【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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──月──日
 
鬱だ、しにたい。
結論から言うと俺は黒森峰の受験に失敗した。
多分テストがだめだった、しにたい。
戦車道特待生なんて枠もあったが入れなかった、しにたい。
俺は、失敗した。
十数年もの努力漬け、入学なせずなにも得ず!
ものの見事に敗北者です本当にありがとうございました。しにたい。
 
 
 
──月──日
 
滑り止めには受かってた。
しかしこの心に刻まれた傷を癒すにはまるで足りない。
俺の十二年間の努力は一体なんだったんだろう。
ネタ抜きで死にたくなってきた。
でもまだ諦めたくない。
何故俺が転生などという数奇な―――
 

―――書いてて思ったが今時転生者なんぞ100g100円の価値もなさそうな気がする。
 
 まぁ、ともかく滑り止めに受かった学校もまたアニメに名前の出た学園艦だ。
可能性は0じゃない、最後まで諦めずに抗おう。
だめだったらその時はこの世からピロシキする、みほエリのないこの世に未練なんてないわよ!!
 


──月──日

というわけでやってきました聖グロリアーナ女学院。
完全寮制のこの学院。門限アリ、規則厳守のお嬢様学院である。

 プリーツスカートの裾は翻ってはいけない。しずしずと歩くのがここでの嗜み

―――ってマリ●てかい!(セルフツッコミ)

―――ともあれ、ひとまずはこちらの生活に慣れなければならないだろう。切実に(確信)
 学生寮の部屋に入ってまず感じたのが、用途のよくわからない家具が多い多い……何なのこれ?本当に何なのこれ?金かけるところ間違ってない?調度品に金かけるくらいなら戦車道方面に突っ込めよ!だからOG会に半ば乗っ取られるくらい困窮してるんじゃねぇか!
 あ、でも個室にシャワー完備してくれたのは助かる。地味に助かる。英国リスペクトしてる割にきちんと水回りが良いようで何よりだ。
明日からは街中を散策して錠剤とか手に入れられるツテを探さねばならない。


 それよりもみほエリウムが足りない……みほエリはどこ……?ここ……?



【 ダージリン生誕祭(2020)裏 『えみにっき』

 ――月――日

 

 ルームメイトと名乗る女生徒と軽く挨拶を交わし、お互いに許容できる範囲について綿密に詰める。面倒事になっても困るし、モブにかかずらっている暇はない。

寮内のルームメイトは共同生活を送るのもあるが、戦車道専攻とそうでない者を分けるわかりやすいパーテーションになっているはずなので、目の前の三つ編みおさげも戦車道を専攻するモブのはずだ。名前も聞いたことない名前だったし間違いないだろう。

 

 

 

 ――月――日

 

は????

 

え?は?????

 

 

 

 ――月――日

 

 新人戦が終わり、とりあえずの格付けが終わった。

放心状態だったのもあってか何も覚えてないが、無意識で続けていたトレーニングによるルーチンワークな自動装填で事なきを得たようだった。

 

 いや何一つ問題解決しておらんがな!!

 

 まず第1。新人戦の前からウザ絡みしてくるパイセンが上級生でもトップに位置するパイセンだということが分かった。―――けど半端なくめんどい……めんどくないこのパイセン?

 第2に、三つ編みおさげの同居人が戦車乗るときにはピシッとしたPJ着て、薄化粧して髪型変えてやってきたせいで真名把握(FGO感)した件。

 

 第3。ナン=デ=ダージリン!?

 

 ダージリンと同級生?ナンデ!?Do you coat told die !?

 

 どういうことだ説明しろ苗木ィィ!!!

 

 

 

 ――月――日

 

 何故ダージリンと同学年なのか?

みほエリはどうなったのか?そもそもダージリンと同年代ということは

みほエリに出会うまであと1年はみほエリレス状態ということ。

 もはやダージリンと同室であるとかそういうのがどうでもいいと言える。深刻なみほエリウム不足が心配になってくる。一年の間、妄想だけで生きていけるのだろうか?いや、どうにかもたせなければならない。

 

 みほエリの未来を担うための改変はもう始まっている。

 

俺というモブがこうして聖グロにいることがすでに歴史の特異点なのだ。ほんのわずかでも歴史に歪みを与える可能性がある以上、みほエリの理想的なエンドを諦めない―――可能性はゼロじゃない!!

