もし一輝が出会った人物がサムライ・リョーマではなく気高き碧い猛獣だったら   作:〇坊主

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 誤字報告の量で作者の言語能力の稚拙さがバレてしまったので初投稿です。
 
 
 すでに原作から乖離しかけているので、気を付けてお読みくださいませ。
 
 


四刀

 

 

 一輝とステラが何事もなく(・・・・・)映画鑑賞デートを終了させた次の日。

 破軍学園では『七星剣武祭出場枠』をかけた『選抜戦』が開始されていた。

 

 一輝とステラの視線の先には初戦を飾る一年生の生徒と三年生の生徒が対峙している。

 どちらも初戦ということもあるからなのか、緊張した面持ちでそれぞれの得物を構えて…否、緊張した表情をしているのは三年生であり、対する一年生は自然体の姿勢だ。

 観客である生徒達が歓声を挙げている中で、一輝とステラも観戦席で二人を分析していた。

 

 

「ふふっ。すごい歓声ね」

「そうだねステラ。…これが『選抜戦』。すごい空気だな…まるで全方位から衝撃を受けているみたいだ」

「そっか、イッキも見るのは初めてなんだっけ?確か…あっ。ご、ごめんなさいイッキ。嫌なこと思い出させちゃったわね」

「気にしなくていいよステラ。去年は確かに先生たちが僕を会場にすら入れてくれなかったけど、そのおかげで今年はステラとこの空気を共感できるんだ。昔のことよりも僕は、ステラの隣に居れる。その事実が嬉しいよ」

「っ!?…ばっ、ばかいってるんじゃないわよ!そ、そそそそんなこと言われたって…アタシだって嬉しいわよ…

 

 

 一輝の過去に触れてしまったステラは済まなさそうにするが、一輝はそれに対して気にしないでと声をかけた。

 女性を悲しませるようなことは極力させてはいけないと、強く師匠から叩き込まれているからだ。

 

 過去は過去である。

 

 それが一輝が持つ黒鉄家に対する持論だ。すでに黒鉄家に対してなんら特別な感情も持っていない。

 そうなのであるが、第三者であるステラはそうともいかない。堂々と口にするのは恥ずかしいのではっきりと一輝に告げれてはいないが、彼女も立派な青春を生きる少女である。

 今と未来のために真っ直ぐ進んでいく青年とその生き様に惚れている彼女は、何よりも一輝を傷つけるようなことをしたくはなかった。

 尚そんな不安も一輝の本心によってすぐに払拭されて、鼓動が周りに聞こえているのではないかと思うぐらいに胸の高鳴りをさせているのだが。

 

 

『おぉーっとぉ!!一瞬で相手の動きを封じ込めたぞぉー!!初戦から波乱の幕開けだ!!三年生を新入生が降したァ!!勝者は一年!有栖院(ありすいん) (なぎ)選手ーーー!!』

 

 

 競技場であるというのに甘い雰囲気を作り出していた一輝達を置いて試合は進んでいたようだ。

 司会の声がスピーカーを通じて拡散され、観客たちもそれに伴って声を挙げた。

 視線を移せば三年生の生徒が一年生に背後を取られて首筋に短剣を突き立てられている姿が映った。

 

 選抜戦では霊装も生身を用いることが前提条件だ。斬れば物理ダメージを疲労という形に変換する《幻想形態》ではない。

 それを意味することは実戦を前提とした競い合いであり、明言されてもいないが相手を死亡させても問題はない(・・・・・・・・・・・)。それはリングに上がる前に同意が必要なことから察しが付く。

 これが本当の場であれば負けた三年生徒はすでに死んでいただろう。

 そう思うほどに、一輝から見たあの一年生は暗く沈んでいるように見えた。

 

 

 

 

 

 

 選抜戦期間中は授業が午前中のみとなり、午後からは夕方まで選抜戦が行われる。

 選抜戦が開催された翌日の14時が一輝の試合時間であり、上記のことを考えれば早い出番の方だ。 

 そのため昼食をしっかりと済ませた一輝は多少の腹ごなしのために早めに競技場近くへ向かい、空いてる敷地でステラと軽い打ち合いをしていた。

 

 

