プリムラの花束を   作:雪苺

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序章までのオリ主の独白みたいなものです。
ほとんど地の文でのダイジェストみたいな感じです。
乱文が激しい。


1部序章
序章に至る為の道のり


 

私、雪白栞(ゆきしろしおり)はカルデアのマスター候補の補欠の補欠として迎えられた。

 

私は、元々雪白家ではスペアにすらなれない不要な者として扱われていた。当初はスペアとして教育しようとしていたが、初期の頃に私には家にとって必要な才能が無いことがわかったのだ。

 

何処かに養子に出そうにも中途半端に雪白家の秘匿を知ってしまったばかりに、下手に他所の家に出せない。家からしたら私の存在は完全に邪魔者でしかなかった。

 

そんな私の人生の最初の転機は父が行っていた学校の同期だったというマリスビリー氏が我が家に訪れた日だ。マリスビリー氏が詳しくは言えないが、今後の計画でマスター候補を探しているという話を聞き、父はここぞとばかりに私のことを薦めた。

 

分かりやすく厄介者を押し付けようとする魂胆が見えているマリスビリー氏は最初は乗り気では無かったが、学友だった父の手前無下に出来ずに、形式上の検査をすることになった。

 

結果はあちら側にとっては当たりだったようで、最初の態度が嘘のように、是非とも我がカルデアに迎えたいと手のひらを返すように言った。

──これは後から聞いた話だけど、何でも私の魔力が少し変わっているそうで、変わり種として迎えたのだそうだ。

 

 

そんな感じで、私は家からほぼ勘当される形でここ、人理継続保障機関フィニス・カルデアへの移住が決定したのであった。

 

 

 

***************

 

 

 

カルデアに移ってから3年がたった。

 

あれから色々な事が起きた。

マリスビリー所長は亡くなって、その後に娘のオルガマリーさんが新しく所長になった。

 

彼女は魔術の才能は高いのにマスター適正とレイシフト適正がなかった。その為か、マスター適正とレイシフト適正が一定値あるにも関わらず、魔術師としてかなり未熟な私を毛嫌いしていた。補欠の補欠というさして重要でもない私の立場も彼女が嫌う原因の1つだろう。

 

この一件でドクターロマニとレフ教授から呼び出され、改めて魔術の教育を受ける事を言い渡された。

ただし教師役は二人ではなく、Aチームの一人、カドック・ゼムルプスさんが空き時間を使って行うそうだ。

 

魔術の教育は有難いけど、正直Aチームの人の手を煩わせる事はしたくなかった。けれども、あちらも規格外の天才達に囲まれて気をもんでおり、少しでも悲観的になってしまうところを改善させたいという理由があったのだ。

この話はほぼ拒否権はなく(恐らくあちらも似た感じで)決定した。

 

 

魔術の教育は順調に進んでいる。

最初こそお互い渋々なところがあり、ぎこちなかった。だけど、ゼムルプスくんはどうやら勉強家で努力の人らしく、どんな質問もすぐに答えてくれて、それがだんだん楽しくなった。

お礼や尊敬の言葉を伝えると「こんなの大した事じゃない」「これぐらいの基礎魔術、出来て当然だ」と言葉こそ素直じゃないけど、口が若干緩んでいるのでかわいい人だと思う。

 

 

 

それなりに楽しい日々を過ごしていたが、とうとう所長の不満が爆発した。泣きそうな顔で怒鳴ってきた。

「なんでこんな未熟な人間が……!」「私は全然認められなくて辛いのに……あなたはのうのうと過ごして!」

冷静に聞けば、所長もきっとストレスがたくさん溜まってて、たまたま近くにいた私にぶつけてしまっただけだとわかる。

けど、私は彼女の話を聞いて怒りがふつふつと沸き上がる。私も知らないうちにストレスが溜まっていたみたいだ。気づいたら泣きながら叫んでいた。

「所長が凄い人なのはわかってるけど、私だって頑張ってる!」「貴女に認められたくて頑張ってるのに否定しないで!」

これも冷静に聞けばかなり自己中極まりない言い分だった。端から見たら小さい子どものケンカにしか見えないだろう。

 

しばらくして、ドクターとレフ教授が慌てて駆けつけて来てくれた。私は最近この二人に迷惑かけすぎだ。

 

 

ドクターからメンタルケアを受け終え、冷静を取り戻してから途方に暮れながら廊下を歩いていた。

お互い正気ではなかったとはいえ、ほぼ一般のスタッフが所長に楯突いたのだ。絶対ただじゃすまない。

流石にカルデアにそこそこ暮らしているから、秘匿の関係で追い出される事はないとは思う……思いたい。もし、追い出されたら家からほぼ勘当されているような状態だから路頭に迷う事になる。……どうしよ。

