【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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※まほルート中等部三年生時期で、『夏に出会ったアンチョビとまめに連絡を取り合っていると発動しないトリガーとなっている』ため、多くの人が取り逃がすイベントです()


 このイベントが起きると愛里寿との決戦イベント前に様々な方向へのイベントトリガーが起きるため、別名「IFルート」とも言われています





 というファ〇通とかの攻略本風に言ってみる()


【まほルート閑話 IF:メリィィクリスマァァス(ヴァジュリーラ感) 】

 

 清なる星明りを受けて君は征く。電子的な明かりの無いこの闇の中を

 

 困ったような優しい目で。もろびとこぞる都会の街並みに背を向けて

 

 騒ぐ人並みを遠く向こうに。

 

 店先は光で満ちていて、きらめく町明かりは華やかだろう。俺も行きたかったなぁ……黒森峰のクリパ

 

 この聖夜の喧騒を、あのみぽりんの小さな肩を探してしまうのは間違いなく俺の性癖のせいだった。

 

 

 

「―――何をしているの?はぐれないように」

 

 

 

 振り向いて、言葉少なに君が言ふ。

 

 頷き返すと、すぐに前を向いてしまう。ただ一歩半だけ先に、それ以上離されないように必死でついていく。

 

 細心の注意を払いながら君は征く。

 

 

 

 

 聖夜の月明かりを受けて君はゆく。

 

 

 1歩半だけ先を、誰よりも優しく慎重に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ここから先は暗視ゴーグルと赤外線センサーを切り替えなさい。引っかかった瞬間警報が鳴り響きます」

「アッハイ」

 

 

 いつものピシッとしたスーツ姿から“そういう感じのお店で買ったようなミニスカサンタコス”で先を進んでいく西住流家元の言葉に死んだ目で返し俺は後を追いかけている。何で?(達観)

 

 

 

  *******

 

 

 

 ―――きっかけは、本当に些細なことだったのだ。

 

 

 

「エミ、そろそろクリスマスだな」

「……そういえばそんな時期だっけ……」

 

 まぽりんの言葉にそろそろそんな時期だっけ……?とはたと思いだす。日本という文化混合の極みでは仏教の本山だろうと何だろうとイルミネーションで彩られて聖夜を祝うし、除夜の鐘を聞いた足で神社に参拝して初詣に向かう。

 

 まぁ、クリスマスってパーティーする日って認識の連中多いだろうし、由来とか気にしない陽キャどもがウェーイ!!!してるイメージの日と言っていいだろう。

 

 

 「まほは西住家で過ごすのかい?」

 

 

 何気なく、本当に何気なくそんな風に言っただけだったのだ。まぽりんは当然という顔で「それはそうだろう」と答えてむふんと変わらない表情を微笑んだように口角をやや上げる。

 

 

「実家で穏やかに過ごしていないと、居場所がわからなければサンタさんが困るだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 ――― 一瞬、時が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 和気藹々と練習後の『乾杯』を終えて皆でノンアルを飲み交わして騒いでいた空気がガチで一瞬で凍り付いていた。青キジでも来たん?ヒエヒエの実食べた人でもおるん?ってレベルである。

 

 

「……サンタさん?」

「ああ、サンタさんだ」

 

 

 にこやかに微笑んでいるらしい表情?のまぽりんの単語が単語なだけに妙な狂気を感じなくもない。ネタなのか?と一瞬思ったが、どうもこの表情、ガチのようである。教えて有識者!!これどう答えるべきなの!?

