連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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どうも、アゲインです。

前回乱入した兵藤くん、しかし彼は気づいていなかった。


乱入者たち、綻びが呼ぶ災禍の足音

「…ッイッセー!?」

 

 見知らぬ女性に連れられて現れた兵藤一誠、その姿を目にしたリアス・グレモリーが思わずといった様子で群衆の中から一歩躍り出てくる。その瞳には涙を湛え、胸の前で手を組む様は丸で救出されるのを待つお姫様かのようだった。

 

「部長っ!」

 

 それに気付いた兵藤も無事な彼女の姿を見て安心した表情を見せ、その後異形の力を曝すライザーへと向き直り指を突きつけて宣言した。

 

「ライザー!! 部長の意思を無視した婚約なんて絶対間違ってる! そんなんじゃ部長が幸せになれるわけがないからだ!

 いくら力があるからって、部長を幸せにできない野郎にあの人の未来を決めさせはしねぇ!!!

 勝負だライザー、一対一の真剣勝負! 俺が勝ったら部長を自由にしろ!!!」

 

 

 赤龍帝、兵藤一誠。

 主人の窮地に現れた、救世主かのように振る舞う男。

 場の空気なんぞ気にしない大胆なまでの蛮勇、向こう見ずな行動力。熱さを感じさせるその言動を、英雄性の発露だと好意的に見る者がいることだろう。あの女性も、この性質が故にここへと連れてきたのだろう。

 

 

 

 

 ……まあ、そんなこと俺には関係ないんだけどよ。

 

 

 

 

「―――邪魔」

「おぶッ…!ガ……っ!?」

 

 腰に差していた刀を鞘付きのまま、勢いよく兵藤の側頭部へと叩きつけた。意識の外からの攻撃に、反応の出来なかったこいつはまともな防御も行えず吹き飛ばされる。

 

「な、なに…し……?」

「黙ってろ、お前はお呼びじゃねえんだ」

 

 衝撃とダメージで頭が働かないのであろう兵藤の動きはひどくノロノロとしたものだ。それでも立ち上がろうとして、そこでようやく自分の体に起きている異変に気付いたように顔を歪ませる。

 

「か、体が……!?」

「動けないだろう? そういう類いの波長を叩き込んだからな、当然そうなる。横槍はマナー違反だぜぇ……こっちのこと無視して何勝手に話を進めようとしてるんだって話だよな。

 とどのつまりは俺が先、ってことになるわけよ」

 

 突然の俺の行動に、兵藤に関わる人物であろう二人の女性の息が止まる。どちらも驚愕の表情を顔に張り付け、兵藤と俺、どちらを見るべきか視線をさ迷わせている。

 

「困るんだよなぁ……ここは一応とはいえ招かれた奴らしか要られない場所なんだよ。そこに何の断りもなく無関係な奴を連れてこられちゃ、話がこんがらがるじゃあねぇか。

 だろう、そこのあんた。こいつは大変失礼なことなんだぜ?」

 

 俺はその内の一人、兵藤を連れてきた女性に視線を向け話しかける。

 

「っあなた、いきなり何を!?」

「おいおい。名前も名乗らず、場がどういう状況かも理解せず、自分勝手に乱入しといて何もされないとでも思ったのか? だとしたらとんだ常識知らずだぜ。

 今は俺が、婚約発表というお祝い事に花を添えるべく呼び出されたこの俺が、口上をすませてようやくさあ始まるぞってところっだったってのによ。今回の主賓であられるフェニックス家の坊っちゃんに、身勝手な理由で喧嘩を仕掛けるってんだから止めない訳にはいかないだろう?」

 

 

 ―――例えそれが、知らんわけでもない顔の奴だとしても、だ。

 

 

 一の疑問に対する返答としてはいささか多すぎるが、これでも言い足りないぐらいには頭にキている。

 

