【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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夕日を背に立つ一人の少女、逸見エリカ。
少女に相対する少女、西住みほ。

「優勝、おめでとう」
「あ、ありが―――とう」

 たどたどしいみほの様子に意地悪そうににやりと笑って、さも傷ついたような表情でそっぽを向く

「―――やっぱり、あんなことがあった後じゃエリカって呼んでもらえないわよね。私たちは所詮敗者で、敗けた弱者にかける言葉なんてないわよね」
「そ―――そんなことない!!」

 エリカの様子に声を荒げたのはみほだった。これには演技していたエリカも流石に驚いて身を竦ませる。

「そんなことない!一歩間違ってたら―――あそこでヘッツァーが助けに来てくれなかったらきっと負けてた!エリカさんたちは強かった!!」

みほの言葉は止まらない。胸の内にとどまっていたものを吐き出す勢いで、これまでの戦いを振り返っていく。
 サンダース大付属の物量戦。アンツィオの練度の高い機動戦に、伏兵作戦。プラウダの重厚な包囲殲滅。どれひとつとっても、一歩間違えたら負けていた戦いばかりだった。皆強かった。その相手を貶める様な真似を、たとえ自嘲であろうと西住みほは許せなかった。

 ぎゅっと、不意に抱きすくめられてみほの言葉が途切れた。エリカが正面から踏み込んで、みほを抱き留めていた。

「―――本当にもう、アンタってやつは……!!」

 抱きすくめられてフリーズしているみほの目に映らないように、エリカは涙を滲ませていた。感情がないまぜになって収まっていない。でもこの泣き顔を目の前の少女に見られることを、エリカは受け入れられなかった。

「―――ねぇみほ?私ね……自分の気持ちにやっと気づけたんだ」
「エリカさん……?」

 抱きしめたままぼそぼそと、小さく耳元で呟くように、エリカはぽつりぽつりと語り掛ける。

「―――私ね、アンタに嫉妬してたんだわ。嫌な女よね……?アンタの才能に、アンタの人望に、アンタの持ってる私が持ってない全部に……嫉妬してたのよ。きっとね」

 思いを吐露してしまえば、止まらない。エリカはただ訥々と惨めな自分を吐き出していく。いかに自分が的外れだったのか、それを教えてもらうまで気付けなかった自分自身が大嫌いだった。
 みほはエリカの告白にエリカ自身を縛る鎖を見た。責任感と自責の念と、強豪校の伝統の影に積み重ねられた呪いの如きそれは、かつてみほ自身を縛っていたものだ。立場と名前を変えてまほを絡めとっていたものだ。
 西住まほ(あね)もかつては鎖に捕まっていた。それを引きちぎって、駆け回る自由をくれたのは―――逃げる様に大洗に渡ったみほに立ち上がる力を与えてくれた少女と同じ人物だ。きっとエリカも、その鎖を引きはがす役目を担ったのは、みほたちと同じようにあの少女なのだろう。

「―――届かない背中を羨んで歯噛みするのは止めにした。見てなさい、絶対追いついてやるからね?」

 身体を離したエリカの目にもう涙はなかった。みほはエリカの様子に少しだけ微笑んで―――手を差し出す。答える様にエリカも手を差し出し―――健闘を称え合う握手を交わして







「―――よろしいかしら?」

空気を読まない闖入者は、そっと、みほの背後から忍び寄っていた。



【 まほルート 第十四話 「 yanyan(意味深) 」 】

 回収車に乗せて運ばれていく2輛の戦車。

お互いに転輪が溶接されたんじゃねぇのこれ?ってレベルで噛み合ってしまったためくっ付いた状態で固定されて運ばれている。いつはがれるかわかんねぇから載せる側もいい迷惑だよなぁあれ……。

 

「―――決着は、付かなかったな」

「そうだなぁ……」

 

 今思い返すとめっちゃ恥ずかしいことをやっていた。火が消えてテンションが戻ってくると「俺なんであんなことやったの?」って後悔が半端ねぇんだけど?!

