▶️《ダ・ヴィンチちゃんの指示通り撤退する》
……ダ・ヴィンチちゃんの言うことは正しい。原作よりサーヴァントが多い今でも、全ての人間を救うことはできっこない。
マスターである僕が死んだらそこで終わり。キリエライトさんがやられてもダメ。
ここは指示通り退くしかない。僕達が、生き残るためにも。
「……キリエライトさん、アルトリアさん、エミヤさん! この場から撤退する、追いかけてくるワイバーンを倒してくれ!」
『避難経路はこちらから指示するよ。そのまま通りを真っ直ぐ行くんだ、その先が砦の門に繋がってる!』
サーヴァント三人へ指示を出すとダ・ヴィンチちゃんから送られてきた避難指示に従い、女の子や人々が襲われる光景に背を向け砦から離れるために走り出す。
逃げる中でもこちらを狙い飛来するワイバーンの群れ。アルトリアさんがワイバーンを切り裂き、エミヤさんが撃ち抜き、キリエライトさんが阻む。
「い、嫌だ、助けて――ぎゃぁぁぁっ!?」
「誰か、誰かこの子だけでも……!」
「うぁぁぁぁ! 俺の足がぁぁぁっ!」
(ごめんなさい……ごめんなさい……! でも今、僕は死ぬ訳にはいかないんだ……っ!!)
命を奪われていく人の、悲鳴や絶叫の中を突っ切っていく。ただ僕が、僕達だけが生き残るために。そう選んだから。
走って走って走って、もう少しで砦から出るという所で、思わず後ろを振り返る。
たくさんの人が食われ、ちぎられ、死んだ光景。冬木での同じような光景が重なって思わず吐きそうになる……。
血と肉の匂いが充満する地獄絵図。そこから攻撃を掻い潜ってきたワイバーンが一匹、大口を開けこちらへ向かってきた。
「グゥゥアァァァッ!!」
そいつの牙には何かが引っ掛かっている。赤色の引き裂かれた布。血もついているそれに、見覚えがあった。
(あれは、あの女の子の……)
さっき襲われそうになっていた女の子が頭に被っていた頭巾だ。だとしたらあの子がどうなったかは考えるまでもなかった。
(……僕が、見捨てたから。助けなかったから。あの子は、周りの人は……)
もしも助けていたら? あの女の子や、周りにいた人達が少しは助かっていたかもしれない。
そんな考えが浮かんだが……自分にはそんな資格はないと直ぐに否定した。
だって僕は逃げたから。ダ・ヴィンチちゃんの指示されたからもあったが選んだのは僕自身。僕達だけが生き残るために見捨てたのだ。全ての人は救えない、僕が死んではいけないと、最もらしい理由をつけて。
飛んできたワイバーンはアルトリアさんが切り捨てる。口に残っていた頭巾の一部が落ちたが拾う資格はないと思い、背を向けた。最初にカルデアから逃げたときのように。そうしてなんとか僕達は砦より離脱した。
その後はぐれサーヴァントとして召喚されていた本物のジャンヌ・ダルクと出会い、マリー・アントワネットさん達の一行を加え、相手のジャンヌ・オルタとバーサークサーヴァント達と戦った。
「……そう。今のアンタはそういう選択をしたの。なら私が言うことは何もないわね」
倒したジャンヌ・オルタは消える間際、僕に向けて悲しそうな言葉を投げかけ消えていった。
「ご自分に嘘をつき続けても、何も良いことなんてありませんよ。そのままでいると言うのなら、きっといつか後悔しますから」
ジル・ド・レェを撃破し聖杯を回収すると、清姫がそう忠告して去っていった。
……だって、そうするしかなかった。僕が死んでしまっては人理修復ができないから。
それが本当に自分の望んでいることじゃないのを分かって、フタをし、次なる特異点へと向かった。
それからの特異点でも、ただただ自分達だけが生き残る選択を繰り返して、たくさんの命を見捨てて、先に進み続けた。
「貴様のような、自らのことしか考えぬ腑抜けはこのウルクには不要だ。
それが間違いだと思い知らされたのは第七特異点のバビロニア、マーリンに案内されキャスターのギルガメッシュ王に謁見したときだ。
