学校を出発した僕らは、円蔵山の長い長い石階段を上がり、SNでアサシンが守る山門を潜って柳洞寺を抜ける。切り立った崖に出来た鍾乳洞を進んでいき、奥深くで開いた場所へ出る。
その空間は僕でも分かるくらい空気が淀み、嫌な感じが満ちている。入ってきた場所からでも大きな光の柱が目に飛び込んできた。あのめっさでかい柱が大聖杯。
「おう。邪魔するぜ、セイバー」
キャスニキが呼びかけた相手は、何も言わず大聖杯を守るよう岩山の天辺に待ち構えていた。
「黒いセイバー……あれが、敵のアーサー王ね」
「あの剣からは、凄まじい力を感じます。セイバーさんと同等の……!」
「やはり、あれはあの時の私」
鎧を纏ってバイザー無し。第二再臨の黒い騎士王、アルトリア・ペンドラゴン・オルタだ。動かずこちらをじっと見下ろしている。
「……ほう。面白いサーヴァントどもを連れているな」
静かにアルトリア・オルタが口を開く。
キリエライトさん達カルデアの鯖を値踏みするように見下ろし、最後に僕を見る。……さっきのエミヤみたいだな。
各々の武器を構えるこちらのサーヴァント、相手側も岩山に突き立てていた黒いエクスカリバーを抜く。
……こいつさえ倒せば、終わりだ。
今ある武器の刺又をオルタへ向ける。
「そうだ、構えるがいい。その力が真実かどうか、この剣で確かめてやろう」
――次の瞬間、オルタが消えた、と思えば数メートル先でアルトリアとぶつかりあっていた。
見えない剣と黒い剣。同じ聖剣同士の激突が、始まりの合図となった。
◆◆◆
岩山を蹴り、一気に超スピードまで加速したアルトリア・オルタをアルトリアが迎撃。ぶつかり合った衝撃が空気をビリビリと震わせ火花が散る。
騎士王と騎士王が聖剣と聖剣で切り結ぶ。
「はぁぁあっ!」
「フン……ぬんっ!」
アルトリア・オルタのステータスは筋力A、耐久Aのパワータイプ。魔力を乗せた高威力斬擊を叩き込みまくり、アルトリアを切り伏せようと黒いエクスカリバーを振りかぶった。
「くっ……!」
「セイバー下がれ! 嬢ちゃん!」
「はいっ!」
そこでクー・フーリンがルーン魔術を撃ち込み、アルトリア・オルタを怯ませた。アルトリアはその隙に後方にいる一捷とオルガマリーの元まで後退、クー・フーリンの前にはマシュが出て、斬り込んできたアルトリア・オルタを食い止める。あらゆる方向から振われる黒いエクスカリバーを、なんとか盾で防ぎきった。
クー・フーリンとオルガマリーが魔術を放ち、アルトリア・オルタは炎と光をガードしながらダメージを減らすべく一度下がる。
「鬱陶しい真似を……」
下がったアルトリア・オルタは相手を一掃するべく魔力を高めていく。黒いエクスカリバーを大上段に構え、膨大な黒い魔力は巨大な剣を形作る。
それにいち早く反応したのはクー・フーリン、防御のルーンを発動させながら一捷達へ警告する。
「宝具が来るぞ!! 全員下がれ!」
「キリエライトさん、頼む!」
「はいっ!」
マシュが盾を構える、宝具を発動。
「卑王鉄槌。極光は反転する」
高々と掲げられた聖剣より、闇の如く漆黒に染まった極光が放たれる!
