【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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 もしもあの校門の前で 立ち止まらず歩いていれば

 君と出会うこともないまま 幸せに生きていただろうか―――?









第一話(裏) えみかすにっき いちのまき

 

「―――やはり黒森峰のエンブレムは、剥がした方が良いだろうな」

 

名残惜しそうに黒森峰のパンツァーエンブレムを撫でるまほは、そう言って隣のヤークトティーガーを見た。ヤークトティーガーの上に腰かけて、所在無さげに両足をブラブラと揺らしている小柄な少女は、ヤークトのエンブレムをぼぅっと眺めていた。

 

 

「「「「―――おはようございます!!」」」」

 

 

 大洗の制服に身を包み、一列に整列した少女たちが一斉に頭を下げる。

ブラブラさせていた脚を止めて戦車から降りた少女と並ぶように立ったまほが胸を張り気を付けの姿勢をとる。

 

 

「―――では、登校しよう」

 

 

 

 ********* >>Side Change

 

 

 

 「戦車での登校は許可が必要なのよ!!」

「……(´・ω・`)」

 

 俺たちは校門前で止められていた。

無表情で眉根だけをハの字にしたまぽりんが戦車の上で所在を無くして立ち尽くしている。

 怒鳴ってるのは当然、風紀委員であるそど子こと“園みどり子”。

風紀としてのルールに「戦車で乗り入れることに関する校則」ってのはない。ないんだが、戦車は原則として道路上で動かす以上「車輛」扱いである。

 車輛を学園内に停車する場合「停車許可」が必要になる。

 

「……まぁ、初日だから許すわ。校則も知らないみたいだし」

「―――感謝する」

 

 生真面目風紀委員ではあるが人情がわかってないわけではないそど子の言葉に短く謝意を示して、まぽりんはティーガーに再び乗り込んだ。

ヤークトの側は車長が代表でお話を聞いていたので俺は全く関係ないのだが……そんな俺は絶賛周囲をきょろきょろと見回していた。

 

 

 その目的はと言えば――――

 

 

「――――居た」

 

 視線の先に捉えた“それ”に向かってヤークトティーガーの上から“跳ぶ”。

一足でダンと外装を蹴って跳び、ガードレールの上辺に狙いをつけて蹴りつけるようにして減速。そのまま地面の上に着地して流れるように駆け出した。

 

「天翔さん!?」

 

 突然の俺の行動に驚きの声を上げるヤークト組を背に目標へと一目散に駆け出していく。

 目的の場所はそれほど離れていないのですぐにそこにたどり着くわけで―――

 

 

「どうして朝は来るのだろう……?」

「―――大丈夫かい?」

 

 

 フラリフラリと今しも倒れてしまいそうな青い顔で右に左に前に後ろに体を揺らしながら歩く少女の元までたどり着いて、その身体を支えた。

 ―――少女の名前は冷泉麻子。おなじみ【原作(ガルパン)】にて、主人公西住みほの乗るⅣ号戦車の操縦手を務める天才少女である。

 

 

 俺の目指すべき最終ストーリーラインは当然「みほエリを成し遂げること」である。

 

 それはそれとしてみぽりんが黒森峰に残り、黒森峰が10連覇を達成し、まぽりんがみぽりんの代わりにここ大洗にやってきた時点で、もはや【原作】は破綻している。

 IF時空とかそういうチャチな話じゃ断じてねぇ!と言っていい現在。何故転校初日からこんな真似をする必要があるのか……?

 

 

 考えてみてほしい。

 

 

 俺たちは戦車とそのメンバーごとやって来てしまったのである。

 

実質―――“冷泉殿との出会いのきっかけが無くなる”のだこのままだと。

 

 先程まぽりんが怒られていたように、戦車通学には許可が必要である。だが逆を言えば「許可を取れば問題なく通学ができる」のだ。

 

 

 そうなるとどうなるか……?

