連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~ 作:アゲイン
今回の話は前回活動報告でお知らせしていた、改稿分の投稿になります。
諸々バッサリ切っているので前の展開とはかなり違っています。
なので3、4日は改稿前の話も消さずにいようかと。
そういった感じですので違和感あるなぁという方がいたらまたご意見聞かせていただけるとありがたいです。
襲撃された場所から二人を拠点に運び、二階の空いていた部屋に寝っ転がすと時間は昼を過ぎていた。
その後、先に一階のリビングで待っていた師匠について説明するため、ついでに俺たちの来歴についても木場に話すことにした。
主に俺が話を進めていたので師匠が口を挟むようなことはなかったが、真剣な表情で聞いている木場の反応を見て何かを考えているようで、時折顎を擦ったりして話を聞いていた。
「―――……とまあ、そういう経緯で俺と師匠は出会ったわけよ」
俺の話す過去の出来事を神妙な顔で聞いていた木場は、話し終わった時にはその内容が予想していたよりも衝撃的だったのかどう反応すればいいか分からないというような顔をしていた。
色々と思うことはあるだろうが、それを飲み込むのに苦労しているといったところだろう。
「……そう、だったのか」
「そ、だから俺は聖書の連中が嫌いだ。特に人様に迷惑掛ける奴は例外なく殺意が沸くし、お前んとこのお嬢様やあの騎士でもは典型的な自己中タイプだから一番嫌いだ」
「それは、その……」
「甘やかされて育ったんだとしか思えんな、あいつらの態度。兵藤も兵藤で意味が分からんし、お前んとこの奴ら頭大丈夫か?」
「……あまり仲間のことを悪く言ってほしくはないんだけど」
「知るか、お前も最初は自分の都合で俺に喧嘩売ってきただろうが。野郎俺とライザーの喧嘩に横やり入れやがって、折角の舞台が台無しだ」
憤りを露にする俺の様子に言葉が出ないのか、黙り込む代わりに『ああ、イッセー君たちは何てことをしたんだ』……とでも言いたげな面持ちになる木場。お前がまだ良心的でよかったが、今はそう思い悩んでばかりいられないんだよ。
「そんなことよかこっからのことだ」
「ご、ごめん」
今回の襲撃によって、騎士どもがあまり使い物にならないことがよく分かった。
正直あれではコカビエルとの戦いについてこれない、言っては悪いが足手まといだ。
「……」
黙り込む俺の顔を見て、何を考えているか分かったのだろう。木場が心配そうな表情をして聞いてくる。
「……彼女たちはどうする? 作戦を決めるなら……」
言い淀む木場の意図するところはわかる。木場自身も俺と同じようなことを考えたのだろうが、
「決めるなら、むしろいない方がいい。それとも話し合ってフリードの相手を誰がするか決めるか?」
「……いや、奴との決着は僕が着けるよ。それだけは譲れない」
煽るような言い方だったが木場もそうと決めていたようで、フリードと戦うのは自分に任せて欲しいと全身で物語っている。
それでいい、お前のけじめはお前でつけるべきだ。
しかし、そうなると尚更騎士どもが要らない子だな……。
「……何やら話が進んでいるようだが、私たちのことを忘れている訳ではないだろうな」
思考の狭間、リビングの入り口からの声に目が動く。
そこには頭を悩ませる原因であり、もう暫くは眠っているはずの騎士たちの姿があった。
「なんだ、もう起きたのかお前ら」
「ああ、疲労はあるが動くのに問題ない」
「そうね。傷跡もないし、ほんと助かったわ」
あれだけやられた後だというのにけろっとした顔した二人がいそいそと部屋の中に入ってくる。
そして横に並んだかと思えば、二人揃って勢いよく頭を下げた。
「すまなかった」
「ごめんなさい」
それが何に対してか、分からない俺たちではない。
こいつらなりに覚悟を決めての謝罪なのだろう、その姿に木場も何と言っていいか戸惑っている。
「君たち……」
「私たちの勝手な判断でそちらをも危険に晒した」
「その挙げ句この有り様、申し開きもできないわ」
「「―――本当に、申し訳ありませんでした」」
頭を下げた姿勢のまま、自分たちの行動が如何に愚かだったかについて語るゼノヴィアたち。
こいつらの立場を考えれば、こうして俺たちに頭を下げることは酷く抵抗があるはずだ。だが今の彼女たちにはそんなことに構うようなところは一切ない。
真剣に自分達の愚行を反省し、謝っている。
「……何とも見事な掌返しだ。とても教会の騎士とは思えない態度だな」
しかしそれでもこいつらも評価が変わるわけではない。
「旗本、そんな言い方」
「黙ってろ」
