【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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 ―――拝啓、(記憶にはない)お母様。






「エミりん先輩ぃぃぃぃぃ!!!たぁすけてぇぇえええええ!!!」
「武部d―――武部さん!!お、おちついてぇぇぇ!?」


 ―――俺はもう駄目かもしれません。




第四話 『隊長(とか俺には無理だと思いますんで)頑張れませんって……』

 

 

 ―――時は少々巻き戻る。

 

 

「あのさー……最初に会長さんたち狙わない?人に期待させるだけ期待させといてさー……」

 

聞えよがしの文句を呟きながら会長に恨み節を吐いている武部殿と、安全運転で進んでいる五十鈴殿、そして砲手席で「ヒャッホウ!!最高だぜぇぇぇ!!!」してる秋山殿。そんな世界の中に俺が居た。装填手として(白目)

 

 何の因果でこんなことに……そう思わずにはいられなかったが、展開自体は原作通りに進んでいるのでダンマリ決め込んで装填するときの呼吸合わせを黙々とやっていた―――ところに突然の轟音。そして衝撃。

 

 続けてガァン!と装甲にぶち当たる音が響いたと思えば、外では八九式がこっちに発砲していた。

 

 「こわぁい!!!にげよぉぉぉぉ!!!」

 

悲鳴じみた声を上げ半狂乱の武部殿に応じる形でフリーズ状態から復帰した五十鈴殿と秋山殿。後ろから追い立ててくる八九式。二手に分かれた道の向こうに見える三突に、「右斜め前ぇ!」と五十鈴殿に蹴りを叩き込む武部殿。わぁ、原作ムーブ……

 

 

 

 →そんな様子を眺めつつ、右斜め前に入った辺りでⅣ号の外に顔を出すと、切株に寝転んでいる冷泉殿がいるだろ?

 

 

 →冷泉殿が飛び乗って来るだろ?

 

 

 →武部殿が冷泉殿の乱入にさらに混乱するだろ?周囲からは八九式と三突に加えてM3リーが追加されてるように見えるだろ?

 

 

 →悲報:武部殿、キャパ限界を迎える。

 

 

「エミりん先輩ぃぃぃぃぃ!!!たぁすけてぇぇえええええ!!!」

「武部d―――武部さん!!お、おちついてぇぇぇ!?」

 

 

―――で、時間は現在に戻ってきた。

 

 

 車長席から全力で手を伸ばして俺の身体を抱き上げ吸い込み武部ブリーカー(別名だっこハグ)を敢行しながら俺に助けを求めるのはヤメルンダ!!死ぬ!!死んでしまうぞ武部殿!!(俺が)

 

 よもやよもやだ(炎柱感)。まさか武部殿がこんな形で使い物にならなくなるとは……と脳内で炎柱のノンデリ感を展開して今頭を埋めようとしているセルフピロシキから目をそらしつつ考えを巡らせる。

 考えてみれば武部殿は確かにメンタルつよつよウーマンの気配を感じさせるいい女大洗代表ではあるが、その実序盤の方は結構打たれ弱かった印象がある。そんなメンタルよわよわウーマンの武部殿がピンチの連続、こんな時に某光の巨人が欲しい!という状況で同じ車内に経験者。しかも【二つ名持ち】(ネームド)が居るという状況。

 

 

 

 そら(そんな状況で頼れそうな感じの人が居たら)

 

 そう(なってしまうのもしょうがなかろう)

 

 よ

 

 

 

 では、何故武部殿は原作ではこんな展開にならなかったのか……?

 

 

 

 答えは至極簡単なことだ。

 

 

 

 

 【武部沙織は、あの時「戦車道を嫌がっていた西住みほ」に負担をかける選択肢を、最初から除外していた】

 

 

 

 

 例え状況がとんでもなく大変な状況であっても、

 

 

 戦車の周囲で砲弾が飛び交い冷静な判断ができない状況であろうと、

 

 

 武部沙織にとって、「過去の苦しみに耐える友達を、さらに苦しめてしまうかもしれない」という選択は、決して取れなかった。ということ―――

 

 

 

 

 何ということだ!!こんなエモい理由に考え至らなかったとは―――!!

 

 

 

 

 でも今はいいんだそれは重要な問題じゃない。(重要じゃないとは言ってない)

 

今一番大事なことは武部殿がこっちの話ほぼ聞かない駄々っ子モードで抱き着いてきてる件である。さっきから密着しすぎて己の中のPP(ピロシキポイント)がガンガン上がっているし、何なら胃袋がミシィ!とレバーブロー喰らったような衝撃が走っている。ヤバい。ヤバババイ。

 どうにかしようにも、俺自身はしがない装填手。出来ることがあるとしたらガッコンガッコン装填するだけ。作戦指示?そういうのはまぽりんの役目だし……まぽりんの補佐はエリカとかみぽりんとかチョビがやってくれてたから……適材適所適材適所。

 とはいえ、実際問題現在の状況はすごくまずい。

操縦手である五十鈴殿は運転に不慣れである。なので0か100かレベルで「全力全開全速前進」か「微に入り細を穿つような繊細な微速移動」のどっちかしかできない。そして微速移動とか敵側からしたらいい的なので武部殿の狂乱ぶりからしても選択肢としてあり得ない。となると、全速前進しか選択肢はないのだが……