 必死に視線を巡らせて同級生の方へと視線を巡らせると、全てをあきらめた表情で首を横に振っていた。その時思ったね「あ、これガチなやつなんだ」って(諦念)

 

 

「エミはどうなんだ?……あ、いや、済まない」

「あ、ああ、いいんだよ。気にしないでくれ」

 

 

 まぽりんが言いよどんだのは俺が孤児院から出てきて一人暮らしモードだということを聞いていたのを思い出したからだろう。

 正直その辺(俺の私生活)についてはクッソどーでもいい。何ならクリスマス限定のバイト入れて生活の足しにしようかなって思ってるくらいである。その上で、黒森峰のクリパとかあったら参加してもいいかなって程度である。

 

 

「そうか……孤児院にはサンタさんは来ないのか……」

「いや、来る人には来るんじゃないか?ウチは宗派が違うとかそういうので」

「宗派!?」

 

 

 めっちゃ余談だがクリスマスの語源は生誕祭。要はイエス様が生まれた日である。なのでカソリックとかプロテスタントとかそういうの抜きで宗派で差別されることは多分ない。

 

 

「―――では、今年は家で過ごすと良い。きっとサンタさんもエミを認識してくれるはずだ」

「――――――――――はい?」

 

 

 

 この時、一瞬思考がぶっ飛びすぎて間抜けな声で返答を返してしまったこと。

 その後、それを聞いた黒森峰メンバーの『乾杯ッ!!!』の声にかき消されて否定ができなかったこと。

 後日黒森峰のクリパ予定に対して「あ、天翔さんは西住家のクリスマスパーティの参加準備に全力を注いでください!」とシャットアウトされ外堀が完全に埋まってしまったことで、俺は西住家のパーティーに参加を余儀なくされたのだった。

 

 

 

 

 ――――で、“コレ”である。

 

 

 

 寝なれない布団で就寝中、夜中に不意に気配を察して目を開けてみれば目の前にいたのはクリスマスサンタコス家元(★5激レア)である。ぎょっと目を見開いてしまった結果真っ直ぐ「メトメガアウー」してしまい、しぽりんに「見てしまいましたね?」と静かな声色で言われた。

 

 ―――土下座で対応したのは間違いではなかったと思う。

 

「なんでもするんで見逃してください」と答えた結果が―――“コレ”であった。

 

 

 

  ********

 

 

 

 しぽりん曰く―――

 

・西住家の人間として、サンタとして娘たちにプレゼントを置いて来なければならない。

 

・娘たちの部屋に至る通路にはセキュリティが定まっており、それをオフにして万が一があった場合を考えるとオフにすることは現実的ではない。

 

・故にサンタクロースとして娘たちの部屋までの万難を潜り抜ける必要がある

 

 

 ―――なんでやねん。と思う反面、セキュリティを切る時間帯、日にちがわかっている状態だと襲撃の絶好のチャンスだからみぽりんまぽりんの安全のためにもそれはしょうがないと思うところも確かにある。むしろ切っちゃダメだねそれは(確信)

 

 

 で、年々手を変え品を変えセキュリティを刷新していることもあり、自在に動けるミニスカ服の方が動きやすいという理由で今この恰好なのだという。

 

 

 

―――で、それ他の用途はないんですよね?(純粋な目)

 

 とは聞けなかった。聞いたら死ぬ気様ながしたから(ガクガクブルブル)

 

 

 

 *******

 

 

 

 廊下の床上30cmの位置にルパンが金庫破る時ばりに張り巡らされた赤外線のレーザーを“天井に握力だけでへばりついて進む俺”というとてもシュールな光景を前に、「もう貴女一人で大丈夫じゃないかしら?」と観戦モードのしぽりんを背景に、一人プレゼントボックスを背中のリュックに背負ってひょこひょこと進む。

 

 

 

 

 ―――でも冷静に考えたらみぽりんの無防備な寝室に忍び込むとか罪深さMAXじゃない?ピロシキ不可避じゃない?

 

 

 

 

 そんなこんなを考えつつ、みぽりんの寝てるお部屋にDIVE-ONである。

 

 極力みぽりんのスヤァ姿を見ないようにプレゼントボックスを置いてミッションコンプリート。ゆっくりと蜘蛛男のように天井から垂らしたシルク布を使ってシルクドソレイユばりの上り下りで部屋からクールに去ったのであった。

 

 

 

 

 

 ところ変わってまぽりんの部屋。

 

 

 シンプルな家具を避けるように“天井の継ぎ目を指で掴んで身体を支えて蜘蛛のように進み”つつ冷静に「今の俺普通に変質者じゃね?」と考えたりしている。しぽりんから許可を貰ったとはいえこれはアカンのでは?アカンくない?

