【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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「あのね天翔さん?わたし言ったよね?前に言ったよね?相談してって言ったよね?天翔さんが居なくなってからわたし大変だったの。すごく大変だったの。わかってくれる?わかるよね?隊長のこともわたしたちのことも気にかけてくれるやさしい天翔さんだものね?わかってたよね?なんであんなことしたの?決勝戦?ちがうよ?決勝のことは怒ってないよ?天翔さんの判断だもの後でちゃんと説明してくれるって思ってたもの。勿論そっちの件も説明してくれるよね?わたしたち仲間(チーム)だもんね?分かち合える部分は分かち合いたいじゃない?
 ――――そうだよね?ね?」

「学べよって言っておいて本人が消えるのってどう思います?無責任だと思いませんか?残された方の気持ち考えたらないですよねぇ?翻訳ノートもまばらで半信半疑で翻訳して、周囲の温度差に四苦八苦して、胃を痛めてる通信手が居たらしいですよ?どう思います?ねぇどう思います?」

「何で来たのかって……天翔さん以外じゃ気持ちよくなれないからですよ!私を(3秒間隔の装填から来る連射の)トリコにしておいて……責任とってくださいよ!!」

「前も言ったけど、私天翔さんが居なかったら辞めようと思ってましたし、戦車道を続けるなら天翔さんの専属かなって……あ、迷惑だったら言ってください。その時はすっぱり辞めて陸に上がっ(ちゅうたいし)大洗(こっち)で働くなりするので」



―――どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!!俺ェ!!(震え声)





【 まほルート 第十話 「 僕ら(フリューゲル)の戦場 」 】

 >> Emi

 

 

「ごきげんよう」

「よっすフッド」

 

やってきたダージリンと適当に挨拶を交わし―――

 

「ハァイ!激励に来たわよ!ミホー!それとニンジャー!」

「エミーシャ!ミホーシャ!カチューシャ様が見に来てあげたわよ!」

 

大洗陣営ガレージの前で、入れ代わり立ち代わり、これまでの対戦相手から激励を受けるみぽりんの姿。そうだよな、ガルパンはこうでねぇとな。アンタもそう思うだろ?

 

「―――不思議な子ね。彼女は」

 

 みぽりんに最初に挨拶に着た後、後続に道を譲って隅っこに移動してたダージリンが俺の後ろから話しかけて来た。視線がみぽりんを向いているため、俺も背を向けたままで「だろう?」と答える。

 

「貴女と西住まほの薫陶あっての彼女なのでしょうけれど」

「―――まさか。みほのあれはみほ自身の性質だよ、あの子なら放っておいても何処までも高みへ至るだろうさ。……私はただの装填手に過ぎないんだ」

「―――こんな格言を知っている?『子は親の背を見て育つ』……後背に続くものは、先を征く者の背を追いかけて進むものよ。その背に映る先達の意志を見て、ね」

 

 中々に含蓄深い言葉が出てきたものだと内心感心した。毎回常にこう言った格言をストックして会話の端々にぶち込めるというのは最早才能と言っていい。

 

「貴女は、貴女が思う以上に他人に影響を与えているわ。良くも悪くも、ね」

「それは―――よくわかってるよ」

 

そう。よくわかっているのだ―――実際にその影響をより強く受けた存在が、これから戦う相手なのだから。

 

 

 

―――しかし、結局千代美(アンチョビ)は来なかったな

 

やはり原作通りに寝坊してるんだろうか……?

 

 

 

****** >> Others

 

 

 

 準備にかけ足を取る生徒がちらほらと見える黒森峰のチームテントの一角で、まほは一人目を閉じていた。

 

今日の試合でみほが、エミが取って来る可能性のある作戦を思い浮かべ、どう対処するかを思考し続けている。

 

 

 

 今までこんなことはしなかった。守備をみほに任せて自分は前に駆け続けているだけで良かった。

 

味方は後からついてくる。後ろから支援してくれるエミがいる。みほを補佐するエリカがいる。

 

攻守ともに揃った精強な黒森峰がそこにあった。

 

 

 

だが、今はもうない。

 

 

 

「―――何だ何だぁ?元気がなさそうじゃないか」

 

 

 

 

 不意に響いた声に目を開く。

 

チームテントの入り口で、外からの光を後光にするようにして安斎千代美が立っていた。

 

 

「―――千代美か」

「……相変わらず……いや、より悪くなってるなぁ、その喋り方」

 

 呆れたような顔で「全く、しょうがない奴だな西住は」と苦笑する千代美に、まほは眉根を寄せて困ったような顔をした。努力しようにも、もうどうにもならないことに自身が諦めてしまっているのだからしょうがない。

