【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】 作:米ビーバー
――月――日
喫茶店でみんなでケーキとかパクパクしてたらアンチョビたちに遭遇した。
「またな」と言われたので安心してみんなで甘味食べて「たーのしー!」した結果、
店を出たとこで後ろから両肩を抱えられ、MIBに連れられてる宇宙人のように【お持ち帰りぃ】された件。頼みのまぽりんはチョビに説得されて「出航時間までには開放するように」と言って離れて行った。神は死んだ(絶望)
再び店内に舞い戻り―――全てゲロる羽目になった。
弁明とかそういうのもなく淡々と説明していたが、なんか途中から第三者視点で自分たちの行動を鑑みた結果「あれ?もしかして俺(とまぽりん)大分酷くない?」「許されなくない?」となって自然に土下座していた。
正直目の前の三人に一発ずつぶん殴られても文句は言えないしなんなら甘んじて受ける気でいたんだが、予想外にチョビは深く深く息を吐いて笑顔で「そうかそうか、よーくわかった」というコメントで終わった件。逆に怖くなったんだけど……?
――月――日
何やってんだチョビぃぃぃーーーーー!!!!!!
>> Others
「一回戦の相手は黒森峰でありますな!」
「我々はどう戦うべきか!!」
「無論!突撃であります!!」 「「「然り!然り!」」」
「突撃以外ありますまい!!」
大声で喧々囂々と語り合っている女子たちの姿は、姦しいというよりは勇ましい。「突撃」「突撃」と繰り返す女子たちのまるで「えいえいおう」と言わんばかりの同調振りに、なぜか満足げにうんうんと頷いている少女が1人。
ここは知波単学園艦。 突撃を愛し突撃に魅入られた戦士たちの聖地。
「それで本日は―――いかなる御用件でございましょうか?」
満足げに知波単生徒たちの突撃愛を見送ってから視線を目の前に戻した少女―――
問いかけられた少女はゆっくりと胡坐座のまま顔を上げ
銀色のドリルカールを揺らして不敵に微笑んだ。
*******
―――戦車道大会高校生の部、第一回戦。
映えある大会の初戦を飾るのは、全大会王者である黒森峰女学園、これに対するは知波単学園。
この試合を見た当時の観客たちは、皆口を揃えてこう語った。
『―――これは戦車道ではない。“蹂躙”であり、“BANZAIアタック”だった』と―――。
高台に布陣した黒森峰女学園は重厚な中戦車と重駆逐戦車で防衛線を引き、知波単学園を迎え撃った。知波単学園はアップダウンのある道のりの向こうにある高台に陣取った黒森峰に対し、ただただ愚直に突撃を敢行した。
これに対し黒森峰女学園隊長、安斎千代美は冷静にシュトリヒの計算を行い、曲射砲撃による足止めを行うも、それを意に介せず、上方から襲い来る砲撃に吹き飛ばされる仲間すら意に介さずただただ前に前に突き進む知波単の戦車たち。
『細見、玉砕であります!!』
『案ずるなぁ!!我らが後ろに控えている!!突撃だぁーーーー!!!』
余りの猪突猛進ぶりにドン引きする戦車道生徒も多いだろう中―――
「水平射が可能になったら直接狙え」
安斎千代美はただ静かに命令を下し、
数分後、黒森峰女学園の防衛陣にたどり着く前に、総勢10輛の知波単戦車群が無残な姿を晒すことになっていた。
******
「お疲れのところ申し訳ありません」
試合の後で、インタビューに訪れた記者が声を掛けると、特徴的なドリルカールを弾ませて、隊長の腕章を付けた少女が振り返った。
「月刊戦車道のものです。今回の試合のことについて、何点かインタビューにお答えいただければ、と」
「ああ、いつも読んでます。インタビューですか?いいですよ
