣の名前を思い返している今、遅れて来た木場に説明する時間すら惜しい。

 見逃されていた、いや隠されていた本来の道を全速力で駆ける。

 形振り構わない俺の行動に、木場も事態を理解してはいないものの置いていかれまいと追従して走り出す。

 

「旗本!!」

「仕掛けてきてたんだよとっくによう!! まんまと出し抜かれて分断された挙げ句、別れてからどんだけ時間が経ったかすら分からねぇ!!

 あいつら、もう倒されてるかもしれねぇぞ!!」

「そんな!!」

「黙って走れよ、兎に角急がなきゃならねぇんだ!! 敵に聖剣奪われてみろ、もっとまずい事態になるぞ!!!」

 

 コカビエルは主戦派とはいえたった一人、堕天使側から付き従う奴が出たとは聞いてねぇ。だがこんなことを奴自身がするはずもない。

 襲撃犯はおそらくバルパーが引き込んだ傭兵かはぐれ、それも金やなんかで仕事を引き受けるような奴じゃない。こんなことに手を貸すのは教会か悪魔に恨みがあるような奴に違いねぇ!

 

「一人……多くて二人!!」

 

 二人がまだ無事であることを祈りつつ、ただひたすらに道を走り抜ける。

 しばらく走り続けると道が拓け、広い道路が見えてくる。

 そしてその先には―――

 

 

 

 

 

 

 

「―――くそ」

「―――いったぁ……」

 

 

 

 ―――体の至るところに傷をつけられ、今にも倒れそうになっている騎士の二人と、

 

 

 

「―――おやおや~、まーだ粘るんですかい? 流石にしぶといしぶとい!!!」

 

 

 

 ―――それを嘲笑うようにして見下している、カソック姿の男。

 

 その手には一本の剣が握られ、更には腰の両方に一本ずつそれぞれ剣を吊り下げている。

 それらは全て同じような、ゼノヴィアたちが持つエクスカリバーと同等の聖なる気配を放っている。

 合計で三本の聖剣、そしてこの状況。間違いない、こいつがコカビエルの刺客!!

 

「あいつは……フリード・セルゼン!!」

 

 追い付いた木場の叫びに反応し、フリードと呼ばれた男がこちらに視線を向ける。

 それと同時にゼノヴィアたちに向けられていた敵意もこちらに移り、奴は凄まじい跳躍と共に間髪なく襲いかかってきた。

 大胆不敵な襲撃者は、先に戦っていた疲労感など感じさせない軽快な挙動とウザったらしい口調で近づいてくる。

 

 

 

 

 

「はっはーーー!!! 入れ食いじゃあーーりませんか!!! 異端者狩りは楽しいゾイ!!!

 さあ、俺ちゃんの聖剣で先に逝かされたいのどっちの子羊ちゃんかしらーーーん!!!」

 

 

 

 堕天使との前哨戦、敵は三本の聖剣を使うフリード・セルゼン。

 一筋縄ではいかないであろうことを予想しながら、俺は奴を迎え撃つための行動を始めるのだった。

 

 




読了ありがとうございました。

というわけで、フリード参戦(最初から完全装備)
正直こういう使い方のための聖剣じゃないのかのか思うくらいには汎用性が高いですよね。
幻覚、透過、敏捷増、いくらでも使い道がある正にコンボのための聖剣。
だがしかし、それは君たちだけのものではございませんので。
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