【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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―――これは夢なんだろうか?







 たとえこれがただの都合の良い夢でもいい。




















―――もう私を置いていかないでくれ―――





エイプリルフール用ネタ 【 えみかすいんわんだーらんど 破 】

「―――その娘は、起こさないの?」

「彼女の場合、起こそうとして起きるものでもないんだよなぁ……」

 

 スク水姿の冷泉殿を囲んでどうしたものかと悩む俺と、無理に起こそうとしない俺に不思議そうな顔のダージリンと他2名。だが冷泉殿を起こそうと考えるなら、入念な準備と人員が必要なのだと俺は知っている。

 少なくとも秋山殿の起床ラッパか武部殿。このどちらか、或いは両方が必要だろう。原作的に考えて。

 

 

「ダージリン様。あちらのクローゼットにグロリアーナの制服がありました」

「あら幸運ね。この格好でいつまでもいることになるかと思っていたけれど」

 

 

 部屋の中を色々調べていたオレンジペコが戻ってくるとそんな感じのやり取りをして、ダージリンはペコを連れてクローゼットのほうへ歩いて行った。ミカのほうも色々調査しているが、部屋の片隅に鎮座した個室用の小型冷蔵庫の中身をしげしげと眺めていたりする。

 

 どうでもいいけど本当にここはどこなのだろうか……?

 仮にラブホ的な場所だとするじゃん?冷蔵庫の中身とか勝手に持ってった場合その分減った体積量でセンサー感知して料金に上乗せとかそういうのだとして―――マッパでベッドに寝転がってた俺もダージリンとペッコとミカも、全員財布などというものは存在しないわけで―――

 

 

 結論:地味にやばい……やばくない?

 

 

 状況の把握と現金の確保が急務になりそうだと考えを改める俺であった。

 

 

 

*******

 

 

 

 「―――……沙織か?」

 

 唐突にむっくりと起き上がった冷泉殿がぼそりと線目で呟く。眠たげな様子のまま、顔を左右に振って部屋の内部をぐるりと見まわしている。

 

 

 

 

 

「……なんだ、やっぱり夢じゃないか」

 

 

 

 

 やがて俺の方へ顔を向けた冷泉殿は、そんなことを呟いた。

 

「いやいや冷泉さん、起きてくれ頼むから。武部さんも居ないから本気で寝られたら起こせる人間がいないんだよ」

「―――」

 

ぼーっとしていた冷泉殿がこっちの反応にピタリと止まる。何考えてんだかわからない表情でじっと微動だにしない冷泉殿。ひょっとしたらBGMに一休さんのとんちをひらめくときのアレが鳴っているのかもしれない。頼む冷泉殿、現状ヒントひとつないクソゲーなこの状況を打破してくれ!

 静かな時間が流れたのはどのくらいだったか―――不意にすっくと立ちあがった冷泉殿は、てくてくと部屋の端っこにあったラブホ特有のガラス張りの部屋に向かう。

 

 

「―――顔を洗ってくる。頭が回らない」

 

 

 そういって学校指定の奴を身に纏ったまま頭からシャワーを浴び始めた。

 

 

 

 

 え?俺はどうしたのかだと?最後まで見てたらこの目をくりぬいても足るはずがないだろいい加減にしろ!!

 耳に戦車道で使う専用の耳栓ぶち込んで、いざとなったら耳叩いて鼓膜を壊すつもりで「部屋の中を探索するぜー超するぜー」という感じで意味もなく部屋の中を物色してたに決まってんだろ!!

 

 

 それはそれとしてこの一件はゆるされざると思う。俺この施設を出るまでに五体が残ってるのか怪しくなってきたなぁ……

 

 

 ※ 現在のピロシキ予定 左腕 右足←New!!

 

 

 

*******

 

 

 

 「さて、冷泉さん……だったかしら?申し訳ありませんがお答えいただけません?何故貴女はここにいるのか」

「……寝て起きたらここだった。以外になにか答えがあるのか?」

 

 ダージリンにそっけなく答えて周囲をきょろきょろと見まわしている冷泉殿に、笑顔のままやんわりと視線を外したダージリンが俺にアイコンタクトを送ってくる。すなわち『なんなのこの子は』という意味合いで。

 冷泉殿の性格は慣れている大洗の面々ですら振り回され気味である。相手の反応を見て対応をやんわり変えていくダージリンでも飄々としたネコ科の生物のような冷泉殿への対応は一朝一夕にはいかないに違いない。

 

「だがまぁ……わかったこともある」

 

周囲を見渡していた冷泉殿が部屋の四隅を指差した。

 

「監視カメラの類が一切ない。ピンホールカメラの類でこっちを見てるとしても、視線らしきものは感じないし、感じなかった。ここに誰かが私たちを閉じ込めたのだとしたら、逃げ出す様子を見るにせよ、逃げ出さないように監視しているにせよ、それをモニターしていないとおかしい」