カルデアへの協力を拒否したギルガメッシュ王は背後に
やむ無く応戦。同行しているキリエライトさんに防御、アルトリアさんに攻撃の指示を出したが……。
結論から言えば、負けた。
「残念だけど、今のキミは選択を間違えている。私達が協力することは出来ないよ」
僕らをウルクヘ案内したマーリンさんと彼についていたランサーのメドゥーサさんことアナさん。この二人もギルガメッシュ王側につき、こちらへ攻撃を仕掛けてきた。
ギルガメッシュ王の
僕が出す指示なんかより遥かに早くて、力強くて、精度の高い連係。サーヴァントを入れ換えるのも下がらせる時間も無く、宝具解放どころか反撃すら出来ないまま、キリエライトさんとアルトリアさんは無力化されてしまった。
一人残り立ち尽くす僕へギルガメッシュ王が魔杖で狙いをつける。
「……どうして、ですか。僕は、世界を救おうとしたのに」
「その為に貴様は何を成したか。何を見たか。何を切り捨ててきたか。ただ借り物の理想通りに動く者など、物言わぬ人形と同じよ」
杖が光り、僕の胸を貫く。
何も抵抗できぬまま、いや……しないまま、どう、とせなかからたおれた。
いたい、いたい、いたい。だんだんと、なにもみえなくなっていく。
「何故自分が
……よけいなもの?
ぼくの、いみ?
それがなんなのか、わからない。そうおもったのをさいごに、いしきが……なくなった。
デンッ!!!!
タイガ
「押忍! 理不尽な死に苦しむみんなを助ける憩いの場、タイガー道場です!」
竹刀を持つタイガ師匠。その隣にいるのはお馴染みブルマの弟子一号……ではなく。
???
「……………………リズ」
一捷
「リーゼリットさん!?」
タイガ
「きゃーーー! 誰だ貴様、メイドなんてお呼びじゃねえ!」
イリヤに支えるメイドさんの一人で彼女と同じ白い髪に赤い瞳の女性がいました。
実際に見るとすっげー姿勢キレイだわ……ピシッとして。
タイガ
「あーもう誰でもいいわ、さっさと弟子一号を連れてきてー!」
???→リーゼリット
「……………………ダメ、イリヤはゲーム中。最近出たモンスターを狩るゲーム。しばらくは部屋から出てこない」
一捷
「あーライズね。うん」
タイガ
「むむむ。遊び盛りの子供がゲームにかじりついちゃってもー」
一捷
「……本音は?」
タイガ
「だがそれがいい。わたしも豪勢なお城で、暖炉のあるあったかいお部屋で、アイス食べてゴロゴロしながらゲームしたいにゃー」
わー僕もしたいですそれは。……帰れたらの話だけど。
タイガ
「ま、それはともかく。こんなバッドエンドになったのは少年、君が怖じ気づいたからよ! そんなのお姉ちゃん許しません!」
一捷
「いや誰がお姉ちゃんですか!?」
タイガ
「そんなことよりやることは一つ。直前の選択肢に戻って、あの女の子を助けてきなさい!」
リーゼリット
「……………………そうね。この終わり方じゃ、イリヤも納得しないと思う」
タイガ
「お、無愛想かと思えばなにげに話がわかると見た。よしよし、いい子にはタイガースタンプをあげましょう!」
デンッ!!!!
そういうと、なんと本当にリーゼリットさんへタイガー道場と書かれたスタンプが押されたぁ!?
リーゼリット
「………………あ、ティーゲル……………………ありがと」
タイガ
「いえいえ、ダンケいたしまして。あ、少年はこっちね」
フォ~~ン……
『虎スタンプNo.5を押してもらった』
タイガ
「それじゃあまた、次はもっとマシなデッドエンドで会おうねー!」
一捷
「……ところでリーゼリットさん、そのスタンプ洗剤で落ちます?」
リーゼリット
「……………………問題ない。いざとなったら魔術で落とせるから」
一捷
「魔術スゲェ」
※このあと、リーゼリットの車で送ってもらうも衝撃で全部戻す一捷であった。