「フォウ……? キュウ、キュウ?」
ペロ、ペロと舐められる感触。なんだ……? 何かに舐められてる?
ゆっくり瞼を開けていくと、目に映るは白。
「フォウ! フー、フォーウ!」
モッフモフの毛をした白いリス的な生き物が鳴き声を上げている。
「……フォウ君?」
「フォウ」
名前を呼ばれ鳴き声をあげるフォウ君。いつもステータス強化で、ストーリーではマスコット的な存在で和ませてくれお世話になっている、けども正体は第四の人類悪っていうおっそろしい謎生物。
どうやら僕は仰向けに倒れているようで体を起こす。目に入った自分の格好は白い長袖……カルデアの制服になっていた。何故だ。
って待て。フォウ君がいるってことは……。
「………………あの。朝でも夜でもありませんから、起きてください先輩」
後ろから声。
振り向けば桃色の髪で眼鏡をかけた少女が立っていた。FGOに置ける我らが後輩、マシュ・キリエライト。
《君は……?》《ここは……?》《 》
……。
…………。
▶️《 》
「……君は、誰?」
知っていたら不審なので初対面を装い尋ねる。
「いきなり難しい質問なので、返答に困ります。名乗るほどのものではない――とか?」
「いや名乗れよオイ」
こっちが聞いたのになんだよその曖昧な言葉。
直ぐ様つっこんだら彼女は予想外だったのか「えっ?」とすっとんきょうな声を上げた。
「え、じゃないよ。名前を聞いたんだよ名前を。答えなさいよ。それに初対面なのに先輩って何さ。あと何で疑問形なんだ、聞いてんのはこっちだよ。真面目に答える気ないの?」
「す、すみません……」
一通り指摘するだけ指摘すると、立ち上がり相手と向き合って目を見る。
「改めて聞くけど、君は誰? ここは何処なのさ」
「私はマシュ・キリエライト。この人理継続保障機関フィニス・カルデアの局員です」
ゲームで知ってる通りの返答が来た。フォウ君のことも紹介されると、ここで眠っていた理由を聞かれる。
白色ベースの曲がった通路。壁には葉っぱが生えた枝に囲まれたCマーク、カルデアのマークだ。
……ここ、カルデアか。大人気ソーシャルゲーム、FGOの最初の本拠地。
「僕は……ここで眠ってたのか」
「はい。もうすやすやと」
「フォウ、キュー!」
その通りと言うように鳴いてフォウ君は通路の奥へてててーと走っていく。
その方向から緑色のスーツ男性が歩いてくる。
「駄目じゃないかマシュ。勝手に出歩いてはいけないと言った筈だよ」
シルクハットを被った茶色いモジャモジャ髪の男。レフ・ライノール。カルデアの技師でありそして……72柱の一柱が一つ。
レフへ出歩いたことを謝るマシュ。まあいいさと笑ったレフはこちらに気づくと腕の機械を操作してこちらの情報を見る。
「マスター適性者48、
「通路で眠っていたのは、量子ダイブの影響でしょう。慣れていないと脳に負担がかかるものですから」
ほーじゃあ既に入館シミュレートやったのか、青王とアニキ二人でゴーレムと戦うやつ。
それでレイシフト適性者はこれから所長の説明を聞く為、マシュとレフに案内され管制室へ到着。
「特務機関カルデアへようこそ。所長のオルガマリー・アニムスフィアです」
ソファに座ると前に立つ女所長の説明が始まった。あ、Aチームの七人も発見。
「あなた達は各国から選抜、あるいは発見された稀有な人材です。これから――」
(実際に聞くと難しい説明だなぁ。ゲームでも思ったけど)
ぐらり、ぐらり。
プレイしたから内容は分かるといえば分かる。けどなんだか瞼が重くなってきた。
あぁ……量子ダイブの影響だったっけ。あと昔から長い話難しい話は苦手なんだわね、ワケわからないし聞いてて眠くなってくるし……。
「ふぁぁぁ~……」
…………紅葉が、咲きました。
「先輩、目は覚めましたか?」
「ばっちりねー」
まだジンジンと痛む左頬。上着がなく黒い半袖シャツだけの格好は肌寒い。
眠気で欠伸をした、それが不味かった、丁度所長が前にいたのにだ。それで所長のカミナリが落ちてビンタ炸裂。「これを着る資格はないわ!!」と上着を剥ぎ取られ見事管制室を追い出されてしまった。
お陰で眠気は完全に吹き飛んだけどな!
「へくしっ」
「大丈夫ですか。もう少しで部屋ですから」
「しかし中々、肝が座っているねキミは。あのオルガの前で居眠りとは」
皮肉かこのレフは。あとオルガ言うなお前はシノだオイ。
説明会から追い出された僕をマシュとレフが部屋へ案内してくれている。なんでレフもいるんだろ。
「ここが先輩の部屋です。中で待機していてください」
「あんがと。……あ、そういやトイレ何処?」
「トイレならこの先の突き当たりだ」
「どうもー」
お礼を言いトイレへダッシュ。
さーてこの次はロマンこと○○○○との対面かー。
「あーさっぶ。上着かなんかどっかにねぇかなぁ………あ″っ!?」
やべぇ。重大な事を忘れていた。
「水星の魔女の録画するの忘れてたァァァァァァァァ!!」
僕にとっても(個人的)大事。
…………けれどそれを確かめるのは、とんでもなく先になることなんて、この時は予想だにしなかったのだ、僕は。