IS・ALUTIAUSS〈インフィニット・ストラトス アルティウス〉   作:ZERO式

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第4話 金髪美少年貴公子現る!

6月某日。

春の柔らかな暖かい陽気から、梅雨のじめじめ感を感じてきた今日この頃。

 

「なぁ一夏」

 

「なんだ桜萪?」

 

「クラスの女子が騒いでいる理由……。分かるか?」

 

「分からん」

 

……ですよね。てかなんでこんな朝っぱらから騒いでいるの?ただし、箒とセシリアを除く(鈴は別クラスなのでカウント無し)。

 

「そんなに知りたいお~ちゃん?」

 

「おぉ、のほほんさん。それは是非とも教えて欲しいね」

 

「ふっふっふ~。なんと転校生が来るみたいなのですよ~」

 

転校生?オレや鈴が転校してきてからそんなに経ってないが。あ、話は変わるがクラス対抗戦以降、セカンド幼なじみ事、凰鈴音の呼び方を鈴音から鈴へと昇格できた。なかなかな進展じゃない?

さて、話は戻してそれから10分後。

 

「今日は転校生を紹介します!では入って来てください」

 

朝のHRが始まり、教卓に立った山田先生がそう言ったあと、教室に噂の転校生が入ってきた。だが……その転校生の姿にクラス全員が固まった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。よろしくお願いします」

 

「え……?男の子?」

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいるときいたので、本国より転入を──」

 

「キャァァァァァァァ!!」

 

「えっ?」

 

クラスの爆発的な絶叫にちょっと困惑する転校生のシャルル君。まぁ女子のこの反応はなぁ……。

 

「男子よ男子!3人目の!」

 

「それもブロンド貴公子!守ってあげたくなるほどの!」

 

「あ、あは……。えっと……。君が織斑一夏くん?」

 

苦笑いを浮かべていたシャルルだったが、ちょうど前の席にいた一夏と目が合い、早速話しかけた。

 

「そうだ。お互いこれから大変だがまぁ頑張ろう」

 

「おいコラ一夏、オレも忘れんな!」

 

すかさずオレは後ろから叫ぶ。このオレを忘れるとはけしからん。

 

「わりぃわりぃ。あいつは櫻井桜萪。オレとシャルルと同じ男でISを使える男子だ」

 

「そうなんだ。とっても綺麗だね」

 

「女の子じゃないからな!そこは分かってくれ!」

 

「ふふふ♪大丈夫だよ。心配しないで櫻井くん」

 

ニコッととても柔和な笑みを見せるシャルル。うっ!なんて天使スマイルなんだ!こりゃ貴公子って感じだなオイ。

 

「オレのことは桜萪でいいぞ」

 

「オレも一夏でいい」

 

「分かった。僕のこともシャルルって呼んで。」

 

「オーケー──って!やばっ!早く着替えなきゃ」

 

そう言って一夏は慌てながらシャルルの手を引いて教室から出た。なぜか女子が騒いでるが、気にしない気にしない。

 

「そういえば朝から実習だったな……。オレも行かなきゃ」

 

席を立ってオレは先に更衣室へと向かった2人の後を追った。遅刻したらシャレにならん。なんせ、千冬姉の授業だからな。遅れたらどんなペナルティを言い渡されるか分からん。

 

「一夏ー、シャルルー!オレを置いて先に行くなこの野郎」

 

「悪い悪い、まぁそう怒るな」

 

「2人は仲が良いんだね」

 

「まぁな。桜萪も転校生だったんだ」

 

「シャルルより先にね~」

 

「そうなんだ。やっぱり最初は大変だった?」

 

「まぁ慣れない環境だしね」

 

 

数少ない男子だからか、オレ達は意気投合し、話をしながら更衣室へと向かう。だが、こういう時ってのは必ず邪魔が入るもんだ……。

 

「あっ!いたいた!」

 

「織斑くんと桜萪くんとデュノアくん!」

 

ほら、言った通り。あっという間に学園中の女子の団体に囲まれてしまった。いやはや……女子とはなかなか恐ろしく速い情報網をお持ちのようだ。

 

「織斑くんの黒髪や桜萪くんの青髪もいいけど、デュノアくんの金髪もそそる~」

 

「者共~!出合え出合え~!」

 

ここは武家屋敷か!?曲者はどこぞ!!あ、オレ達か──って、違う!!