「ありがとうステラ。付き合ってもらって」

「いいのよ。イッキはこのアタシが認めたルームメイトなんだから。これぐらいのことならいつだって手伝うわよ」

 

 

 出場する人間は10分前までには控室で待機していなければならない。が、まだニ十分ほど余裕があった。

 観客席で他の生徒達の試合を観てから控室へと向かっても悪くないだろう。

 だがその選択肢は取らない。その理由は一輝の対戦相手だった。

 

《狩人》桐原(きりはら) 静矢(しずや)

 去年の七星剣武祭代表の一人(・・・・・・・・・・・・・)

 

 それが一輝が戦う初戦の相手だ。

 事前に準備運動をして身体を馴らしているのも、それだけ彼――桐原――という生徒を警戒しているということだ。

 

 

「《狩人》ね…。相性は確かに悪いけど、イッキが負ける姿が想像できないわね。最もそんな姿見たくないんだけど」

「ははは。そう言われるのは嬉しいな。だけど僕からすれば初めての公式戦だ。なにが起こってもおかしくない」

 

 

 5分ほど動けば腹ごなしも丁度いい頃合いだろう。

 ステラとの打ち合いをやめて会場に入る準備を始める。

 そして会場に入ってすぐに、一輝はステラと別れて控室入りするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁついに第四試合へと入りました!そしてすごい人入りです!やはりというか、それだけこの試合に対して期待度が高いのか!!司会は引き続きこの私、放送部の月夜見が。解説は西京 寧音(さいきょう ねね)先生が担当します!!』

『よろしく~』

 

 

 そしてついに一輝の出番がやってくる。

 事前のステラとの試合が出回ってしまっているせいなのか客席は満員であり、それでも噂を見定めようと立ち見する生徒も目に映る。

 そんな光景がこれから起こる試合への期待なのだと高らかに声を挙げたのは司会を務める人物だ。彼女も例の動画を見ているがため、ワクワクとした内心を隠しきれずに実況の熱として表されていた。

 

 

『ではでは選手の紹介と行きましょう!昨年一年生にして七星剣武祭出場という快挙を成し遂げました!それだけでなく、優勝候補と言われていた文曲学園の三年生をワンサイドゲームで完封した紛れもない実力者!決して無理はせずに、必ず勝てる相手から確実に勝つ!その徹底したスタンスから付いた名は《狩人》です!ここまで公式戦・交流戦共に“無傷”で通しており、当然ながら今回の選抜戦においても代表への最有力候補です!二年・桐原 静矢選手ッッ!!』

 

 

 実況に合わせて桐原が手を挙げると、観客席から黄色い歓声が上がる。

 一見すれば爽やかな青年であり、人当たりのよい対応だが、彼の戦闘方法は完全迷彩(フルステルス)

 姿を隠し、相手を徹底的に弄る戦い方を好むリアリストだ。

 

 

『そんな《狩人》に相対するはなんとFランク騎士!ですが侮る事なかれ!ただのFランクではないことは皆さんご存知の通りでしょう!なんと彼はあの《紅蓮の皇女》であるAランク騎士 ステラ・ヴァーミリオン選手相手に模擬戦で勝利を収めているのです!果たしてあの映像で見せた実力は本物なのか偽物なのか!謎めいていた力が今ここに示されます!一年・黒鉄 一輝選手ッッ!!』

 

 

 一輝は解説が終えた後に観客席へと軽く一礼を行う。

 

 

(――――すごい人だ)

 

 

 公式戦は初めての一輝はこれほどの観客に見られて戦うのは初めてだ。

 動きは問題ないであろうが、心の方はそうはいかない。

 試合前までの落ち着いた自分は一体なんだったのか?そう思ってしまうほどに一輝は内心落ち着かない。

 

 

(そうか。これも緊張か……)

 

 

 一輝は師匠から言われたことを反芻する。

 それで多少落ち着いたものの、この気持ちの原因に一輝は納得した。

 

 当然だ。初めてなのだ。ここまで見られるのは。

 昨日まで、一輝は見られることすらされなかったのだがら。

 

 始めての修行を行ったときのように。真剣で初めて斬りあいを行ったときのように。

 一輝は初めて自分の試合を大勢に見られるという経験をしたのだ。

 