 

壁に頭をつけて1人でぶつぶつと独り言を言いながら後ろ向きな思案に沈んでいると、後ろから肩に手を置かれた。振り向くと、若干引いた顔をした所長が立っていた。え、気まずい。

 

沈黙が続くなか、所長が咳払いをして話始めた。

 

「確かにただのスタッフが上司たる私に楯突いた事はクビになっても可笑しくない愚かな行為です。……けど、今回は件はお互い正気ではなかったし、元はと言えば私から仕掛けたも同然なので、特別にこの件は不問とします」

「え、い、いいんですか?」

 

私を毛嫌いする所長が許した事に動揺を隠せずいた。

追い出されはしなくても、それなりの罰があるとは思っていたからだ。

 

「もう決めた事よ。……あと私の事はマリーと呼んでいいわ。私も名前で呼ぶから」

「え」

 

……何故?

 

 

 

****************

 

 

 

あの一件からマリーと呼ばないと微妙に睨んでくるようになった。いったい、何が彼女の琴線に触れたのか全くわからない。

 

それともう1つ変わった事がある。Aチームの何人かが話しかけてくるようになったのだ。主にヴォーダイムさんとオフェリアさん(ファミリーネーム呼びは断られた)とペペさん(本人の希望でそう呼んでる)の三人だ。マシュさんはたくさんではないけれど何度か話した事がある程度だ。1度だけ芥さんと会ったけど、少し眉をひそめて「臭う……」と言われてから見かけてない。毎日お風呂に入っているんだけどなあ……。

 

話しかけてくるのは大体ゼムルプスくんから魔術を教わっている時が多く、話すのは楽しいけど、去り際にやっている内容の解説をしてくれるので、その度にゼムルプスくんは少し複雑そうな顔をしていた。

 

「なあ、あんたはこのまま僕から教わってていいのか?」

「?どういう事ですか?」

「……他の奴らから教わった方がいいんじゃないか?僕なんかよりずっと優秀で、もっと色々学べるだろ」

 

ゼムルプスくんは顔を俯かせていて、表情が見えない。何だか泣いているように見えるのは、気のせいなのだろうか。

 

「……そんな事ありません。私、ゼムルプスくんから教わりたいです。ゼムルプスくんがいいんです」

「こんな凡庸でいいのか?」

「それを言ったら私はそれ以下なんですよ?あんまり自分を卑下しないで下さい」

「……ははっ、そっか。そうだな」

 

「それは悪かった」と顔を上げた。その顔は優しげに微笑んでいて、私は少し安心した。

 

「そういえば、聞こうと思っていた事があるんだ」

「私にですか?」

 

何だろうと首を傾げる。ゼムルプスくんから聞きたい事なんて珍しい。

 

「ああ。あんた、魔術はほぼ素人で適正も数値がそれなりの割りには、昔からカルデアにいるよな。何か他の理由でもあるのか?」

 

さらっと酷い事を言われた気がする。今更気にしないけど。

 

「ああ、詳しくは私も知りませんけど……。私の魔力が他より変わってるらしいですよ?要は変わり種です」

 

私は昔聞いた話をそのまま答えた。ゼムルプスくんはあまり納得がいかないという顔をしているが、知らないものは知らないのでどうしようもない。

何が変わってるのかなんて、私が知りたいぐらいだが、その理由を知るマリスビリー氏はもういないのだ。

 

「……魔力の量か質が珍しいのか?けど、それが変わり種として迎えるような内容か?」と考え込み始めたゼムルプスくんを見ながら、私は今後の事を思う。

 

いつかグランドオーダーが始まり、今みたいな日常を過ごすのはきっと難しくなる。ならばせめて、皆が無事にカルデア(ここ)に帰れますように、と。

 

 

────そんな叶えもしない願いを抱くのだ。

 

 

 

 

 

 




かなり早足な展開で申し訳ないです。時系列とか分かりにくかったかもしれないので。

一応この話での時系列は
2010年
マシュ、英霊融合術式が行われる
栞、カルデア移住

2013年
オルガマリー、所長に就任
栞、改めて魔術を学ぶ

2014年
マシュ、マスター候補抜擢
オルガマリー、栞、子どものケンカ勃発
栞、Aチームの何人かと交流する


大体こんな感じでしょうか?
このシリーズは2015年グランドオーダー開始説で書いていく予定です。
■追記
序盤の栞の言っていた「父の行っていた学校」は時計搭の事です。時計搭のなんたるかを詳しく知らない彼女にとっては魔術の学校としか捉えてないのでそう書きました。
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