連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

ようやく強化ライザーのお披露目ができる。
不死鳥がドラゴンに劣るって?
それドランザーの前でも言えんの?


不死鳥の男、執念にて過去を越え

 冥界の空は俺たちの世界とは違い、何となく不安になるような色合いをしていた。空気にも独特なものがあるものの、特に苦しいということはなく体調は極めて良好だ。

 堅い地面を踏みしめて、円形に囲まれた会場の中心に立ち迎え撃つかように不動の構えを取っていた奴が、俺とレイヴェルが現れたのを機に瞑っていた瞳を開ける。

 

「……来たか、旗本奏平」

「……よう、ライザー・フェニックス」

 

 名前を呼び、お互いの存在を確かめ合う。

 部室での短い邂逅とは違い、邪魔の入らない近距離で相対すればこの男がどれほどの鍛練を積んできたのかがある程度理解できる。

 

「とりあえず、おめでとうございますって言っとこうか。俺たちからすりゃ結婚ってのは人生の墓場だなんて言われちゃいるが、おたくら悪魔にとっちゃそれこそ死活問題だ。だけど眷属たちのケアはキチンと考えとけよ? あんまし奥さんに構ってばっかいると悲惨な事態になるからな」

「ふん。会って早々減らず口か、変わらん奴だ。

 だがその手には乗らん、それで以前は痛い目に会っているからな」

 

 かつてこの男との戦い。

 お互いに瀕死に成りかけるまでの死闘を繰り広げたときも、こんな風に舌戦のようなものから始まったのを思い出す。

 あの時はまんまと挑発に乗ってくれたもんで、飛び掛かってきたところを思いきりぶっ飛ばしてやったもんなんだがな。

 

「残念、まあいいさ。あん時みてぇに何でもありの場面じゃねぇ。正々堂々、真正面から戦わねぇと意味がない。今は、そういう場面だもんな」

「その通りだ、これは余興という名の決闘。己の誇りを賭けた戦いだ。観衆に囲まれたこの場において、薄汚い手段を使うことは許されん。

 そして何より―――」

 

 

 

 ―――そのようなことはせずとも、今の俺は十分強い。

 

 

 

「……っ!!」

 

 熱風の圧、それも生半可なもんじゃない。

 例えるのなら火災現場、山火事が真正面に突然現れたかのような暴風。一瞬で体表の水分を蒸発させられ、皮膚の薄い部分に裂傷が走る。

 一瞬にして現れた壁とでも言うしかない炎。それを成しているのはたった一人の悪魔、しかし奴はそれをまるで準備運動だとでもいうように魔力を更に高めていく。

 

「不死鳥の力は破壊と再生を司り、敵対するものに死を与え自身に不滅の護りを与える。相反する性質の火焔を押し固め、身を覆う鎧と化した。

 これこそが、お前を打倒するために編み出した力の集大成っ!

 刮目せよ!! 両極を体現する、我が『相剋せし不死鳥の獄炎鎧(デッドエンド・バース)』を!!!」

 

 目の前に迸っていた炎の壁が、その威圧感を上昇させ人形のシルエットへと収縮していく。徐々に小さくなっていき、遂に完全な姿を見せる頃には最早先ほどまでとは比べ物にならないほど、

 

「……化物が、何もそこまでしなくていいだろ。お前そりゃもう……御本家と遜色ねぇんじゃないのかよ」

 

 

 

 ―――今まで見てきた悪魔の中で、一番と言っていいほど悪魔染みていた。

 

 

 

「現魔王サーゼクス様は、その御力を解放したとき『滅びの魔力』そのものとなられる。その力を持つが故に超越者とも言われ、本気になられたあの方の前にはかの二天龍とて敵うまい。

 

 これもまた、それに倣って会得した。

 自身の魔力、その真髄に迫ることで悪魔としての本質、力の限界を越えた今の俺は上位神器たる神滅具に差し迫る」

 

 鍛え上げられた肉体を包むのは、硬質的な質感を感じさせる赤を基調とした重厚な鎧だった。

 炎と鳳の意匠を全身に刻み、所々に金と黒の装飾が施されたその鎧の威容。しかし、一番に注目するべきところはその背面で浮かぶそれらであるだろう。

 

「天使どもの真似事のようで癪だが、円環を用いることによって魔力を循環させるこの方法が一番安定して力を扱うことができる。

 さて、こちらの準備はこれで完了した。

 

 ……次はお前の番だ、旗本奏平」

 

 光帯、と言い表すしかないような熱量を秘めた炎の集合体。それが円を形取り、奴の背中に控えている。

 そこからさらに三対、計六枚の翼が円の中心から存在をこれでもかと主張して周囲の空間を占領している。異常な熱量によるものだろう、歪んだ景色を生み出していることからその翼にも十二分な殺傷力があることを物語っていた。

 

「……スゲーな、こりゃあいつらじゃ敵わんわけだ。数で押しきれるもんじゃあねぇ、あのお嬢様も災難だったな」

「リアスとその眷属どものことか。それぞれ脛に傷を持つ奴等だが、所詮はそれを理由に甘やかされてきたのだ。これまで安寧に身を浸しておいて、誇りを賭けた戦いにまで勝とうなどと……笑わせる。だから少しばかり力の差というものを分からせてやったのだ」

 

 ごもっとも、実に納得のいく答えだ。

 

「ま、そこはどうでもいいや、どうせ自業自得なんだからよ。そういう社会で生きてるんだ、備えをしてない奴が悪い。こっちが必死の思いで、ちょっとでも強くなろうって血反吐にまみれてるっていうのによ」

 

 全くたまったもんじゃない、あの時誘いに乗らなくて良かったってことだろう。こいつと戦うのに足手まといがいたんじゃあ本気も何もあったもんじゃないからな。

 

 ……んじゃ、そろそろ。

 

「お前の手に入れたその力、確かにあの時以上だ。

 だが、それは俺だって同じだよ。

 お前との戦いから、考えを改めたことだってある。もっと力をってな。色々やってきたぜ……それこそ折れてない骨が無いし、何度か体が千切れ飛んだこともある。こうして五体満足に見えちゃあいるが、欠けては生えてを繰り返して正直悪夢の方がマシってレベルの生活だったぜ?

 

 

 ―――でもその分、テメーを相手に役不足ってことにならねぇだ「その婚約ちょっと待ったぁあーーーーー!!!」……おいおい、そう来るかよ……」

 

 こちらも覚悟を決め、とうとうやるかと構えようとした、その時。

 俺の台詞を遮って待ったを掛けたのは、この場で一番聞きたくはなかった、争乱を呼び起こすとされている存在を宿した男の声だった。

 




読了ありがとうございました。

主人公は空気を読まないもの、それがいいか悪いかは別として。
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