生ポ♂アニキ in IS   作:ざんじばる

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そろそろ生ポアニキの新作が出てもいい頃じゃないですかねぇ…
アサウラ先生ぇ…


筋トレは最高だ

 

(やっぱりダメじゃないか!)

 

 オルコットさんのISが放つレーザーから逃げ惑いながら心のなかでアニキに毒づく。この一週間言われるがまま筋トレに没頭していたが、やはり少しでもISに長く触れておくべきだったのだ。筋肉でどうやってレーザーを防ぐというのか。そもそもぼくはなぜアニキを疑うことなく従っていたのか。これはいつもそうなのだけど。マッスル・ディスカッションに訴えられるとどうしても押しきられてしまうのだ。

 

 けれど。この局面での迷いを吹き飛ばしてくれたのも、やはり、アニキの一言だった。

 

『そいつもお前の筋肉だ!!』

「そうか! わかったよ! アニキ!!」

 

 ISもまたぼくの筋肉。筋肉がぼくでISは筋肉で、筋肉はISで。ならもうなにも怖くない。なぜなら筋肉は――

 

「――裏切らない!!」

 

 ――マッスル・エンゲージ=コネクト。フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押してください。

 

 意識に直接データが送られてくる。と同時に、目の前に現れるウインドウ。その真ん中には「確認」と書かれたボタンがある。迷うことなくそれを押すと、さらなる膨大なデータが流れ込んできた。けれど全く問題ない。全てはぼくの筋肉で起きていることだ。全て過不足なく把握できている。この打鉄はボクとのホットな連結により、真なる力を発揮しつつあるのだ。

 

 改めて機体を見ると、その装甲はより分厚く、まるでアニキの胸板のように。そして何よりキレていた。キレッキレだ。

 ※キレてる。筋肉の筋が切れ目のように見えていること。この場合は打鉄の装甲と装甲の継ぎ目がくっきりと見えていること。

 

 オルコットさんが再び総攻撃の気配を見せている。けれど臆する必要はない。今のぼくと打鉄なら鼻歌混じりに乗り切れるはずだ。そうだろう?

 

 ――OK.Master.単一仕様能力(ワンオフアビリティ)発動『鍛え抜かれた身体は鋼の如く(マッスル・フォートレス)』発動。正常動作を確認。

 

 打鉄のAIの回答と同時に機体を膨大なエネルギーが満たす。そして直撃した『ブルー・ティアーズ』のレーザーをいとも容易く弾き返して見せたのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「いいぞ。ユースケ。筋肉は最高だ。今のお前は最高に格好いいぜ。それこそ世界で一つだけの自分自身によって作られた自分専用の完全特注のおしゃれ着だ」

 

 爆炎が晴れ、無傷の打鉄が現れた。それだけじゃない。明らかにフォルムが先までと変わっている。装甲はより分厚く、厳めしく。ありていに言って強そうだった。そして先程と変わっている点がもうひとつ。

 

「「キャーッ!?」」

 

 観客席の女子たちが悲鳴を上げた。なぜかパイロットスーツがビリビリに破け去り、ユースケがパンツ一丁の姿を去らしていたからだ。シックスパックが陽の光を受けて燦然と輝いていた。スーツを介することなくユースケと打鉄が直結しているのだ。

 

 けれどさすがは代表候補生。オルコットは冷静に再びの一斉射を敢行した。再びレーザーの雨がユースケへと降り注ぐ。ユースケの打鉄はその場から動くことなく”リラックス”のポーズをとると遠目にも分かるほど強力なフィールドを展開した。そしてそのフィールドは全てのレーザーを抵抗なく反射した。レーザーが返ってくるという思わぬ事態にビットのうち二つは回避が遅れ、火の玉へと変じた。

 

「まさかあれは、単一仕様能力……? それじゃさっきのは一次移行(ファーストシフト)? そんなッ。量産機は『初期化・最適化』の機能はオフになっているはずなのにッ!?」

 

 隣で箒が驚愕している。それにアニキは事も無げに答えた。

 

