何か変なところ、ここおかしいぞ、等ありましたら、どんどんご意見下さい。
「驚きね……かのブリテンの王、アーサー王が女性だったなんて」
「私のいた時代では王権は男性にしか与えられませんでしたので」
「凄いです先輩は。まさかアーサー王を召喚されるなんて。……あ、すみません。アルトリアさん……でしたね」
「アルトリアで結構ですよ、マシュ。それにしても人の世の危機とは。明らかに異常な事態です」
『だからこそ我々カルデアは冬木にレイシフトを行い、この事態の解決に乗り出しました、アルトリア王。願わくば貴女のお力を貸してほしい』
「無論です。この身、この剣。人理を取り戻す為、存分に振るいましょう」
呼び出された英霊はかのアーサー王。女性だということにオルガマリー、マシュ、ロマニはもちろん驚いたがカルデアの状況を説明。
騎士であり、王であるアルトリアは快く頷いて協力を承諾。強力な味方をカルデアは手に入れることができた。
「……話は変わりますが、私のマスターは」
『あぁー……。藤丸君は……どう?』
通信越しでロマニが示したのは少し離れた位置で体操座りしている彼。
「なんでさ……なんでさ……なんでさ……なんでさ……」
「フォウフォウ。フォウドフォーウ」
「ドクター。残念ながらアルトリアさんが召喚されてから先輩の状況は変わってません。フォウさんが頭を齧ったり前足で頬をぐりぐりしても変わりません」
「この子はもう……。あー頭痛くなってきた……」
「なんで初回でセイバー……? おかしいだろオイ……バグってのか……それとも神引きなのか……だが僕とどういう縁があって……はっ!? まさかいつの間にか体の中に鞘が出来たのか……? なぁキリエライト、ちょいと俺の腹をかっさばいてくれないかい」
『正気になれ藤丸君! 体の中に鞘なんかが出来る訳ないだろう!?』
「先輩! そんなことすれば出血多量で死にます!!」
「あーーーーもう!!!! いい加減になさい!!」
ゴンッ!!
アホなやり取りにオルガマリーの、一捷にとっては2回目のカミナリが落ちる。渾身のゲンコツが彼の頭に突き刺さる。
「はい、話戻す! 藤丸、何はともあれ、アルトリアは貴方が召喚したサーヴァントよ。マシュとも契約しているし、これで貴方は本格的なマスターとなったの。その自覚を身に刻むこと。いいわね!?」
「……はい所長」
頭にタンコブを作って涙目の一捷、その右手には契約の証たる令呪が刻まれている。
マスターはサーヴァントを現界させるだけの魔力を提供し、サーヴァントはマスターの武器となって戦う。
赤々と輝く三画の令呪は、これが現実なのだ受け入れろ、と分からせる証のようにだと一捷は感じ、聖杯探索という目的に彼を向けさせた。
「マスター。貴方にも思うところがあるだろうが、私は貴方に召喚された身。貴方の意に従い、この力を貸しましょう」
「……分かった。とりあえず、よろしくお願いします」
「やっとまとまったわね。じゃあこれからだけどーー」
どうするかを話し合おうとしたところで、空気が一変した。
ぞわり、と身の毛のよだつ感覚。一捷は一度経験しているもの。
『この魔力反応……! サーヴァントだ!!』
「下がって下さいマスター! オルガマリー!」
いち早くアルトリアが前に出て右手の見えない何かを構えた。マシュも盾を構え続く。
召喚サークルを設置したこの場所は川沿い。川に沿って作られた歩道を何者かが歩いてくる。
「……あら。まだ生き残りが、いたのですね」
紫の長い髪の女。ボロボロの黒いマントのようなものを身に纏い、手にしているのは鎌。死神が持つようなものではなく刃がフック型になっており、不気味な力を感じさせる。
「貴様……サーヴァントか」
「いかにも。そういう貴女もそのようですが、少し違うようですね」
女はアルトリアからマシュ、オルガマリー、最後に一捷を確認すると、にやりと笑みを浮かべる。
「ですがいいでしょう。人間はみな殺す。それだけですから」
「生憎だが、私のマスターをやらせる訳にはいかない。貴様の相手は私だ」
そう言い、体へ魔力を回すアルトリア。次の瞬間、胸と両手、腰、足が銀色の鎧に包まれた。魔力で編んだ強固な鎧。彼女の戦闘形態である。
一瞬の変貌に驚くマシュやオルガマリー。
「マシュはマスターとオルガマリーの側に。二人の守りをお願いします」
「は、はい! マシュ・キリエライト、防衛行動に入ります!」
マシュへ頷くと次は一捷へ目を向けるアルトリア。
「行きますよマスター。初の戦いですが、皆で乗り切りますよ」
「あ……あぁ」
かろうじて返事を返す一捷だがそれが精一杯なだけ。相手に気圧されて震えている。
だから、口が裂けても逃げよう、なんて言える訳がなく。
「――せぁぁぁぁッ!!」
「――行きます!!」
言い終わると同時。相手の女――シャドウランサーが地を蹴り突撃してきた。
アルトリアも自らの武器を構え突進。
両者の武器の激突が戦いの始まりとなり、激しい衝撃が辺りを揺らした。
「はぁぁっ!」
ギィィン!!
