【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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大洗学園艦は救われ、一先ずの平和が保たれた―――。


新聞部が事の顛末を盛大に配布し、戦車道参加者は一躍ヒーロー(ヒロインだけど)扱いだ。ウサギさんの一年生たちははしゃぎまくって浮かれまくって今後入って来る後輩にどんな先輩面するかの相談とかしている。

みぽりんも普通科の他の生徒から一目置かれる存在として見られており、視線に晒されるのが落ち着かないのか借りてきた猫も顔負けのチキンぶりを見せて、事あるごとにさおりんや華さんや俺の傍でビクついている。視線=メンチビーム的なイメージでもあるんだろうか?

―――とはいえみぽりんに抱き着かれて縋るような目で見られてると血を吐きそうだ。
主に大会終了後にあったみほエミエリの結末から考えて―――。


「どうも!大洗学園広報課、新聞部のものです!」


新聞部の取材に適当に答えたのはそのころだった。油断がなかったわけではない。

ペンは剣より強しと言うが、戦車砲には負けるだろという確信もあったし。





【装填騎兵エミカスえくすとら 『偏向報道シスベシフォーゥ!!』】

 

 「エミさん―――!!」

 

みほを押しのけハッチから外へ飛び出したエミは、みほに笑顔を見せる。片腕をぐるりと回して「まかせておけ」と言わんばかりに。

 

「―――みほ、君は車長だ。だから私が行く―――君のために。チームのために

 

  ―――大丈夫。私は死なない、誰も死なせない、そのために往くんだ」

 

濁流に身を躍らせるエミ。その姿が濁流にのまれて消える。

みほにはただ祈り、エミのために勝利をもぎ取ろうと前を見据えた―――。

 

 

―――しかし、勝負の世界は非情に過ぎる。彼女の献身虚しく、プラウダの凶弾によってみほのフラッグ車は討ち果たされ、黒森峰10連覇を逃した敗戦の責任は、不用意にフラッグ車を離れたエミの身にのしかかったのであった。

 

「ごめんなさい、エミさん―――」

「―――かまわないさ。みほ、君を護ることができて良かった―――」

 

敗戦の責任を押し付けられ、最早イジメに発展する状況に陥っても、エミはみほを責めることはなく、その肩を優しく抱き寄せる。

 

「―――君が大切なんだ、みほ。君のためならば、私はどこまでだってこの身を捧げても構わない―――」

「―――エミさん―――」

 

ふるふると首を振るエミ。みほの瞳を覗き込む様にして顔を寄せれば、互いの瞳にはもう、互いの顔しか映らない―――。

 

「―――エミでいいよ……いや、違う。違うな……

 

  ―――エミと、呼んで欲しい」

 

「―――エミ―――」

 

二人の距離が近づいていく。互いの息遣いが感じられる距離まで―――

 

―――そして、二人は――――

 

 

~次回へ続く~

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(大洗女子新聞掲載小説「大洗の英雄。その軌跡」)

 

 

 

*********

 

 

 

「ああああああああああああああ!!!!(怒号」

 

悲鳴に近い発狂した声を上げながら、俺は壁に掲載されていた「大洗学園広報」を破り捨てた。

 ぜえぜえと荒い息を付きながらくしゃくしゃにした広報をより小さく圧縮して握りつぶす。

 

「な、何をなさいますか!!報道の自由の侵害ですよ!」

「っさいわ!報道の自由を謳うならもっと情報を精査しろよぉぉ!!!」

 

声を上げる新聞部の連中に怒鳴り返すと「ヒィ!」と声を上げて壁際まで後退する。

 

「―――あ、あのぉ……こんなやり取り、私も身に覚えがないです」

 

手を上げておそるおそると進言するみぽりん。せやろ!せやろな!?

