連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

屋上って憧れませんか?
自分の通っていたとこは解放されてなかったんでちょっといいなぁ……なんて思ったり。
まあそんなところに呼び出されるのは勘弁ですけど。


不本意な対峙、それは俺には関係ない

 話があると言って奴に連れてこられたのは、普段は解放されていないらしい校舎の屋上であった。俺たちはいつぞやのように向き合いながら、屋上を囲うフェンスを背にそいつ―――兵藤が口を開くのを待っている。

 

「さて、話ってのは一体何だ? わざわざこんなところに連れてこられたんだ、内密なもの、と認識していいんだろうな」

「……力を貸して欲しい」

 

 ん~?

 そいつは一体どういうこった?

 

「漠然としすぎててどうとも言えんね。帰ってきてるってことはライザーとの戦いなら終わったんだろ。今さら必要とは思えんが」

「このままじゃ部長が好きでもない奴と結婚しちまうんだよ!! あのライザーって野郎と、政略だかのためだけに!! そんなこと許せるわけないだろうが!!」

「……ああ、そういうことか」

 

 なるほど、よくある話か。

 貴族社会というものを形成している悪魔の間では珍しい事ではない。家同士の関係を強化するために婚約関係になるのは人間でもしていることだ。

 今回のもそういった事情に納得できなかったグレモリーの令嬢が条件を出してきたってことだろう。そんであえなく負けてしまい、泣く泣く相手に従うことになったと。それをこの男はまだ諦めきれないらしい。

 

「俺たちはライザー一人に手も足も出なかった! でもお前は前にライザーと戦ったことがあるんだろう? 頼む、部長を取り返すために力を貸してくれ!」

 

 つまるところ傭兵である俺にカチコミの手伝いをしろと言っているのだ、この男は。

 頭を下げて頼み込む姿には真摯さしかなく、話に聞いたような卑しさなど欠片もない真っ直ぐな姿勢を見せている。

 しかし。

 

「断る」

「なっ!?」

 

 だがそれを、俺が了承することはない。

 兵藤は俺が断るとは思ってもいなかったのか、驚いた表情でこちらを見返してくる。

 それに対し、俺がこいつに向ける感情はひどく冷めたものだ。

 

「俺の仕事のモットーとしてはな、それぞれの社会にあまり干渉すべきではない、というのがある。人間社会に悪影響を与える連中にはそれこそぶち殺すまで選択肢は広がるが、この件に関しちゃ悪魔の身内でのこと。

 ここに余計な手出しをすれば、悪魔の面子を潰したとして報復なんかが行われる可能性がある。もしそれが俺の周囲に降り掛かるだけじゃすまなかったら? 無関係な人間がもし、犠牲になれば……―――

 

 

 ―――その責任をどう取るつもりだ、お前?」

 

 悪魔貴族に喧嘩を売るということは、当然ながらそういうことが起きうるということだ。いくら穏健派が主流とはいえ、あいつらにとって俺たち人間は下等生物に過ぎん。こいつらみたいに悪魔の関係者ならまだしも、完全部外者の俺が手を貸したとなればそれを理由に他の連中がこちらに矛先を向けるかもしれない。

 

「そ、それは……」

「それに、報酬もない依頼を請け負うわけにはいかない。仮にも上位悪魔とやりあおうってんだ、それこそ命を賭けられるだけのもんがねえぇととてもじゃねぇが……無理ってもんだぜ」

 

 悔しそうに顔を歪ませる兵藤、奴にとっては最後の頼みの綱でもあっただろうが、

 

「悪いが俺には関係のないことだ」

「……見捨てるっていうのかよ」

 

 

 

 

 

 

「―――悪魔の分際で人情語られても、寒いだけだぜ?」

 

 

 

 それだけ言い残し、俺はまだ何かを言いたげだった兵藤をそのままにして早足で屋上を立ち去った。悪魔の中にも人間に近い感情や思想を持った奴等がいることは知っているが、それはどうしたって上からの目線に過ぎない。分かち合えない価値観というのを、どうしたってお互いが持っているのだから。

 そしてグレモリーの眷属たちが主にどんな感情を抱いているにせよ、それを理由に俺が動くことはない。

 

「……悪魔のことだ、身内のことくらいどうにかしてくれよな」

 

 ただでさえこっちの社会のことで大変なんだ、そのくらいのことはそっちで解決してもらわないとこっちの身が持たん。あいつらは当事者だ、ならば解決はあいつらの手でするのが筋というもんだろう。

 

(―――しかし、気になることを言っていたな。ライザー一人に……どういうことだ?)

 

 生徒でごった返す廊下を歩きながら、奴の話の中で唯一気になったことを頭で反芻する。

 悪魔の今流の戦いと言えばレーティングゲームとか言う、スポーツ染みたものだと聞いている。お遊びであっても当然魔法だなんだというのが飛び交い、魔剣やなんかを斬りつけあうのだ。

 

(たしか複数人でやりあうものと聞いていたが……あの焼き鳥野郎、どうやらかなり実力を上げてきたようだな)

 

 脳裏で囁く予感のようなものを感じながら、それでも今しばらくはこの生活に身を浸しておくことにする。

 兵藤のあの様子なら、どうしたって事態は動く。直情的な奴ならば、自分の恩人のためにそれこそ命を投げ出すことも躊躇わないだろう。それまではこのささやかな平穏を楽しんでおいてもバチは当たらないだろう。




読了ありがとうございました。

ライザー強化フラグ、需要があるとは思いませんがオリジナル要素ということで。
どうかお許しください。
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