 

 ―――俺は「全力移動してる戦車の中で装填ができない」のだ。

 

俺の強みは「高速装填」。故に俺の強みを活かす戦略とは「高速装填からの連射」にある。それが完全に封殺されている今の状況、軽く詰んでいる。

 ここまで来て「軽く」と言っているのはそれを解決するカギが乗り込んでいるから なのであるが……

 

 

 

 

 ―――件の「解決のカギ」である冷泉麻子は今、絶賛低血圧モードでぐったりと秋山殿に抱きかかえられていた……。

 

 

 

   ******* >> Emi → Others

 

 

 

 ――― 一方で、全体を俯瞰している蝶野教官、及び戦車搭乗班以外の大洗メンバーは

 

「―――――ッ」

 

 異様なほどに緊迫した空気の中、ただただ【耐える】を強いられていた。

 

「ほらほら!西住さん!覇気が漏れ出てるわよ?リラックスリラックス!」

 

 にこにこと、此の重苦しい空間の中でもマイペースを崩さず空気の源に話しかけているのは教導教官の蝶野亜美のみ。他の生徒は、ティーガーⅠやヤークトティーガーの乗員である元黒森峰の子たちですらこの空気に圧倒され直立不動で立ち尽くしていた。

 

 「私、とてもとても不機嫌です」とでも言わんばかりの仏頂面で戦場を俯瞰して眺めている件の生徒は西住まほ。目尻に力を込めている時のしわの入り方に見覚えのある女性の面影を見た蝶野亜美は「やっぱり親子ね」と呟いていた。

 

 ―――そんな周囲の空気などどこ吹く風で、

 

 西住まほは不満を露わにしていた。

 

「何だあの体たらくは」と口に出してしまいそうだった。

 

天翔エミが装填手として参加しているⅣ号戦車の乗員の情けなさ……も、もちろんある。が、不満の本質はそこではない。

 

 

 何故、自分は今ここにこうしているのか

 

 何故、自分はエミとともに戦場を駆けていないのか……?

 

 

 そんなどうしようもない不満が、まほの内部でグルグル渦を巻いていた。

 

―――が、そこは西住まほである。割と数分後には『よし全部終わったらフリューゲル小隊と模擬戦をしよう』と思い直して再び試合に集中し始めた。少しだけ圧力の減った空気に周囲の大洗女子生徒たちが大きく安堵の溜め息を吐いたのは言うまでもない。

 

 

 

 ******* Others → Emi

 

 

 

 ――月――日

 

 色々と大変な一日だった。いやマジで大変だった(迫真)

蝶野教官を前にして武部殿が戦車道(フォース)の暗黒面に囚われそうになったり、

私怨から会長狙おうとした矢先に襲撃されたり、ハイハイ原作原作と思ってたら武部殿が想像の数倍テンパッたり、

原作と違って抱きしめられてたせいで降車して誘導という手段を取らなかった結果吊橋から転落しかけて急ブレ+バック走に合わせて三突の砲撃が命中。結果として助かったけど原作通りに五十鈴殿は気絶し、冷泉殿が操縦を代わり、そんでもって

 

 秋山殿がしっかりキメてくれました。

 

 衝撃に感動している秋山殿と五十鈴殿を尻目に、呆然とする武部殿の腕からどうにかこうにか抜け出して装填席で全力で装填して秋山殿にバトンタッチ→砲塔回して八九式→38tの順番で撃破して試合終了。逃げようとして走行不能になってる一年生ズは試合後にフリューゲル小隊(ウチのメンツ)に詰められていた。

 

 ―――まぁ問題はその後だったんだが。

 

「お手本を見せる」と言い出したのがまぽりんで、

そんで何故か、俺とフリューゲル小隊が相手に選ばれて―――

 

 ガチで始まってしまう【黒森峰の虎VS虎】の光景に呆然とする者、自信を無くした者、さらに燃え上がった者。反応は様々だが……

 

 このたった一日の「実戦演習」で、戦車道を専攻していた生徒が、割とガッツリ減ったらしい。

 

 

 ――月――日

 

 対戦相手を探していた。と言っていた会長と桃ちゃんがなんか微妙な顔で相談にやってきた。

なんか練習試合の相手を探して候補を取捨選択してるまさに最中に、食い気味に電話してきた学園艦が居たとかで、

 

 そんでそいつが名指しで「天翔エミ」をご指名だそうで……アッハイ。

 

 

 ……いったいどこのブリカスなのか……。

 

 

 





 >> ???


「もし?そちら、大洗学園艦の大洗女子学園でして?……ええ、練習試合の申し込みを。ええ、ええ。そちらにいらっしゃるのでしょう?【天翔エミ】が……。

 ―――あの躾のなっていない野生のゴリラに言伝て下さる?

 『ここに手ごろな距離で十分な実力の強豪がいましてよ?』と。ノータイムでこちらを選ばず悩んでいるようでしたので、こちらからご連絡致しましたの。ええ。



   ―――試合の日を一日千秋の思いで楽しみにしておりますわ」

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