 みぽりんのときでもそうだったのだからまぽりんの寝間着姿とか見たら目を潰さなきゃいかんでしょ?眠ってて、どうぞ(切実)

 

 

 

「―――エミ?」

 

 

 

 今まさにプレゼントを置こうとまぽりんに接近した瞬間、すん、と鼻が軽く動いたと思えば、まぽりんがうっすらと瞳を開けたのだった。

 

 

 

 そうしてぱっちりと視線が交差してしまう。お互いの瞳の奥にお互いの顔が映っているのが見える距離感に「あ、これアカンやつや」感がすごい(語彙減少)

 

 

 

 感覚としてはバジリスクに見つめられている状態の如く、石のように微動だにせず、焦点が微妙に合っていない状態で胡乱な光を湛える瞳のまぽりんと見つめあうこと少々―――

 

 

 ―――――すっ と手を伸ばしてきたまぽりんに宙吊りの身分では対応も反応もできず

 

 

 

 

    ―――ぎゅぅと力いっぱい ではなく、 ふわりと柔らかく抱きしめられて布団の中に引きずり込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば……!!!?(混乱レベルMAX)

 

 

 

 

 

こ、これアカンやつや工藤!あすなろ抱きっていうレベルじゃねーぞワレェ!!ふにんとやわらかいこれはなんですかおやまですかそうですかヤベーイマジヤベーイハザードレベル急拡大急上昇!AreyouReady!?できてねーよクソが!!(ガキガキガキィィィン!!!)ああ畜生思考がまとまらねぇ!力もそんなに入れられねぇ!下手にパワー!!してしまってまぽりんが覚醒したらこの状況どう説明する!?どうにもなりません現実は非常である!回答3!グッバイポルナレフ!!おおおおおおおおおちけつ!仙道ならきっとなんとかしてくれる早く来てくれ仙道ー!!どうなってもしらんぞーー!!!(この間思考0.5秒)

 

 

 胃袋がギシリギシリと軋みを上げて「ホナ・・・マタ・・・」と言っているのがわかる。けれど考えても見てくれ、まぽりんと俺は今現在密着している。つまりこの状況で吐血した場合、まぽりんのお布団と寝巻が深紅に染まることになる。どこの殺人現場かと誤解しかねないレベルの惨劇は確定的に明らか!!

 

 

 

 結論!!『絶対に吐血してはいけないまぽりんの寝所24h(24時間とは言ってない)』開催。ガキの使いやあらへんぞワレェ!!(混乱)

 

 

 

 

 ―――こうして俺は己の内なる血液の逆流を気合と根性で抑え込みながら、まぽりんが目覚める前に帰還していない俺の様子に状況を察したしぽりんが助けに来るまで吐血を必死に耐え抜くことに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 余談ではあるが、救出劇の後に西住家のトイレでたまりにたまっていたイノナカ=ブラッドを吐き出して青い顔で西住家を後にした俺の様子にしぽりんが手をまわした結果―――俺の余命が西住家上層部に知られることになっていたことを、この時の俺は知らなかった。

 

 

 

 PS 帰宅後ごく自然な事故と見せかけるために決意の階段落ちを敢行。無事左腕部単純骨折と左肩亜脱臼のピロシキを行い、1月以降3か月の休養期間を余儀なくされ

 

 

 ―――なんか一人で俺を帰してしまった罪悪感からまぽりんが親身になってお世話モードに入った件。無限ループ(ピロシキ)ってこわくね?

 

 

 




はい、クリスマス短編です(強弁)


年内にまほルート更新できたらいいなぁ(願望)

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