「光を呑め――‘
地面を薙ぎながら突き進む黒い極光。呑まれれば人間など一瞬で消え去る
「宝具、展開します――‘
阻むのは虹色の防壁。極光は光の壁にぶつかって拡散し、後ろの一捷達を守りきった。
「防いだか……。既に宝具が使えるようだな」
『敵セイバーは宝具の使用で魔力が減っている、攻めるなら今だ!』
「セイバー!」
「はい!」
「ならば、貴様の剣はどうだろうな」
宝具使用の反動で動きが鈍るアルトリア・オルタへアルトリアが斬りかかる。
光を纏わせたアルトリアのエクスカリバーを、アルトリア・オルタは真っ向から黒い光を纏わせ剣で跳ね返す。再び切り合う騎士王。だがオルタの方が魔力を消費していてもパワーで圧倒、アルトリアの一撃を軽々と押し返す。
「どうした騎士王。随分と軽い剣だな」
「何……?」
「まあ、あのマスターではそれも仕方なかろう。あんな未熟者ではな」
「我がマスターを侮辱する気か、貴様!!」
連続で斬擊を叩き込む、が、アルトリア・オルタは全て剣で捌き、最後の切り下ろしを防いで鍔迫り合いとなる。
「貴様とて、それは分かっている筈だぞ。青き騎士王」
「……何を言っている」
「その軽い聖剣こそが証拠だ」
――力を発揮できていないのだろう? 未熟者のマスター故に
「ッッッ!!!! ぬうっ!!」
「図星のようだな」
「黙れ! マスターの剣となり戦うのが私の使命。貴様を倒せばいいだけのことだ!!」
そのままオルタを切り伏せんと、アルトリアはエクスカリバーを振り抜く。火花を散らしながら下がる二人の騎士王。
一対一ではアルトリアの方がやや力負けしている。……宝具を含めて。閉鎖空間で放てば崩落の危険性があり、撃ち負ける可能性もあるので使うことが出来ない。
しかしカルデア側のサーヴァントはアルトリア一騎ではない、マシュやクー・フーリンと連携し、アルトリア・オルタを追い詰めていく。クー・フーリンがルーン魔術で後方から支援。オルタの攻撃をマシュが食い止め、アルトリアが聖剣で攻撃。数の有利と連携で着実にダメージを積み重ねていく。
「おのれ、貴様ら……!」
「逃がさん! はぁぁぁっ!!」
「ぬぅぅぅ!!」
エクスカリバーを防ぐが、衝撃で後退させられるアルトリア・オルタ。ダメージが蓄積し魔力も減ってきた。
不利なのは分かっていたことだ。相手側についたキャスター。アーチャーの消滅。数の差。マスターが未熟者だとしても、曲がりなりにもここまで来たことが力を証明している。
……だが、まだまだ。まだだ。この程度でやられるつもりはない。
エミヤと同じくアルトリア・オルタも、どんなことをしてでも、一捷を止める覚悟でいるからだ。
そう、どんなことをしてでもだ。
――魔力斬擊で切り捨てでも。
――魔力放出で砕いてでも。
――宝具で木っ端微塵に吹っ飛ばしてでも。
「行かせる……ものかぁ!!」
魔術を食らい、盾に防がれ殴られ、聖剣に斬られようと、アルトリア・オルタはしぶとく食い下がる。
マシュとアルトリアを魔力斬擊で無理矢理薙ぎ払い、再び宝具を放とうとありったけの魔力を込める。
「消えるがいい、‘
アルトリア・オルタにしか、その“声”は聞こえなかった。
彼女の頭の中へ直接響くように発せられたものだからだ。
“声”は操る。アルトリア・オルタの持つ“力”を。
鎧の中に保険として装備しているそれを引きずり出す。
黒い靄に覆われた、上から下まで黒色の短剣のようなもの。
その真っ黒な短剣型アイテムがひとりでに鎧から飛び出し、アルトリア・オルタの心臓へ突き刺さる。
中に詰め込まれた真っ黒な力を、アルトリア・オルタへ注ぎ込んでゆく。
「――な……な、に……!?」
「え……? なんだ?」
アルトリア達の連携攻撃で、もう少しでオルタを倒せる、そう思い始めていた時だった。
エクスカリバーを放とうとしたオルタの動きが急に止まった。ガクガクと不自然に震えている。剣を振り下ろそうとしているようなんだが、なんだか変だ。
急に止まったことはもちろんそうなんだが、なんだろう……強いて言うなら『直感』。見た瞬間に、背筋がゾクッとして、危険なものだと感じたんだ。
一瞬黒い剣みたいなのも見えたような気もするし……。
「……! セイバー、お前まさか――」
隣のキャスニキは何かに気付いたみたいで、どういうことか尋ねようとした。
――その刹那。
「ぐああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!」
いきなりだった、洞窟の中なのに、稲妻が降り注いだ! しかも紫色!?
そいつはアルトリア・オルタに落ちて、絶叫が響き渡る。
「な、何よあれ! 魔術!?」
「何故洞窟の中に落雷が……!」
『なんだあの雷……! 魔力じゃない、けどただの雷……じゃないぞ!? なんだこのエネルギーは!?』
なんなんだ、何が起こっているんだ!?
もう少しで終わる、なんていう考えはとっくに消えていた。
目の前で起きている予想外の状況に、頭がついていけてない。
直ぐに紫の雷は収まっていった。どうなったんだ……? 雷に打たれたアルトリア・オルタはやられたのか?
「……ぐ、う、うぅ、うぅぅぅぅ」
違う。やられてなんかいない。オルタは生きている。
……しかもだ。
姿が……変わってる!?
「オオォォォォアァァァーーーーーーッッッ!!!!」
両肩からは鋭い棘。
腕のガントレットには刃。
魔力を纏わせ大剣のようになったエクスカリバーを振りかぶり、アルトリア・オルタは僕目掛け飛んでくる――!
冬木での特異点、最後の戦い。
異常な事態ばかり起きていたそこで、最も大きな
・アルトリア・オルタ戦 1ー1 1waveのみ
アルトリア・オルタ:剣
LV15
HP25000
チャージ:4
場所:大聖杯前
※毎ターン、オルガマリーの魔術で500ダメージ
HPが半分を切る、もしくは3ターン経過で終了
サポート
クー・フーリン:術
LV20