プリムラの花束を   作:雪苺

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相変わらず文が酷いです。


序章

2015年某月某日

人理継続保障機関フィニス・カルデア

 

 

とうとうこの日がやってきた。

人理を守る為の作戦、「グランドオーダー」が実行される。

少し前にミッションの成功への重圧があるのか、いつもよりカリカリしているマリーを見かけた。

廊下の壁に凭れているゼムルプスくんも落ち着かないのか、先程からそわそわしている。……私も人の事言えないけれど。

 

「……とうとう今日ですね。緊張していますか? 」

「そう、だな。緊張していないと言えば嘘になる。……けど、ミッションは必ず成功させるさ。……必ず」

 

声は緊張からか微かに震えていたが、目は決意に満ちた光を灯していた。

その姿が何だか嬉しくて、つい笑みがこぼれてしまう。

 

「はい、きっと大丈夫です。私、モニターの向こうで皆さんを応援しています」

「……あんたは今回のミッションは不参加だったな」

「補欠の補欠なので……。むしろ私が参加するような事態にならない方が一番いいんです」

 

マスター候補48人目が見つからなければ、私が参加する事になっていた。けど、なんとかギリギリで最後のマスター候補が見つかったので私は今回の作戦では出番がない。

 

それでもこの先、マスター候補の人数が減るような事があれば、私が動員される。出来る事なら私の出番がないまま終わって欲しい。

けど、こういう時に限って嫌な事が起こりそうで……怖くて、たまらない。

 

「……雪白?大丈夫か?」

 

不安な気持ちが顔に出ていたのか、ゼムルプスくんが少し心配した顔で言った。

 

「え?あ、ごめんなさい。ちょっとボーッとしてて……」

「いや、大丈夫ならいいんだ」

 

私が慌てて言い繕う姿を見て、ゼムルプスくんは安堵した顔に変わっていた。その後、思い出したかのように時間を確認する彼につられて、私も時間を見る。

もうブリーフィングが終わる時間だ。

 

「じゃあ、そろそろ時間だから僕はもう行く」

「わかりました。私は一度部屋に戻ってから向かいますね。ゼムルプスくん、どうか頑張って」

「ああ、行ってくる」

 

ゼムルプスくんは薄く笑ってそう言った後、管制室の方へと歩いて行った。

私はその背中をしばらく見続けた後、自分の部屋へと向かうべく、反対側へと歩き始めた。

 

 

 

************

 

 

 

先程ブリーフィングを終えて何故か不機嫌なマリーから連絡があり、集まる時間に遅れた挙げ句、説明中に居眠りをしたのでファーストミッションから外した人がいると愚痴を聞かされた。わざわざ通信してまで言うのだから、相当鬱憤が溜まっているのだろう。

 

……それにしても、あのマリーの説明中に居眠りだなんて大物だ。ある意味尊敬する。

 

外されたという事は部屋に待機しているはずなので、後で隙を見て会いに行こう。とんだ問題児かもしれないけど、もしかしたら仲良くなれるかも……。

と、友達は欲しいし……うん。

 

「おや、そこにいるのは栞君かな?」

 

廊下の向こうからレフ教授がこちらへ歩いて来た。

彼からはとてもよくしてもらっているので感謝の気持ちが大きいが、時折怖い時があるので少々苦手だ。

 

「あ、レフ教授。……こんにちは」

「こんにちは。これから中央管制室に向かうのかな?」

「は、はい。何も出来ないので、ただの見学になるんですけど……」

「君は補欠の補欠だからね。もしもに備えて、どのようにレイシフトするのか見ておくのも立派な仕事だよ」

「……はい」

 

レフ教授はいつも通り、微笑みを浮かべたような表情で言った。

 

分かってはいても、見ることしか出来ないという事は、なかなか心に来るものがある。

レフ教授は、少し思考する素振りを見せ、指で顎を撫でながら提案をしてきた。

 

「ふむ、そうだ。見学するならオルガの横で見させてもらったらどうかな」

「え、でも……マリー怒りませんか?」

 

マリーなら怒る。今日なら特に怒るに決まっている。

 

「いざとなれば、私から言われたと言えば大丈夫さ。とはいえ、オルガは君になら許すと思うがね」

「そうですかね……」

 

