プリムラの花束を   作:雪苺

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普通に遅刻した。
もう1話あるのにどないしよ。




番外編
☆バレンタインは戦争だと云々~藤丸立香side~


 

バレンタイン。それは女にとっても男にとっても負けられない聖戦である。

 

俺は今年のバレンタインが楽しみで仕方がなかった。前回のバレンタインでは女性サーヴァント達が作った謎の動くチョコ大捜索で酷い目に合ったけれど、今年はエミヤ達カルデア・キッチンのメンバーが念入りに監視する予定なのでその心配もないはずだ。そうそう問題なんて起こるわけがない!(フラグ)

 

なんといっても今年は栞から友チョコが貰える可能性大なのだ。テンションが上がりまくりで正直どうにかなりそうだ!

マシュのチョコは心配していない。あのキュートでユニークな頼れる素敵な後輩は今年も用意してくれると信じている。

 

心配といえば、はたして栞は料理が出来るのだろうか?している所なんて今まで見た事がない。まあ、栞がメシマズ枠の人間でも俺は食べきる自信はあるのだけども。なんたってここ最近エリちゃんやハロエリちゃん、ブレエリちゃんはてにはカーミラさんの料理の味見係をしてきたので胃が丈夫になったのだ。今なら食べても吐血しかしない!……全員同一人物じゃないかというツッコミは受け付けない。

なので、ちょっとぐらいのメシマズなら問題ないのだ。

 

俺はバレンタインまで残りの数日間を胸にトキメキを抱きしめながら過ごそう。きっと今の俺の顔は誰が見ても幸せに満ちた顔だと答えるだろう。

 

「へい!チョコを期待している若きマスターにまっこと残念なお知らせです」

「うわ、ジャガーいつの間に!」

「今年は!チョコが!ありませーん!」

「な……なんだってー!!?」

 

俺の幸せがすぐさまぶち壊された。

 

詳しい事を聞けばなんでもチョコに必要なカカオが今年は用意出来ないのだと言う。いったいどういう事だ!

問い詰めようとジャガー方を見ればもうどこにもいなかった。なんて足の早い……!

 

怒りをぶつける相手がいなくなり、俺は頭を抱えて床に項垂れる。こんな事があっていいのか?大好きな友達と後輩からのチョコがまさかの原材料入手不可という理由で貰えないなんて事があっていいのか?……いいわけがない!!

 

──どうにかして入手しなければ!

俺の想いが届いたのか、凄い勢いで清姫が入ってきた。そういえば今日は見なかったな。

 

旦那様(ますたぁ)!どうか私の願いを聞いてください!」

「ごめん、清姫。こっちも今立て込んでいて……」

「私とチョコを生産しに行きましょう!」

「よし、きよひーでかした!!!」

 

そして俺はチョコ製造特命大臣となり、虚栄の空中庭園(チョコレート工城)で狂ったようにチョコを生産し続けた。

 

 

 

***********

 

 

 

……正直に言おう。あの時の俺はどうかしていた。

なぜ、あそこまで狂ったようにチョコを作り続けたのか。さすがに宇宙進出とか平行世界からチョコを呼び寄せたりはやり過ぎた。危うくカルデアがチョコの海に沈む所だった。……すみません、すっげぇ楽しかったです。

 

まあ、チョコレート工場事件も無事に終わり、バレンタインの為のチョコを手に入れたサーヴァント達も喜んでるので最終的にはこれで間違いなかったのだろう。

 

今年もサーヴァント達とチョコを渡したり渡されたりしながらカルデア内を回っていく。

俺のチョコは無難なトリュフにした。エミヤにもお墨付きを貰えたので味は大丈夫だ。

なんとか栞とマシュに会えればいいんだけど……。

 

「あっ、先輩!」

 

聞き慣れたマシュの声が前方から聞こえた。まだ遠くにいたけれど、マシュは手に持つ2つの箱の中身に気遣いながら小走りでこちらに駆け寄って来た。

 

「先輩、どうぞ受け取ってください!」

「今年もありがとう、マシュ!俺からも、はい!」

「!ありがとうございます!」

 

箱の中身はどうやらケーキのようだ。切り分けはまだらしく、後で一緒に食べたいと思う。

マシュに栞に会えたか聞く事にした。もしかしたら、もう会っているかもしれない。

 

「これから栞さんの所に向かう予定なのですが、緊張してしまって……」

「えー、俺の時より?」

「いえ、そんな事は!……ただ私、友人に渡すというのが初めてで、ドキドキしてしまい」

「それは、確かに緊張するね。俺も栞を探してたし、一緒に会いに行こうか」

「はい。先輩、ありがとうございます!」

 