「ああ、その機能ならオンにしてもらったぜ。筋肉は日々成長してこそだからな」

 

(えっと……そんな簡単に言うけどできるものなの? それにISって筋肉というよりは装甲や骨格だと思うけど……)

 

 そんなおれたちの疑問など全く気にすることなくアニキは叫ぶ。

 

「さあ、ユースケ! その最高にホットなお前の筋肉に新しい名前を付けてやれ! 男の中の男にふさわしい名前をな!!」

『…………打鉄・(おのこ)

「いいじゃねぇか、ユースケ!! 最高にイかしてるぜッ!!」

 

(……イかしてるか? 本人は否定していたけど、そのネーミングセンスからもどうしてもホモホモしさを感じるんだが)

 

『ふん。いかに一次移行しようが、第二世代は第二世代。所詮は型落ち品です。このブルー・ティアーズの敵ではないことを証明して差し上げますわ』

 

 ここまでの怒濤の展開を振り切るが如く、オルコットが戦闘機動を再開する。反射に注意して常に宙を移動しながらの高機動射撃戦へ移行した。それに対してユースケは地面を前後左右に駆けながらなんとか回避を続ける。

 

『あらあら。せっかくISに乗っているというのに、貴方は空を飛びませんの? ……それとも飛べないのかしら?』

 

 ISはもともと宇宙への進出を目指して作られた機械だ。その主戦場は基本的には空となる。空を自由に駆けてこそのISだ。けれどオルコットの指摘通り、今日ISに初めてまともに乗ったユースケはISを飛ばす方法すら知らなかった。このままでは上空のオルコットから一方的に攻撃を受け続けることになる。だが。

 

「つくづくユースケを甘く見やがる。飛べない筋肉はただの筋肉だぜ。ユースケ、行けるな?」

『うん、アニキ!!』

 

 アニキの問いかけにユースケから力強い返事が返る。そして。打鉄は、そのありあまる出力で大地をしっかり蹴ると、上空へと舞い上がった。目指すは残るビット2つのうち1つ。先にやっかいな子機を叩く戦略だ。

 

『それは飛行ではなく跳躍というのですわ! 空を意のままに駆ける自由さとはほど遠い!』

 

 オルコットがそう喝破し、ビットが空を滑るように遷移する。直線的に上昇する打鉄の手が届かない位置へと。

 

「だから甘えってんだ! ユースケ!!」

『応ッ!!』

 

 アニキの檄に応え、ユースケが短く返す。そして、打鉄が()()蹴った。

 

『ええッ!?』

 

 まるで壁でも蹴ったかのように急角度で進行方向を変える打鉄。そして握りしめた拳を突き出し、追ったビットを砕いて鉄屑へと変えた。

 

「鍛えた脚で踏みしめれば空気だって固まるぜ。これぞ筋肉多段跳び(マッスル・エアムーブ)!!」

 

(……ないないないない。何で空気を足場にできるんだよ。水面を走る忍者かよ)

 

 必死に否定するおれをよそに、打鉄は何度となく空中を跳ね回るともう一機のビットも撃墜。ついにはブルー・ティアーズ本体へと肉薄した。打鉄の拳の直撃を受け、ブルー・ティアーズのスナイパーライフルがひしゃげる。さらに苛烈なグラップリング続く。打鉄の拳が、肘が、膝がブルー・ティアーズを打つ。

 

 オルコットはたまらず、体を丸めてこれに耐える。乱打乱打。これならイけるか? そう思ったとき、オルコットはシールドの出力を上げ、強引に打鉄を弾き飛ばした。離れ際に、隠し球として温存していたのか、ミサイルビットを2発叩きつけるおまけ付きだ。これには例の防御フィールドを展開する暇もなく、打鉄は大きくシールドエネルギーを削られた。ミサイル爆発の勢いに押されて着地し仕切り直しとなった。

 

『野蛮な! 徒手空拳でシールドエネルギーを削りきれるとでもお思いですの!?』

 

