【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】 作:米ビーバー
「西住隊長……!!」
何かを言わなければならない。けれど何を話せばよいのかも分からない。澤梓の逡巡は一瞬だけ、その逡巡を振り払うようにぐっと肩を掴まれ、下に押し込まれるように体重をかけられた。押しのけるように前に出たのはM3のメンバーの一人、山郷あゆみ。
「……わかりました。私たちは“伝える役”なんですね……?」
「うん。後ろから撃ったりしないから……ごめんなさい。詳しい事情は話せないけど、大洗の皆やエミさんのことが嫌いになったわけじゃないんだ……」
「それは――隊長の顔を見ればわかりますよ」
あゆみがそう言って苦笑してみせる。みほも困ったように微笑もうとしたが、その微笑みが随分ぎこちないものになっていた。そのみほの様子からあゆみは“きっともう説得とかそういう次元の話ではない”と理解した。
「梓、逃げよう。帰ってみんなに伝える以外、私たちには何もできないよ」
車長である梓を押しのけてそう告げたあゆみは砲手席に戻る。解放されて元の高さに戻ってきた梓がもう一度みほの方を見るが、みほの表情は変わらず浮かないまま。けれどその瞳の決意は揺るがないものを感じさせた。
「―――回頭、全力で撤退!逃げろぉぉぉぉ!!!」
号令と“踏”に応えてM3が駆け出していく。その逃げ去る背中を見つめるみほの姿を、梓はじっと車上から見ていた。
「冗談言ってる状況じゃないでしょ!!何考えてるのよ!!」
ウサギさんチームから報告をうけた逸見エリカはそう怒鳴り返していた。
エリカはずっと見続けてきた。西住みほという少女のことを、西住まほという西住流の体現者を、天翔エミという二人の理解者であり献身を形にした様な少女のことを。
西住流というだけではなく、一人の人間としての西住まほに付き従い、肩を並べ対等の立ち位置で共に戦う二人の少女たちを羨望の目で、憧憬の目で見ていたひとりの少女を知っている。
だからこそ信じられなかった。
あの西住みほが天翔エミを裏切るなど、あるはずがないことだから。
『本当なんです!!西住隊長が私たちにそう言ったんです!!』
ウサギさんからの通信は頑なに一点張りで、それを聞いているエリカが段々と険しい表情になっていく様を通信手が青い顔で診ていることしかできない。
「もういい!!戦車前進!!みほの位置なら大体わかる!私が直接問いただす!!」
「―――いいや駄目だ。エリカ、一度冷静になれ」
イラついたまま操縦手に命令を送るエリカに冷ややかな声を浴びせたのは西住まほだった。いつものように無表情ながら、その内面にはいくつもの感情が渦を巻いているような感覚を抱かせる強い意志を持った瞳に、エリカの内にある炎が鳴りを潜めていく。
「……みほが意味もなく裏切るとは思えない」
そう言ったのは、まほのティーガーⅠの隣で停車するヤークトティーガーの上で座したまま黙考し続けていた天翔エミだった。
「理由があるとすればそれはきっと―――私のせいだ」
「エミ!!それは―――」
ぽつりと漏らしたエミの言葉を遮るようにまほが大きく静止の声を上げる。まほの言葉にそれ以上は口を噤んだエミだったが、エミのその言葉はエリカの中に不安を灯すには十分だった。
西住まほと西住みほしか知らない何かがあり、それが理由でみほはまほを見限った。そしてその原因が天翔エミにある。
それが今回の顛末なのではないか?エリカの中でそう結論付けることができた。
「考えることはあるが、それよりも優先すべきは“どうするか”だ」
そう言って空気を変えたのは、アンツィオの隊長
「西住、天翔、意見を聞かせろ。 どう戦う?どう編成する?」
アンチョビの言葉にしばらく黙考したまほが、ゆっくりと顔を上げ、視線を合わせた。
「―――小隊編成で相手の戦力を分散させて個々の能力で撃破する。島田愛里寿とその腹心の3名、みほをそれぞれ別々の戦場に分散させなければ乱戦に持ち込めば相手の思うつぼだ」
まほの作戦は理に適っているものであり、みほの戦車道の性質を良く理解したものであり、“西住流らしからぬ作戦”であった。
