【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】 作:米ビーバー
「天翔先輩!私たちが勝者ってことで交渉役になりました!!」
「お、おう……」
元気よく手を上げてエミの前に立つのはウサギさんチームの一人であり車長の澤梓。その後ろには他のメンバーがそろって整列している。
「―――色々、考えました。先輩の体調とか、色々……!」
「……うん」
神妙な面持ちの梓に、エミも緩めていた表情を少し強張らせる。静かに瞑目していた梓が顔を上げてエミの方を見た。
「やっぱり私、私たちみんな、先輩に居て欲しいって思ってるんです。
―――だから先輩!留年してもう一年大洗で戦車道やりましょう!!」
「「「「やりましょう!!」」」」
「――――できるわけないだろうが!揃いも揃って馬鹿どもがぁぁぁッッ!!!」
ラ〇ワゴンのノリで深々と頭を下げながら手を差し出す澤梓とシンクロして一様に頭を下げるウサギさんチームに対して、秒で河島桃からの怒号が飛んだ。
―――なお、「もう一年みほエリの進展を一緒に見ていられるのならアリじゃね?」と澤梓の手を取ろうとしていたエミが我に返ったのは怒号が響いたタイミングだったりする。
< そんな一幕 >
―――ヤークトティーガーとティーガーⅠ。虎と虎。
かつてはともに肩を並べていた二人。決勝で思いをぶつけ合った二人。
お互いにダメージを負いながら、奇しくも同じ形で向かい合った二匹の虎。
お互いにあまり余力はない。一撃、もしくはその次で―――
「先輩。準備、出来ました」
「―――あ、そう?了解」
携帯と一緒に日記帳をパタンと閉じて一緒に備え付けの個人机の引き出しに放り込んで、少し背の高い椅子からぴょんと飛び降りた天翔エミは、エプロン姿の逸見エリカの少し慌てた様子に「大丈夫大丈夫」と笑顔で返して見せる。
パタパタとスリッパの音を響かせて先導するエリカに続くようにてくてくと後ろを歩くエミの元気そうな姿をチラリと確認してエリカは内心で息を吐いていた。
白旗を上げたヤークトティーガーから担ぎ上げられるようにして出て来た時、エミは青白い顔で今にも倒れそうなくらい具合が悪かったように見えた。それを見てこれまで見たことのない取り乱した様子でエミの下へ駆け寄りその身体を抱き上げるまほの姿に、その深刻さにエリカの隣で映像を見ていたみほも顔面蒼白で肩を貸さなければ立っていられないほどだった。
―――実際は、ヤークトティーガーの高速機動からの揺装填の無茶により三半規管が揺さぶられたうえ、座席に無理に身体を抑え込んでいた反動で内臓・及び筋肉が【タッパーの中の豆腐】状態になる衝撃に慣れていなかったことが原因だと聞いて全員心から安堵したのだが―――
そんなこんなで医務室→病院と輸送されたエミのお見舞いに向かった際、
「何か欲しいものとかないですか?」と尋ねたエリカにエミが返した答え
「――じゃあ、久しぶりにみんなで食べたいなぁ。エリカの作ったハンバーグ」
そんな風に言われたのだから、逸見エリカとしては腕を振るわないわけには行かない。俄然張り切って、万難を排して万全を期して、黒森峰の学園艦から備蓄している肉類を取り寄せ、プラウダの学園艦、聖グロリアーナの学園艦と交渉してより質の良い野菜や香辛料の類を揃え、大洗の地元で手に入る新鮮な野菜も厳選して過去最高の味を完成させようとしたのも無理はない話であろう。
エミが大洗女子学園の食堂にたどり着くと、そこには大勢の人たちが居た。
各席に各学園艦の隊長。ダージリン、カチューシャ、ケイ、マリー、ミカ、西絹代。その隣に副官と小隊長数名。アッサム、オレンジペコ、ローズヒップ。ノンナ、クラーラ、アリーナ、ニーナ。アリサ、ナオミ。押田ルカ、安藤レナ。玉田、細見、福田。エキシビションで出場した
「みほ、これはどちらに配膳する?」
「あ、こっちにお願い―――お姉ちゃん」
―――どっから持ってきたのかディアンドル姿で配膳作業をしてる西住姉妹の姿。*1
学食の奥、本来おばちゃんたちが調理してるスペースで、四個口のコンロの上に巨大な鉄板を敷いて大量のハンバーグを焼いているのは逸見エリカと生徒会長の角谷杏。
「はーいこっちあがったよー!……おっ、主役もそろったねぇ。善哉善哉、そんじゃ、はじめよっかぁ」
最後のハンバーグをしっかりと焼きあげて皿に移してカウンターテーブルに置き、配膳係が運ぶのを尻目に慣れた手つきで火を止めた直後のまだ熱い鉄板の上にピッチャーの水をぶちまけて冷やしながら油汚れを浮かせ、そのままの勢いでキッチンペーパーで水ごと油汚れを拭き取りついでにすぐ隣の流し台まで誘導して流し込んでハイお終いとばかりに額のタオルを取って調理場を降りて悠々と歩いていく杏に、傍に控えた河島桃が自然な動作で上着を差し出すとそれを受け取り優雅にも見える動作でスルリと着込んで着席する。
座ったエミを中央に、周囲に、西住みほ、西住まほ、逸見エリカの3人が右側に。
