【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

44 / 149
遅刻しました()

が、まだ始業式ということは実質4月初めと言えないこともない!!(強弁)



あ、はい。スイヤセン……








【 エイプリルフール用小ネタ 天翔エミという人物について まほルート編 】

 

 「う~~~~~~ん……」

 

“月刊戦車道”の編集部。そのデスクに座ってうんうんと唸っている一人の記者。

そのデスクの上には、いくつかの写真と『今回の特集』と銘打たれた白紙のコラム枠。

 

「……写真だけだと弱いよなぁ~~~~!!!」

 

 首を捻りながらそんな風に絞り出す記者の目線はデスクの上の写真に写る一人の少女へと向けられていた。

 

 

 ―――“天翔エミ” 

 

 黒森峰の9連覇までの軌跡に一部関わっており、また、10連覇頓挫の原因とも言われている少女。そしてその少女は大洗学園艦に移り……やや遅れて合流した西住みほとともに、戦車道高校生大会に出場。決勝戦にコマを進め、かつての古巣黒森峰、そしてそれを率いるかつての相棒西住まほと対決するまでに至っている。いったいどういう経緯なのか?疑問は尽きない。

 

 しかし―――彼女の細かい情報が全くと言っていいほどない。

 

 秘匿されているわけではない。ただ、彼女が“装填手”であることが原因のひとつ。あまり表に出ない影の存在である装填手として名前が売れているというある種の矛盾が、彼女のミステリアスな部分という形で情報を秘匿させたままの方が面白いと―――そういう風潮を増長させているように記者には思えた。

 

 

「―――調べるか」

 

 

 黙って腕を組んでいても仕方がないと、記者は重い腰を上げた。戦車道後進国である日本が世界に打って出るという年に起こった西住流の事件ともいうべき騒動。そこから一転、失踪したと思いきや東の果て、大洗で再起した天翔エミ。その裏側に一体何があったのか?

 

 いずれにせよ、その情報を調べるにあたりこの少女について調査することが必要になると、記者は確信に至っていた。

 

 

 

 ********

 

 

 

 「天翔エミさん……ですか?」

 

 寄港していた大洗学園艦に立ち寄り、まずは手ごろな生徒に声をかけた。不審そうな表情の女生徒に名刺を見せて、取材のためと近場にある喫茶店で対面に座る。許可をもらってレコーダーをテーブルの上に置き『こちらの手札は晒している』とアピールして切り出した。女生徒は名前を聞いて少しだけ意外そうな表情でこちらを見た。

 

 女生徒曰く、「大洗では西住みほさんの方が有名ですけど」という意味らしい。

 

 「西住さんに関しては西住家に直接尋ねるから」と言うと「だったらエミさんの話もそっちの方が詳しいんじゃ……?」と怪訝な顔になった。謎を解いていくつもりで謎が増えていく。西住まほの相棒であり、比翼の鳥の片翼。確かにそう聞いてはいるがそこまでガッツリと西住流に関わっているとまでは思っていなかった。

 まぁそれはそれとして『一般の意見も必要』ということで喫茶店での食事費用分は元を取らないと勿体ない。

 

 

「そうですね……でもエミさんについては、正直あんまり詳しいことはわかりません。というのも……だいたいみほさんや生徒会長だった角谷さんと一緒にいて、一人でいるときは大体どこかでバイトとかやってる人ですから」

 

 

 ―――とはいえ、やはり大した情報になりそうにはなかった。

 

 

 

 *******

 

 

 

 次に“戦車道を講習している女生徒”を対象に聞き込みを行った。

 

「天翔殿ですね!素晴らしい方です!!並々ならぬ努力を苦とせず、日夜励んでおります!」(匿名希望:装填手)

 

「エミりん先輩?みぽりんと麻子……えっと、西住みほさんと私の友達が無条件で懐いてるから絶対いい人ですよ!私の友達、危ない人には近寄らないから。

 

 ―――それより、このインタビューってテレビとかに出ます?……出ない?あ、そうですか」(S.Tさん:通信手)

 

「天翔さん?あの人は私の理想だ。困ったことに、どうやってあの人に追いついたらいいのか全く分からんのだが……」(カエサルさん(仮):装填手)

 

「天翔ちゃんねぇ……私としちゃ頭が上がらない相手だよ。なんたって私たちの学園艦の救世主だからね。西住ちゃんのスカウトも天翔ちゃんのおかげで簡単に終わったしね」(角谷杏:生徒会長)

 

「天翔か……あいつには感謝してるとも。会長もとても感謝していた。私にとっても大事な人生の転機に口添えをしてくれた人物だからな」(M.Kさん:装填手)

 

 

―――何人かに聞いてみたが総じて「すごい人物」という意見で一杯だった。相違する意見が少ないのはいいことなのだが、これでは記事として【薄っぺらい】。

 致し方ない。他の学園艦にも質問をしてみようと思い立ち、記者は踵を返し歩き出した。

 

 

 

 *******

 

 

 

「エミーシャ?とんでもない相手ね!いずれ【個人名のため検閲】様の意向に屈させて掌の上でコロコロころがしてあげるわ!“くっころ”っていうんでしょ?こういうの!」(プラウダ高校 戦車道履修生)

 

「同志エミーシャはいずれプラウダの同志になるべき人物です。彼女が望むか望まざるかの話になるならば―――望んでプラウダの門をくぐるように行動するだけのこと。……人となり?人懐っこいかと思えば踏み込んでこない猫か狐の類ですよ」(プラウダ高校 戦車道履修生)

 