 

「―――エミ。私に応えてくれて、ありがとう」

 

―――だがまぁ、まぽりんのこのやり遂げた表情見てるとやってよかったなぁと思う。思ってしまう。

 

 

「―――そういえば、試合前に言ってた話って、何だったんだ?」

 

 ふと、思い出して振り返ると、沈み始めた夕日に照らされたまぽりんの表情がちょうど影になって見えなかった。そのまま少しだけ間をおいて、まぽりんが口を開く。

 

「―――私は、あの戦いで全部語りつくした。もう十分だよ」

「そうか?―――いや、まほがそう言うのなら別にいいけども」

 

 決着が付かず時間切れでお流れなら語りつくせてないってことじゃなかろうか?とも思ったが、まぽりんが話す気がないなら無理やりに聞き出すのは俺の仕事ではないし、無理強いもなぁと思ったのでスルーした。

 

 

 

「―――話は済んだようですね?」

 

 

 

―――やってよかったなぁと思った後で、「やっぱやるべきじゃなかった」と思わせて来るのが人生というものだ。

 

 

「明日まで時間をいただいてきました。今宵は寝かせるつもりはありません」*1

 

 

 思わずすくみあがるような威圧感パネェッスねしほさん(舎弟感)

俺を庇う様に家元と俺の間に身体を割り込ませて立ち位置を入れ替えるまぽりんと、それと対照的に身体が既に屈服しているため地べたに膝をついて沙汰を待つ罪人モードの俺である。

 

 

 ―――説明(はなし)をしよう(指パッチン)―――

 

 

 俺こと天翔エミは、かつては黒森峰で西住まほの相棒をやっていた。

西住まほの相棒としてやっていたのだから、当然家元にご挨拶に行くこともあったし、みぽりんのサポートも同時にこなし始めてからは割と家ぐるみのお付き合いみたいな感じになっていった。菊代さんとか「お嬢様のことをお願いいたしますね」とか念を押されたりお互いに「西住流圧縮言語やばない?」とかそんな感じの話とかもしていた。具体的に解決策なんぞでなかったから今あんな感じなのだが。

 ―――すごいどうでもいいが今更過去のまぽりんの説明を省いた言葉に他の生徒たちが酷い妄想をしていたことを思い出して精神に急激に負荷がかかっているなう。《注釈》マホ「エミ、母に紹介したいので会ってくれ」(練習後の黒森峰大食堂にて)

 そんな立場であるにもかかわらず、俺はあの時「本家に何も言わずに黙って逃げた」状態になってるので、おそらくしぽりんにかけた迷惑とか考えるとしめやかに自決するかしぽりんにこの場で斬首されても文句言えないんじゃないかな?と思っている現在(なう)である。

 

 

「わかっていますね?」*2

 

 

威圧感バリッバリのしぽりんの言葉に

 

 

 

 

「―――白装束がチームテントにありますんで、少し時間をください」

 

 とりあえず覚悟を決めようと形から入ることにした。

 

 

 

*******

 

 

 

>> Side Emi

 

 

 大洗学園艦に戻るみんなから別れて、地元のお宿へ。

道連れは3人。西住みほ、西住まほ、そして―――逸見エリカ(なんで?)

 

 

「まずは―――優勝、おめでとう」

「あ、ありがとう……お、おかあ、さん……」

 

 通された和室の畳の上で萎縮しまくって正座モードのみぽりんが今しも吐きそうなほどの顔色でカクカク頷きで返している。やや険し気な表情を見せてるしほさんがみぽりんを責める前に―――

 

「―――昔日の一件に対する謝罪を今、この場では無粋とは思います。ですが、何卒受けていただきたい。申し訳ありませんでした!!」

 

 しぽりんのアクションを遮るようにして進み出る様にして平伏し、土下座の構え。身を清めて伊達政宗さながらで白装束姿でお宿にやってきた俺に宿の人が若干引いてたのを今思い出したりもしたが、意識を謝罪に集中させる。

 何故このタイミングで割り込んだか!?エリカがみぽりんを支える様に半歩身体を寄せたからだよ!!