 

「一夏!ここは強行突破指令を発令する!」

 

「了解だ桜萪!シャルルちょっとすまん。」

 

「えっ?な──わっ!」

 

一夏はシャルルをひょいっと軽々抱き上げると、先頭を走り右にあった廊下に曲がってアリーナへ向かった。

 

「んじゃ。また来週~」

 

オレも一夏と同じく全速力でアリーナへと向かう。じゃないとあの女子生徒達に質問責めにあって、授業に遅れるしな。

その甲斐があってか、なんとか授業開始前に更衣室に到着できた。

 

「ふぅ~。やっと到着だし」

 

「桜萪!早く着替えなきゃヤバイぞ!」

 

「うっそ!説教+校庭100周になっちまう!」

 

それだけは御免だ。ババッとオレと一夏が上着を脱ぎ始めると……。

 

「わっ!……っ!」

 

突然シャルルが顔を覆いながら、後ろを向いてしまった。……なぜに?

 

「ん?早く着替えなきゃ間に合わないぞ?」

 

「う、うん!着替えるからさ……。2人ともそっち向いてて?」

 

「まぁ見る気はないけどさ」

 

「さすがに男の着替えを見て興奮する程、オレは堕ちてない」

 

てか、男が男に欲情するってどうよ?残念ながらオレはおホモだちではない。至って健全な15歳男子である。

 

「い、いいよ」

 

「ありゃシャルル。お前着替えるの早いな」

 

「なんかコツとかあんのか?」

 

「えっ?ま、まぁ慣れかな?アハハ~」

 

「?」

 

後ろを向いた時間は1、2分くらいだったんだが……はて?でもコツがあるならご教授願いたいものだ。とか言いながらも、オレも一夏も着替え終わったし。

 

「よっしゃダッシュだ一夏!」

 

「おう!」

 

「ち、ちょっと~!待って~!」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ではこれより訓練を始める。凰とオルコット、前へ出ろ」

 

さて、なんとかチャイム前に間に合った。今日の実習では2組との合同訓練なので鈴もいる。

 

「なんかやる気なさそ~な感じだな2人と──ん?」

 

相変わらず乗り気じゃない2人に千冬姉がなんか言ったら、いきなりやる気度MAXになった。な、なんだこの180度チェンジは。

 

「なぁのほほんさんよ~」

 

「なにお~ちゃん?」

 

「アレは何をしたんだ?」

 

「えへへ~。女の子の特権だよ~」

 

「特権……?」

 

そう言ってのほほんは、口の前に人差し指を持ってきて可愛くウインクする。というか、特権って……なんぞや?

 

「で?2人でやるわ──」

 

ヒイィィィィィン──。

 

な、なんだ?この空を切るような音は……。なんか、嫌な予感がしてたまらない。

 

「きゃあぁぁぁぁ!退いてくださ~い!!」

 

「山田先生!?」

 

見上げるとISを装着した山田先生が、回転しながら落ちてきていた!がそしてそのまま山田先生は……。

 

「うわあぁぁぁぁ!!」

 

ズドォォォン!

 

……一夏に墜落した。

 

「──って、解説してる場合じゃない!一夏!?大丈夫か!?」

 

我に返ったオレは急いで一夏のもとへ向かう。まさかの一夏に直撃なんだもの。

 

「一夏ぁ!生きてる──どわぉ!?」

 

オレがこんなにもすっとんきょうな声を出して驚いた理由……。それは一夏が山田先生に倒れている状態で、山田先生の胸を鷲掴みしているのだ!

 

「そ、その……。織斑くん困りますぅ……。わ、私たちは生徒と先生の関係な訳で……。あぁでもこのままいけば織斑先生が御姉様という事に──」

 

ちょっ……!とりあえず先生落ち着け!頬を染めている場合じゃないよ?そして一夏は早く山田先生の上から退きなさい!

 

「わぁ!す、すみませ──。」

 

ビシュンッ!

 

一夏が急いで山田先生から放れると、先程まで一夏の頭のあった場所をレーザーが通過した。

 

「オホホホ……。外してしまいましたわ。」

 

せ……セシリアさん?

オレの気のせいでしょうか?どす黒いオーラが出ているように見えるのですが……。

 

ガシャン。

 

……ガシャン?この連結音、どこかで聞いたことがあるぞ?えっと、確か……連結音は、鈴のISの武器と同じような……。

 

「いぃぃちかぁぁぁあ!」

 

見ると鈴が甲龍を装着して、巨大な刀<双天牙月>を一夏に投げていたところだった。

 

「って!一夏ぁ!」

 

ドン!ドン!

 

何か大きな音がしたと思ったら、一夏の目の前に双天牙月が突き刺さっていた。え?今何があったんだ?

