へっぽこマスターが物申す   作:剣聖龍

14 / 33
11話

 エクスカリバーの偽物をキリエライトさんが宝具で防いでくれ、どうにかエミヤを撃破した僕ら。

 

 残るはセイバー一騎になった訳だけど、直ぐに攻め込まずまだ学校のグラウンドにいる。

 

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

「うーん……まだ気持ち悪いわ……」

 

 

 理由は簡単。消耗して動けないんだ、僕が。

 

 どうにか令呪を使ったけど、代償に体の至るところに裂けた傷みたいなのが出来まくり、内臓にまで響いたのか血が込み上げてきて時々口ん中に溜まった血を吐き出している。魔術回路を開いたせいなのか……。

 

 キャスニキやスクロールで治療はされたけど、気持ち悪いし時々目眩みたいなのがしている……。

 

 だからもうちょっとだけ休んでから、敵セイバーの元には乗り込むことになっていた。

 

 

「全く、素人なのに無茶するわね……。ロクに使ったことのない魔術回路をいきなりフルに使うなんて」

 

『下手をしていれば回路が損傷したり、命の危険だってあったことだ。藤丸君、これからはあまり無茶をしないでくれ』

 

「ハイ……実感してます……」

 

 

 所長とドクターよりダブル指摘。

 

 そんな言うなよこんなんになったのに……と思うが、言ってる内容はその通り。

 

 つか令呪一画使うだけでこんなんなるなら使うの遠慮したいんだけど……そんな訳にはいかないよなぁ……。

 

 今更だけど、僕って魔術回路あったの? いやこの場合ぐだ男のになるのか?

 

 

「……とは言え。貴方が令呪を使ったお陰で、マシュが宝具を発動して助かった訳でもあります。所長としてお礼を言うわ、藤丸」

 

 

 …………えっ? 今誉められたのか僕。

 

 

「な、何よその顔は」

 

「いや意外といいますか。所長に誉められるなんて」

 

「ちょっ、どういう意味よそれ!? 私が誉めたらおかしいって言うの!」

 

「まー坊主、言ってやるなよ。この所長さん、最後気絶して何も出来なかったこと気にしてんだからよ」

 

 

 ……あー。それで。

 

 

「キャスター!!!! アンタ何適当なこと言ってるの!! ほらそこ藤丸も納得しない!」

 

「所長、落ち着いて下さいや。血圧上がりますよ」

 

「誰のせいよ!? 貴方の令呪が発端じゃないのよ!!」

 

「ひでぇ」

 

『まぁまぁ……とりあえず落ち着いて下さい所長……』

 

 

 

 良いタイミングで通信が来てくれた。飛び火したからナイスドクター。

 

 

 

『令呪については、戻ってから対策を考えよう。礼装を調整すれば、解決出来るかもしれない』

 

「お願いしますわドクター」

 

「もう……とりあえずこれからについて話すわよ」

 

 

 僕は体力を回復する為に座りこんだまま。周りを警戒してくれていたアルトリアも加わり今後を話し合う。

 

 

「敵のサーヴァントのアーチャーを撃破。マシュはひとまず宝具を使えるようになったのよね」

 

「はい。……ですが、真名は分からないままです。先輩達を守ろうと、無我夢中だったので……」

 

「だが初使用にしちゃ大金星だ。そうしょげるなよ、嬢ちゃん」

 

「キャスターの言う通りです、マシュ。貴方のその守りたい、という純粋な思いに、貴方の中にいる英霊が応えてくれたのです。守護する者として、誇っていいでしょう」

 

「……ありがとうございます。アルトリアさん。クー・フーリンさん」

 

 

 二人のフォローにキリエライトさんは自信を持ってくれたみたいだ。

 

 ……アルトリア、融合してる英霊を分かって言ってるよな。同じ円卓の騎士、盾はその円卓なんだし。

 

 

「……ただ守りたい、と思ったから、ね。それに宝具が応えた。とんだ美談だわ、お伽噺もいいとこよ」

 

「所長……」

 

「気にしないで、ただの嫌み。でもそうなると呪文を考えないといけないわね。名無しじゃあ不便だから」

 

 

 ここは同じで、人理の礎――ロード・カルデアスが名付けられ宝具展開の呪文になった。

 

 ゲーム通りに思わず一息。エミヤがエクスカリバーぶっぱに魔獣使ったりで色々違うのもあったから……。

 

 でもエミヤで気になるのは、最後に言い残したあの言葉。

 

 

『――貴様を救ってやれるのは、貴様だけだ』

 

 

 ……いやどういうことよ。救うって何?

 

 まるでエミヤ自身のことから言っているようにも聞こえる。何、僕未来で英霊になるの? 僕が?

 

 …………いやいやいや。まさかね。

 

 ガチで僕一般ピーポーだよ。本当に一市民だよ。何があっても貫ける正義とかないから。自分で言うのあれだけど。

 

 そーんなまさか英霊になるとか、ん訳なないよねぇ。

 

 

 

「……英霊で済むんならまだいんだがな」

 

「何か言いましたか、キャスター?」

 

「いーや何も」

 

 

 さて、そろそろ僕も回復したので、全員でセイバーの元を目指し出発。

 

 

「おっとその前に」

 

「先輩?」

 

「少しだけいいかな? 学校にさ、武器になりそうな物があるかもしれない」

 

 

 さっき魔獣に襲われたときに拾った石のお陰で助かったからね。ほぼ偶然だったけど。

 

 所長やドクターに聞くと、少しだけならと許可してくれアルトリアを護衛につけ学校を探索。

 

 竹刀とか木刀とか、出来れば刺又とかあればいいと思って探した結果……。

 

 

 

「ホントにあったぜ刺又」 

 

 

 廊下の端っこで刺又を発見し手に入れた。学校だと不審者用にあるんだよね。

 

 

「……はい。これで少しはマシになるでしょ」

 

 

 しかも所長に魔術で強化してもらい、耐久力も上がった。これなら少しは大丈夫そうだ。

 

 

「じゃあ行くぜ。……セイバーん所にな」

 

 

 キャスニキの言葉に思わず唾を飲み込む。

 

 ……落ち着け、落ち着け。大丈夫だ、あともう少し。冬木の戦いはあと一つ、アルトリア・オルタだけ。こっちのサーヴァントはキャスニキにキリエライトさん、そしてアルトリアがいる。彼女ならオルタにも負けてない。

 

 予想外のことが起こりまくってるけど、どうにかなってる。

 

 あと一つ……。なんとか終わらせて、キリエライトさんやアルトリア、所長とカルデアに戻るんだ。

 

 刺又の柄を汗ばんでいる手で握りしめて、僕らは大聖杯を目指し歩き出した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。