 

 

 

 ――月――日

 

 部屋にコーヒーミルを置いただけでクソ以下の毛虫以下の何かを見るような目を向けられた件。何コイツ喧嘩売ってんの?(猜疑)血の代わりに紅茶が流れてるんじゃないかと思われる目の前の英国人かぶれは「紅茶の園のお膝元で紅茶以外を飲むとか非国民ですか?」とか言ってくるんだが―――英国って珈琲飲む人結構いなかったっけ?

 

 追記

 後日紅茶の園でパイセンに珈琲淹れたら普通に呑んでいた。

ダージリン(仮)が卒倒したがコラテラルダメージってやつでひとつ。

 

 

 

 ――月――日

 

 トレーニング器具も馬鹿にならない。サプリメントとかその辺もいいお値段するしバイトで食いつなぎつつ、器具を買いそろえるまでの間の間に合わせのつもりで部屋の調度品を組み合わせて機能回復訓練で使ってそうな筋トレ器具を作って訓練してたらダージリン(仮)に在り得ないものを見た時のような表情をされた件。毎度毎度思ってるけどお前喧嘩売ってるの?(謎)

 筋トレ器具を自作するなと言われたんで「カネがねぇんだよカネが!」と返したところ、強引にトレーニングジムに連れていかれたうえ、会員権登録料を奢られた上、なんか年間フリーパスみたいな会員証を発行されたんだが……

 

 いくら相手がダージリン(仮)とはいえこれはアカンやろ工藤! って思ったのでセルフピロシキを敢行。小指と薬指を軽くメシっておく。近いうちにレギュラ-選抜戦があるので負傷欠場はあきまへんからな(関西弁)

 

 

 

 

 後から考えてみたんだが―――俺、ダージリン(仮)に囲われてね??

 

 

 

 ****

 

 

 

 ――月――日

 

 大きく時間がジャンプして、現在は戦車道全国大会中学生の部。中学生だってのもあって戦術が固まってない連中相手に無双していく強豪たち。

 中学生で右も左もわかってねぇ連中にマジノラインをさせようとか馬鹿じゃねぇの?(素)ってコメントしたくなるマジノ中等部だったり、奇襲常套のグレゴールだったり、色々いたが軒並み浸透強襲戦術にパイセンの遊撃部隊を加えた聖グロリアーナ部隊は勝利を続けて行き、決勝まで上り詰めた。

 

 だが侮るなかれ―――決勝は黒森峰である。

 

 などと言ってはみたが、俺の内心はドッキドキであった。

学園艦の位置的に交流試合がなかなか組めなかったのもあって生まぽりんがこのタイミングなのである。まぽりん―――西住まほの戦いは映像で何度も見てきたが、直接対峙するのは今回が初だったりする。

 それよりなにより小学生のみぽりんがこの状況で試合見に来てないかなーという期待もあるにはある。

 

 そんなこんなで始まりました決勝戦。

 

 開始と同時に「ヒャッハー!」と飛び出したアールグレイパイセンを追っかけて、ダージリン(仮)に防衛を任せて全速でパイセンを追っかけるマチルダⅡの中で物にしがみつく形で衝撃を無効化していく。

 どんだけ揺られたかもうわかんない間にパイセンのけたたましい声。

「会敵!!対象はティーガーⅠ!マーカーは西住まほ!!」という声にざわつくマチルダの中の連中をどーにかこーにか抑え込んで、まぽりんの周囲を駆けまわっておちょくり続けるパイセンを援護するためにガッコンガッコン連続装填していく。

 ―――だがいかんせん、マチルダの砲撃貧弱過ぎワロタwww

マチルダの砲撃は命中している。けど結果として装甲にダメージ与えられてない。軽くへこみくらいは残せてると思うんだけどダメージではない。相手の照準を狂わせる程度の結果は残せてるんだと信じたい(願望)

 まぽりんはまぽりんでこっちを鬱陶しいと思っているんだろうが、それ以上に放置してると厄介だと思っているのかパイセンだけ狙っている。

 

 結果として、黒森峰本体がダージリン(仮)たちを殲滅するのが先で、そのころにはマチルダの砲弾が先に尽きて俺が置物になり―――パイセンが投降を認めて試合が終了した。試合が終わった後に観客席を見渡して探してみたが、みぽりんの影も見えず、全力を振り絞った俺はみほエリウム欠乏症で記憶が飛び飛びになっており、試合結果の後のことが完全にすぽーーーーんと抜けてしまっていたのだった。