“今回は退屈で一方的な試合だったので”」
隊長の少女―――
*******
『―――それでは、第一回戦の試合についてお互いに何かコメントを』
インタビュアーの声に、画面に映る
【あの表情の時のアンチョビは何かロクでもない悪戯を企んでいるときだ】と、経験則で理解しているからである。
二人の予想に、しかし反してにこやかな笑顔でインタビュアーに向き直った千代美はニコニコと語る。
『ええ、中々根性を感じさせる突撃でした。良い練度の学園ですね』
『成程……』
ニコニコと知波単の突撃を褒めるアンチョビに、インタビュアーが内心でほっと胸をなでおろしつつも、若干の物足りなさを感じていたそのタイミングで―――
『―――事前に“こっちがやる戦術と、何処に布陣するかを宣言してあげた”んですが、それでも突撃で突貫してきた勇気は賞賛しますよ。無謀の類ですけれども!』
―――時が止まった。そう、インタビュアーも周囲の生徒たちも感じていた。
『ははは!!なんとも面映ゆいですね!!我ら知波単の伝統は、突撃!突貫!玉砕でありますれば!!相手の戦術や布陣がどうあれ突撃あるのみ!!それが知波単魂でありますので!!』
千代美の言葉にそう返してはははと快活に笑う知波単隊長の西絹代の顔にはやりきった人間特有の悔いの無さが表れていた。
そんな絹代の様子を、楽しそうな、寂しそうな、複雑な表情を一瞬だけ見せた千代美は、カメラの外で表情を戻してまたインタビュアーに笑顔を向けた。
『まぁこんな感じです。黒森峰女学園としてはまぁ―――退屈な試合でしたね。遠距離から砲撃するだけでしたので』
『な、成程ぉ……』
知波単の隊長である西絹代が笑って流しているからこそどうにかこうにかなっているが、傲岸不遜な千代美の言葉にインタビュアーは戦々恐々だった。知らず、脇腹越しに胃袋を労わるように手で触れている。
『―――あぁ、ちょうどインタビューで全国に放送されてるならここで宣言しましょうか』
『……え?』
まだ何かあるのかと顔を上げたインタビュアーの目の前で千代美が“ぐっ”と口角を上げ独特の微笑みを浮かべた。知らず背筋に走るゾクリとした嫌な予感にカメラを止めるべきかと逡巡してしまったインタビュアーの行動が一拍出遅れる。その間に―――
『なぁ、負け犬諸君、お前らのご希望通りだぞ?天翔エミも西住まほもいない黒森峰だ。
【あんなのが居たら勝てませぇ~ん】なんて戯けの泣き言上げる馬鹿共のために、わざわざ西住まほも天翔エミも黒森峰から下野してくれたぞ?
これならお前らでも勝ち目があるんだろう?この程度ハンデにもならないってところを見せつけてやるよ』
―――安斎千代美は、全国の陸と学園艦に放映される映像で、思いっきり中指を突き立てていた。
『天翔エミと西住まほが二人そろってたら同じことだろっていうまだまだ情けない声を上げる根性なしどもにいいことを教えてやろう。
――“わたしはやったぞ”?
中等部時代に、天翔エミと西住まほが在籍してる黒森峰相手に、陸の学校に通っていた私が、安斎千代美が、焦らせるほどの脅威を与えたぞ?』
胸を張り、堂々と宣言する千代美に、カメラを止めるべきか迷っていたインタビュアーも、カメラマンも視線を奪われていた。
『陸の学校であくせくやってた私にできたんだ。黒森峰の戦車たちがいるわけでもない、
たった2輛、群を抜いてつよいだけの戦車とチームくらい、ご立派な伝統の学園艦の方々ならやってくれると思いますけどねぇ』
全力で煽りまくる千代美のオンステージに、周囲もインタビュアーも、隣の西絹代も止めることができずただその演説を垂れ流している。
『その上で、西住ぃ!天翔ぉ!!そして大洗女子のひよっこ諸君!!