「……わかった」
木場よ、お前も随分と優しくなったもんだな。
でもよ、こればっかりは口出し無しだ。
「あの独断専行。お前ら知っていたな、フリードのこと」
「……その通りだ」
指摘に対し、是と答える。
「やっぱりな」
「それについても謝罪する。すまなかった」
だがしかし、その潔さがどうにも気に入らない。
「別にそのことをとやかく言うともりはねぇ。だがな、お前たちがここまで変わる理由が分からねぇ。
口を開けば神だの使命だの、他と変わらん下らねぇ連中だった」
だがどうだ、今のこいつらには宿敵である悪魔の前で頭を下げるほどの覚悟がある。
それを疑問に思う俺に対し、僅かに体を上向かせた騎士の顔に影が指す。
そして椅子に座る俺と面と向かうように背筋を正すと実に申し訳なさそうにして話し出した。
「……私たちの心変わりに、疑心を抱くのは当然だろう。それにはそれ相応の理由がある。
お前の語っていた話、それ我々も聞いていたのだ」
どうやらこいつら、俺たちが思っていたよりも早く目が覚めていたらしい。
見知らぬ部屋のベッドの上で目覚めたゼノヴィアたち。戸惑う彼女たちは下の階から俺の声が聞こえてきたため、ひとまず一階に下りてみることにしたそうだ。
そこで自分の過去について語る俺の話を聞いたというわけだ。
「盗み聞きをするつもりはなかったが、結果的にそうなってしまったことをまず謝罪したい。すまなかった」
「ごめんなさい」
そして再び謝罪の意思を示す彼女たち。
「お前の過去に、何かを言う資格は私たちにはない。何を言おうと意味のないことだからだ。
そしてお前の言う通り、我々はあまりに未熟だった。偏屈で凝り固まった考えで動き、周りに迷惑を振り撒いている。
だがな、私たちも騎士の端くれ。言われっぱなしではいられないのだ」
「お願いよ、挽回の機会を頂戴。自分達の失態くらい、自分達でどうにかしてみせるわ。足手まといのままで終わるなんて、そんなカッコ悪いこと誇りが許さないわ」
「……」
「旗本……」
疑問に対する答えは、一応―――理解できた。
理解に足る意思を、彼女たちは今、俺の目の前で示してみせたのだ。
そしてそれに追い打ちを掛けるように、懐の端末が震えを放つ。
「―――……俺だ」
着信は二つ。知らぬ間に来ていたメールは後にして、呼び立てる相手との通話に出る。
『―――、……、―――……』
「そうか―――分かった」
短い内容の連絡だったが、それで十分。
通話が切れた後メールも確認し、うだうだしてられないことを理解する。
「そういや、もう夜か」
話に時間を割きすぎて、気付いたら窓の外は日が落ちていた。
奴らにとって都合のいい、行動するにぴったりな時間帯だ。
「旗本、今のは」
「会長さんだ。野郎共が動いたってよ」
「何!?」
全く大胆なことしてくれる。
少ない手下の負傷してるってのに元気なこった。これじゃあそんなこと関係ないって言ってるようなものだ。これでますますお誂え向きな状況になってきやがった。
「コカビエルたちが動いた。野郎共は今、駒王学園に陣取ってやがる」
「そんな! 何でそんなところに!!」
「……さあね、でもそんだけ分かりゃ十分だ」
どうせ下らない目的のためだ、俺らのやることに変わりはない。
「テメェら、そういうことだ。
奴らがこうして動いた以上もう時間はない。会長さんたちは奴らを閉じ込める結界の維持で手一杯だと」
「旗本、すぐに行こう。僕らの学園を奴らの好きにさせてはおけない」
「ああ分かってる」
―――だがその前に、この二つの視線に答えなければならんだろう。
「……言っとくが俺はお前らを信用してねぇ。あんなもんで見る目が変わると思われるのも心外だ」
下した評価に変わりはない。
力不足、足手まとい、いくらでも言葉は用意できる。
「しかしだ、しかし。何とも都合の悪いことに敵さんの隠された戦力がお目見えとなる可能性が高く、こちらの増援は今しがたの連絡で遅れることが判明した。
然るに、戦えるのは今ここにいる俺たちのみだ」
だが、こちらを見つめる二人の瞳に浮かぶ覚悟、決意。
「戦えると言ったな」
「ああ」
「勿論よ」
ここで退かせるには、少し惜しい。
「だったら見せてみろ、それを実戦で証明してみせろ。
力不足でないと。
足手まといではないと。
敵は堕天使、コカビエル!!
俺と師匠で奴を討つ!!
その間、誰一人として介入させるな!! 何一つとして敵の自由にさせるな!!
聖騎士の底力、ここが見せ場と心得ろ!!!
―――行くぞ、決戦だ」
読了ありがとうございました。
平成最後の投稿ができてよかった……。
新元号になってもよろしくお願いいたします。