島田愛里寿、“名無し”ミカ、角谷杏が左側で座って全員の席にハンバーグと、ノンアルコールビールが並ぶ。サラダやサイドメニューなどはビュッフェ方式で採れるように用意されている。
「んじゃ、天翔ちゃん。音頭取ってー」
「……なんで?」
唐突に“フリ”を受けて微妙にひきつった表情を見せたエミだったが、ゆっくり立ち上がってジョッキを手に取って
――――高く天を突くように掲げた。
「―――“
「「「「「“
*********
>> Side Emi
――月――日
撃破報告を受けて、泣きじゃくる砲手に「まぽりん助けたんやろ?やるやんけ」って声かけたら抱き着かれてわんわん大声でなき叫ばれた件。やめてください死んでしまいます(俺が)
とりあえず自然に泣き止むまで精神と胃袋が保たないと感じた俺は必死に背中ぽんぽんしたり頭撫でたりして泣きじゃくる砲手をあやし続け―――
―――砲手が泣き止んだことを確認した直後「もうゴールしてもいいよね?」って心の声に素直に応じて必死につなぎとめていた意識を手放していた。
――月――日
ぼくはいまびょういんにいます
――月――日
お見舞いにやってきたエリカとみぽりんの間の距離感に尊死しそうになるのを必死に抑えていると具合が悪いのかと勘違いしたエリカに
「久しぶりにエリカのハンバーグ食べたいなぁ。(みぽりんとまぽりんと黒森峰の)みんなで」
と答えたところ快くOKしてもらえたので布団の中でグッとガッツポーズ取っていたりする。
――月――日
なんで?
――月――日
「(エリカやみぽりんやまぽりんと)みんなで一緒にハンバーグ食べたいなぁ」
が、『今回参加した学園艦のリーダー集めてお疲れ様会しようぜ』となっていた。なんでやねん(素)
当然少人数ではなく大人数になってしまった以上大洗学園艦の食堂借りての大宴会になったわけで、本来予想していたものとは異なる形になってたそれを、エリカひとりで人数分のハンバーグ用意するの大変だからと会長が名乗りを上げて調理補助に入り、カチューシャの命令でノンナも補助に入りーの、チョビの代わりにペパロニが名乗りを上げ―の、それに触発されて立ち上がりかけたダージリンを押しとどめるアッサムがいたりーの、ハンバーグのレシピと調理風景をうんうんと頷きながらメモに取ってる三羽烏がいたりーのとツッコミが追い付かねぇ状態になっていた。
あ、ハンバーグは大変美味しゅうございました。(鉄人感)
あとモグ住殿になってたみぽりんの口元のソースをエリカがやれやれ顔で拭ってあげているというとても素晴らしい光景を見ることができた奇蹟に感謝したい。
――月――日
みぽりんとエリカに「今後のこと」について相談を受けて、みぽりんの部屋にみんなでお泊り会のノリで集まった。ちょっとお高いとこのケーキとか持ってったら「すごい!お友達と誕生会するみたい!」って感激された件。やみ闇深*2
まぁ俺の回答としては「高校戦車道は引退だなぁ」としか言えんのだが。
まぽりんも俺に無茶を強要できる状況ではないと理解してるからこそ食事会の時にいつも言ってた「ドイツについてきてくれ」とは言わなかったし、言える空気でもなかった。渡独に関しては「もう黒森峰は大丈夫だろう」と言ってたので、まぽりんがドイツに行くのは確定として、ズタボロ雑巾の俺を連れていく選択肢はもう残ってなかったってことだろう。ってことで俺の仕事はこれで終わり!閉廷!解散!!あとはみほエリとまほチョビを眺めるだけのお仕事ですご愛読ありがとうございましたエミカス先生の次回作にご期待ください!!
ということでエリカとみぽりんは翌日から大洗の街並みを巡るってことで天翔エミはクールに去るぜ―――しようとしたが回り込まれてしまった件。なんで?
そして結果としてみんなで雑魚寝という状況である。 だからなんで?(困惑)
「―――エミちゃん、もう眠い?」
――月――日
なんだこれは
ふざけるな。
ありえない
ありえないありえないありえない!!
俺のチャート選択は完璧だったはずだ!確かに多少のミスはあったしオリチャーに入りかけたこともあった!だが最終的になんかいい感じにまとまって、心配だったまぽりんの執着も断ち切れてみぽりんとエリカは仲直りしてめでたしめでたし、
ふたりここで永遠を誓うよエタァァァァァナァァァァル!!の流れじゃないのか!?どういうことだ説明しろ苗木ィィィィィィ!!!!!
いやまてKOOLになれ!KOOLになれ天翔エミ!混乱している場合ではない!状況は刻一刻と拙い方向に進んでいる。俺がここで手をこまねいていたら最低最悪のバッドエンド直行便だ!
何とかしなければ……何とか……!!
「―――――あっ」
その時、俺に電流走る――――――!!!
あの日みぽりんの家で何があったか は
本家作者様の「俺はみほエリが見たかっただけなのに」の
『ガールズ&パンツァー エクストリームバーサス フルブラスト』を参照ください(ぇ)