「ふんっ! せぇぇあっ!」
激突した両者は直ぐ様離れ、剣戟が開始される。
アルトリアの武器による切り下ろしをシャドウランサーが柄で受け止め、弾いて鎌で切りかかる。横から凪ぎ払う一撃を飛び退いてアルトリアは回避し再び切り合う。
互いの攻撃を防ぎ、払い、いなし、弾き、反撃の一閃に一撃。ぶつかり合う度に空気が震え、衝撃が地を裂く。
「はっ!!!!」
「ぐっ……!」
アルトリアの攻撃を鎌で防ぐシャドウランサーの顔が歪む。防ぐ度、鎌が光を放つように見える。
それは魔力。アルトリアの武器に籠った魔力があまりにも強いので、鎌に浸透して起こる光だ。
加えて武器は不可視。一撃はとてつもなく重く、かつ『見えない』のだから、シャドウランサーにとっては戦いにくいことこの上ないのだ。
埒が明かないとみたシャドウランサーは一度大きく後退。距離が生まれた両者はにらみ合う。
「中々やりますね。流石は正規のサーヴァント」
シャドウランサーは鎌を振り抜いてアルトリアが持つ見えない何かに目を細めた。
「魔力で覆った不可視の武器……。佇まいからさぞ高潔な英雄とお見受けしましたが、意外と姑息なのですね」
「なんとでも言うがいい、鎌使い。……いや、ランサー」
アルトリアの指摘に「ふっ」と少しだけ笑うシャドウランサー。
「私のクラスまで言い当てるとは。偶然にしても本当にやりますね、貴女」
笑みを浮かべるシャドウランサーの口はそこから更につり上がり、凶悪な笑みとなって、笑い声を放った。
「ならばこそ殺しがいがあるというもの。私が必ずこの手で殺してあげますよ、貴女!!!!」
嗜虐心を隠すことなく、シャドウランサーは笑う。
武器を下段に構え、迎撃態勢を整えるアルトリア。
「易々と殺されるものか。口だけを回してばかりならば、こちらから行くぞ」
「わざわざ死にに来ますか。結構なことです。ですがその前に一つご質問を。貴方のその宝具……それは剣ですか?」
打ち合った感触から大体の間合い、形を推理したシャドウランサーの問い。
アルトリアは「フッ」と不敵に笑う。
「……さあどうかな。戦斧かも知れぬし、槍剣かも知れぬ。いや、もしや弓かも知れんぞ、ランサー?」
「はっ。ぬかしなさい、
その言葉を最後に再び激しい剣戟を繰り広げる二人。
何合か打ち合ってから鍔迫り合い。
「――ふっ」
「っ!?」
シャドウランサーが笑みと共にアルトリアの瞳を見ようとした――寸前。
直感で何かあると感じたアルトリアは直ぐ様視線を外しながらシャドウランサーを蹴って離脱。何かされる前に事なきを得た。
「チッ……。当たりませんでしたか。スキルも相当なようですね」
最初をかわされたことで、次からはこの『眼』は必ず警戒されてしまう。
本気でアルトリアを仕留めるつもりでいたシャドウランサーだが、『眼』をかわされた以上、戦いが長引くのは目に見えていた。
取るに足らないとはいえ、アルトリアの後ろにはまだ
ぐだぐだ戦って殺しても面白くないと思ったシャドウランサーは考え、そして取った行動とは。
「!?」
「逃げた!?」
背を向けての後退。
逃亡にも策にも見える行動に、アルトリアはキッと視線を鋭くする。
「逃げる気か貴様! マスター、ランサーを追います。ついてきて下さい!」
「お、おう……!」
離れないよう指示してアルトリアは駆け出す。一捷とオルガマリーとマシュは、盾を構えたマシュが先頭、次が一捷、最後に魔術が使えるオルガマリーの順番でアルトリアの後を追う。
マスターである一捷を守る為だ。
『その先に敵性生物の反応はない。でも三人とも、警戒しながら進んでくれ!』
ロマニもサポートし川沿いを進む。
戦いはまだ、始まったばかり。