「旗本奏平、その御方はサーゼクス様の奥方だ。あまり無礼な態度をとるべきではないだろう。

 グレイフィア様、数日ぶりで御座いますね。ここには来られないとお聞きしていたはずですが、一体いかな御用でしょうか。奴も言ったように、この場に立つ者は既に決まっております。もし、先ほどその男が言ったように今一度の戦いを望むのならばそれは後日レーティング・ゲームの中で行いましょう」

「……ライザー、あなたの言っていることはわかります。貴族という者が行うにしては決して褒められないことではありますが、若者の願いを聞き入れ導くのは大人の役目です。

 この少年はリアスのため、自分の全てを賭けてここにいます」

「それは魔王様の判断である、ということでしょうか」

「あなたとの婚約に反対であるということではありません。しかし、一考の余地があるということです」

「未熟な下級悪魔が、神器を得た程度で俺の敵うと?」

「彼の神器は聖書の神ですら手こずった二天龍が片割れ、赤龍帝ドライグの神滅具です。以前のレーティング・ゲームではまだ完全とは言えない状態でしたが、この一戦に対する彼の心に龍が呼応しました。

 

 ―――彼は今、神器の強化形態『禁手』を扱えるのです」

 

 美貌の女悪魔グレイフィアの口から告げられたのは、俺にとってはかなりありがたくない事柄であった。

 思わず兵藤の方へと視線を向ければ、しばらくは動けないはずの奴が徐々にだが体の自由を取り戻しつつあった。

 

「成り立ての転生悪魔にゃ十分すぎるほどの波長を叩き込んだはずだ……禁手の影響ってやつか、流石に龍に効く波長は知らねぇ」

 

 だがそれでもすぐに動けるというわけでもないらしい。主導権が悪魔である兵藤にある以上、完全にその力を扱えているわけではないように見える。

 

「もう一発、強めに打ち込んでおくか?」

「辞めなさい。これ以上彼に手を出すことは私が許しません」

 

 邪魔をされないよう今度は気絶するくらいの波長を打ち込もうと兵藤に近付こうとし、それを女悪魔に体を割り込められる形で遮られる。

 

「おい、邪魔すんなよ。俺はただ、ちょいとばかし眠っててもらいたいだけなんだよ。具体的には二日は目覚めないでもらいたい。後でぐちぐち言ってこようが、こっちは奴との決着さえつけれりゃその他のことはどうでもいいんだよ」

「それでは魔王様の不況を買うばかりですよ。今聖書の陣営はこれまでの不毛な争いから脱却すべく動いています。この婚約もまたその政略のためのものでしたが、事態は変わったのです」

 

 はっ、こすっからく脅してきやがるか、この女。

 ただでさえ機嫌が悪いってのに、こうも自分たちの都合ばかりで話をされちゃあたまったもんじゃねぇ。

 頭の奥が冷たくなっていく感覚が、自然と体の末端にまで広がっていく。良くない兆候だ、こういう感覚が出てくる時は大概悪い事態を引き起こしちまう。

 冷静になろうとする俺のことなど気にすることなく、グレイフィアは話を締めにかかる。

 

 

 

 

 ―――しかし、俺の状態とは関係なく状況は最悪のものへと一気に転がり落ちていく。

 

 

 

 

 

「何っ!?」

「そんなバカなっ……!?」

 

 動きを取り戻しつつあった兵藤から、急激に吹き上がる魔力。

 それは悪魔のものではなく、一種異質なそれは身に宿す龍のものとしか思えない凶悪なものだ。ビリビリと空気を震わせながら、立ち上がる兵藤の顔には正気を保っているとはいえず、瞳から光が放たれているのが奴が今尋常でない事態に陥っていることを物語っている。

 その魔力が全身を覆い、そして―――

 

 

 

 

 

 

 ―――完全に龍と融合した姿、赤い装甲を纏った人龍となった奴は咆哮をあげ、こちらへと襲いかかってきたのだ。




そう! 背後に主人公がいることに!!

邪魔者は排除するけどいいよね? 答えは聞いてない!

読了ありがとうございました。
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