 

「え?…………マジですか?」

 

なんと山田先生が先程の体勢から上半身だけをあげて、アサルトライフルで双天牙月を撃ち落としたのだ。何という腕前だろうか。

 

「大丈夫ですか?織斑くん」

 

「は、はい……。ありがとうございます」

 

一夏も驚いてるみたいだな。まぁそりゃ、確か一夏の入学試験の時の対戦相手が山田先生って言ってたしな。尚更だろうね。

 

「と、とりあえず、はい」

 

「あ、うん……ありがと」

 

オレは右腕のみを部分展開し、地面に突き刺さった双天牙月を引っこ抜き、呆然としていた鈴に渡した。まぁ、まさかあんな事されるなんて思ってもみなかっただろうな。

 

さて、話は進みセシリアと鈴は山田先生と2対1で対戦することになり……。

見事にフルボッコにされて終わった。さすが元日本代表候補生と言ったところか。いつもの態度や言動とはまったく違っていてびっくりしたよ。

 

「では専用機持ちはそれぞれ班に別れて教えてやれ」

 

千冬姉の一言でオレたちは5つのグループになって1組+2組の生徒何名かを教えることになった。

 

「よろしくね櫻井くん♪」

 

「色々教えてね」

 

「その美貌の秘密とか……」

 

「それISに関係なくね!?」

 

「乙女には関係大有りだよ~!」

 

「さいですか……?」

 

「さいです」

 

 

勘弁してくれ。てかもう怒るのも憂鬱だ。

 

 

「え~と……。一夏とシャルルはどうかな?」

 

……はい。振り返った先には見事に女子に囲まれた一夏とシャルルがいましたよ。まぁオレもだけどさ~。

 

「シャルルはこれから苦労するな~」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「では解散」

 

トラブルも起きずになんとか無事に授業が終わった。うーん、人に教えるってのはなかなか難しいね。

 

「お~ちゃんお~ちゃん♪」

 

練習機であるラファール・リヴァイヴを専用カートに格納させていると、ひょこひょことのほほんさんが女子数名をつれて近づいてきた。いずれも同じクラスの女子生徒である。どうしたんだろ?

 

「ん?なんだいのほほんさん?そして皆も」

 

オレはアルティウスを解除し、くぁーっと背伸びしながら訊ねた。

 

「わぁ……。櫻井くんの腕」

 

「義手、だよね?」

 

まじまじとオレの左腕を見てくる我がクラスメイト達。あ、そういえば話してなかったな。

 

「ちょっと昔……。事故に巻き込まれてな」

 

本当の事はあまり言いたくないかも。言っても何の特にならないしな。

 

「……い」

 

「え?」

 

「「かっこいい!」」

 

女子2人……え~と岸里さんと佐藤さんだっけ?いきなり大声を出したと思ったら義手を触り始めた。

 

「えっ……。ちょっと……」

 

「すご~い♪初めて義手見たよ~」

 

「ねぇねぇ!なんか仕掛けないの?」

 

佐藤さんが目をキラキラとさせながら訊ねてくる。というか、仕掛けとな?ん~……。

 

「分からないなぁ」

 

「え~なんかないの?ロケットパンチとかさー」

 

「どこぞのロボットアニメだよ!?」

 

これまた懐かしい類いの技をチョイスしてきましたなぁ。

 

「ち、ちょっと~。みんな話が反れてるよぉ」

 

ここでちょっと空気になってしまっていたのほほんさんが話に区切りをつける。うん、ナイスだのほほんさん。

 

「あぁ、ゴメンゴメン」

 

「ついつい……」

 

ふーむ、義手ってそんなに珍しいのかな?まぁ普通の生活してたらあんまり見ないよな。

 

「良かったら私達とお昼ごはん食べない?」

 

岸里さんがウインクしながらそう言った。あらま、まさかランチのお誘いを受けるとは思わなんだ。

 

「別に構わないけど……。オレなんかと食べて楽しいの?」

 

「「「そりゃめっちゃ!!」」」

 

ずずいっ!と迫りながら力強く言った。オレ以外にも一夏やシャルルがいるのになぁ。オレと食べて何が得なんだ?不思議なものだな女子というのは。

 

「そ、そっか……。んじゃ行くか」

 

そうと決まれば早く行かなきゃな。じゃないと食堂混んじゃうし。何より腹ペコだ。今ならラーメン3杯はいけるな。

 

「んじゃ行こ~♪」

 

ほほんさんが右腕、岸里さんが左腕、佐藤さんが背中を押してくる。

 

「お、おいっ」

 

「ん?何?」

 

