戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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第四章/蘇る聖拳×束ねられた絆③

 

 

『ハァアアッ!ハッ!ぜぇえああッ!』

 

 

『ぐっ、ごぉうっ?!おっ、まえェェえええええッ!!』

 

 

ガングニールを取り戻した響と共に変身し、戦いの流れの中で公園内にある雑木林へと場場を移したクロスはフロッグイレイザーを相手にカウンターを主体とした動きで立ち回っていく。

 

 

一方でフロッグイレイザーは想定外の事態の連続による動揺、そして自分の思い通りにならないクロスと響への怒りが未だに収まらないが故か、その動きは憤りのあまり感情が先走って乱雑になっていた。

 

 

まるで平手打つようにカエルの手に酷似した巨大な異形の手を荒々しく振りかぶりクロスに何度も襲い掛かるも、一発目、次いでの二発目の平手を歩くような後退と共に顎を引かれるだけで回避される。

 

 

そして三発目の平手をクロスが咄嗟に伸ばした右腕で容易く受け止められた直後、弾丸の如く放たれた素早い左拳が顔に突き刺さり後退りさせられた。

 

 

『がぁあうぅっ?!ぐっ……だったらァああああッ!』

 

 

鼻を抑えて痛みに悶え、湧き上がる怒りのままに今度は地面に張り付くように身を低く屈めると、フロッグイレイザーは両足をバネの如く用いて勢いよく真上へと跳び上がり、そのまま降下の勢いを利用してクロスに殴り掛かった。

 

 

振り翳された拳が目前にまで迫る。しかしクロスは片足軸回転でフロッグイレイザーの拳と突撃を紙一重で回避すると同時に左脚を突き上げ、フロッグイレイザーの溝尾に鋭い膝蹴りを叩き込んでいった。

 

 

『ゴッ、ァアアァッ?!おっ、まえっ……!!』

 

 

『ハァアアアアアアッ!!』

 

 

腹を両手で抑えながら数歩後退るフロッグイレイザーの顎に続けざまに放たれたアッパーカットが突き刺さり、フロッグイレイザーの身体が簡単に宙に浮き上がる。

 

 

更に追撃はそれだけで終わらない。クロスはバックルから右腕に掛けて伸びたラインに瞬時に光を走らせて拳に蒼い輝きを纏い、瞬間的に強化された右ストレートを身動きが取れないフロッグイレイザーの腹に思い切りブチ当て、炎のように揺らめく蒼いオーラを周囲に拡散させながら殴り飛ばしていったのだった。

 

 

『ギィイイイイイイイッ?!ごっ、っ……こ、のっ……!!オマエっ、なんかに……!!お前が邪魔さえしなければァああああッ!!』

 

 

物語を改竄し、立花響を孤立させるという自分の目論見は確かに叶っていた。

 

 

なのにこの黒月蓮夜というイレギュラーをきっかけに計画の全てが瓦解し、あと少しというところで改竄で蝕む事が出来た響の復活に繋がってしまった。

 

 

コイツさえいなければっ……!と、自分の復讐を邪魔したクロスへの憎悪を糧に痛みを振り払い、ふらつきながらも身を起こして再度クロスに襲い掛かろうとするが……

 

 

「うぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」

 

 

『……?!』

 

 

その時、天をも貫かんばかりの猛々しい咆哮が何処からともなく響き渡る。驚きと共にフロッグイレイザーが咄嗟に振り返れば、其処にはフロッグイレイザーの側面に回り込んだ響が後ろ腰のスラスターで加速しながら猛スピードで木々の間を駆け抜け、右拳を振りかざして迫る姿があったのだ。しかし……

 

 

『ハッ、馬鹿が……!俺にはお前達の技は通じないとまだ学習してないかァッ!!』

 

 

そう、あらゆる物語から追放され、異なる現実の存在と化したイレイザーには物語の中のルールは通用しない。

 

 

本の中の存在でしかないキャラクターが本の外の読者を傷付けられないように、物語上を生きる人間の響達にはイレイザーに傷一つ付ける事が出来ないのだ。

 

 

幾ら力を取り戻した所でその事実は変わらない。初めから脅威として見てすらいない響を前にフロッグイレイザーは馬鹿にするようにせせら笑い、目の前にまで迫る響の拳を敢えて受け止めてやろうと悠々と両手を広げ、

 

 

 

 

 

ドゴォオオオッッ!!!と、響が全力で振り抜いた鉄拳がフロッグイレイザーの顔面に顔がめり込むほど強く突き刺さり、直後に伝わる筈のない凄まじい激痛が顔中に広がっていったのだった。