 

 

 俺がタゲとるからよ!みほエリを止めるんじゃねぇぞ―――!!

 

 

 俺の全力の土下座に―――俺の隣で誰かが同じように頭を下げていた。

誰か?なんて考える必要もない。みぽりんとエリカが寄添っていて、この場に残ってる人間なんて、一人しかいない。

 

「―――お母さま!エミの一件、全ての咎は私に在ります!!エミがあんな行動に走ってしまった背景には、私が原因なのです―――!!」

「―――説明*3

 

 短く告げられたしぽりんの言葉に「はい」と返してまぽりんが語り始める。

あの時俺が考えていた様々なケース。最悪のケース。そして最悪の回避のために俺が取った最善手こそが、まぽりん自身を踏みとどまらせる神の一手だったという説明を。

 

 

 

―――チクりやがったなあのブリカスめが(おのれダージリン)!!

 

 

 

 聖グロでダージリンとパイセン相手に語った内容が含まれてるってことはまぽりんにその辺の情報を流した誰かが居るってことで、パイセンが面白半分でやるには話が重すぎてあの人の食指が動くとは思えない。となると必然、動いたのはあのブリカスである。

 

「エミがもしも私に相談をしていたら―――私はエミを追って全てを投げ出していたかもしれません。それほどにあの時の私は……追い詰められていました」

 

 次期後継者としては失格も良いところなまぽりんの吐露を受けて、難しい顔をしているしぽりん。俺をどうすべきかで悩んでいるのだろう、きっと。

 

「―――ならば、どうしますか?」

 

 しぽりんの言葉は短い。まぽりんとかしぽりんのこの言葉の意味をどう考えているのかわからんが、親子なんだから大体意味は通じているのだろう……きっと(楽観視)

 対するまぽりんは伏していた顔を上げ

 

 

 

 

「―――独逸への留学の一件。再考を願い出る次第です」

 

 

 ナパームを投下した。 なんでや工藤(服部感)

 

 

 

 え?今その話してないよね?何で?何でそんなことになるのまぽりん?まぽりん!?

 しぽりんの言葉はアレよね?『あなたは今後どうすべきだと思ってるの?』的な、逆にまぽりんに放り投げる感じの意味だったよね?『じゃあどう責任とるんじゃお前?』っていう893のオトシマエ的な意味じゃないよね??

 え?ちょ、これ俺のせい?俺のせいなの??俺が行動を起こした結果まぽりん独逸留学やめますって話になってんの!?

 

「―――それは、貴女の家中の立場、ひいては西住流次期後継としての貴女の立場にも関係のあることだと理解しての発言なのかしら?」

「―――覚悟の上です。今の私は、人の上に立てる器であると胸を張ることができません」

 

 重いよぉ!?場の空気が重すぎるよぉ!?エリカとか場違いな状況に放り込まれて胃袋が軋んでるのかさっきと逆にみぽりんがフォローしてるんだけどぉ!?でもこの構図みほエリって感じがする。てぇてぇ()

 

 

―――じゃねぇよ俺ェ!!!

 

 

 どうするの!?これどうしたらいいの!?俺はどうすべきなの!?これこの状況で俺が切腹なり自決なりしておさまる問題じゃないよね!?どうやってこの場を納めたらいいの!?

 

 ―――しぽりん!?何で俺を見るの!?この状況で「なんとかしなさい」って顔で俺を見るの!?どうしたらいいのこれ!?どうやってもどうにもならん気がするんですけど!?

 

 

「―――あー……発言しても?」

「宜し」

 

 手を挙げて発言を求める俺と秒で許可するしぽりん。視線が通った瞬間、まぽりん相手でもできなかったアイコンタクトで通じる想い―――きっとある。

 

 

“なんとかしなさい”

 

“無茶言わんで!!!”