 

 

「すまない。エミがいてくれればよかったのだが……」

「気にするな。私だって友達の端くれだ!多少なら読み取れるぞぉ!!」

 

「はっはっは」と胸を反らせて笑う千代美にまほも相好を崩した。たった一人残った隊長として、ずっと張りつめてきた心が幾分か和らいだように、まほには感じられた。

 

 

「もうすぐ試合だが……どうした?」

「おいおいご挨拶だなぁ西住!―――友達の応援に来ちゃいけないのか?」

 

 

 ニコニコと笑顔で語る千代美に声を失うまほ。黒森峰の隊長として、エミが居なくなってからこちら、そんなことをしようとした人物などついぞいなかった。

 

 

「天翔のほうは二回戦で戦った時に思いっきり言いたいことを言えたからな。

 ―――一人くらい、西住のことを応援するのが居たっていいだろ?」

「――――――」

 

 

 長く、とても長く感じられた沈黙の後に、漸く絞り出せたまほの言葉―――。

 

 

 

 

 

「―――――――ありがとう、千代美」

「―――ああ、どういたしましてだ。西住」

 

 

 

 

 

 まほと千代美は顔を見合わせて微笑み合った。

 

 

 

******* >> Emi

 

 

 

 ――S県、東富士総合演習場。決勝戦の舞台。

 

 

富士の裾野の、と謳われるそこに、決勝に挑む2つのチーム。

 

かたや20車輛。ドイツ戦車鉄血軍団、黒森峰。

 

かたやⅣ号、三突、八九式、M3、ヘッツァー、ルノーB1、ポルシェティーガー、三式、そしてヤークトティーガーの僅か9車輛。軽重も車輛国籍もバラバラな寄せ集め、大洗女子学園。

 

 チームとしての人数も規模も違う二校が、互いに対等であると意思を見せる。

 

 ―――一部、非常に気まずそうな顔のチームもあるんだが。

 

 

「両チーム隊長、副隊長、前へ」

 

 審判の蝶野さんの声に、黒森峰からは隊長のまぽりんと副隊長のエリカが、大洗からは隊長みぽりんと―――なぜか副隊長の俺が、それぞれ前に出て挨拶を交わす。

 

「―――この日が来ると確信していた」

 

 まぽりんの目は隊長であるみぽりんではなく、俺へと向いている。その視線から、意図は読み取れない―――言葉から類推しようにも、意図が読み切れない。

 対してみぽりんの方はと言えば、エリカの真剣な熱い視線が注がれているのを俺は見逃さなかった。この展開―――来るぞ遊馬!!

 

「―――みほ。試合が終わったら時間を貰える?……多分、長話になるだろうから」

「え?―――うん。じゃあ、試合の後で」

「―――ええ、いい試合にしましょう」

 

 そのままグッと握手して帰っていくエリカを尻目に、握手した手を確認するように何度もグーパーしたり撫でたりしているみぽりん尊い(迫真)

 クォレハ確信していいですよね?みほエリ仲直りフラグよね!?

一体何があったのかさっぱりわからんが、みぽりんとエリカの間にあった確執がなくなっている!!このままいけば試合後に仲直り!みほエリのロードが舗装されて出来上がる!!

 

 

 俺の歩んできた道は間違いじゃなかった!これからも歩き続ける限り道は続いていくんだ!だからよ……止まるんじゃねぇぞ……!

 

 

 

「―――カヒュッ―――」

「―――エミ?」

 

 

 興奮のあまり過呼吸を起こしかけてたのをスロートマイクを触るふりして喉仏の辺りをセルフ首絞めで落ち着かせてまぽりんに向き直る。やばいやばい、試合前に【仰げば尊死】するところだった―――。

 

「―――エミ。私も試合の後に話がある。できれば時間を貰えないか?」

「……わかった」

 

 真剣な表情のまぽりんに俺も呼吸を整えて受け、しっかりと答える。とりあえず精神を落ち着かせて、試合に挑まなければならない。

 

「―――エミ。今日の私はこれまでとは―――違うぞ?」

 

 まぽりんの言葉に感じた幽かな違和感。

―――さっきの発言には『圧縮された部分』がなかった。そのままの意味だ。

 

 

 となると―――どういう意味なのか?

 

 

 俺が不思議に思っている状況を背景に全チーム揃っての「一礼」が終わり、各員がそれぞれ戦車に乗り込み移動を始める。―――その裏側で

 

「あのっ!西住さん!!」

 

―――赤星さんによるみぽりん報われるイベントが発生していた。うむうむ。よかったねぇみぽりん報われたね。これできっとみぽりんも過去を断ち切れるようになる―――?