 

 

『ッッッ!!!!?なっ……ニィイイッッ……!!!!?』

 

 

「どぉおおおおおおりゃあああああああああああああああああああァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」

 

 

動揺するフロッグイレイザーの反応など他所に、響は腹の底からの咆哮と共に拳を突き刺したままスラスターから炎を噴き出して更に加速する。

 

 

そしてスラスターの推進力を加えた拳を全力で振り切った瞬間、フロッグイレイザーは大気を切り裂く程の勢いで次々と木々を薙ぎ倒しながら派手に吹っ飛んでいき、そのまま公園内にまで飛ばされゴロゴロと地面を転がっていったのであった。

 

 

『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアァッッ!!!?ィギッ……ァッ……な、んだっ……なぜっ……?どうして奴の攻撃でダメージがっ……!!!?』

 

 

「はぁああああああああああああああああッッ!!!!」

 

 

殴られた顔を抑え、感じる筈がない痛みに驚きを禁じ得ないフロッグイレイザーだが、そんなフロッグイレイザーに目掛けて響が雑木林から勢いよくスラスターを噴かせて飛び出し、息を吐かせる間も与えまいと高速のラッシュを仕掛けていく。

 

 

そして二人の後を追い掛けて雑木林を抜け出したクロスは、フロッグイレイザーに拳を打ち付けていく毎に確実にダメージを与えていく響を目にしてある確信を得ていた。

 

 

(やはりそうか……だとしたらさっきのあのカードも……これなら…!)

 

 

先程生まれたカードを見た時に蘇った知らない筈の知識。あれにより響がイレイザーと対等に渡り合えている理由を理解出来たクロスは納得するように小さく頷き、そのまま響の下に駆け付けて彼女と共にフロッグイレイザーに挑み掛かっていった。

 

 

「ダァアアァァッ!!はぁああああッ!!」

 

 

『ハッ!ぜぇいやぁああッ!』

 

 

『グゥッ!コ、コイツ等ァアアッ!!』

 

 

目にも止まらないラッシュを浴びせつつ、フロッグイレイザーにこちらの動きに慣れさせないように舞うように飛び交って何度も立ち位置を入れ替え、アクロバティックな動きで翻弄しながら休まる間を与えず拳を打ち込み続ける。

 

 

これが初めてとはとても思えない、まるでお互いの思考を読み取っているかのような手練の動きにフロッグイレイザーも追い詰められながらただただ目を見張るばかりだが、驚きを感じているのはクロスと肩を並べる響も同じだった。

 

 

(動きやすい……次にどう動けばいいのか手に取るように分かる!合わせてくれてるんだ、私の動きの癖に……!)

 

 

身体ごと当たる勢いで全力の拳を振り抜けば、それに合わせて先に動いていたクロスが敢えて回避されやすい攻撃を仕掛けて自分の拳が確実に当たる位置に敵を誘導し、相手が放った拳に咄嗟に前蹴りを合わせ、その力を利用し後方へとバク宙して離脱する自分の真下を素早く潜り抜けながらフロッグイレイザーに殴り掛かり、空いた隙をフォローしてくれる。

 

 

自分の一挙一動、呼吸を合わせてくれているのが伝わり、今漸く本当の意味で一緒に戦えている嬉しさを滲ませて響は口元を緩めながらクロスと顔を見合わせて頷き合うと、二人の間に割って入るように飛び掛かったフロッグイレイザーの攻撃を捌きながらクロスと共にフロッグイレイザーの顔面に正拳突き、トドメに横蹴りを胴に打ち込んで吹き飛ばしていった。

 

 

『グッ!クッ、ソォッ……!だったらこれでどうだァッ!』

 

 

格闘戦では二人に分があると踏んだのか、フロッグイレイザーはクロスと響から距離を離すように後方へと飛び退きながら口から水弾を乱射し始める。

 

 

それを見たクロスと響も咄嗟に身を屈めて初撃をかわしながら左右に駆け出して散開し、フロッグイレイザーが二人に目掛けて交互に放つ水弾を疾走して回避し続けるが、その時、ズキィッ!とクロスの右足に激痛が走った。

 

 

『ッ!足、がっ……!』

 

 

先のアスカとの戦いで負傷した火傷が激しい戦闘の影響で再び疼いたのか、思わず足を押さえるクロスの動きが目に見えて鈍る。其処へ響から標的を変えたフロッグイレイザーの水弾が直撃し、クロスは大量に撒き散る水と共に吹っ飛ばされてしまった。