「―――私からひとつ、提案がある」
そう言って手を挙げたのは、いつもなら隣でまほの作戦を聞いてその通りに従っていた天翔エミだった。普段まほの隣でまほの作戦にただ従っていたエミのこの行動に、黒森峰サイドにやや動揺が広がる。
そうしてエミの提案を聞き、その場の一同はまほに視線を集める。集まった視線を意に介することなく、まほは微かに無表情の口元を緩ませて
「――エミがそう考えるのなら、きっとそれが一番愛里寿に刺さるはずだ」
まほの肯定に、作戦は決定した。そのうえで
「まほ、エリカ、それと―――」
エミの言葉に「流石にエミの言葉でも」と躊躇を見せたのは、意外にもまほだった。そして「エミ先輩がそう考えたのなら、それが最も良い作戦でしょう?」と先のまほ自身の言葉を返して、エリカが笑って見せると黒森峰の一堂に微笑ましいくすくす笑いが広がる。やや無表情に差した紅を隠すようにそっぽを向いたまほは黒森峰以外の他の面々を見遣る。
「―――作戦は以上。各自編成ごとに別れ、準備完了次第作戦に移る。
作戦名“Schwarze Tri-Stars”!Panzer Vor!!」
********
>> Emi
だれかせつめいしてください(懇願)
あ、ありのまま、起こったことを話すぜ……
俺はみほエリが見たかっただけなのに気が付けばみぽりんがラスボス化して劇場版ラスボスとタッグを組んでヘルミッショネルズばりの怪物タッグになっていた。
な、なにを言っているのかわからねーと思うが俺も何が起きたのかわからねー。
あ、頭がどうにかなりそうだったぜ……!!超展開とかバタフライエフェクトとかそんなチャチなもんじゃ断じてねー。
もっと恐ろしいものの片鱗を……ごめん、ポルナレフ構文で落ち着こうと思ったけどやっぱつれぇわ(心折れ)
一体何があったというのか?あんこうチーム含めた全員が裏切らねぇ限りⅣ号がまるっと裏切るとかありえねぇ。つまりそうなるだけの何かがあったということ。
――まぁ、まず間違いなく“俺の命の残量”が原因だろう(確信)
というかそれ以外ありえないくらい手がかりがないんだもの。
まず前提としてみぽりん――西住みほは“天使である”(ドヤァ)
見ず知らずの命にすら心を砕くほどに無際限の優しさを持ち、滑落したⅢ号戦車から赤星さんを助け出すために、降りしきる雨の中単身急斜面の崖を駆け下りるという二次遭難不可避な行為も打算なしに行うくらいに。
そんなみぽりんが、まぁそれなりに親しい『俺という存在の寿命』という札を切られたとして、まぽりんに不信を抱かないとは言い切れない。そしてみぽりん以下チームメイトでありクラスメイトでもあるあんこうチームの4名。武部沙織、冷泉麻子、五十鈴華、秋山優花里の面々も、負けず劣らずに人が良い連中である。4人とも(?)戦車道に知識もなく、傾倒してるわけでもない一般人メンタルで一般的な女子高生(?)の人間性を持ってる方々ばかり……
結論:多分これ「
嬉しくないわけではないが、嬉しいより前に申し訳ないという気持ちでいっぱいである。俺なんぞのために味方の評価も同じ大洗の仲間からの評価もダダ下がり不可避。どうにか穏便に状況を収めなければ周囲から白い目で見られ帰ってからも針の筵。
嗚呼……俺はただみほエリを成し得てそれを付かず離れずの距離間で微笑ましく眺めていたかっただけなのに……なぜこんなことになってしまったのか……!!こんなんピロシキ不可避だろ、試合終わったら両腕粉砕玉砕大喝采だろ(使命感)
だがしかし、嘆いてばかりもいられないのだ。俺がここでピロシキして場が収まるのであれば腹を十字に掻っ捌くのも辞さないがンな事しても何一つ解決にならん上に周囲が曇りまくる。後の禍根にしかならんので却下。つまるところ目下やらなければならないことは『どうにかこの状況を収めつつ、みほエリの可能性の火を絶やさないように軟着陸させる』しかるべき後に『俺がひっそりとこの世からピロシキしても誰も傷つかないやさしいせかいの基盤を作る』こと。
後半はまだ考えなくていい。目下早急にどうにかすべきは前半部分なのだ。足りない頭をフル回転させろ、心を燃やせ、前を向け、この状況を作り上げてしまった責任を取れ俺よ!!