 一度でも負ければ選抜から落とされる事実にらしくもない緊張をしている。

 一部を除いて理解されず、応援もされず、逆に理不尽な仕打ちを受けても続けてきた一輝の努力。

 それがこの一戦で、たった数分…いや下手をすれば数秒で決着するかもしれないこの戦いで、その全てが水泡に帰すかもしれない。

 これまで生きてきた一輝の人生全てが、無駄だったと突き付けられる可能性もある。

 そんな戦いを前にして、緊張しないはずがない。

 

 そんな自分を見て、笑う(・・)

 

 緊張?焦燥?それがどうした?

 すべてが無に帰すかもしれない?戦場に立つ以上はその覚悟はしておかねばならない。

 

 この初戦は人生の岐路に立つ障害の一つなのだ。

 だからこそ、越えがいがある(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「出てきたかい。この場に立つ、ということは相応の覚悟(・・)があってきたと捉えても構わないんだろう?」

「あぁ。去年はどうすることもできなかったけど、今年は違うよ。僕は、君を越えていく。来てくれ《陰鉄》」

「…ほざいてろ。狩りの時間だ《朧月(おぼろづき)》」

 

 

 見下す表情で一輝へ問いかけた桐原であったが、一輝の勝利発言を聞いてすぐに機嫌を悪くした。

 去年までなんら成績も出せず、授業に出ることさえ許されていない一輝の発言はプライドが高い桐原の神経をさぞ逆撫でしたことだろう。

 

 

『それでは双方の準備が整いましたので始めさせていただきましょう!本日第四試合、開始です!!』

 

 

「木の葉旋風!!」

 

 

 試合開始と同時の速攻。

 一輝が対桐原静矢の戦法としてまず最初に考えた案だ。

 完全なステルスに移行されてしまえば、遠距離攻撃を今のところ持たず、接近戦主体の一輝では倒すことが困難になってしまう。であればそうなる前に倒してしまえばいい。

 

 開始と同時に魔力を脚力強化に回し、ブースターとして使用。

 離れていた距離を一気に詰めて、練磨してきた脚技を放つ。

 放たれた蹴りは吸い込まれるように桐原の顔へと向かっていき―――

 

 

「甘いんだよねぇ!!」

「ッ!?」

 

 

―――身を地に伏せることで躱された。

 追撃の踵落としを放つがそれも避けられ、桐原の身体が完全に見えなくなった。

 

 

「なぁ黒鉄、避けられたことに驚いてるな?完璧な踏み込みだった。動きのキレも悪くない。それなのに何故避けられたのかってなぁ?」

 

 

 いつ撃たれてもいいように構える一輝を囲むように木々が生えてきていた。

 桐原の姿を探すが―――いない。

 

 

(…確実な案が防がれたか)

 

 

 一輝は己の失敗を悟った。

 

 

「考えてみろ黒鉄。ボクの伐刀絶技(ノウブルアーツ)である《狩人の森(エリア・インビシブル)》は強力だ。自分の姿を透明にするだけでなく、木々を生やすことで更地からボクの戦い易いフィールドにすることだって可能だ。遠くから一方的に攻撃する相手をどうするか?そんなもの決まってる。今キミがやったように、撃たせる前に撃つ。簡単な答えだろう?だけどね、そんなことをこのボクが思いつかないとでも思っていたのかい!?」

「ッ!!」

 

 

 背後から飛んできた矢を叩き落とす。

 すぐに身を翻して背を狙っていた矢を斬り落とす。

 そのまま前転で頭を狙ってきた矢から逃れる。

 利き腕を狙って撃たれた矢を回転して躱す。

 

 

『おぉっとぉ!黒鉄選手!姿が見えない桐原選手が放つ矢を落とす避ける斬り払う!!接近戦を主体とする黒鉄選手ですが桐原選手の攻撃を巧く凌いでいます!!』

『おっと。どうやらくろ坊はそれだけでは済まさないようだ。見な』

 

 

 一輝の身のこなし方を称賛する進行の月夜見だが、西京はしっかり見るように促した。

 言葉通り、一輝は只々為すすべなく逃げているのではない。

 姿が見えなかろうと、武器が弓である以上は飛んできた方向に射撃手はいる。

 

 

(矢が飛んできた方向から射撃手の位置を大まかにだが割り出せる。それが君の《狩人の森(エリア・インビシブル)》の弱点だ!)