 

「――――――」

「……西住さん?」

 

 赤星さんの言葉を聞いて一瞬嬉しそうな表情を見せたみぽりんの表情が固まった。視線は赤星さんを見て居なくて―――その向こうを見ている。

 

「―――ごめん赤星さん、わざわざありがとう。試合、がんばろうね」

「―――はいっ!」

 

 ハッと気づいた様子で赤星さんに向き直りそう言って手を振って見送るみぽりん。しかしこっちを向いたときにはもうその表情は真剣そのもの。どうしようもなくこわばった顔をしていた。

 

「―――エミさん、生徒会長のところに行きます。ついて来てください」

「え?あぁ……うん」

 

 もうそろそろスタートやで?とは思ったが、半端なく神妙な面持ちのみぽりんに二の句が告げられない俺氏、後ろからレミングスよろしくえっちらおっちらついていくことに。

 

 

―――みぽりんが会長と俺とを集めて話した内容は、俺をして驚かせる内容だった。

 

 

「―――本当に?だって去年の今年だぞ?」

「―――間違いありません」

「西住ちゃん?もしそうだとして、何がまずいの?」

「これまで考えていた作戦がほぼ無意味になりました」

 

 

 みぽりんの言葉にカメさんチームに動揺が広がる。

 まぁ当然だ―――誰も考えもしなかっただろう。

 

 

 

―――西住まほが『フラッグ車ではない』という可能性なんぞ。

 

 

 

 そもそも、まぽりんがフラッグではなくみぽりんがフラッグであった去年の決勝で無惨な敗北を喫してしまったのだ。二の轍を踏まないために、まぽりんをフラッグに置いた戦いで今まで勝ち上がってきた。今までの流れから考えれば決勝でも当然フラッグはまぽりんになっていないとおかしいし、何より周囲がそれを赦すような状況に成りえるだろうか?

 

 

 それを捨ててここでまぽりんが一兵卒になっている理由―――

 

 ―――だめだわからん。

 

 

 

「―――兎に角、当初の作戦のまま、有利な地形を取りに行く方針で行きます。ただ、お姉ちゃん―――西住まほの突撃は他のそれと比べて群を抜いています。厳しい戦いになると思います」

 

 皆に通達するみぽりんの声も硬い。この先の展開も、もはや想定ができない。

 

 

「―――なぁみほ……作戦があるんだが」

 

 

―――だったら、俺のやるべきことはひとつしかないだろう。なぁ?

 

 

 

******* >> Others

 

 

 

 西住まほの立てた作戦に、はじめ黒森峰の隊員の多くが難色を示した。

当然と言えば当然。一年前、フラッグではないまほを隔離しての斬首戦術に討ち取られた苦い過去を皆忘れられないのだ。

 

 ―――が、この提案は予想外の場所からの後押しを受ける。

 

 黒森峰内部の西住流の派閥がまほの提案を後押しした。西住まほに対するイエスマンであることで媚びを売っているとも取れるし、或いは何も考えていないとも取れる。が、内実は微妙に違っていた。

西住流、西住しほが肝煎りで育てた西住まほはいわば「西住流の体現である」と明言されている。それが先の大会で晒してしまった無様な姿を払拭する必要がある。

 

 フラッグ車を逸見エリカが搭乗する『かつてみほが乗っていた』ティーガーⅠに、そうして自身は切り込み隊長に。開始の合図とともに隊列を組んだ黒森峰の一団から離れ、僅かな護衛車輛とともに全速で戦場を駆ける。そして短期で敵フラッグを刈り取る斬首戦術。よしんばそれが叶わなかったとしても敵陣を攪乱させている間に森を抜けた本体が半円包囲、しかる後に殲滅。

 

 

 ―――ティーガーⅠと護衛車輛による真田作戦。それがまほの取った行動だった。

 

 

 森を迂回し、丘の上の高台に続く裾野へと向かうまほのティーガーⅠとわずかな護衛車輛たち。隊列も何もあったものではない。ティーガーⅠは最速で突撃し、それにパンターが必死に追いかけるような構図で戦場を駆け抜けていく。

 

 最速で駆けるティーガーの上部から顔を出して彼方を見やるまほの脳裏に、焦燥感にも似たチリチリとした感覚があった。

 

 

 

 

―――この先にこそ、自分が待ち望んだものがある―――そんな確信があった。

 

 

 

 

 

「―――4時の方向!丘上にヤークトティーガー!!」

「―――やはりな」

 

 

 相棒(エミ)ならば、きっとこちらの意図を読み取って来るだろうという確信が。

 