 

“そこを何とか!”

 

 

 そんな感じの押し問答を視線のみで行う事―――だいたい1秒。

発言を許されてからタメを作ってるふりをすること―――だいたい10秒弱。

 

 

 

「―――考えてはみたが、何にも浮かばなかった」

 

 

 

 ―――残当(迫真)

 

ただ、盛大に間をハズしたことで空気が弛緩した。この違いは大きい(結果オーライ)

 

「エリカ?まほはああ言っているが、エリカはどう思う?

 ―――西住まほは、隊長失格か?」

「そんなわけがないでしょう!!!?」

 

 唐突にブン投げられた質問に、いつも下級生や同級生と話してる調子で声を荒らげて返してしまい、その直後状況に気付いて「す、すみません」と謝るエリカ。

 

「そんなわけがありません。隊長が隊長でなければ、黒森峰のこれまでの躍進はあり得ませんでした」

「理由は?」

 

 “西住しほ”としてのしぽりんの視線を正面から受け止めて返し、エリカはきっぱりと言い切る。

 

「黒森峰を牽引できる存在が西住まほ以外に居ないからです」

「だが私は―――二度も黒森峰を敗北させた無能な指揮官だぞ?」

 

 そう皮肉げに語るまぽりんにエリカは「違います」と即答する。

 

「フラッグ車が心臓で、手足は心臓を護るためにある。だというのにフラッグ車を差し置いて隊長を優先させていた今までの黒森峰が異常だったんです。

 隊長―――隊長は、それを教えるために敢えて去年と同じ形にするために私をフラッグにしたんでしょう?」

 

まぽりんは答えない。エリカはそれを肯定として、続ける。

 

「去年のあの敗北から、みほが学園に来なくなって、先輩と隊長が風邪で学園を休んで、その間正直な話学園はめちゃくちゃでした。そのうえで私を含めた一部の真っ当な生徒は『隊長と先輩が戻ってくれば正常に戻してくれる』とお二人に縋っているだけでした。それほどまでに、みほも含めた三人に依存していたのがこれまでの黒森峰だったんです」

 

 エリカの言葉にしぽりんはただ黙って逸見エリカという西住の家とは関係ない少女を見据えていた。目力ハンパないので気圧されて若干エリカが早口になっている。

 

エリカの吐露は止まらなかった。

 

自分たちがいかに俺やまぽりん、みぽりんに頼り切っていたかということ。

その結果として『依存していた先』こそが責任を取るべき立場に追いやられたということ。

それを未然に防ぐために西住まほが率先して行動すると考えた天翔エミ―――俺が、先んじて行方をくらませたことでまぽりんが早まった真似をしないでくれたということ。

 

「つまりエミ先輩が黒森峰を飛び出したのは、隊長のためなんです」

 

 

 

 ―――あれ?俺の行動、美化されすぎてない?おかしい……おかしくない??

 

 

 

「いや、流石にそれは買いかぶり過―――」

 

“いや、それは買いかぶり過ぎだ”と言いかけて、止まる。

もしも冷静だった場合俺はまぽりんに相談すべきだった とでも言おうものなら先のまぽりんの「相談されてたら手に手を取って一緒に逃げてました」を肯定してしまう。これは駄目だ!弁解に使えない!!

 どう答えていいものかわからず「なんでもありません」と訂正して再び元の位置に戻る俺に、しぽりんは何をどう解釈したのかわからんが溜息を吐いた。

 

「―――貴女の言い分はよくわかりました。

 そのうえでまほ?貴女は黒森峰を支えるために残りたいの?」

 

 しぽりんの言葉にまほは「いいえ」と否定を返す。

 

「―――見届けたいのです。私が託した後輩が、黒森峰を率いて行けるかどうかを」

 

 冬季大会“無限軌道杯”の復活は、まだこの時点では公式になっていない。が、戦車道公式大会でなくとも大規模な戦いの場というのは冬の非公式親睦大会が後輩の成長を見る機会となるため、まぽりんが独逸留学に旅立った後ということになるわけで―――スケジュール的に詰んでるわけだ。

 大学選抜戦も未来見てきた人間でもない限りこのタイミングであるとは断言できないものなぁ……詰んでない?