 

 

 注意深く矢が現れた瞬間を見極めれば位置を探り当てることは可能だ。

 矢の勢いと角度から相手の方角を逆算し、瞬時に頭へと答えを叩き出して行動に移る。

 それを相手の処理能力を上回るまで続ければ、いつかは桐原(答え)に辿り着く!

 

 

「セヤァ!!」

「…ッ」

 

 

 そうして振り払った《陰鉄》の先に、確かな感触を得た。

 切り離されたことでステルスの力から解放された、桐原静矢の制服の切れ端だった。

 

 

『制服の切れ端!?く、黒鉄選手は桐原選手の居場所をとらえたのでしょうか!?』

『きりやんの《狩人の森(エリア・インビシブル)》は矢まで透明にはならない。くろ坊は矢が飛んできた位置から、居場所を逆算してるのさ』

 

「やれやれ、これは参った」

 

 

 解説の西京がしゃべっている間に戦いは小休止した様子だ。

 数撃攻撃を振るった一輝は相手の出方を窺って構えを解かない。

 そんな一輝を見て桐原は全く思ってもいない言葉を紡ぐ。

 

 

「確かに先ほど奇襲を仕掛けられるのは慣れているとは言ったけど、まさかボクが放った矢から位置を逆算してくるなんて思わなかったよ。大した集中力だ。それが心眼ってやつなのかい?」

「大したものじゃないさ」

「フフッ。ボクの《狩人の森(エリア・インビシブル)》の攻略法が分かって安心しているのかい?全く、ボクの居場所がわかる様になっただけで勝った気でいるなんてほんとに…不愉快だよ」

 

 

 桐原の声に殺気が籠もる。

 再び矢を構えたのだろうと予測して、知覚の網を張るために集中力を研ぎ澄ます。

 

 

「不愉快だと思うのなら、今番えている矢を放てばいい。僕はその悉くを打ち払おう」

「フッ…随分と気合の入った表情だ。ボクが矢を撃った瞬間に君の伐刀絶技(ノウブルアーツ)を発動して距離を詰めて斬ろうって魂胆だろう?…だが悲しいかな。伐刀者(ブレイザー)の世界は《能力》こそ全てだ。そんな小手先の技が通用するのは()()()()()()()()だけだ」

「それはやってみなくちゃわからないよ」

「わかるのさ、当然だろう。ところで黒鉄、そんな呑気に構えていいのかい?ボクはすでに攻撃したよ(・・・・・・・・)?」

 

 

 瞬間、一輝の右太ももに風穴が空き、血が噴き出した。

 

 

「――ッッぐ、あぁああ!?」

 

 

 予期せぬダメージに苦鳴を漏らす一輝は状況を理解するのに数秒を要した。

 自分の脚を見れば、明らかに血が出ている。幻覚ではない。

 それはつまり、警戒していたのにも関わらず、攻撃を受けたということだ。

 

 一輝の眼に見えないほど早く矢を撃ったのではない。

 桐原の性質上、一輝が見えないほどに高速で矢を放つことはしないはずだ。

 であれば、この現状は一輝にとって最も合ってほしくない予想だった。

 

 

「ははははは!!どうだ見えたかい?ボクの攻撃が!見えなかっただろう?君の動体視力でもだ。今年のボクは放った矢すらもステルスにできる。つまり当たるまで攻撃されたことに(・・・・・・・・・・・・・)気づけないのさ(・・・・・・・)!!故に君はボクには勝てない!絶対にねぇ!!」

 

 

 姿も、そして攻撃も。一切見えず、知覚できない現状に勝利を確信する桐原 静矢に対し、一輝はなんら反論をすることさえできなかった。

 

 それからの十分間は誰がどう見ても試合ではなかった。

 弱者を一方的に強者が嬲る。まさに《狩人》の名に恥じない『狩猟』。それは進行役の月夜見でさえ、この現状に言葉が詰まるほど。

 

 攻撃の瞬間すら見えない現状で、全身を血に染めた一輝は刀を杖替わりにして辛うじて立っている状況。完全に攻め手を失った一輝が責められ続けているというのにも関わらず、一輝はまだ致命傷の傷を受けていない。

 あまりにも一方的であるから情けをかけた?