 

 

 通学途中に冷泉殿を発見して介助しながら登校するイベントが発生しなくなるのだ。確実に。

 

 加えて言うなら一年先輩ということで武部殿の「ヘイッ!そこの彼女ォ!」イベントも起こりえない。とはいえ戦車道に関しては戦車道をお勧めする映像を流した時にドハマリしてたから放っておいてもこっちに来るだろうことは確信できる。

 

 あ、秋山殿は心配してないよ。むしろティーガーⅠとヤークトを駐車場に置いとくと勝手にどこからともなくPOPしてくるような気がしている。【ヒャッホゥ!最高だぜぇぇぇぇ!!!】から考えて。

 

 そんなこんなあれやこれやを考えながら肩を貸して歩いてたら、いつの間にかやってきたまぽりんが逆の肩を支えていて、まるでMIBに連行されてる宇宙人の写真みたいな絵面で校門前までやって来てた。

 当然、そど子はキレた(原作再現)。

 

 

 

 *******

 

 

 

「天翔さんと西住さん、だよね?」

 

 始業式の挨拶が終わって、なんか突然後ろから声をかけられたと思ったら生徒会長がニコニコ笑顔で立ってた件。後ろには桃ちゃんと柚子ちゃんもいる。

警戒したように眉を上げて目力を増すまぽりん相手に微妙に視線が揺れてる桃ちゃんがいたりしたが、何とかなだめて生徒会室へ。

 まぁ、結論から言うとそこでされた話は「戦車道復活させますよ」という内容だった。

 

 流石に「学園艦が廃艦になりそうだから戦車道始めます」的な相談まではされていない。ここまで原作ルートから逸れてたらそこまで行きそうだけどなぁ、なんて考えながら芋羊羹をパクついてたら、まぽりんが「さすエミ」とか言ってた。なんのこっちゃ??

 

 

 *******

 

 

 ――月――日

 

 連日生徒会室に呼び出し喰らった。これ外から見た俺とまぽりんの印象悪くなってない??大丈夫?大洗学生生活大丈夫???

 なんか文科省の辻なんとかとか言う人が名刺持ってやってきた件。

「転校の一件」についてどういう意図があるのか?みたいな質問されたので、懇切丁寧にまぽりんの言葉に注釈を入れながら説明してやる。

 

 なんか文科省としては「黒森峰最強!!無敵!!世界でも通用するぞすごいぞ!」みたいな喧伝の仕方をして日本の強さアピールして、プロリーグ発足直後の試合マッチメークのための材料にしようと思ってたらしい。

 

 まさかその「黒森峰最強!並ぶものなし!」が原因で日本の高校生戦車道が崩壊しかけているとは夢にも思わんわな。説明していくにつれてどんどん顔が気色を失って青→青白→白に逆保留変化してった辻なんとかさんはがっくりと肩を落として帰って行った。辻なんとかマンからも「大洗学園艦廃艦計画」については語られなかったのでまだこの一件に関しては生徒会と俺だけが知っている情報になる。

 それはそれとして生徒会長と桃ちゃん柚子ちゃんは小躍りしていた。

 

尊み可愛い(確信)

 

 

 ――月――日

 

 生徒会長が「私らを鍛えてくれ」という感じのことをまぽりんにお願いしてきた。正気か?まぽりんだぞ?(素)

 

 まぽりんと相談した感じ「とりあえず軽く演習を見せて、戦車の動かし方から始めよう」という事になり

 

 黒森峰中等部から続いてる「ヤークトVSティーガー~ぶっちぎりの戦士たち~」をやったところ、見事に三人とも宇宙猫になっていた。そして当然、同じ動きをさせるために初日からまぽりんズブートキャンプハードモードが開催され……

 

 桃ちゃんが汚い高音の悲鳴を上げたり柚子ちゃんが泣き叫んだりしたけどまぁおおむね平和に終わった(可能な限り穏当な表現)

 

 

 

 ―――ブートキャンプの後で食堂借りて滅茶苦茶乾杯した(プロージットォ!)

 








今作はとりあえずこんな感じで「表:メインパート」 「裏:エミカスパート」

でやって行こうと思っています。
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