思わず苦笑する。

とてもじゃないけど、信じられない。

 

「栞君は気づいていないようだが、オルガは君に対してかなり心開いているからね。……さあ、そろそろ時間だ。引き止めて悪かったね」

「いえ、大丈夫です。……あのレフ教授、いってきます」

「……いってらっしゃい」

 

私は俯いてレフ教授の顔をまともに見ず、早足でその場を立ち去った。

彼がどんな顔で私を見ていたのか、知りもせず……。

 

 

 

****************

 

 

 

中央管制室に着くと指示を飛ばしているマリーを見つけ、そっと近づいてみる。

マリーの方も近づく私に気づいて体ごとこちらに振り向き、眉間に皺を寄せていく。

 

「……栞?何で貴女がここまで来ているの?あらかじめ伝えていた場所に戻りなさい!」

 

案の定怒られた。

……本当にマリーは私に心開いているのだろうか。レフ教授の気のせいなのでは……。

ダメ元でレフ教授に言われた言葉を伝える事にした。

 

「えっと、レフ教授がせっかくだからマリーの横で見学させてもらったらって言われて……」

「レフが?……何を考えているのかしら。でもレフの言うことに間違いはないから、きっと何か考えが……」

 

よく聞こえないが、ぶつぶつと独り言を言いながら考えをまとめているようだ。

 

「あの、マリー?」

「……いいでしょう。私の近くで見学する事を許可します!ただし、余計なことはしない事が条件よ。まあ、貴女ならそんな失態は起こさないとは思うけど……」

 

本当に許可が出た……!

少し不満げな顔をしているけども。

本当にマリーはレフ教授を信頼しているんだな……。信頼というか依存とか盲信に近い気がして心配だけど。

 

それからしばらくマリーが指示を飛ばしている姿や、スタッフの人達が忙しく何かを打ち込んでる姿を見ながら過ごした。

レイシフト開始まであと10分もないというところで、マリーが何かを思い出したかのようにこちらを見た。

 

「そうだわ、栞。貴女に私の部屋から取ってきて欲しい物があるから、行ってきてちょうだい。キーは渡しておくわ」

「いいですけど。でも、もうレイシフト始まりますよね?」

 

キーを受け取りながら質問をする。

出来る事ならレイシフトする場面が見たい気持ちがあるからだ。

 

「別に、レイシフトする瞬間そのものは、この先も見る機会は何回もあるのだから問題ないわ。今動けるのは貴女しかいないのだから、早く行って!」

「は、はいぃ!」

 

思わず情けない声が出てしまった。恥ずかしい。

私は早足で管制室から出ようとする、と。

 

「あと!」

「……?」

 

何故か急いで立ち去ろうとする私をマリーが慌てたように引き止めた。

顔を見ると頬が薄く赤らんで、目線は少し私から外している。

少し間を置いて、今度は目線も私の方をしっかり向けて発言する。

 

「このミッションが終わった後、話があるから時間を空けておくように」

「はあ、わかりました……」

 

 

今度こそ会話を終えてから、急いでマリーの部屋に向かう。

これからも機会はあるとは言っても、ファーストミッションなのだからこの目で、しっかり見届けたかった。

マリーの部屋まで、あと少しというところで私はあることに気づいた。

 

「あ、何を取ってくればいいのか、聞くの忘れてた……」

 

レイシフトの時間に何とか間に合わせようと、急ぎすぎて失念していた。通信機器も管制室に置いて来たので、連絡して聞くことも出来ない。これでは、どう頑張っても間に合わない。

大きなため息をつく。仕方がない、1度戻って聞きに行こう。運が良ければ丁度レイシフトする所が見れるかもしれない。

 

そうやって振り向いた瞬間、大きな爆発音が響き渡り、目の前に黒い煙がきて──────。

 

 

 

そこから先の記憶は、ない

 

 

 




所長がキレイにフラグを建てて下さりました。
所長が話したい内容は改めて友人になりたいという申し出かもしれないし、また別の内容だったかもしれません。そこはお好きに想像して下さい。取ってきて欲しかった物も含めてです。

この後は幕間2つぐらい書いてから、本編に沿います。
とはいえ3章まで飛ばして、4章からスタートになるんですけどね……。
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