―――【決勝で待っててやるからさっさと上ってこい】以上!!』
カメラ目線で指を突き付けて最後にエミとまほに宣戦布告して、踵を返す千代美に、それ以上何も言えず見送ることしかできないカメラとインタビュアー。
盛大な放送事故であった―――。
*******
「今回は申し訳なかったな。西さん」
「はい!いいえ、突撃を選んだのは我々です。戦い方は好きにして良いと、最初にご相談を受けた時に言われておりましたので」
黒森峰のチームテントの中。隊長である安斎千代美、副隊長の西住みほ、補佐の逸見エリカの三人と、招待されてやってきた西絹代。4人が居並ぶテントの中で、千代美は絹代に頭を下げていた。
《 話はやや過去へと巻き戻る――― 》
―――あの日、知波単学園へやってきた千代美は、絹代と対面し、「戦車道高校生大会の一回戦。そちらと当たることになるんだが」と、そう切り出した上で、対戦場の地図を広げた。
「私たちはここに布陣する。こちらの用意する戦車もそちらに教えても良い」
そして地図の一点を指差し、絹代の眼を真っ直ぐに見据えてそう言ったのだ。
当然、絹代としては困惑しきり。何故そんなことをするのか?何故自分から戦術を開示しようというのか?その理由が皆目見当も付かないからこそ、目の前の千代美に対して猜疑の瞳を向けてしまっていた。
「何故……でしょうか……?」
どうにかこうにかそう絞り出すと、千代美は少しだけ困ったように髪を指先でくるくると弄り―――深く思案する様子を見せた後で
「―――いや、言葉を選んだり飾り付けたりは悪徳―――ってのが西住流の教えだとか……“あいつ”が言ってたっけな……」
そんな風に苦笑して、髪を弄っていた手を離して、絹代の正面で向き合うようにして、座して居住まいを正した。
「―――私なりの“意地”ってやつさ」
「意地、ですか」
オウム返しに返事を返した絹代に、千代美は「ああ」と返して少しだけ、何かを想う様子で瞳を閉じた。
「天翔エミと西住まほ。あの二人は今、黒森峰には居ない。他所の学校に短期転校して、そっから大会に参加してるってのを―――大会抽選の日に当人から聞いた」
「何と―――――?!」
一息ついて、出されたまま湯気を立てる湯飲みを手に取り、ぐいと一飲み。
舌を湿らせるようにして、ふぅと息を整える千代美。
「天翔が言ってたよ。『黒森峰から自分たちが居なくなったら他の学園とまだ勝負になるレベルになるはずだ』だとか、『戦力差に絶望してる学園艦の連中に勝ち目を遺すため』だとかなんとかね」
ぎゅっと拳を握りしめ、目を開いた千代美は真っ直ぐに絹代に視線を合わせる。その瞳の力の強さに思わず身を竦ませてしまったことを、絹代は内心で戒める。
「それってさぁ――――
舐めてるよなぁ?私たち黒森峰の居残り組のことも、他の学園艦戦車道の連中のこともさぁ……?」
ミシリ と
空気に重圧が増した。千代美の言葉に物理的な重さがあるかのように錯覚して、正座の状態で肩から全身にかけて万遍なく圧力がかかっているような感覚に、座したまま動けない絹代。そんな絹代の困惑を無視して千代美は、俯き加減で吐き出すように言葉を続けていく。
「天翔エミと西住まほが居なくなったら他の学園艦の連中相手に優成取れる程度の実力です。あの二人がいたから圧勝に次ぐ圧勝。黒森峰の伝説はあの二人が打ち立てましたぁ。心折れた学園艦の方々ごめんなさいね。弱体化させますんで頑張ってね!!!
