IS・ALUTIAUSS〈インフィニット・ストラトス アルティウス〉   作:ZERO式

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第1話 女言うな!!

4月某日。

快晴に晴れ渡る青空が素晴らしいこの日、オレは今……バカでかい建物の前にいた。

 

 

「……よりにもよってこんな場違いな所に来るハメになるなんで……」

 

普通なら男のオレがこんな場所に訪れる用事も理由も一切ないこの大規模な建物。

 

オレは頬を叩いて覚悟を決め、その建物の前にそびえ立つ門をくぐり抜け、そこへ入っていく。

 

 

──IS学園に。

 

 

『IS』……正式名称は『インフィニット・ストラトス』。

 

宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツの略だ。しかし、宇宙への進出は進まずにスペックを持て余したこの機械は『兵器』へと変わり、各国の思惑から『スポーツ』としてひとまず落ち着いた。

 

まぁ所謂(いわゆる)飛行パワードスーツだ。

しかし……このISには致命的な欠陥がある。

それは……男には使えない、ということだ。

 

「そのはずだったんだけど……」

 

 

稀代の天才科学者である篠ノ之束博士と繋がりがあったオレは、小さい頃から束博士──束がISを発表する前からお世話になっていた。

 

なぜかというと……。オレの両親はある爆弾テロに巻き込まれて還らぬ人となったからだ。偶然、母が束と知り合いだったために幼いオレは束に育てられた。

それから束がISを発表してあの『白騎士事件』が起きて以来……。

 

オレと束は世界各国をバレないように旅(?)をした。その間にオレは束が開発したある機体のプロトタイプを起動させてしまい……現在に至る訳なのだよワトソンくん。

 

ワトソン……だれだ?

 

◇◆◇◆

 

 

「今日は転校生を紹介します」

 

この1年1組の副担任、山田真耶先生がクラスの皆を見渡して告げる。

 

「転校生?」

 

「昨日2組に来たばっかりだよね」

 

「確かここって転入の条件がかなり厳しかったような……。そもそも試験自体、国の推薦がないとできないはずなんじゃないですか?」

 

このクラス唯一の男、織斑一夏が山田先生に訊ねた。

 

「まぁそうなんですが……。日本政府の推薦です、では入ってきてください」

 

オレは意を決してクラスのドアを開けて中へと入る

その瞬間、ざわめいてたクラスが静かになった。

 

「櫻井桜萪です。不慣れな事が多いけど、これからよろしくお願いします」

 

簡単な自己紹介をして頭をペコリと下げる。

うん、これで良いはずだ。

 

「お、女の子?」

 

カチン。

 

「誰が女かぁ!!れっきとした男だよ!!」

 

オレのコンプレックス……それは、顔立ちが女の子っぽい事。(ちまた)でいう『男の娘』という部類に入るらしい。

 

「「「ええぇぇぇぇぇ!?」」」

 

それってどっちに対しての反応!?

 

「嘘っ!?男装した女子じゃないの!?」

 

だから違うって!

 

「でも見た目はクール系女子だよねー」

 

「男の娘……。じゅるり……」

 

……あえて最後のはスルーさせてもらおう。

 

「まさか織斑君以外にもISを使える男子が現れるとは……」

 

あぁ、それそれ、やっとまともな反応がきたよ。

 

まぁ確かに疑いたくもなるだろうよ?顔立ちも女の子っぽい……。名前さえ女の子みたいだし!!

『桜萪』っておもいっきり女の子じゃんか!!

せめて名前は男っぽいのが良かったよ母さん……。

 

「はぁ……。山田先生、オレの席はどこですか?」

 

「え!え、えぇと……」

 

なぜそんなに驚く?

意味が分からん……。

 

「櫻井の席は……一番後ろの窓側の席だ」

 

左を振り向くとそこには壁に寄り掛かった黒のタイトスカート姿の女性がいた。

 

「ありがとうございます織斑先生」

 

織斑千冬……第一世代型IS操縦者で元日本代表。そして同時に世界王者<ブリュンヒルデ>の称号を持つ最強の女性でもある。

 

現役時代は公式戦完全無敗という伝説的かつチートな強さを誇ったが、ある日突然引退してしまい、以後その舞台から姿を消した。そして今はどういう訳か知らないがIS学園の教師をしている。

 

お気付きかもしれないが、名字からも分かるように織斑一夏の実姉だ。オレも束の所にいたから面識はあるし色々と世話にもなった。

 

「ふん……。では授業を始めるぞ」

 

千冬姉のお怒りに触れないうちにさっさと席に着こう。確か一番後ろの窓側の席だったな。

オレは大人しくとことこと自分の席に向かい席に着くことにした。

 

「ふ~」

 

「ふぁ~……これからよろしくね~」

 

ん?