 

 

******* Emi → Others

 

 

 ―――試合の後、勝利者インタビューでマイクを向けられた西住まほは、普段見せないような、悔しそうで、それでいてワクワクしているような、高揚感を隠せない表情を見せていた。余談だが、笑みというのは本来攻撃的なものである。

 

「この勝利は黒森峰の勝利です。ですが、私はこの勝利を誇ることはできません」

 

毅然とした態度で、胸を張って淡々と語り続けるまほにインタビュアーも二の句を告げられず、インタビューは続いていく。

 

「もしも相手が相応の火力を有した戦車であったならば、私の部隊は撃破され、逆に黒森峰は敗北していたかもしれません。あくまで仮定でしかありませんが、仮に相手が我が校と同等の戦力を持っていたのならば、私はあの二人を相手に勝ち残って指揮を執れたという自信と確証を得ることはありませんでした」

 

 ここまで相手を褒める西住まほなど見たことはなかった。転じて、その場のすべての人間が認識した。“あの西住まほに、好敵手と認められた存在が現れた”と。

 

 

 後日月刊戦車道にデカデカと載った記事を見て件のライバルの一人、天翔エミは死んだ目で「どうして?」と呟いたという。

 

 

 

 ******* Others → Emi

 

 

 

 ――月――日

 

 アールグレイパイセンがまぽりんのライバルに認定された。

ついでに俺が名指しでライバル認定されていた。なんでや!?(じゃパン感)

 

 

 

 ――月――日

 

 現実逃避していたが状況を把握せねばはじまらない。

要するに俺の装填に起因するサポートアタックが的確だったということなのだと結論付けた。つまりこれは―――砲手の功績だな!(名推理)

 

 つまり砲手の功績が、それをサポートする俺の功績として加味されているということ。つまるところ、放置しておけばそのうち真実が明らかになるということだろう。

 ダージリン(仮)がものすごいうらやましい目でこっちを見ていた上にクッソ愚痴られたんで「私は装填しかできないんだからお前の方がすごいやん」と相槌打ちつつ返してその日を終えた。

 

 

 

 

 

 ―――よし、指一本逝っとくか(自罰)

 

 

 

 ******

 

 

 

 ――月――日

 

 全国戦車道大会(二年目)。

プラウダ戦記の焼き回しの展開で、決勝に進出。しかしまぁ、当たり前のごとく黒森峰と当たり―――

 

 ―――プラウダ戦記のノリで普通に敗北した。

 

今回俺は全く目立っていなかったわけであるが―――それはまぁ、正直すまんかったパイセン。申し訳ないダージリンと言わざるを得ない。

 

 

 何のことはない―――一年間摂取されていなかった濃厚な生のみほエリウムにトリップしてしまっていただけである(処刑不可避)

 

 

 いややべーわ。禁断症状出てるとこに濃厚なのを食らってやべぇ顔でやべぇ声を上げていたらしく同じ車内のメンバーが全員ドン引きしていた上、しばらく目を合わせてくれなかったくらいヤバかったようだ。

 

 追記

 なんかまぽりんが勝利者インタビューでまたぶっちゃけたらしく「本気の彼女と戦いたかった」とか言ってた件。すいませんね、こちらこれで本気なんですよ(無意識だったけど)

 

 

 

 ――月――日

 

 生みほエリでトリップしていた俺は、背後から近づいていたダージリンに気づかなかった。トリップ中の俺は紅茶を飲まされ―――

 

 気が付いたら聖グロ学園艦に戻って来ていた。(名探偵感)

 

 連絡先を交換できなかった自分への後悔と何やってんだ俺ェ!という怒りを込めて全力で壁ドンしている俺を、なんか生暖かい目でダージリンが見ていた。何見てんだ紅茶かぶれが!あ!?(八つ当たり)

 

 何故俺は……あんな無駄な時間を……(ミッチー感)

 

 

 

 ******

 

 

 

 ――月――日

 

 割とあっという間に一年半ほどが過ぎて―――中等部最後の戦いは決勝にすら上がれず、みほエリと接点ができずじまい!どうしようもねぇな俺!!

