【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】 作:米ビーバー
馬鹿な話が書きたかったのです。(シリアス方向書きすぎると馬鹿に振り切れたくなる中の人)
ピッ
ピッ
ピッ
ポーン……!!
皆様こんばんは。本日も始まりました『その時歴史がヒストリア』の時間です。
本日のテーマはこの人。
『 天翔 エミ 』
薄命であったことを惜しまれた悲運の装填手。彼女の生涯は、戦車道の歴史に名を刻んだ英傑の卵が多数輩出された時代と重なります。その中でも、ひときわ輝いた星々。
黒森峰の西住まほ、逸見エリカ。
聖グロリアーナのダージリン、アールグレイ。
プラウダの地吹雪のカチューシャ、ブリザードのノンナ。
継続の名無し。アンツィオのドゥーチェ・アンチョビ。
そして大洗女子の西住みほ及びあんこうチーム。
皆、彼女とほぼ同期の選手です。そして、彼女はこれらすべてと深いつながりを持っていたのです。ライバルであったり、あるいは親友であったり。その関係は様々ですが、とりわけ西住まほと対等の相棒であったという事実が、彼女の存在を強く歴史に刻みつけたと言えるでしょう。
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―――天翔エミ。
彼女の経歴は、九州の孤児院から始まります。孤児院に預けられる前の記録は残っておらず、だれが母親だったのか、父親は誰だったのか。それらは不明のままです。当局も調査を行いましたが、証拠となるものはつかめませんでした。
さて、孤児院で育った彼女ですが、まるで戦車道をやるために生まれてきたような子供だった。と、彼女の面倒を見ていた孤児院の院長は語ります。
子供たちが遊んでいるのをそっちのけで身体を鍛え、ストイックに戦車道に適した身体づくりというものを幼いながらに行う姿は、周囲から孤立するに足るものだったそうです。ですが、当人は気にした様子もなく、ただただ鍛錬を欠かすことなく続けていきました。
当時の院長が語るトレーニングの内容は、プロインストラクターですら「無茶苦茶だ」と言う程で、子供の認識でどれほどの無茶を行ってしまったのかと再現映像を作ろうとしたアクターの方々が本気で頭を抱えたという話があります。
時は流れ、天翔エミは黒森峰の中等部の門戸を叩きました。それと時を同じくして黒森峰の門を潜った女性が居ます。―――そう、西住流の体現者と呼ばれ、『雷神』『ヴィットマンの再来』と恐れられた、後の黒森峰隊長、西住まほです。
若者向けに描かれる絵物語などでは
「二人は出会った瞬間、お互いを認識し、互いに終生のライバルであり、切磋琢磨し合うことが可能なかけがえのない親友であると悟った」
というドラマティックな演出がありましたが―――実際はそうでもなかったようです。
というのも、天翔エミという少女。幼いころから行ってきたトレーニングにより成長ホルモンの偏重を招いてしまっていたらしく、体格が小学生のそれとあまり変わらない125cmほどしかなかったという記録があり……初めて戦車道の実習を行ったところ、西住まほの指揮する戦車に乗り合わせましたが、高速で動く戦車の中で姿勢を保てず、思ったように装填ができなかったそうです。もちろんまともな戦いになどなるはずもなく、天翔エミは西住まほと同じ戦車から外され、所謂『ファーム落ち』と同じ扱いを受けます。
ですが、ここで天翔エミはその短い戦車道選手生命において彼女の最も信頼するメンバーである【フリューゲル小隊】の面々と出会うのでした。
『あの日戦車道を辞めようと思っていた私が、今操縦手として大成できたのは、ひとえにあの時天翔エミさんに出会えたからなのです』~フリューゲル小隊操縦手~
『彼女は私に砲手としての自信を与えてくれました。彼女がいなければ、私はきっと黒森峰の落ちこぼれの中で腐り果てるまでずっとあのままだったでしょう』~フリューゲル小隊砲手~
『彼女がいたから黒森峰はああなった。けれど彼女が居なかったら黒森峰の今はきっとなかった』~フリューゲル小隊通信手~
『いつもいつも唐突に、相談もせずに無茶なことばっかりするんですよあの人。それでも、あの人がいないとなんか違うんですよ。でもお願いだから相談して?』~フリューゲル小隊車長~
月間戦車道のインタビューで語られた各メンバーの言葉は、皆から慕われていた天翔エミの人柄がよくわかるものとして黒森峰を題材とした作品などで度々引用されています。
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彼女を語る上で欠かせない言葉が、そう
『乾杯(プロージット)!!』
今でも黒森峰の名物となっている練習後、試合後の宴での掛け声。これは天翔エミが始めたものだと言われています。
『戦車道は礼で始まり、礼で終わる。が、試合や練習だけが戦車道じゃない。試合や練習のあとに、それに携わったすべての人間を労うこと。これが重要なことなのだ』
皆の「和」を大切にした言葉として、天翔エミの名言が黒森峰に伝わっています。
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天翔エミの転機であり、また西住まほの転機ともいえる「紅白戦」を経て、天翔エミの人生は激動期に入ります。
西住まほとの和解。そして西住まほとの切磋琢磨の日々。
平均レベルより頭二つは余裕で抜けている黒森峰の実力者と日夜繰り返された戦いにより、フリューゲル小隊の経験はパワーレベリングよりもはるかに早く極まっていきます。
そして天翔エミのエピソードと言えば5本の指に入るであろう名場面。
西住まほを語る上でも決して外せないエピソードになりますが……
ある日、フリューゲル小隊といつものように試合終了までに決着をつけることができなかった西住まほは、打ち上げの時に天翔エミとどちらが勝ったかの口論を始めてしまいます。そして勢いに任せて「自分がフラッグであれば試合に負けていない」と豪語しました。それを耳にして黙っていられないのが上級生です。自分たちより格上だと豪語する西住まほを全員で懲らしめてやろうと意気込んで彼女を呼びつけ、強引に試合を組むのでした。
集まりに集まった戦車の総数、実に大小30輛。対するは西住まほのティーガーⅠ。流石に分が悪く、それでも表情を崩さないのが西住家とばかりに無表情の西住まほでしたが、内心では覚悟を決めていたと言われています。
そんな西住まほが絶望的な戦いに臨まんとする直前。戦場に一輛の戦車が割って入りました。
重駆逐戦車ヤークトティーガーと、その上に軍神立ちする天翔エミでした。
心強い味方を得た西住まほはなんと、天翔エミと二人で30輛からなる上級生チームを全て撃破し、逆に黒森峰隊長と副隊長の座をなし崩しに手に入れることに成功したのでした。
天翔エミはライバルである西住まほの窮地に居てもたってもいられなくなり、強引にメンバーを引きずって援軍に駆け付けたということで、天翔エミの西住まほへの想いがよくわかるエピソードとなっています。
情に厚く、仲間想い、そして努力家な装填手。天翔エミ。
次回のエピソードは彼女が独学で作り上げ完成させたと言われている
『西住家翻訳システム』から語っていきたいと思います。
では、また次回のお時間に――――
NSK(日本戦車道協会)協賛 『その時歴史がヒストリア』製作委員会
参考文書:『西住家歳時記』 『西住まほの日記』
『黒森峰戦車道科の記録』 『アールグレイはかく語りき』
『ドゥーチェアンチョビの我が半生』 『大洗女学園活動記録』
『漫画:フリューゲル小隊、発進します』 etc……
これを見たエミカスの反応?これを見る頃には寿命で逝っているのでそもそも見れない。
もし見たら?訂正を求めて凸しつつ吐血して内臓吐いて死ぬんじゃないかな?(本家様の設定を見る限り)