 オルコットの指摘はもっともだった。ユースケ気合いの猛攻だったが、武器無しの打撃では思ったほどブルー・ティアーズのシールドエネルギーは思ったほど減っていない。バリアを貫通できないからだ。むしろミサイルの直撃を受けた打鉄の方がエネルギー減衰は深刻だ。互いに全ての武器を損耗した今、単純に殴り合いをしたとして先にエネルギーが尽きるのは打鉄のほうだろう。いや。

 

『まさか、これを使うことになるとは……』

 

 ブルー・ティアーズは残る唯一の装備、近接ショートブレード『インターセプター』を引き抜いた。射撃戦を旨とするオルコットとしては、この護身刀に過ぎない武装を使わされることは屈辱なのだろう。苦々しく歪めた表情で眼下のユースケを睥睨する。

 

 これで武装面でも不利となった。

 

『アニキ! なにか武器はッ! 武器はないのッ!?』

 

 アニキが着けているインカムから漏れ聞こえるほど、ユースケが焦っているのが分かる。その悲痛な声に、けれどアニキは鷹揚に応えた。

 

「もちろんあるぜ。ユースケ。とびっきりのイかしたブツがな。武装リストを確認してみなッ」

『ある! 確かにもう一つ。でもアニキ、選択しても実体化しないよッ!?』

「悪りぃ。事前にインストールしておく時間がなかったんだ。だが登録済みだ。問題なく使えるぜ。受け取れッ! ユースケぇ!!」

 

 そう言うとアニキは足下からなにかを取り出し、その両腕の筋肉に力をみなぎらせて放り投げた。高々と舞い上がったそれが、会場の照明に逆光となり、シルエットのみを見せながらユースケの頭上に落ちてくる。打鉄の両腕を掲げてそれを受け止め、ズンッと重量感を感じさせる音を立てる。そのあまりの超重量に打鉄の両足が地面に僅かに沈み込んでいた。

 

『な、なんですの……それは!?』

 

 上空から確認したオルコットが戸惑いの声を上げる。無理もない。それは既存の武器という概念に収まるものではなかった。

 

 打鉄が握りしめるそれは、ただただ太く、長い棒。けして折れず曲がらず、益荒男の如き巨棒であった。その棒の両端には馬鹿げた大きさの鉄塊がついている。しかしその鉄塊は確かに文明の産物であるのか整った形をしていた。それは分厚い円盤だ。その中心を打鉄の握りしめる巨棒が貫いている。巨棒のシャフトの両端に円盤状の鉄塊が二枚。その姿はまるで——

 

「「ば、バーベル……?」」

 

 おれは隣にいる箒と思いを同じくし、口から疑問を呟いていた。それはまさにIS向けのバーベルだった。だが——

 

(なぜ、バーベル? バーベルって武器じゃないよね? というかISでも持ち上げるのに苦労するようなバーベルをどうやって生身のアニキはぶん投げたんだ。この人は本当に人間なのか?)

 

 疑問は尽きなかったが、そんなおれをよそにアニキは続ける。

 

「ユースケ、使い方は分かるな?」

 

(分からねーよ!? ISバトルにどうやってバーベルを使うんだよ!? もしかして殴るの!? あれで!? それなら普通に棍棒とかハンマーでよくない!?)

 

『……もちろんだよ……アニキ……これ……凄いよ…………』

 

(分かるの!? それ分かっちゃうの!?)

 

 まさかの以心伝心にツッコミが追いつかない。

 

「ならユースケ! やることは一つだ! 最高にホットでタフなお前をぶちかましてやれ!!」

 

 いったい何が起きるというのか。彼ら以外には何もわからなかった。異形の武装を装備した打鉄をだれもが固唾を呑んで見守る。

 

 打鉄の足は肩幅ほどに開かれ、その足は相変わらず地へとめり込んでいる。そしてバーベルを打鉄の両肩で支えるようにその身に置く。そして。打鉄がゆっくり、ゆっくりと尻を突き出すように重心を落としていく。その両脚が一回り太くなったようにおれには見えた。まるで筋肉が張り詰めたかのように。