 

 

『グアアァッ!』

 

 

「ッ!蓮夜さんッ!」

 

 

『貰ったァああッ!!』

 

 

地面に叩き付けられるクロスに目掛け、この隙を逃すまいとフロッグイレイザーが立て続けに水弾を発射する。それを見た響はすぐさま腰と両脚のスラスターを噴かせて方向転換し、フロッグイレイザーの頭上を飛び越えながらクロスの前に着地すると共に地面を思いっきり踏み付けた。

 

 

瞬間、響の震脚により衝撃が走ったアスファルトの地面が大きく捲れ上がり、巨大な盾となって無数の水弾から二人を守っていく。

 

 

「これ以上はやらせないッ!」

 

 

『チィッ!小癪な──!』

 

 

『Final Code x……clear!』

 

 

『──?!』

 

 

ならばこちらも威力を上げて盾ごと粉砕してやると大きく息を吸って身を反らすフロッグイレイザーの耳に、不意に電子音声が届いた。

 

 

直後、アスファルトの盾から真上へと跳び上がったクロスが薙ぐように左脚を振るい、蒼いポインターをフロッグイレイザーに当てて拘束する。

 

 

『し、しまっ──?!』

 

 

『ハアアアアァァァァーーーーーッ!!ダァアアッ!!』

 

 

『グッ?!ガハァアアアアアアアアアアアッ?!』

 

 

動きを封じられたフロッグイレイザーに目掛けてその身を蒼い閃光と化し、右脚を突き出しながら急降下で加速したクロスの飛び蹴りが炸裂して爆発が巻き起こっていった。全身から火花を撒き散らして倒れるフロッグイレイザーだが、しかし、ふらつきながらも起き上がるその身は未だに健在だった。

 

 

『きっ、かないなぁっ……!この程度でぇええっ!』

 

 

(ッ……やはり威力が落ちているか……!)

 

 

右足を負傷した状態では辛うじて繰り出した必殺技も威力が格段に落ち、フロッグイレイザーを倒すには至らない。

 

 

今此処で切り札を切るのが早過ぎたかと、仮面の下で苦虫を噛み潰したような顔を浮かべてクロスがフロッグイレイザーを睨み据える中、そんなクロスの下に響が慌てて駆け寄っていく。

 

 

「蓮夜さん……!大丈夫ですか!」

 

 

『……ああ。だがすまない、奴を仕留め損じた……足さえ万全ならっ……』

 

 

僅かに右足を動かしてみるが、それだけで激痛が走り顔を歪める。

 

 

戦いの中で足の怪我が徐々に悪化していた所に、決着を急いて技を使ったのが仇になったのだろう。こんな状態ではまともに戦えない所か、響の足を引っ張ってしまう。

 

 

ならば他の形態に姿を変えて……と一瞬考えを巡らせるも、遠距離を得意とするタイプブラスターはその高い火力とパワーから反動も強く、この足では銃を一度放つ毎に踏ん張る事が叶わずまともに扱えない。

 

 

高速戦闘を得意とするタイプスラッシュはそもそもの前提として両足がまともに機能しなければ、その強味を活かせない。

 

 

思考すればする程、ハンディを負った今の自分ではどれも十全な能力を発揮出来ず奴を仕留め切れる決定打にはならないという結論に至り、クロスは足を抑えて悔しげに唇を噛み締める。

 

 

響はそんなクロスの顔を心配そうに覗き込むと、突然「あ……!」と何かを思い出したように顔を上げて懐を漁り、一枚のカードをクロスに差し出した。

 

 

「そうだ、これ……蓮夜さん、これって何かお役に立てませんか……!」

 

 

『?それは……』

 

 

そう言って響が差し出したのは、先程彼女の手の中でガングニールを模した紋章が浮かび上がった新たなカード。

 

 

それを見たクロスは差し出されるカードと響の顔を交互に見比べ、戸惑い気味に響の手からカードを受け取っていくと、その瞬間、まるでクロスに共鳴するかのようにカードに描かれたガングニールの紋章が淡い光を放っていく。

 

 

『!カードが反応して……?』

 

 

『っ……?何をするつもりか知らんが、みすみす見逃すと思っているのかッ!!』

 

 

光を放つカードを見て驚きを浮かべるクロスに目掛けて、フロッグイレイザーが口から再び水弾を連射して容赦なく襲い掛かる。だが其処で響がクロスの前に飛び出し、無数の水弾を拳で素早く弾き凌いでいく。

 

 

「私があのイレイザーの攻撃を抑えますっ!今の内にっ!」

 