 俺としても冗談ではない。こんなデマゴーグが黒森峰まで流れてエリカの耳に入って見ろ。みほエリの芽が芽吹く前に枯れ果てて草も生えねえ荒野が生まれるわ!そんなことになったら即この世からピロシキしてやんぞ!!遺書に糞マスゴミへあることないこと書きまくってからな!!(激おこ)

 

「さ、サイレントマジョリティを考慮した結果の熟慮でありまして……多少なりと、当人が含んでいたものを書き切るのがライターの腕の見せ所といいますか……」

「―――つまり捏造だよね?」

 

身長差の関係上下から睨み上げる様に詰めると「うっ」と後方に下がり始める。それを大洗女子制服のリボンタイを掴んで引き寄せつつ更に睨みを利かせる。

 

「―――訂正、お願いできますよね?」

 

〆にニッコリと笑顔を見せつつ、キュッとタイを絞り上げる。やんわりと相手を責めるときのマニュアル行動だ。

 

―――何故か相手は泡を吹いていた。解せぬ―――

 

ともあれこれでマスゴミは駆逐された―――!!

 

我々の勝利だ――――ッ!!!

 

「―――チョットモッタイナカッタカモ」

 

ひっそりと呟かれたみほの言葉が何だったのかは聞き取れなかったが、大事ではないと思考を切って、俺は意気揚々と凱旋した―――。

 

 

 

*******

 

 

 

「―――エリカ。みほのことをよろしく頼むよ」

「―――どういう意味よ」

 

 沈む夕日に照らされたエミの姿がおぼろげで、エリカからはまるで今にも消えてしまいそうに見えた。

 

「黒森峰を―――ここを、去ろうと思うんだ。もうね、わからなくなっちゃったんだ―――正しいことをしたんだって、胸を張ってたつもりだったんだけどなぁ……」

「―――エミ―――ッ!!」

 

 消えてしまいそうなエミの姿に、エリカは思わず踏み込んで抱きしめた。このまま放っておいたら本当に消えてなくなってしまう。そんな不安が止まらなかったからだ。

 

「―――痛いよ、エリカ。放してくれ」

「嫌だ!放さない!アンタが居なくなったらみほはどうするの!?私はどうしたらいいの!?今更何もかも放り出して逃げないでよ!!」

 

恥も外聞もない泣き言を喚いている自覚はある。エミをここまで追い込んでしまったのは無力だった自分の責任だとエリカ自身が一番わかっている。

 

 けれどエミを失うことが考えられない。道理も何もなくただ嫌だと泣き叫ぶ自分が居た―――。

 

 

~次回へ続く~

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(大洗女子新聞掲載小説「大洗の英雄。その軌跡」)

 

 

*******

 

 

「―――もしもし?あ、エリカさん。大学選抜以来だね、その折は―――え?何?

 

 ―――新聞?え?!違う!違うよ!私何もヘンなこと言ってないよ!?ぁの……えっと……え、エリカさんは寂しがりやだよねってエミちゃんと世間話してたくらいで……えっと……あの……ご、ごめんなさい……はい、はい……ごめんなさい、ゴメンナサイ……ハイ……ハイ―――ハイ―――」

 

 

 ―――ドアの向こうから洩れ聞こえる謎の会話を前に、俺はそっと、ドアを開けることなくその場から離れた―――。

 

 

―――HAHAHA。やってくれた喃!!(虎眼感)

 

 

とりあえず掲載されている新聞を剥がしてダストボックスへシュー!!超エキサイティンッ!!した後で、自動車部に向かい、戦車用のモンキーレンチ借りてきて、広報課へ突貫することにする。

 

 

 

 以前言ったもんな?一度目は許したものなぁ私―――二度目はちょっとキツいぞぉ―――(半ギレ)

 

 

 

 殴り込みに行った先で俺が見たのは、黒森峰のPJを着た謎の覆面の一団に囲まれて盛大に土下座っている広報課の連中の姿だった―――俺が手を下すまでもなかったようだ―――。

 

 

 

*******

 

 

 

―――Ⅳ号の車体はまだそのころの私には少々大きすぎて―――

 

「―――ふっ―――――――うぅ~~~」

 

全身で伸びをするように腕を伸ばし、車体に手をかけ懸垂の要領で登ろうとする私。他の乗員は作戦会議に出ていていない。装填手の私は装填がお仕事だから、作戦会議に参加する意味はないし、出ていなかった。

 少し、仲間外れにされたようで寂しい―――自分から出ていないだけだからただのやっかみだけど―――。

 懸垂で上がろうとした結果、ぶら下がり健康法状態になってしまう。足が付かない、踏ん張りも効かない―――手を放して降りようか。そんな風に考えていた時だった。

 

「―――もし?お嬢さん(フロイライン)」

 

―――そんな声が聞こえて、私はふわりと優しく抱き上げられていた。

幼子を抱きしめる様に優しく抱き留められ、息遣いが届く程の距離で見つめ合う。宝石のような青い瞳と、キラキラ光るプラチナブロンドの髪―――

私はそのままゆっくりと地面の上に下ろされていた。対戦相手の聖グロリアーナのPJ、優雅な立ち振る舞い、この人も今回の模擬戦に参加するのだろうか?