一度マシュからのチョコを保管する為に俺の部屋に寄ってから、栞の部屋に向かう。……んー、部屋にいてくれたらいいんだけど。

部屋に向かう道中、ちょうどいいのでマシュに気になる事を聞く事にした。

 

「ねぇ、マシュ。栞には何を渡すの?」

「えっと、先輩のとは色違いのケーキです。先輩はホワイト、栞さんにはミルクティーで作りました」

「おお、それも美味しそう」

 

マシュと栞の許可が貰えたらシェアしてくれないだろうか。……美味しいと言えば。

 

「マシュは栞が料理しているの見た事ある?」

「えっ!……どうでしょうか。実は私と栞さんはあの日まで、あまり接点がなかったのでそこまで詳しくないんです」

「そうなのかぁ……」

 

例えメシマズ枠でもエリちゃんズ以上はいないだろうから食べきる自信はあるけども、やっぱり気になるものは気になる。

そんな事を考えてる内に部屋に着いてしまった。俺は栞の部屋の扉をノックする。いたらいいんだけど……。

少しすると無言で扉が開いた。

 

「ん?なんだ、お前か。栞に用か?生憎だが今栞は留守だ」

 

中から出てきたのはスカサハ様だった。思わず落胆してしまいそうになるが、相手は神霊でしかもどこかの王様だった人だから、そんな事をすれば不敬だし、下手をすればしばらく栞への接触禁止令を出されかねないので、態度に出ないようにぐっと我慢する。

 

「……今、失礼な事を考えなかったか?」

「いえ、全然。ところで栞がどこにいるかご存知ですか?」

「…………まあ、よい。栞は確かお前たちの部屋に向かったはずだ。大方、他のサーヴァントに捕まったか何かで入れ違いになったのではないか?」

 

なるほど、十分ありえる。今から戻れば会えるかもしれない。スカサハ様に礼を言ってから、来た道を戻りながら栞の姿を探す。

案の定スカサハ様の言っていた通り、前方から入れ違いになっていたらしい栞がトボトボと歩いていた。顔は俯いてるから俺達には気付いていないみたいだ。……ちょっと驚かせたくなってきた。深く息を吸って──

 

「栞!」

「ひゃあっ!……あ、立香くんにマシュ!よかった、今日はもう会えないかと……!」

「どうやら入れ違いになっていたみたいで。無事に会えて良かったです!」

 

駆け寄って来た栞の顔を見れば、驚いたせいか若干涙目になっていた。なんか、ごめん。

 

「栞さん、これをどうぞ!」

 

マシュが栞に箱を渡すのを見て俺も慌ててチョコを渡す。

 

「俺も、これ!」

「2人ともありがとうございます!」

 

栞が嬉しいそうに受けとる姿に見て、マシュの方を横目に確認する。マシュも嬉しいそうに笑っている姿を見て俺も自然と笑顔になった。

 

「では、私からも……どうぞ!」

 

栞は見るからにたくさん入ってそうな紙袋を俺とマシュに渡してくれた。中を見るとクッキーやカップケーキなど色々なお菓子が入っているみたいだ。俺とマシュのを合わせたらちょっとしたお菓子パーティーが出来てしまえそうだ。あと見た目からしてエリちゃん枠じゃない!

 

 

「すごい!全部手作り?」

「はい。……まあ、何を作ればいいか散々悩んでしまって、結局簡単な焼き菓子をたくさん作って誤魔化すカタチになってしまいましたけど」

 

本当はもっと凝ったケーキとか作れたら良かったんですけどねと栞は少し照れ臭そうに言った。けど、簡単な焼き菓子とは言ってもこの量と種類の多さは素直にすごいと思う。

 

「私、部屋に戻ったら大事に食べます!焼き菓子なので何日か保存は聞くはずですし」

「私もマシュからのケーキ大事に食べますね!」

 

2人が笑い合う姿に俺はほのぼのとした気持ちになる。俺はこの日の為にチョコを量産したんだなぁ。いやぁ、報われた。

 

 

こうして俺の今年のバレンタインは目的も無事に達成し、平和(?)に終わったのであった。

 

 

 

 

 

 





「試行錯誤の末」
栞からのチョコレート。

クッキー、カップケーキ、マカロン等々多種多様のお菓子がこれでもかと入っている。ちょっとしたお菓子パーティーが出来てしまえそうだ。何をあげれば喜んでもらえるか悩み悩んだ結果でもある。ちなみに味は普通に美味しいのでご安心を。

「今回はこんな妥協案みたいな結果になったけど、来年こそは凝った物を作ってみせるので、是非リベンジさせてください!」

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