 

 

******

 

 

 

急勾配の丘の上、程よい広さの足場を、おそらくは【用意した】のだろう。

ヤークトティーガーがそこに座して、ティーガーの方向へ砲塔を向けている。

 

ふわりと風を纏う様にして、翼を広げて空から鴉が舞い降りた。

 

 ティーガーの前に降り立った一羽の鴉は、濡れ羽色の髪をかき上げてその下にある瞳で車上から顔を覗かせるまほと視線を合わせる。

 

―――しんと静まり、まるで時が止まったような感覚にその場の全員が何も言えない空気を感じていた。二人の間にある空気に何かを言う事すらただの無粋に過ぎた。

 

「昔を思い出すなぁ」

「―――確かに」*1

 

 エミの言葉に短く答えるまほ。その言葉に深く長い意味が込められていることはエミだけが理解している。そしてまほは、それでいいと思っている。

 

「あの頃にさぁ、鬱陶しいくらいに言われてたことがあるよな?」

「―――それは?」

 

 エミの言葉が何を指しているのかわからなかったのか、怪訝そうな顔を見せるまほに―――――エミは、いつもまほに、黒森峰のメンバーに見せていたように、口の端を思い切り伸ばして「ニィッ」と笑って見せた。

 

 

「―――“西住には天翔を当てろ。他では相手にならん”

 

 ―――今はあの人の言葉に納得してるとも。私とフリューゲル(こいつら)じゃなきゃ、まほは止まらない。止められないってな!!」

 

 

声を大きくして「ここで止める」と宣言するエミに

 

 

 

「―――――同感だ。だが違うぞ―――――今日はお前を越えていく」

 

 

 

 まほはただ僅かに宣言し―――それにエミが応える。

 

 

 

「―――上等だ。釘付けにしてやるよ」

 

 

 

 エミは後方に跳び退り、丘の上のヤークトに岩場を蹴って戻っていく。

 

まほは何もせず、ただその背を見送り―――

 

「―――お前たちは本隊と合流しろ―――私以外でエミが止まるなどありえない」

 

ただ静かに護衛車輛を送り出した。

 

 

 

****** >> Emi

 

 

 

 よし、釣れた。

 

 

 計 画 通 り !(夜●月感)

 

 

 

「―――こちら“翼”(フリューゲル)。“虎”を釣りあげた。後は任せる」

『こちらあんこうチーム!エミさん!よろしくお願いします!!』

『こちらカメさん。天翔ちゃん、任せたよぉ!!』

 

 

 とりあえず俺の役目はここで【まぽりんの相手兼時間稼ぎ】だ。

 

何故俺が単騎でまぽりんの足止めをやるって言い出したかって?

 

 

 

 

―――決まっている。みほエリのためだ。

 

 

 

 

 なぜそうなるのかわからない人のために説明をしよう。(指パッチン)

 

 

 

 

 俺がまぽりんの相手をするだろ?

 

      ↓

 

原作にない存在が消える分原作により近づくだろ?

 

      ↓

 

まぽりんが居ないラスボス枠が誰になるか?そらエリカだろぉ?

 

      ↓

 

つまり―――最終話はフラッグ車(みほ)フラッグ車(エリカ)の一騎打ちだろぉぉぉぉ?

 

 

 

 

 

 そうなるとラストの夕日をバックに「優勝おめでとう」とかその辺のシーンもまぽりんの部分を全部エリカに置き換えることができるのではないだろうか?いいや、できるにちがいない!!(反語表現?)

 

 

 その輝かしい未来のために―――「―――私はここでお前を足止めする!!」

 

 

「車長!!いつも通り頼んだ!!」

「了解!!そんじゃみんな!!!

 

 

 ―――“翼小隊”(フリューゲル)Artillerie-Schlacht!!!(砲戦・始め)!!!」

 

 

 車長の号令に『了解(Jawohl)!』と唱和が返る。懐かしい感覚。

まるで時間が戻ったような錯覚を覚える。

 

目の前にはあの頃と同じような光景、西住まほとティーガーⅠ。

 

 俺の手元にはヤークトの砲弾。さて―――――

 

 

 

 

「―――――――やってやろうじゃん……!!」

 

 

 

 

いくらでも装填してやんよォ!!砲手はガンガン撃っていけよォ!!

 

*1
『なるほど―――この状況は【確かに】初めて君と戦ったあの時と同じような状況だ。懐かしいな……思えば、あの時からエミと私の関係は始まっていたのだろうな』




「ところで天翔さん?足止めはいいんだけど―――別に倒してしまっても構わないんでしょう?」

おいやめろ馬鹿(フラグ)
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