 

「―――はしゃぐのであれば別の場所をお勧めいたしますわ。こちらの戦車は玩具ではありませんの。この後の試合で使いますのよ?」

 

多分親切心からの言葉だろう。だけど私からしてみれば昔から揶揄われている子供のようなこの体躯を小馬鹿にしたようにしか感じられなかった。

 

「―――私はこの戦車の乗員です」

「まぁ!お嬢さん、冗談はいけないわ。大人をからかうものではなくってよ?」

 

フフッと優雅に微笑む姿がより一層怒りに火をつける。助けてくれたことには感謝するけれど、この人には絶対に負けたくない。絶対に見返してやるんだ。

そう心の中で湧き上がるものがあった。元来負けず嫌いな私の奥底にある炎が、目の前のこの人に目にものを見せてやると逆巻き燃え盛っていた。

 

 

―――結局この後、他の乗員の皆がやってきて、口論を起こしたり、有耶無耶になったりしたけれど―――

 

 

試合の後で、カフェラウンジで再会した彼女は私にティーセットを手渡した。

「次の試合も楽しみにしているわ」なんて―――

 

 

後から聞いた話によると、聖グロリアーナでは、好敵手と認めた相手にのみ、紅茶を贈るのだと―――

 

 

 

―――この時の出会いが、後々まで続く彼女との―――聖グロリアーナ隊長、ダージリンとの因縁になるなんて、思ってもいなかった。

 

 

 

 

 

~次回へ続く~

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(大洗女子新聞掲載小説「大洗の英雄。その軌跡」)

 

 

 

******

 

 

「―――いやまぁ、ほとんど嘘は言ってないな。うん」

 

掲載された内容を流し読みした結果の俺の反応は特にどうとでもないものである。

だって相手がエリカやみほならみほエリに確実に支障が出るけれどあくまで俺とダージリンなら別になんら支障は出ないし、決定的な行為にまで及んでないのでセーフと言い張れそうな内容ではある。

 

 

 ―――俺がまるで反骨精神に溢れてて相手の話を全く聞かないただの無鉄砲なやんちゃボウズみたいに書かれている点はともかくとして!(重要)

 

 

ともあれ客観的に見るとここからダージリンとの因縁がスタートしているわけで―――自分のスタートラインって思い起こすのは大切だと思わんでもない。

 

 

 

―――まぁ、今後英国淑女(ブリカス)に真っ向から喧嘩売った報道部が生き残っていればいいが―――。

 

 

 

俺は大洗広報課新聞部にこの後起こるであろう悲劇に対して20通りくらいのパターンを考え、まぁダージリンだし と結論付けて合掌した。

 

 

 

 

*********

 

 

 

「馬鹿な!空想における二次的な創作活動は自由の名のもとに認められてしかるべきであります!」

『それは名誉棄損とタップダンスする覚悟があってのものでしてよ?聖グロリアーナは今回の報道内容において創作活動と言えど剪定すべき根も葉もない事柄と断定致しました。独断により排除させていただきますわ』

「他校が学園内での生徒の活動内容にケチをつける謂れはないであります!自由と権利を主張するでありますーーー!!」

 

 

―――大洗広報課の一角で、怒号と悲鳴が響いた。

 




「―――話し合わなきゃ」
「―――そうね、まずは尋問(はなしあい)よね。ダージリンも含めたうえで、きっちりとOHANASHIしましょうか」



*******



『―――茶柱が立ったわ。こんなイギリスの言い伝えを知っている?茶柱が立つと、素敵な訪問者が――――あら?どなたかいらっしゃったかしら?』
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