 そんなこんなで季節は中学最後の冬休みに入ろうってタイミングで、いろいろと悩ましい来客がやって来ていた。

 

 何やってんですか西住しほ=サン。圧すごいッスね西住しほ=サン。目力怖いんですけど西住しほ=サン。

 

 そんな内心での舎弟魂バリッバリな部分を全力で内面に抑え込みつつ、しぽりんの動向を見守っていたらその脇から出てくる影がひとつ。和服の装いと佇まいはしぽりんの学生時代からの友人で付き人モードな戦車道連盟のスカウトマン、井手上菊代=サンである。

「戦車道連盟からスカウトにやってきました」と前置きして名刺を指し出されたんですが、相手間違ってません?俺クソモブですよ?ダージリンとかパイセンとかダージリンとかパイセンとかその辺じゃありません?? とは思ったが、なんか聞いたところによると装填手専門でやっていってるメンバーってあんまいないらしく、俺みたいなのは貴重なんだそうな。

 でもそれしぽりん連れてくる理由になってないですよね?(推理)

そんな俺の脳内で発生した濃い霧に対応するように言葉を選んで言ってみたところ

「You!聖グロなんか辞めて黒森峰に来ちゃいなYO!!」的な勧誘を戴きました。

 

 

 

  ( ゚ω゚ ) お断りします( ゚ω゚ )

 

 

 

 確かに黒森峰に行けばみほエリに直接介入できるだろう。みほエリの未来に向けての布石を打つことも可能だろう。

 

 

だがよく考えて欲しい……。

 

 

 

 ―――そう、俺はまぽりんにターゲッティングされているのだ。

 

 

 

つまりこの勧誘の裏側にまぽりんの事情が絡んでいることはしぽりんが付いてきていることからも明白。ホイホイ誘いについて行ってしまえば―――

 

―――俺は同年代ということでまぽりんに引き回され、みほエリの進展を見守ることもできず、まぽりんの距離が近すぎることで胃痛からの吐血コンボでアワレにもひっそりと路地裏で幕を閉じることになるだろう。

 正直みほエリを眺められるのであればそれでも悔いはないと言える。が、考えてもみてくれみんな。

 

 ―――まぽりんと一緒に高校一年生になる=みほエリはまだ中学三年生 ということなんだよ!!!

 

 わかるだろう?わかるよな?みほエリに干渉するためには少なくとも、距離感の近いまぽりんを相手に一年間我慢し続けなければならないということ。

 無理筋……無理過ぎない??無理じゃねぇかなぁ?俺は無理だと思った。

そう言うわけでお断り申し上げたわけである。本気で申し訳ないけど、申し訳ないけど!!

 諦めきれないのかよくわからんけど「理由を教えてください」って感じで食い下がられたので言い訳を考えていた俺に電流宿る―――!!

 

 

 

 ―――こんな格言を知っている?(紅茶狂い感)

 

 

 

 ダージリンの格言をダシにしてお断りの理由にしてみる。「鶏口牛後」という意味を持つ英語の格言である。それでもまだ食い下がられたしなんか後ろのしぽりんが圧凄かったので理詰めで今度は戦車道そのものについての問題を前面に置いてみた。戦車道がどうなったとしても俺自身にはあまり関係はないだろうけれどみほエリには大いに関係があるから潰れてもらうわけにもいかんのだから是非もないよね!!

 ついでにまぁ、ダージリンにもライバルとして決着つけたいとか言われてたしってことで理由になってもらう。すまんなありがとうダージリン!

 

 

 立ち去るまでずっとオーラ半端なかったッスよしぽりん=サン。マジ勘弁してくださいorz

 

 

 

 ――月――日

 

 高等部に進級する。進級と同時に腐れたツラのパイセンのとこに二人で向かって熱烈な歓迎を受けた件。聖グロ高等部の闇は思ったよりクソ深いらしい。

 

 頑張ってくれダージリン、お前がナンバーワンだ。

 

 

 

 ――月――日

 

 全国戦車道高校生大会準決勝をプラウダに勝利という形でクリアする。

生カチューシャはまだ一年生で掌握が済んでいないし三年生の影響がまだまだ強いとこだったのでそれほど脅威ではなかった。

 

 歴史の流れは『プラウダ戦記』に沿うような形で進んでいるように感じられる。

 