 

『ッ……すまない……お前の力、借りるぞ……!』

 

 

響の背中を見て頷き、彼女の助けを借りてふらつきながら立ち上がったクロスはバックルから立ち上げたスロットにカードを装填し、左手でスロットを押し戻した。

 

 

『Code Gungnir……clear!』

 

 

鳴り響く電子音声と同時に、クロスからパージされた装甲が周囲をグルリッと回転してその姿形を変化させていき、更にクロスの周りにも腕部や肩等の幾つもの装甲が追加で出現していく。

 

 

そしてそれらの装甲が次々とクロスに全身に纏われていくと、最後に両肩の肩甲骨部から橙色に美しく輝く二翼の光のマフラーが飛び出し、風に靡くように揺らめいた。

 

 

全ての変身を終えたその姿は、頭部左右に角のように頂く黒と白のヘッドギアと、金に近い煌めきを放つ橙色の複眼が特徴的なオレンジと白の仮面。

 

 

滑らかさと刺々しさが溶け込むように両立した形状のオレンジ、白、黒の三色が入り交じったボディの背部と両足の左右には、響のスーツと同様に複数のスラスターが付属されており、両腕は右腕が純白と橙色、左腕が漆黒と橙色という左右非対称のアンシメトリーな色合いとなっている。

 

 

それは、一人の少女と紡いだ『繋がり』の証。

 

 

立花響という少女の想いと交錯する事で誕生した新たな形態、『仮面ライダークロス・タイプガングニール』にその身を変容(リビルド)させたのであった。

 

 

『ッ?!な、何だ……?あの姿は……ッ?!』

 

 

「……ガングニール……蓮夜さんも、私と同じ……!」

 

 

新たな姿に変身したクロスを目の当たりにし、フロッグイレイザーから驚愕の、響からは感嘆の声が上がる。

 

 

『……これは……』

 

 

クロス自身もその姿を予想だにしていなかったのか、凄まじい力の奔流を感じる新たな形態に呆然と自分の両手を見下ろすが、クロスと同様、予想外の事態に困惑を浮かべていたフロッグイレイザーはハッと我に返り、頭を振った。

 

 

『今更そんなもんを出した所で何になる……!どっちみち足が使い物にならなきゃ役に立つものかよォッ!!』

 

 

そうだ、クロスが足をまともに使えないのは既に分かっている。ならば今更どんな姿形に姿を変えようともその力を十全に扱える筈がないと動揺を振り払い、フロッグイレイザーはその跳躍力で遥か上空へと一気に跳び上がりながら、クロスと響に目掛けて水弾を素早く連射していく。

 

 

「ッ!蓮夜さんッ!ぐっ!」

 

 

『!』

 

 

まるで雨の如く降り注ぐ水弾の数を前に響がクロスを助けようと咄嗟に飛び出すが、狙われているのは彼女も同様であり、立て続けに襲い掛かる水弾を弾くのに精一杯でその場から動く事が出来ない。

 

 

響の援護を得られず、空から迫る水弾の雨を前にクロスは空手のまま佇むばかりだが、それでもフロッグイレイザーを見据えたまま僅かに踏み出した左脚のスラスターが火を噴き出し、水弾の一発が額に直撃する寸前……

 

 

 

 

 

その姿が残像のように乱れたかと思われた次の瞬間、降り注ぐ水弾の雨の間を一瞬で飛び抜け、上空に浮遊するフロッグイレイザーの眼前に右腕を振りかざしたクロスが姿を現したのだった。

 

 

『ッ!!?なん──!!?』

 

 

「蓮夜さんッ?!」

 

 

『ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!』

 

 

動き出す際の予備動作すら目で追えなかった、恐らく上空まで50メートル以上は離れていたであろう距離を瞬間移動したとしか思えない突破力で一気に詰めたクロスを見て、フロッグイレイザーと響が驚愕の声を上げる。

 

 

そんな二人の声を耳に、背部と両足のスラスターから火を噴かせるクロスの右拳が白い軌跡を宙に描きながらけたたましい殴打音を鳴り響かせ、フロッグイレイザーの溝尾を捉えて突き刺さった。

 

 

『ゴブゥウウウゥッ!!!?ギッ……ッ……!!ギッッッザマァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!』

 

 

一瞬内臓が吹き飛んだかと思われた衝撃のあまり、身体をくの字に大きく折り曲げるフロッグイレイザーが激昴の雄叫びを荒げるが、攻撃はそれだけで終わらない。

 

 