「―――成程」

 

 すぅっと目を細めるダージリン。冷泉殿の考察にその危険度が若干上がったのか、油断ならない目つきで冷泉殿を見ている。スッと手持無沙汰な手を横に延ばすと、さも当たり前かのようにオレンジぺコからカップとソーサーが指し出され、それを受け取って中身をくっと呷るダージリン。

 

 

 

 

 ―――それたぶん冷蔵庫の中にあった午●ティーだよね?後でお金が発生するやつだよね?大丈夫?今の部屋のドア開けたらニコニコした顔のラブホの店員がいたりしない?俺ら無一文よ??本当に大丈夫なの??やばくない?みんな楽観視しすぎじゃない???

 

 

 

 「ともかく、情報がこれ以上見つからないなら―――覚悟を決めて、次の部屋に行こうか」

 

 

 

ミカがそう言って、部屋の奥にある扉の前に向かう。正直このわけのわからない空間そのものが何らかの夢であってほしいとこれほどまでに思ったことはない。グロリアーナの制服に着替えたダージリンとオレンジペコはともかく、ミカァ!はまだ古代欧州の人みたいな布の服だし、冷泉殿に至っては微妙に湿っている学校指定の奴の上からバスタオルを羽織っただけという謎のフェチズムを醸し出す出で立ちである。おかげで冷泉殿に視線を向けることができん。下手に直視したら目をもって行かなくてはならないだろう(使命感)

 

 

「この先もまた部屋だったらどうする?性質の悪いホラー映画みたいにさ」

「やめて下さらない?冗談じゃありませんわ」

 

 そんなホラーな会話を真剣味もない表情でかわすダージリンとミカを後ろで眺めている俺と冷泉殿。

 

 

「―――お前は……私のことを麻子と呼ばないんだな」

 

 

 不意に冷泉殿がそんなことを呟いた。

大洗での冷泉殿とのファーストコンタクトの後、「麻子でいい」と言った彼女に対して「いやいや俺が原作キャラを呼び捨てとかアカンでしょ」と思った俺は「そこまで親しい間柄でもないし、その気になったら呼ばせてもらうよ」と適当にお茶を濁してその場を切り抜け、未だに「冷泉さん」で通している。

 

 

 ああ成程、これを機に吊り橋効果で近づいたし、そろそろいいんじゃないか?的な意味ですねわかります。

 

 

 

 だが断る(露伴感)

 

 

 

 俺如きが呼び捨てで呼ぶなどというなれなれしい真似をしたら、さおまこの波動が陰ってしまうかもしれない。そんなこと誰も望むはずがないのだ。

 そう思うだろ?アンタも(トリーズナー感)

 

 

 

「冷泉さんは冷泉さんだよ。違う呼び名で呼ぶのは、私じゃない」

「―――そうか」

 

 

 

 短く呟いた冷泉殿はそのまま黙って事の成り行きを見守る方向へシフトした。

どうやら俺の言いたいことを察してくれたらしい。そうだよ冷泉殿、武部殿がおるからさおまこの波動を高めて、どうぞ。

 

 

 

 

 

ギィ、と音を立てて内側に開いた扉の向こう側は―――

 

 

 

 安っぽいホテルの廊下のように見えた。

 

 

 

 

「どうやら……廊下のようだね」

「照明がついてないあたり……本当にホラー映画染みて来ましたわね」

 

 ゆっくりと全員で廊下に出る。赤絨毯の敷かれた廊下はひんやりしたものではなく、素足でも問題なく歩けそうだった。

 全員が廊下に出た後でパタンとドアを閉めるダージリン。薄暗い廊下の向こう側はそこそこ遠いのか、奥まったほうが闇色に見える。

 

 

 

―――キィ……

 

 

 

 金属のすれる音が聞こえた。思わず臨戦態勢をとる俺と、避難経路としてもと来た部屋へのドアに手を掛けるダージリン。しかし―――

 

「―――開かない!?」

 

 ガチャガチャとノブをひねるもドアはビクともしない。

 

 

 

 そら(ラブホならオートロック仕様だろうから)そう(なるだろう)よ

 

 

 

 キィキィと独特の車輪の音を響かせるなにかは近づいてくる。

ごくりと誰かの喉の音が鳴った。急激に始まったホラーゲーム展開に、一同の緊張が高まる中―――現れたのは

 

 

 

「―――エミ……?」

 

 

 

 憔悴したような様子で、“誰も載っていない車椅子を押している”安西千代美。

 

 

―――アンツィオのドゥーチェ、アンチョビだった。

 




エイプリルフールだったので()

QAK(急にエイプリルフールが来たので)というやつでひとつ()
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