 だとすれば、ここから一年で戦車道連盟側の予算削減人員削減で中抜きが横行して、結果として決勝戦であの悲劇が起きるということになる―――とはいえ、菊代さんから名刺貰ってるとはいえ「お宅の連盟、中抜きやってますよ?」とか言ったところで「ソース出せ」と言われるのがオチ。この方面から攻めるのは無理。不可能と言える。

 

 ―――ならば簡単。来年の大会でプラウダを破って決勝に出ればいい。そうすれば戦略の違いから戦況が変わる、戦場も変わる。赤星さんも滑り落ちないだろうしみぽりんが責められる流れも作らずに済むかもしれない。

 つまり、ここからが俺のステージだぁ!!!(ユグさねぇ感)

 

 

 

 ――月――日

 

 黒森峰の試合は偵察に任せて俺は「次の世代を調査する」という名目で大会中学生の部へ向かう。目的?馬鹿野郎みほエリに決まってんだろいい加減にしろ!!

 ダージリンもついてくるということでお目付け役にダージリンを連れて大会会場へ。試合内容についてダージリンが質問してくるのを想定して試合を見ながらみぽりんとエリカの戦車を双眼鏡片手に内面のドロドロを抑え込んで見学する。

 

「あの副隊長、油断なりませんわね」とか言ってるダージリン。わかってるじゃねぇかお前。でもみぽりんをスルーとか許せんよなぁ?

 

 

 

 ――月――日

 

決勝戦です。負けました。

 

 

 

 ――月――日

 

「そろそろ冠名もってみる?」とパイセンに相談されたので

 

  ( ゚ω゚ ) お断りします( ゚ω゚ )

 

しておいた。それ以上パイセンは言うことなく話題は流されたので問題ないだろう。

 ダージリンがぐちぐち言っていたので「がんばれダージリン。お前がナンバーワンだ」ってのをできる限りわかりやすく穏当に言葉を選んで伝えておく。中間管理職をやってくれている稀有な存在であり、俺というモブに微妙に運命を狂わされている存在なのだから労わるだろJK。

 

 

 

 ――月――日

 

 ダージリンが頑張ってくれました(こなみかん)

 

 

 

 ――月――日

 

 正史の流れには存在しなかった戦車。

コメット巡航戦車。たった1輛とはいえコイツを手に入れるために半端なく苦労したらしいのはダージリンの疲弊具合を見れば理解できる。

17ポンドの火力による砲撃を俺の装填力で高速連射することでより破壊力を増すのだとか。―――いや、無理やりすぎるだろ(素)

 

 とはいえこの戦車は正史に存在しなかった。歴史は修正されているという証だ。

 

 

 

 ――月――日

 

 コメットの使用を巡ってOG会がしゃしゃり出てきているらしい。

「勝てばいいのでしょう?」はダージリンの言葉。

今まで勝てなかったのは車輛のせいだという言葉でごり押しして使用権をもぎ取ったダージリンマジはんぱねぇな!歪みねぇな!やっぱりお前がナンバーワンじゃねぇの?(賞賛)

 

 

 

 ――月――日

 

 ダージリンがなんか鬼気迫る表情をしている件。見ていていたたまれねぇ。

俺としても自分の無茶ぶりをどうにかして貰ってる感覚がするし、もしも最悪の事態が決勝で起きた場合、俺は確実に聖グロのすべてを裏切ってでもみぽりんを救うために行動を起こすだろう。俺が生まれた意味はそのためにあるのだから

 だからこそ、今のダージリンの様子がいたたまれない。申し訳ない気分で一杯である。

「肩の力抜けよ」と精一杯声をかけてはみたが、気負いが抜けてないのが丸わかりである。来年上がってくるであろうオレンジペコにダージリンの精神面のケアを期待したい。マジ頑張ってペッコ、君に決めた!!