 

 曲げられ行く膝の方向はつま先と同じ方向。そして空気椅子のように、太ももがほぼ水平になるほどの尻の深さになった時、その沈み込みが止まる。膝はピタリとつま先の手前で停止。

 

 その打鉄の下半身の動きは教科書通りの完璧なスクワットのものだというのはおれにもわかった。ここからいったいどうするつもりなのか。

 

 恐らく時間にすれば一、二秒。打鉄は一番深く重心を落とした位置で止まり、そして全身をまたゆっくりと張り詰めさせる。

 

 ゆっくり、ゆっくりと重心が上がり始める。そして打鉄の膝が伸びきった時——

 

 

 

 ——何も起きなかった。

 

 

 

 再び打鉄は、重心を落とし始める。重心を落としては上げ、上げてはまた落とし。その繰り返しだ。これはまさか——

 

(——ただのバーベル・スクワット?)

 

「……ユースケの野郎、いい汗かいてるぜ」

 

 アニキの口元には笑み。満足そうに呟いていた。その言葉通り、ユースケのパン一の全身には汗が噴き出していた。あのバーベルの重量はISのパワーサポートだけではカバーしきれず、操縦者自身にも負担をかけているらしい。だが。

 

 それが何だというのか。まったく意味が分からなかった。なぜおれたちはISの試合中に筋トレを見せつけられているのか。だれかわかるのなら教えて欲しい。だから唯一状況を理解していそうなアニキへと聞いてみることにした。

 

「……アニキ。これにいったい何の意味が……?」

「なんだ一夏。そんなこともわからねぇのか? よくユースケを見てみな」

 

 アニキに諭され、再びユースケを、打鉄を注意深く観察する。すると——

 

「スクワットのスピードが……速くなってる?」

 

 打鉄の重心が一往復するのにかかっているスピードが段々速くなっているような気がした。そしてそれはやがて目に見える違いとなった。加速はどんどん増している。

 

「その通りだぜ。その一方で……見ろ、ユースケを。軸がまったくブレてねぇ。足がまるで舞台とくっついているみてぇだ。少しの震えも乱れもねぇ。精密機械のように正確に、けれど加速し続けている。惚れ惚れするぜ」

 

 スクワットはもはやかなりのスピードに達していた。けれど勢いに任せて楽をしているようには見えない。動きはあくまで最初のとおりに。確実に止め。再び動きだす。ただ一つ一つの動きとその間隔が短くなっていた。

 

「だけど、それが何だってッ——」

 

 その思いは対戦相手であるオルコットも同じだったらしい。いったい何をするつもりなのかと状況を注視していたあいつも、事ここに至って、自分を無視して筋トレを始めたことに気付いたのだろう。「馬鹿にしてッ」と叫ぶと短刀を構え、上空から突貫を開始した。ユースケは変わらずスクワットを続けている。

 

 そしておれは。とんでもないものを目にすることになる。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 筋トレはいい。

 

 僕が一番、一生懸命やったこと。

 

 何をしてもダメで、何も持っていなかった僕が……僕なんかでも人に胸を張れること。

 

 筋トレは筋肉との対話だった。今、僕は筋トレを通じて打鉄と対話していた。

 

 きみはいったいどんな存在なのか。何ができるのか。何をしたいのか。バーベル・スクワットの一回一回を通して会話していた。

 

 オルコットさんが激高し、こちらに向かってくるのを視界の端で捉えた。そんな様子も噴き出る汗と共に僕の頭から抜け落ちていく。

 

 どうでも良かった。彼女が上空で何をしていようと、僕には関係ない。彼女を超えようとか、倒そうとか思う気も、いつの間にかなくなっていた。

 

 そう。そうなんだ。彼女を倒したからって、何になる。

 

 筋トレに敵なんていない。いるとすれば……自分と筋肉だけだ。目指すは理想。踏み越えるは昨日の自分と筋肉。それだけでいい。

 