 答えは否。桐原静矢はそんな優しい存在ではない。楽しんでいるのだ。自分は安全圏に居座り、獲物を弱らせて狩猟するその行為を。

 この会場で一輝の惨状を見ている生徒が全員察してしまうほどに、桐原は試合を終わらせる一撃を撃たない。

 彼は聞きたいのだ。一輝本人の口から、『参りました』という言葉が出てくるのを。

 

 故に《狩人》は手を抜かない。

 獲物を得るために手段を問わない。その姿勢こそが、《狩人》たる彼の根源なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッ!イッキ……っ!」

 

 

 一方的に嬲られる一輝を見てステラは拳を握り締めて叫ぶのを堪える。

 試合開始前に言っていた一輝の言葉。それが現実になってしまった。

 接近戦において、破軍学園でもトップクラスの実力者だろう一輝でも、ここまで状況が悪化してしまえば手も足も出なくなる。勝敗は決していない。である以上一輝は諦めるようなことはしないだろう。だが現実は相手が終わらせようと思えばいつでも終わらせられる状況だ。

 

 

(どうして…どうして使わないの(・・・・・)!?)

 

 

 ステラとの試合で使用し、そして自分の最強を打ち破ったあの技を使わない一輝を見て困惑する。

 試合開始時に発動する暇はなかっただろうが、さっきのは違う。嬲られ始める前に発動すれば回避することぐらい難なく可能なはずだ。でもそうしないのは一体…。

 

 

「――苦戦しているようだね。黒鉄君は」

 

 

 手を組んで祈ってしまいたい。そんなステラの左耳に凛とした声が届いた。

 声のした方へ顔を向けると大和撫子を彷彿とさせる黒髪の女生徒がステラへと視線を向けていた。

 隣、お邪魔するよとステラに一言伝えると、ステラが座る椅子の隣の階段に腰を下した。

 

 

「ケッ、あの野郎…あんなモヤシ野郎に負けやがったら承知しねぇぞ…」

 

 

 その女生徒の後ろでドカッっと音を立てるように階段に座るのは制服を大きくはだけさせた長身の男。

 明らかに普通の生徒ではないことは、制服の上から着た臙脂(えんじ)色の上着と胸元に刻まれた笑う髑髏の入れ墨が物語っていた。

 俗世に疎いステラでもわかる。この男は不良に位置する人物だと。

 その不良認定された男は目の前の光景に対して明確な不満を抱いていた。

 

 

「あんななまっちょろい攻撃最初にしやがって…あんな攻撃反撃してくださいって言ってるモンだろうが」

「確かにあの場面で回し蹴りは甘かったのかもしれないけど、それでも実際に初撃から反撃に転じれるのは君ぐらいだと思うよ蔵人(・・)。黒鉄君だって言ってたでしょ?公式戦に一度も出たことないって。それなら緊張してしまっても仕方ないと思うんだけど」

「あ、アンタたちは一体…」

 

 

 一輝の苦戦を見て苛立つ男とそれを宥める女性。

 片や非行に走っているであろう生徒と、片や清楚の表現が相応しいほどに綺麗な女生徒。

 

 一輝が苦しんでいるというのにも関わらず、一輝の知り合いととれる発言をする彼女らをステラは見過ごすことはできなかった。

 

 

「あ、ごめん。ボクとしたことが挨拶を忘れちゃった。ステラ・ヴァーミリオンさん初めまして。ボクは綾辻 絢瀬(あやつじ あやせ)、そして後ろに居るのは倉敷 蔵人(くらしき くらうど)。どちらもこの学園の三年生だよ」

 

 

 

碧い猛獣のライバルはいる?

  • 登場してほしい
  • 設定だけ。登場はいらない
  • むしろ別のキャラ出して
  • 混ざりすぎるの嫌だから不要
  • ちくわ大明神
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