 

 それはそれとして申し訳ないので無事決勝戦を終えたら片腕か片脚をハンマーで制裁しようと心に決めた。

 

 

 

 ――月――日

 

 戦車道高校生大会開催。ここからが本当の歴史のスタートだ。

 

 

 

 ――月――日

 

 準決勝、プラウダ戦。

「異議があります」と宣言したのは、意外にもダージリンだった。

作戦会議で『風雲!アールグレイ城』作戦を提唱したパイセンに異議を唱えて自分の作戦を説明しているのを横目に、作戦聞いてもよくわからん俺は寒さに軽く身もだえしつつ珈琲を啜っていたりした。

 なんかそうこうしてたら「君の意見を聞こうか!」って感じでヅカっぽい仕草でパイセンが俺に話を振ってきた件。

 すいません。俺そういうの門外漢なんで話聞いてなかったんですよ。

という言葉を精一杯のオブラートで包んで謝罪しつつ、考えるそぶりを見せる。が、答えなんぞ最初から決まっている。

 

 

「ダージリンの作戦を推します」

 

 

そら(アールグレイパイセンの作戦が失敗するのは原作知ってればわかるんで)

 

そう(いう前提でいくならダージリン一択で決まってるだろう)

 

 

 

 

結果としてダージリンの戦略がかっきりとハマり、プラウダ戦は最終的にウチの砲手がきっちりとカチューシャのフラッグを落として勝利をキメた。

 クルセイダーを必死で運転して、一緒に城を枕に生き埋めになってくれたルクリリの献身を、俺はきっと三日くらい忘れないだろう。

 

 

 

 ――月――日

 

 決勝戦。ダージリンはまぽりんの別動隊を率いての特攻を見抜き、そこに俺たちを当てる作戦を見せた。そのうえで可能なら撃破、できない場合ゆっくり後退して後方のダージリンたちと合流、包囲殲滅の作戦である。

 

 この釣り野伏を見抜いたのは―――みぽりんだった。

 

後方でゆっくりと前進する本隊が速度を上げたのを偵察隊から報告で受け取ったダージリンは部隊を転進。盆地を舞台に正面からの殴り合いに発展させた。

 曰く「受け止め続けて見せるから、西住まほを討ち取りなさい」とのことだ。

無茶を言ってくれるとは思ったが、この作戦を成功させるにはそれしかないのはパイセンもわかってたらしく、全力で支援しろとのお達しにKAKUGOをキメることにして―――

 

 俺たちはそうして激戦を展開した。

 

 

 

 変化が起きたのは、砲手のミスで、

 

 

 ティーガーの88㎜の砲撃があらぬ方向へと逸れて―――

 

 

 

―――砲弾が命中した山肌の向こう側は、前日まで降り続いていた雨で増水した川の水の溜まり場になっていて―――

 

 

 

 

 ―――在り得ないくらいあっさりと砕けた山肌の一部を基点に、川の水を受け止めきれなくなった岸壁は、あっさりと決壊した。

 

 

 

 ******* Emi → Others

 

 

 

「クソが!!!!!」

 

大声を上げたのは天翔エミだった。時折テンションがおかしくなるのは知っていたメンバーたちも、この激昂の声に驚きを禁じ得ない。

 

「―――パイセン!!本隊が危険だ!!決壊した川の流れは低い場所へ流れてる!!」

 

通信機をひったくるようにして通信手から奪い取り、アールグレイへと焦った声を上げる天翔エミの姿には、いつもの飄々とした態度はない。その焦りが誰に向いているのか、車内の面々には朧げながら見えていた。

 

『こちらアールグレイ!!戦場を移すわ!西住まほを誘導しつつ後方と合流する!後は後方の状況次第で救助優先かどうかは決める!!』

「―――了解」

 

 ギシリと歯がきしむ音を立てて、通信機をやや歪ませたエミが通信手に通信機を返して装填席へ戻る。苛々としたその様子もまた、今まで彼女が見せたことのない表情だった。

 ダージリンは対応の天才とアールグレイから呼ばれている。それは聖グロリアーナの中ではある種周知の事実である。

 

 

 

 

 だがその天才をもってしても、突然の鉄砲水を避ける術などあるはずがない。

 

 

 

 

 

そうして、彼女たちがたどり着いた先では

 

 

 

 

鉄砲水に分断された戦車の一団があって―――

 

 

 

 

黒森峰・聖グロリアーナ両方ともその戦車群の一部が流されてしまっていた。

 

 

 

 

 コメットのハッチを力任せに内側から跳ね上げて小さな影が飛び出した。

 

 

 

 その影は、中戦車の上を牛若丸のように飛び跳ねて濁流へと向かおうとする黒森峰のPJを纏った少女よりも先に、流星の様に空を駆けて―――

 

 

 ―――濁流に呑まれて流されそうな戦車に取り付いて、敵味方の判別もなく、すべてを救うためにその力を振るった。

 