「もういい!!戦車前進!!みほの位置なら大体わかる!私が直接問いただす!!」
「―――いいや駄目だ。エリカ、一度冷静になれ」
そんな感じのまぽりんとエリカの掛け合いが耳に届いて一旦正気を取り戻した俺は、とりあえず周囲の認識の差異を埋めるべく「みぽりんが普通に裏切るわけねぇだろJK」ということをオブラートに包みつつやんわりと浸透させる。そのうえで俺の寿命に関してカミングアウトを―――できなかった。まぽりんのインターセプトにより若干不穏な空気を漂わせただけにとどまる。
が、これに関してはあとから暴露された方がダメージがでかい。愛里寿は「ここだけのはなし」といった時に了承してくれたのだが、みぽりんにその話を暴露したということはみぽりん=西住家=ノーカンという図式が脳内にあるのかもしれないし、それを肥大化して西住家=西住流=黒森峰もノーカンという等式が導き出される可能性だって十分にある。
と、なれば、選ぶべき選択肢はこれしかない。
「まほ。……黒森峰のメンバーには本当のことを告げておきたい」
「しかし!―――いや、エミの決めたことならば、私は異論を唱える立場にはないな……」
まぽりんに提案したところ、難色は示したが最終的には折れてくれた。まず最初のとっかかりはどうにかなったな!
愛里寿の問題も解決する。まぽりんの不安も取り除く。みほエリの中も取り持つ。
全部やらなきゃいけねーってのがガルおじの辛いところだなぁ。
覚悟はいいか!?俺はできてる!!(黄金の風)
******* >> Emi → Otheres
「みほさんが仲間になってくれたから、あの子たちは一度見逃したんだよ?」
「……わかってる」
念を押すような愛里寿の言葉に神妙に頷くみほ。一度落ち着くためにⅣ号の車内に戻って一息つくと、心配そうに自分を見ている3人分の視線に困ったような微笑みを返した。
「―――ごめんなさい。みんなも巻き込んじゃった……」
「ううん!いいんだよみぽりん!アリスちゃんの言葉が本当なら、私だって賛成だもん!」
「ええ――命より優先されて良いものはありませんから」
砲手席の五十鈴華が微笑み、通信席の武部沙織がそう言って笑い返すとみほの表情が幾分か和らいだ。無言で操縦席に座って運転する冷泉麻子は、ただ静かに淡々と零していく。
「――私はどっちが正しいとかはわからない。だが、心情的にみほさんに同意できるし、恩義がある。協力に異議がないから手伝ってやる」
「麻子はすぐそういう事言うー!」
運転中の麻子の頭をぐりぐりと強めに撫でる沙織に「運転がブレる」と文句を言いながら首を振って避ける麻子。いつものような談笑のノリにみほの緊張も緩やかになっていった。
『みほさん。来たよ』
―――それが束の間の和みなのだと理解していても。
思考を切り替えたみほは表情を硬くしたまま車上に顔を覗かせる。双眼鏡で遠くを見る愛里寿の視線の向こうに土煙が見えた。
「――車種はティーガーⅡ。エンブレムは黒森峰」
「バウアーさんですね」
車種の特定から即座に返答したみほは麻子に“踏”を送る。
「予定通りに、私が引き受けます。愛里寿ちゃんは、きっとお姉ちゃんが別動隊で来ると思うから―――」
「わかってる。西住まほは私が引き受ける」
お互いに視線を交わして、Ⅳ号が全速で前に飛び出した。前進してくるⅣ号に合わせるように方向を変えて転身するティーガーⅡに追走して、戦場を変える。
島田愛里寿は『西住まほを相手にする』
西住みほは『島田愛里寿を狙ってくる相手に対応する』そして『可能ならば味方に引き入れる』
数の上ではカチューシャたちプラウダ組とサンダース組に撃破された5輛とカール自走臼砲、T-28重戦車、クロムウェルMk-Ⅷの合計8車輛が撃破され、大学選抜+ヨーグルト学園混合軍は10輛+Ⅳ号戦車の11輛。それに対して大洗メンバーがほぼ撃破されサンダースが全滅したとはいえ、西住まほを筆頭に黒森峰が13輛、聖グロリアーナにクルセイダーが2輛、プラウダが3輛。生きのこった大洗のポルシェティーガーとⅢ凸、M3リーとアンツィオのP40とCV33、セモヴェンテの合計6輛。合計で21輛に、撃破報告を受けていないけれどどこにいるのかわからない継続高校とBC自由学園の二人で合計3輛も計上すれば24輛。倍以上の勢力になる。