「あんまり急かさんでくれよ」

 

リヴァイヴを乗せたカートを専用倉庫に収納し、オレは3人に囲まれながら食堂へと向かった。到着してみると運が良かったのかテーブル席が1つ空いており、オレ達はそこで食べることにした。

そして、早速昼飯を食べております。

 

「うめ~♪」

 

さて、今日のオレの昼飯はこれだ。ラーメン、中華丼、鶏肉のしょうが焼き。

 

「わぁ~……。桜井くんって顔に似合わず沢山食べるんだね」

 

「顔に似合わずってなんだよ?男だし結構食べるよオレは」

 

昔からよく食べるくせに太らないのは幸いだ。こんなこと女子の前で言ったら後で体育館の裏に呼ばれてしまう。

 

「いいなぁ。太らない体質でさ」

 

「本当よね~」

 

ちなみに、岸里さんと佐藤さんが食べているのはサンドイッチと焼きそばだ。女子ってそんなに少ないのでよく夕飯までもつよな。

 

「私のも美味し~よぉ~」

 

さて、隣に座るのほほんさんのメニューだが、なんと担々麺だ。

 

「な、何故に担々麺?」

 

あぁ、思わず突っ込んでしまったよ。

 

「お~ちゃんがラーメンだったから私もと思って~。……なんとなく担々麺にしたけど……かりゃい~」

 

ごくごくと水を飲むのほほんさん。そりゃ担々麺だから辛いだろう。だがゴマの香りがとても良くて、かなり美味そうだ。

そういえば、さっきから見てはいたが、一夏やじゃじゃ馬娘(箒・セシリア・鈴)達がいないな。それもシャルルも。屋上か教室で食ってんのか?

 

「……ま、いっか」

 

それからしばらくして、食べ終わったオレが教室に戻ると、机に真っ青な顔をしてうつ向いていた一夏がいた。……一夏よ、お前一体何を食べた?

 

◇◆◇◆

 

 

はい、夜になりました。現在の時刻は22時40分、夜型であるオレは全く眠くない。

 

「ふぅ~。……明日も模擬戦訓練だな」

 

つい10分前、のほほんさんが遊びに来て、今はのんびりと飲み物を飲んでくつろいでいる。

 

「まぁ~仕方ないね~」

 

そう言いながらのほほんさんは良い感じにぬるくなってきたミルクティーをちびりと飲んだ。ちなみにオレはホットミルクココアだ。

 

「そうなんだけどさ。明日の訓練で使うアームズ決めてないんだよな」

 

アームズを装着していないアルティウスの戦闘能力は、打鉄やリヴァイヴより高いが、一夏の白式やセシリアのブルー・ティアーズ、鈴の甲龍より若干劣る。その劣りをカバーするのがアルティウス専用戦術パッケージ『アームズパック』だ。

 

「お~ちゃんのアルティウスには何があるの?」

 

「まず、前回の暴走事件に使用した隠密型『ミラージュ』だ。主に隠密行動や諜報活動に優れていて、ミラージュのPSSはISのハイパーセンサーでも感知不可能な程だ」

 

まぁ隠密行動がメインだから、武装はダガーナイフ2本のみだが。

余談だが、先日の不明機による襲撃事件は、どっかの研究機関の試作ISが暴走してIS学園に攻撃をしてしまった、という形で処理された。もちろん、我等が千冬姉によるものだ。

 

「あとは~?」

 

「あとは高速型『スピード』。……背部に大型ウイングとブレード状のウイングを、胸部・腕部・脚部に装着することでかなりのスピード戦闘を得意としている。武装は対IS装甲ヒートナイフ、大型ハンドガンだな」

 

「ほぇ~、凄いねぇ。まだあるの?」

 

オレのアームズの解説にのほほんさんは目をキラキラさせて、さらに訊ねてくる。

 

「まだあるよ。それはこれからの訓練で見せるよ」

 

そう言いながらオレは飲み終えたマグカップを片付けて歯を磨きにいく。

 

「あ、明日使うアームズ決めたよ」

 

「えっ!何々?」

 

「防御型『ディフェンス』。その名の通り、とにかく防御に優れたアームズだよ」

 

洗面所から顔だけを出してのほほんさんに笑いかけながら言って、オレは歯を磨くために洗面所へと顔を引っ込めた。

 

 

「『ディフェンス』かぁ。……どんなのだろ~♪」

 

 

そして次の日……。

予想しなかった展開にオレ、一夏、シャルルは巻き込まれる事になったのだった。




さぁ、重要キャラのご登場です。
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