 

 

 黒森峰の少女と、グロリアーナの少女の二人の行動に、一部の生徒は駆け出して救助に加わろうとした。

 

 

 他の戦車たちも、その結末を見届けるかのように一時的に静止した。

 

 

 

 

―――空気を震わせる砲撃の音は、ひとつ。

 

 

 

 

 

吹き飛ばされ無惨に横たわったチャーチルから、白旗が上がり―――

 

 

 

『聖グロリアーナフラッグ車、走行不能!!黒森峰女学園の勝利!!!!』

 

 

 

無慈悲な宣言が、救助を続ける一同の下へと響いた。

 

 

 

 ――月――日

 

 決勝戦が終わった。黒森峰の勝利という形で。

 

負けた側として言いたくはないがシナリオ的に考えるとみぽりんが独断で救助に動いた分の失敗のケツをエリカがサポートしたという形である。

 ベストではないがこの状況はベターである。みぽりんは救助のためにフラッグを放り出して飛び出した、が、敗北はなくエリカが積極的にみぽりんをフォローしたという状態。クォレハァ……みほエリ、ですねェェ……?

 

 聖グロのOG連中は騎士道精神にかけて救助を優先しましたとして戦車道連盟に抗議してるし、黒森峰の勝利に対しても言及はしている。が、ほかならぬまぽりんが『リトルアーミー』で似たようなことやって不問になってるし、連盟がこれを無効試合にすることはきっとない。

 

 問題があるとすればみぽりんではあるが、エリカはみぽりんのミスを完璧にフォローして見せた。こんなの絆なくして在り得ないじゃない?みほエリの絆は俺が手を出すまでもなく既に完成していたんだ!ラ〇ュタは本当にあったんだ!!

 

 

勝ったでガハハ!!!第三部完ッッ!!!

 

 

 

 ――月――日

 

 コメット使用禁止が言い渡されました。

ダージリンの精神面のダメージが半端ねぇのか日に日に疲弊してってるのがわかる。

 俺を庇うなと言い含めておいたし、そろそろアクション起こすだろ。

 

 

 

 ――月――日

 

 案の定、OG会が接触してきた。曰く「問題行動を不問にしてやるから入会しろ」ってことらしい(要約)

 いかに自分たちが素晴らしいか語ってる部分は耳にフタしてたんで情報が飛び飛びだったが、「断るようなら聖グロにお前の席はない」的な脅しを食らったのだけは理解できた。

 

 

 

 よっし、これで穏便に退学できるわ(安堵)

 

 

 

 ――月――日

 

 聖グロリアーナ学園艦に退学届けを(一方的に)置いて、クールに去るぜ!

 行く当ては今のとこないし、足を延ばして九州まで行ってみようと思った。

 みほエリをこの目で確認しないとイカンでしょ?

 

 

 

 ――月――日

 

どうして?(現場猫感)

 

 

 

 ――月――日

 

 九州に向かう前に立ち寄った戦車ショップで、みぽりんの退学を知った俺氏、困惑である。どういうことなんだ!?説明しろ苗木ィ!!!

 結局歴史の運命の流れには逆らえないのか?

 俺のやったことは盛大な無駄だったのか?

 じゃあ何のためにダージリンは精神をすり減らしたのか!?

 何のためにプラウダは優勝をふいにしたのか!?

 俺のやったことはどれだけ罪深いことなのか!?

 

 

 

 ――月――日

 

 精神的なダメージで胃がメシャッとなって血を吐いた俺は病院に搬送されていた。報告を受けて陸に上がっていたパイセンがお見舞いに来てくれて、深々と謝罪されました。やめてください死んでしまいます(精神的ダメージ増)

 

 「何かできることはないか?何でも言って」と言われたので

 

 その罪悪感を解消させつつご厚意に全力で乗っからせてもらうことにした。

済まないパイセン。全部終わったら俺、全力でピロシキするから……。

 

 

 

 ――月――日

 

 パイセンの伝手で書類を用意してもらい、大洗に転校・編入する手続きを終えた。後は退院したらすぐにでも大洗に向かうだけでいい。

 

 

 

 

 

 原作スタートにはなんとか間に合いそうだ―――。

 

 

 

 




以上、「エミパート」でした。


続きがどういう方向をたどるのかは―――



これがシリーズ化したときにでも。
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