お隣さんか。ずいぶんゆったりした人、という第一印象だ。

 

「あ、あぁ……。まだ不慣れだから、隣同士頼むわ」

 

「任せて~。私は布仏本音だよ~」

 

「よろしくな本音さん」

 

「こちらこそお~ちゃん」

 

お~ちゃんとな?

桜萪だからかいな……。

 

「それじゃ私はねりゅ~。……グー……グー…」

 

寝るんかい!

見た目だけじゃなく、性格もずいぶんとマイペースな……のほほ~んとし過ぎだよあなた。

 

「とはいえ……。ISの事は分かっているんだよな」

 

オレ自身も束の所にいたから原理とか動かし方は分かるし、千冬さんからもISバトルのルールや戦い方も教えてもらった。

 

「結論……オレも寝るZE☆」

 

結局、オレはのほほんさん(命名)を見習って、ぐっすりと眠る事にしたのであった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

授業が終わりお昼休み。いい感じに腹の虫が鳴き始めた。

 

 

「お~ちゃ~ん」

 

「どうした?」

 

「これから一緒にお昼食べない?」

 

お昼ご飯……。なんて素晴らしい響きなんだ。

 

「よし、案内してくれ」

 

「うりゅ~。了解なのだ~」

 

そう言ってのほほんさんは先頭に立って食堂へと向かった。

 

「おそっ!!」

 

かなりノロノロだったが。

 

「スローモーションですか!!」

 

それから10分後。なんとか食堂に到着しましたよ……。

 

「うわ……。めっちゃ可愛い」

 

「なになに?男子の制服のコスプレ?」

 

食堂に入って来てそうそう女子に囲まれました。そこ、羨ましい言うな!

 

「誰が女かぁ!コスプレでもない!今日、転校してきた櫻井桜萪だ!男です男!!」

 

大事だから2回言いましたよ?そして声張り上げたから、喉が痛いですわ……。

 

「めっちゃ美形じゃん」

 

「すご~い!2人目の男子!」

 

そんなにすごいのか……よく分からんし、実感ね~よ。

 

「あ、あの……握手して!」

 

そう言いながら半ば強引に握手させられた。

 

「わ、私も!」

 

「わ~♪お~ちゃん人気者だね~」

 

「こらこらのほほんさん!見てるなら助けて~!」

 

それからさらに10分後、やっと飯にありつけた。

 

「あ~。……だるいわ」

 

「お疲れ~」

 

ポンポンとオレの背中を叩くのほほんさん。するとそこへある人物が近づいてきた。

 

「久しぶりだな桜萪」

 

ん?この懐かしい声、そういえばいたの忘れてたわ……。

 

「おぉ一夏!しばらく見ないうちに背ぇ高くなったな」

 

「そうか?あまり自分では分からないな。というか、同じクラスだろ?」

 

「……相変わらず女みたいだなお前は」

 

この野郎箒……!人が気にしていることを……!

 

「いちいち人のコンプレックスを言うな!久しぶりの再会なのによ~」

 

そう、オレたち3人は篠ノ之道場以来の再会だ。しかし、箒は束がISを発表して重要保護プログラムで各地を転々として、一夏は千冬姉がIS代表だったため、大体一人暮らし状態。

オレは束とともにとんずらしてました。

 

「まぁお互いに再会できたからな?そう歪みあうなよ」

 

すかさず一夏が割って入ってきた。一夏よ、すまぬ。

 

「ちょっと一夏!何をやってるのよ!」

 

すると一夏の後ろから、ズカズカとツインテールの女の子がこちらに向かってきた。ツインテールで活発的な子だな。

 

「……?あんた……。何コスプレしてんのよ 」

 

……カッチ~ン。

 

「だぁれがコスプレじゃ!正真正銘の男だ!」

 

あぁ、今日でこれ何回言っただろう?もうこのツッコミしたく ない。

 

「え?じゃあ1組に転校してきた男子って……」

 

「はぁ。女みたいで悪いね……。オレは櫻井桜萪だ。よろしく」

 

「勘違いしてごめんなさいね。中国の代表候補生の凰鈴音よ。こちらこそよろしく」

 