「天翔エミ!?悪魔よあれは!!何なの!?アレといい西住まほといい戦略を戦術レベルの勝利で食い破って来るとかチートじゃないの!!殿堂入りにして高校戦車道から大学に飛び級して欲しいくらいよ!!」(サンダース大付属 戦車道履修生)

 

「エミ?ソーグッド!!正面にしか撃てない重厚な重戦車で、装填力だけでのし上がった正統派クリーンファイターよね!フェアプレイ精神を持ってるし、アンフェアの切り時も理解してるいい選手だと思うわ」(サンダース大付属 戦車道履修生)

 

「戦車道の能力だけで言うなら、努力の鬼才。戦車道をするために生まれたとは言えない肉体を無理やり己の夢のために戦車道をできる身体に鍛え上げた誇るべきお馬鹿さんですわ。人間性は最悪ですけど。人間性は最悪ですけど!!……(コホン)こんな格言をご存知?『生まれながらに才能のある者は、それを頼んで鍛錬を怠る、自惚れる。しかし、生まれつきの才能がない者は、何とか技術を身につけようと日々努力する。心構えがまるで違う。これが大事だ。』」(聖グロリアーナ女学院 戦車道履修生)

 

「日本の戦国武将、織田信長の言葉ですね」(聖グロリアーナ女学院 戦車道履修生)

 

「彼女は自由な風であるべきさ。……吹き抜ける場所もとどまる場所も選ばなくていい。自由とはそうあるべきだからね」(継続高校 戦車道履修生)

 

「いずれ決着を付けるべき相手で、心から頼れる親友(アミーカ)だ!!」(アンツィオ高校 戦車道履修生)

 

「うちのねーさんのマブダチッスよ!!マジありえねーくらい覚悟キマってる(ひと)ッスから、覚悟決めておかねーと初対面で呑まれて終わりッス」(アンツィオ高校 戦車道履修生)

 

 

 etc…

 

 

 

 

 

 

「―――総じて言うなら『努力の人』で『人に好かれる性格』で『怪物級の基礎能力の持ち主』と。これだと本当にこれまでの天翔エミの情報と大差ないな……」

 

 現場の声があるとはいってもこの程度の情報では採用されてコラムの1ページを飾ったとしても斜め読みで読み飛ばされるか、しっかり読んだ後酷評を受けるかのどちらかだろう。

 

 

 と、黒森峰女学園にアポイントメントを取ろうとした矢先に、学外を歩いている女生徒の姿を見かけた。学園内でのインタビューならアポイントが必要だが、学外の生徒に対しては本人との交渉で済むし、許可が下りるまでの間軽く話でも、と声をかける。

 

 

「すみません。少々お時間よろしいですか?」

「すいません私宗教と押し売りは受け付けてないんで」

 

素っ気なく返してこちらを振り向いたのは少女と言って遜色ない外見だった。遠目ではそれほどではなかったが近くによるとよくわかる。小学生のような体躯、しかし黒森峰女学園の制服を着ている。

 

「中等部の子かな?ちょっと高等部の生徒についてインタビューしてもいいかな?」

「はたちですけど!ふくし?のがっこうにかよってるんですけど!……いやすいません冗談です。でも私はこれでも高校生なんで」

 

 ふくれっ面を見せるようにして割と懐かしいネットのネタを披露した少女は高校生だと名乗り、高等部の学生章を見せてくる。成程、こちらが非礼のようだった。

 

「すまないね。それで、高等部の生徒についていくつか聞きたいことがあるんだけど、今お時間大丈夫ですか?」

「……そうですね。あるかないかで言うなら大丈夫です」

 

少し考えるようにしてそう答えて、『じゃ、確かあっちに珈琲の美味い店があったんで』と言って先を歩いていく少女を後ろから追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「天翔エミィ!?え?よりによってなんでその娘?西住まほとか西住みほとか逸見エリカとか赤星小梅とか色々より取り見取りでしょ?いや駄目だよ月刊戦車道さんさぁ……いち装填手のモブですよあれはー。そんなことよりも将来性のある生徒の話の方がウケがいいですってば!!

 

 え?去年の決勝戦?あー……天翔エミが逃亡したせいで黒森峰が負けたり西住まほが撃破されそうになったりっていうアレですね。いやほんと酷いやつですよわた天翔エミは!普段何も考えてないんでしょうね!ええ!隊長の命令を下に伝令して、自分はガッコンガッコン装填してるだけなんですから!実質フリューゲル隊の功績って車長と砲手と操縦手の腕前のおかげですよ?通信手が的確に伝令を伝えてるのもポイント高いですけど!!そう考えたらわた、天翔エミの活躍ってそんな大したことなくないですかね!?」

 

 

 

―――これだと思って引いた札はどうやら最悪の鬼札(ジョーカー)だったらしい。

 

 延々と続く天翔エミという存在への罵倒にも似た愚痴とかをICレコーダーに録音しつつ、俺は思っていた。

 

『このくだり、多分まるまるカットしないと西住流から圧力くるよなぁ』と。

 

 

 後日出来上がった【月刊戦車道】の特集コラムは、やはりいまいちパッとしない出来に終わってしまったが、収穫もあった。

 なんとあの西住まほが直々に天翔エミとのエピソードを語ってくれるというのだ。これは値千金の特集記事が組めるとホクホク顔の上司に見送られて自分のデスクに戻る。結局使われなかったインタビューの音声データ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のちにこれがお宝に変わることを、俺も編集部の人間も、誰一人知らなかった。

 

 

 

 

 




時系列で言うと「Only you」でフリューゲル小隊が【尾〇豊】するちょっと手前くらい。

イベントトリガーは「決勝戦の前に偵察に行って来る」と言った秋山殿についていく」という行動により分岐(ぇ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。