 

 

 

 

 

「―――まぁ、それはそれは……渡りに船とはこのことでしょうか?」

 

微笑ましい声とともに、和室の襖をスライドさせて現れたのは、場違いな英国基調の女だった。

 

 

 

******

 

 

 

「それで……どうなったの?」

 

ボコミュージアムの物販店の片隅にあるベンチに腰かけて、愛里寿はそんな風に問いかけてきた。

 

「まぁ、その乱入してきた空気読めない紅茶かぶれ……ダージリンなんだけど、そいつが提案してきたんだよ。

 

 ―――“エキシビションマッチをやりましょう”ってね」

 

 

 詳しい話は後に各隊長を集めて日程を詰めて行うけれど、それに黒森峰と大洗を参加させて、非公式ではあるけれど各学園の親睦を深めるための大々的大規模戦を行おう という企画だった。

 当然、西住流としての西住しほはこれに反発せざるを得ない。公式に戦車道の催しを仕切っている戦車道連盟に対しての非公式の大規模試合というのは連盟の動かせる人数を調整しきれない可能性があり、それはひいては去年の二の舞を呼びかねない。―――とはいえその辺のいざこざは、限界を超えた俺が吐血してぶっ倒れた ために有耶無耶になったのだが(最悪の結末)

 エキシビションそのものは認可が下りて、隊長格で集まって色々相談を交わしたらしいのだがその辺は俺に入ってきていない。ただ、エリカもまぽりんも非常にやる気になっていたので感謝と敬意をこめて「サンキューフッド!」と送っておいた。

 

「大洗の市街地を含めた演習地で、決勝よりも大規模な部隊を使っての大規模戦闘。三年生の最後の晴れ舞台ってことらしい」

 

 (ガルおじ)にしてみれば大学選抜戦、ひいては無限軌道杯の前哨戦という印象なんだが―――知らない人間にとってはそういう印象になるだろう。

 目の前の、モンブランカラーの髪を揺らす少女は椅子に腰かけた状態で首をかしげてこっちを覗き込む様に見上げて来る。あぁ~~愛里寿可愛いんじゃぁ~~

 

「試合の日程。決まったら教えて欲しい―――――応援に、行くから」

「そっか……ありがとうな!」

 

 そう言って微笑むと微笑みを返してくれる。てぇてぇ(語彙減少)

みぽりんが転校してくる前に転校して来て失意の内に放心状態だった俺。そんな俺が脳裏に浮かんだ場所がここ、ボコミュージアムだった。みぽりんが来る前ならみぽりんに気付かれることなくボコミュに入り浸って色々レアボコとか集められるんじゃね?ということに気付いて即座に行動して―――

 

 ―――そうして出会ったのがこの天使(愛里寿)である。

 

 やや人見知りだった初見のころから比べるとこちらに懐いてくれていて、その一挙手一投足が俺の心の琴線に触れてやまない。マジ尊い(確信)

 

 当日は応援に来てくれるとか実に張り切って戦に挑めると言えよう。

でも俺如きが調子に乗りすぎてると思うので帰ったら指2~3本外しておこう。

 

*1
「安心しなさい。西住家のヘリを用意していますから、明日の朝まで時間はたっぷりとあります。今晩は眠れるとは思っていないでしょう?」

*2
「―――何の話をするか。もうご理解はいただけていると思っています」

*3
「詳しく説明なさい。早急に、詳細に」






「もしもし、母上。お願いしたいことが―――」

電話を終えて、愛里寿は手元を見る。
あの日あの時譲ってもらったボコのアクセサリーをギュッと握りしめ、

「―――大丈夫、私が助けてあげるから」

小さく呟いた。

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