ふむ、代表候補生か……。確か同じクラスにイギリスの代表候補生もいたな。名前はセシリア・オルコット……だったかな?休み時間に軽く話したよ。

 

お嬢様な感じだが、まぁ嫌いではない。結構話があったしな。所持している自身の専用機の事もデータを見せてもらいながら、色々と趣味の事も語った。やはり代表候補生なだけあって、話の内容が高度だったなー。

 

 

◇◆◇◆

 

 

それからあっという間に放課後になった。今は一夏や箒達と別れて、山田先生に指定された寮の部屋の前に立っている。

 

 

「ここがオレの部屋か……。なんかドキドキするな」

 

できれば1人部屋がいいんだが、生憎部屋が空いていないとのこと。でもルームメイトが誰かは知らされてないんだよな。というか、一夏との部屋でも良くないか?

 

「入るか」

 

ガチャリ。

 

「わぁ……。広いな。……2人部屋だし」

 

残念オレ!

しかも同居人は一夏じゃなくて女子な訳だしな……。なんか気まずいな。

 

「今は……。シャワーでも浴びてんのか?」

 

奥のシャワー室から水の出る音と弾く音がするから間違いないだろう。

 

──ガチャリ。

 

「あれぇ……?」

 

ドアが開いた音に反応してシャワー室の方を振り向く。そして現れたのは……な、なな、なんと!

 

「の、ほほん……さん?」

 

しかもバスタオル1枚……のみ。あらー?まずいでしょこれ!?

 

「な、なんでお~ちゃんが?」

 

「え~……とりあえず服を着てくれないか?」

 

「ふぇ……?……あ」

 

ようやく現状を理解したのかのほほんさんは顔を赤くして急ぎ足で自分のベッドに向かった。のほほんさんって、結構胸あるんだな──あ、いかんいかん。

 

「着替え終わるまで……反対側見てるから」

 

「う、うん……」

 

 

沈黙の中……擦れる布の音にオレはもう心臓の鼓動がピーク。血が巡りすぎて体が熱い熱い。

 

(気まずい!非 常に気まずいぞ!?オレだって健全な15歳の男子なんだ……この状況は……自殺行為!)

 

なーんて、事を1人考えていると……。

 

「い、いいよ……」

 

恐る恐る振り向くと、そこにはキツネのようなキャラクターのすっぽり着るタイプのパジャマを着たのほほんがいた。まだほんのりと頬が赤いのは気のせいではないだろう。

 

「え……え~と……。オレもこの部屋になったんだ」

 

「そ、そうなんだぁ……」

 

「うん……。あ、あと、さっきはごめんな」

 

「ううん。お~ちゃんは謝る必要ないよぉ?タイミングが悪かっただけたからぁ」

 

相変わらずのほほんとした口調で許してくれるのほほんさん。しかし、やっぱり顔は赤かった。

 

「あ、ありがとう……」

 

「いえいえ~」

 

うーん、先行きなんかちょっと不安だなぁ……。

 

コンコン。

 

「お?誰だ?」

 

玄関に行きドアを開けると、そこにはクラスの女子数人がいた。名前はまだ分からないけど、クラスにいた人達ってのは覚えてる。

 

「こ、こんばんは……」

 

「お、おう。のほほんさんに用なら中にいるよ?」

 

オレは彼女たちを中に入れるように後ろに下がり手招きした。

 

「お、お邪魔します」

 

ゾロゾロと部屋に入ってくる彼女達。えーと、6人か。まぁ女子ならこれくらいで来るだろうな。

 

「ねぇねぇ櫻井君」

 

「なに?」

 

「これ着て!」

 

ぐいっ渡された紙袋を受け取り、その中身を見てオレは唖然としてしまった。

 

「……これ?」

 

そりゃ唖然とするだろう。なんせ、中身がなんとメイド服だったのだから。

 

「うん♪」

 

「断固拒否!!」

 

嫌がらせか貴様等ー!!

 

「「「「えぇぇぇぇ!」」」」

 

こっちがえぇぇぇぇ!だよ!

 

「なんでメイド服!?てか、よく持ってたなオイ!!」

 

「ちょうど通販で買ったからさ~♪フリーサイズだよ。」

 

「そういう問題じゃないよ?なんで男のオレがメイド服を着なきゃならん!」

 

彼女たちはお互いに顔をあわせるとはっきりと言い切った……。

 

「「「「 櫻井君可愛いからだよ」」」」

 

ユニゾンすんな!