 僕は、重心を落としきった。そこでしっかり、自重とバーベルの重さを受け止める。

 

 太ももの筋肉繊維が悲鳴を上げていた。でも、それがどうした。大したことじゃない。

 

 いこうじゃないか。僕の知らない世界へ。

 

 憎しみや怒りや哀しみなんか踏みつぶして。もっと先へ。今よりも一歩先へ。昨日までの自分が辿り着けなかった場所へ。

 

 そう。僕は行くよ。お前はどうだ。打鉄。

 

 僕の筋繊維と同じく悲鳴を上げていた打鉄を問いかける。すると。

 

 すぐさま悲鳴は止み、熱い鼓動が返ってきた。それは何より雄弁な答えだった。

 

 そうだ。行こう。その先へ、もっと……もっと、その先へ!!

 

 体が熱い。でも、まだだ。まだ、熱くなれる。頭の中が真っ白になるまで。全部燃え尽きるまで。

 

 まだまだ、()()()熱くなれる!!

 

「ふっ……ぐぐ……うっぐっ!! うおおおあおあぁぁああぁああぁあああああ!!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ブルー・ティアーズが突貫したその瞬間。打鉄の加速していたスクワットは重心が沈み込んだところで、一瞬の停滞を見せた。それはまるで力をため込むように。その想像は正しかったのか、再び重心を上げた打鉄は勢い余ったかのように自身を強烈に打ち上げた。上空へと。

 

 それは重量挙げのように伸びきった腕が掴むバーベルを先頭に、ロケットの打ち上げの如く上昇していく。そして急降下するブルー・ティアーズと交錯した。

 

 ブルー・ティアーズが構えていた短刀は超重量の突撃に一秒と耐えることは出来なかった。腕は跳ね上がり、短刀そのものは粉微塵に砕け散る。続けてシールドバリアーも紙のように引き裂き、そしてバーベルのバー部分がオルコットの華奢な腹部に食い込む、その直前、危険を感知したことにより発動した絶対防御が受け止める。

 

 ブルー・ティアーズはまるでトラックに衝突された人間のごとく跳ね飛ばされ、きりもみしながら地面へと叩きつけられた。ステータス情報が操縦者の無事を伝えるが、同時にシールドエネルギー0と操縦者気絶を明らかにした。

 

 そして、打鉄は試合会場の天井付近で上昇を止め、降下に転じ、これも墜落のような勢いで地面へ激突。砂塵が舞い上がり、一時的にその姿を隠した。けれど砂塵が晴れたときにはバーベルを背負い、二本の足で大地を踏みしめる打鉄の姿があった。やがて思い出したかのようにバーベルをゆっくりと降ろした。

 

 

『試合終了。勝者——木村ユースケ』

 

 試合終了を告げるブザーとともに、審判役を務める千冬姉がそう宣言した。劇的な結末に静まりかえっていた観客もやがて思い出したかのように歓声を上げた。

 

(嘘だろ……本当に勝っちまったのか……?)

 

 おれはそれをいまだ信じられず、ぼけっと眺めていた。

 

「やった、よくやったぜ、ユースケ……!! 今のお前は最高だ、最高に……あぁ、くそう!! 今すぐユースケと勝利のハグをしてぇ!!」

 

 雄叫びを上げるアニキはパン一に汗まみれの格好で、近くにいたおれを熱烈に抱き締める。強烈な圧迫感がおれを襲い、意識が覚醒した。

 

 それだけでは飽き足らないのか、誰彼構わずに勝利のハグをしまくり、千冬姉にもハグしようとしたところで、容赦なくドツキ倒された。それを見てようやくユースケの勝利を実感できた。

 

「ははっ……アイツスゲぇ……本当にオルコットのヤツに……勝っちまったんだ……ホントすげえ……!!」

 

 男の可能性を示したユースケに。その背中に胸が熱くなる。おれだってきっと。素直にそう思うことができた。

 

 

 

 こうして、決闘は終わった。

 ユースケの完全勝利という結果を残して——。




続かない。
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