―――許せるか?こんな暴言」
「事実は事実として受け止めましょう。しかして、心中穏やかでは居られませんね」
問いかける千代美に、笑顔でそう返す絹代だが、その瞳はすぃっと細められたまま、じっとりとして据わっていた。
「知波単学園は練度こそ高いですが、突撃あるのみ、突撃こそ誉れの学園。故に、有力校に上げられこそすれ、優勝候補に挙げられることはない。私たちとしては、それでも良いと思っていました。知波単の魂を、試合を通じ見せつけることができればそれでよいと。
―――よもやよもや、ですね。よもや我々が『勝利を諦めている』とでも思われていたとは―――」
正座したまま膝の上に握られている両こぶしがギュゥと強く握りしめられる。握力による圧搾で手の甲を骨折するのではないかと思われるほどにギリギリと強く握りしめられる拳を膝の上に置いているのは、そうしないと立ち上がって飛び出してしまいそうだから―――
「―――安斎殿。我々に今回の相談を持ち掛けた理由は―――つまり、そういうこと、なのですね?」
「ああ。多分西さんの考えてる通りだよ。私たちは【布陣するポイントを教えてやる代わりに、アンタたちの全力の突撃を砲撃で潰せるかを試したい】。そのための作戦開示だ」
千代美の言葉に、絹代は俯いたまま身を震わせていた。怒りを抑えようとしているのかもしれないと思った千代美だが、それでも、さらに燃料を投下する。
「勿論。この提案を蹴ってくれても構わない。我々は今日提示した場所に根を張って相手を迎え撃つスタイルを崩さない。【知波単の突撃に黒森峰を下せるっていう絶対の自信がない】って言うのなら、待ち伏せなり、迂回なり、好きにしてくれ。私はアンタらの動きを見てその場で作戦組み立てて“どうにかしてやるさ”」
嘲笑を交えたような声色で、絹代に浴びせかける挑発が響いた。
「―――いいえ、いいえ。受けて立ちましょうとも!!」
バッと顔をあげて千代美の方へ顔を剥ける絹代のその瞳に浮かんでいたのは、【歓喜】の色だった。思った反応と違う絹代の様子に、困惑する千代美に絹代は立ち上がり、片手に握った拳を天に突き上げた。
「黒森峰から直々の要請。我々の突撃の全力を見せろとの。これが誉れで無くて何でありましょうや!!!?しかも恐らく我々もただの通過点。本命は―――」
笑顔で千代美に告げる絹代の言葉に、降参とばかりに両手をあげて肩をすくめる千代美。
「西さん、アンタ察しが良いし、頭の回転も早い。疑問に思ったから、せっかくだし聞くけどさ。なんで知波単の戦術を刷新しようとか考えないの?」
千代美の言葉に「ははは」と快活に笑って、絹代はぐっと拳を握って力こぶを見せるようなポーズを決めた。
「知波単学園の伝統は伝統に過ぎません、ですが、皆がそれを認め教えを享受しているうちに、それを望まぬままに私一人の考えで改革すれば、それは有難迷惑になりかねませんから―――」
「訂正するよ。西さんはやっぱり知波単の隊長だ」
千代美の言葉に「恐縮の極み」と返し、絹代はまた快活に「ははは」と笑うのだった。
>> Emi
――月――日
チョビが全国放送の場でぶちまけてくれました。
大洗学園艦に俺とまぽりんが身を寄せていることがわかり、ひっきりなしに連絡が飛んできていて桃ちゃんと柚子ちゃんが死にそうな様子で駆け回っている。
(責任の所在的に)偲びねぇな
(チョビのやり口が)半端ねぇな
それはそれとしてもチョビの情報解禁芸は流石の一言と言える。
最高のタイミングで最高の爆弾をぶちかました結果、たっくさんの学園が「舐めたことしてんじゃねえぞコラァ!」と熱気をぶち上げている。なんかまぽりんは訳知り顔でうんうんと満足気に頷きながら「流石は千代美だ」と口角をあげてドヤ顔を披露していた*1
クォレハぁ……まほチョビぃ……ですよねぇぇ……?
――月――日
チョビの“やらかし”が原因でサンダース学園艦がにわかに騒がしくなっている。らしい。
このままだと潜入捜査に入る秋山殿が地獄を見る羽目になりかねない―――どげんかせんといかん(迫真)
とはいえ、日本の戦車道乙女たちの間ではこれ以上なく顔が売れてしまっている俺では、変装したとしても焼け石に水。メイクや変装の達人でもいれば話は別なんだが……
――月――日
ま、マホォーーーーーーーーーー!!!!(まぽりん何やってんだこの阿呆ーーー!!の略)