 

「ダメ?」

 

そ、そんな捨てられた子猫みたいな瞳で見るなよご一同様……。

 

「はぁ……。お前ら後悔させてやる」

 

顔はどうあれ!似合わぬという事を!

そう思いながらシ ャワー室に入りメイド服を着用。ていうか、なんかあんまりにも用意がいいなあの人。

 

ガチャリ。

 

「着たぞ……。やっぱり似合わないな」

 

「……。……いい」

 

はい?

 

「可愛い!!」

 

嘘だぁー!!!

 

「めっちゃ似合ってるよ!」

 

「写メ撮らせて~!」

 

「ふざけんな!写メは禁止だ!」

 

こんな恥ずかしい写メを誰かに見られてみろ!?オレは女装が趣味の変態というレッテルを貼られる事になる!!

 

「とにかくダメ──」

 

カシャッ。

ピロリン♪

 

「……え?」

 

「ふっふっふ……。ゲット!」

 

 

終わった……。オレの人生終わった。あぁ、短かったなオレの学生生活……。

 

「それじゃ帰るね~。バイバ~イ」

 

バタン……。

 

「早速いじめか……?」

 

「お~ちゃん……?」

 

「話しかけないでくれ。……オレは寝る」

 

そう言ってオレはシャワー室に入りメイド服を脱ぐと、スウェットに着替えて、シャワー室から出てそのままベッドに潜り込んだ。

 

「あぁ気分悪い……」

 

 

「お~──」

 

「話しかけんな。……人を着せ替え人形にされたあげく写メまで撮られてよ……。まったく最悪な所に来ちまった……胸くそわりぃ」

 

束の所に戻るかな……。

 

「うぐっ……。ひぐっ……」

 

……え?

 

「ごべんになざい……。ひぐっ……。うぅ……」

 

「ちょ……!な、泣くなよ!」

 

のほほんさんが大粒の涙を流しながら泣いていた。やらかしてしまった……。泣かせるつもりはなかったんだ。ただ……反省してほしくて……。

 

「だっで……。うぐっ……。ひぐっ……」

 

「あ~もう!分かったから!許すから泣き止んでくれ!」

 

そしてオレは無意識にのほほんさんを抱き締めていた。なんで抱き締めるという行為をしたのかは分からないが、なんか体が動いたのだ。

 

「ふぇ……?」

 

「泣かしたのは悪かった……。でも、人が嫌がる事を自分たちの興味でやらないでくれ……。それがどれだけ傷つけるか……」

 

「ごめんなさい……」

 

「分かればいいさ……」

 

それからオレはのほほんさんを5、6分くらい抱き締め慰めた。

 

◇◆◇◆

 

 

次の日。

 

「櫻井くん……」

 

「んぁ?」

 

オレが自分の机で携帯をいじってると、昨日の女子6人がぞろぞろとこちらに向かってきて、一列に並んだ。

 

「何の用?」

 

昨日のメイド服の事を思いだし、ついきつい口調になってしまった。いかん、冷静になれオレ。

 

「き、昨日はごめんなさい……」

 

「櫻井くんの気持ちも分からないで、自分たちのわがままで」

 

「調子に乗ってました……」

 

あらま。これは予想外な展開だな。

 

「写メはどうした?」

 

「だ、誰にも見せてないよ!」

 

「それに消したし!」

 

ならいいけど。とりあえずあれは黒歴史になっちまったからな。

 

「まぁ。うん、そこまで言うから許すよ。次したらデコピンな」

 

まぁあまり根に持ちたくない。ひとまず許す事にしよう。

 

「う、うん!」

 

「もうしないよ」

 

「だから……仲良くしてもらいたいな。……ダメかな?」

 

「うん?もちろん良いに決まってるよ。よろしくね。」

 

「!!ありがとう!」

 

「お~ちゃんは優しいね」

 

オレの学園生活は最初ヒヤヒヤしたけど、これでようやく順風満帆に安心して、この3年間を楽しめそうだな。

 

「全員席につけ。HRを始める」

 

おっと。どうやら千冬姉が来たようだ。皆急いで自分の席に行ったし。

 

「さ~て、今日も頑張りますか!!」

 

「朝からうるさいぞ櫻井。黙れ」

 

バシーン!

 

「あいたぁぁぁあ!!!」




はい、始まりましたIS・ALUTIAUSS。
所々ではありますが、表現の一部を変更したり追加したりしてハーメルン版として書いていこうと思います。
では、第二話で。
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