だからこそ、可能な限り味方に付けられる相手は味方につけて戦力を均等に均す。大学戦車道の練度の差なら同数程度まで持っていけば押し切れると愛里寿とみほの見解は一致していた。そのため、愛里寿の副官であるアズミ、メグミ、ルミには別々に部隊を率いさせて連合軍の部隊をばらけさせて、みほが説得可能な相手とみほを対面させる作戦を、ほかならぬみほ自身が提示してそれを愛里寿が採用した。
そうして、ミミミでもみほでも抑え込めない相手が斬首戦術で愛里寿を狙いにやってくる。それは間違いなく西住まほと天翔エミになるという確信が、愛里寿にはあった。
―――そう言った大向うの予想を覆すのが、規格外と呼ばれる存在であるのだが。
********
戦場を移動して開けた場所にやってきたティーガーⅡが速度を緩めると、みほも麻子に“踏”を送って距離をとり待機状態を取る。
「バウアーさん!私の話を聞いて下さい!!」
「……いいえ、お生憎様ね」
声を上げてティーガーⅡに語り掛けるみほに対して、ティーガーⅡのハッチを開いて車上に顔を覗かせて来たのは
「聞かせてもらおうじゃない、みほ。アンタとアンタの仲間が私たちを裏切った理由とやらを」
「エリカ……さん…………!!」
みほのティーガーⅠで大会に参加していたはずの、逸見エリカだった。
偵察車輛としてチャーフィーを走らせ、報告に合わせて会敵して討つ。オーソドックスな戦術で敵戦力の磨り潰しを考えていたミミミの戦略は、初手で出鼻をくじかれる形となった。
「ヒャァァァッハァーーーーーー!!!逃げるやつは偵察車輛ですわ!!逃げないやつぁ大学選抜で訓練された偵察車輛でぇーーすわーー!!」
チャーフィーと同じように快速全速でアクセルをベタ踏みしているように駆け回り、偵察車輛にベッタリと張り付いて嫌がらせをするクルセイダーが居たからである。
偵察車輛の“目”を潰された状態で【待ち】に徹していたルミ小隊に襲い掛かったのがカチューシャ率いるプラウダ組+ポルシェティーガー隊だった。
これに慌てたのがアズミ小隊とメグミ小隊だったが、そのうち片方、市街地を避けて山林沿いを駆けるアズミの前に
―――無傷のティーガーⅠがヤークトティーガーとP40、CV33を引き連れて現れたのだった。
「――天翔エミも逸見エリカも、隊長の獲物ではなくなってる。撃破します」
そう命令を告げるアズミの前で、ティーガーⅠから車上に上半身を覗かせた影は、何かを懐かしむように目の前の敵ではなく、後ろのヤークトティーガーとP40に向かって語り掛ける。
「―――長く久しい、という気分だ。私と君が、こうして同じ目線で戦うことが」
声に応えるように、ヤークトの装填席のハッチを開いて小さな少女が顔を覗かせる。
「……あの時とは違う。だろぉ?なぁ―――まほ」
少女、天翔エミの言葉にフッと口元を笑みに変えて「ああ」と短く答える。
「―――あの時夢に見た“三人の戦車道”、その結実だ。ともに征こう―――千代美!」
「任せろ!!足手まといにならない程度には練度があるぞぉ!アンツィオは弱くない!じゃなかった―――強いんだ!!」
*************** >> Emi
計 画 通 り !!!(夜神スマイル)
エリカが(原作と違って)乗ってたティーガーⅠをまぽりんのボロボロのティーガーⅠと交換→ボロボロのティーガーⅠをティーガーⅡのバウアーと交換→まぽりんのエンブレムが付いたティーガーⅠを囮としてそこそこの腕前であるバウアーが動かし、それに従うようにして「偽まぽりん隊」を作り愛里寿を欺く
→ ティーガーⅡのエリカを与しやすいバウアーだと誤認したみぽりんが説得にくるだろ?
→ ざんねん!かわいいエリカちゃんでした! するだろ?
→ あの時(決勝戦)の焼き直しリベンジ戦がおきるだろぉ!?
→ 当然、みほエリの鼓動が巻き起こるにきまってるだろ!?
→ プラスワンでまぽりんと俺のタッグにチョビを組み込むことでまほチョビも供給できるかもしれない!一石二鳥やない!全部乗せてんこもりやで!!(電王感)
これでエリカが勝つことができれば将来有望ってことでまぽりんが納得して独逸に留学できる!みぽりんが勝った場合でも無傷とは言えないだろう。その場合愛里寿の撃破と合わせて今回の試合ノーコンにして、改めてまぽりんを納得させればいい。
俺たち()の戦いはこれからだ!!!
<私信>
活動報告にてとりあえずアンケ設置中。ワイの更新遅れたので期間伸ばしました()