フロッグイレイザーの鳩尾にめり込むほど深く突き刺さるクロスの右腕の手首がまるでリボルバーのように高速回転し、肘の部分からハンマーパーツが展開されたのだ。

 

 

そして次の瞬間、まるでパイルバンカーのようにハンマーが打ち出された同時に凄まじい爆発がクロスの拳から巻き起こり、フロッグイレイザーの身体が勢いよく宙へと打ち上げられた。

 

 

『なんっ……!!!?がっ、ぎっ、ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!?』

 

 

『ハァアッ!!ぜぇええいッ!!ダァアアアアアアッ!!』

 

 

ダァアアンッ!!、ダァアアンッ!!と、交互にバンカーを展開する純白の右腕と漆黒の左腕を振り抜きながらスラスターで上昇し、黒煙を切り裂くほど鋭い一撃を何度も何度も打ち込んでフロッグイレイザーを爆発と共に空へ打ち上げ続けていく。

 

 

そうして公園周辺のビルの向こうを見渡せるほどの高度までフロッグイレイザーを殴り飛ばしたクロスは背部のスラスターを更に加速させながら、同時に両脚の脛部に備わるパワージャッキで空中を蹴り上げて上昇すると、フロッグイレイザーの真上へと翔ぶと共に左脚のスラスターを点火させて勢いよく宙返り、フロッグイレイザーの背中に全力のサマーソルトキックを叩き込み、遥か真下の地上へと隕石が如く勢いでフロッグイレイザーを蹴り落とし巨大な爆発を巻き起こしていったのだった。

 

 

「きゃああああっ!!」

 

 

「ぐうぅっ!っ……あれが……蓮夜さんのガングニールの力……!」

 

 

フロッグイレイザーが地上に叩き付けられて発生した爆発の衝撃波が公園内に吹き荒れる。そのあまりの突風に遊具に身を潜める未来も思わず悲鳴を上げ、両腕を十字に組んで衝撃波に耐える響もクロスの新たな形態の力に驚きを隠せずにいた。

 

 

そして二翼の光のマフラーを棚引かせ、パワージャッキを利用し右脚を庇いながら地上に着地したクロスもフロッグイレイザーが墜落して巻き上がる土煙を見つめた後、左右の脚に備え付けられる装備を見下ろしながら自身の右脚に撫でるように触れていく。

 

 

(この装備のおかげで足の負傷をカバー出来てる……これが、アイツの……)

 

 

「蓮夜さん!」

 

 

触れる装甲から何処か暖かみを感じ取る中、背後から響が笑って駆け寄って来る。

 

 

その姿を見てクロスも仮面の下で思わず微笑んで響と向き合っていくが、その時、二人から離れた場所で漂う土煙を異形の手が荒々しく切り裂き、白煙の中から墜落で出来たクレーターの中心に佇むフロッグイレイザーが姿を現した。

 

 

『クッソォオオオオオオオオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーッッッ!!!!オマエらァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

「ッ!あれでまだ動けるなんて……!」

 

 

既にその身体はボロボロで、全身は今のクロスの連撃の威力を物語るかのように傷だらけになっている。

 

 

それでも尚憎しみを糧に起き上がるフロッグイレイザーの執念深さに思わず拳を構える響も驚愕する中、フロッグイレイザーは傷付いた腕を荒々しく振るいながら二人に向かって叫ぶ。

 

 

『赦さないッ……!!!赦してたまるかお前達の存在をォおおッッ!!!絶対に消してやるッッ!!!今度こそ消してやるッッ!!!お前達が存在したという痕跡すらもこの手で書き換えてやるゥゥううううううううッッッ!!!!!!』

 

 

まるでその怒りに呼応するかのように、フロッグイレイザーは不気味に輝く赤い瞳を激しく発光させて怒り荒ぶる。

 

 

しかしクロスは臆する事なく左腰のホルダーから取り出した一枚のカードを構え、響を一瞥しながら首を横に振っていく。

 

 

『残念だがコイツが──いや、コイツ等と俺がいる限り、それは不可能だ……!』

 

 

『Final Code x……clear!』

 

 

バックルにカードを装填して電子音声が鳴り響き、クロスの両側頭部のヘッドギアに内臓された歯車が高速で回転し始める。

 

 

瞬間、身体の内から凄まじい量のエネルギーが湧き上がると共に、両肩の縁、両腕と両脚の側部、胸部中央の各部の装甲が花開くように展開されていき、露出された内部装甲から過剰に高まるエネルギーを外へ逃がすように橙色の輝きが放出されていく。

 

 

そしてクロスの両肩のアーマーが独りでに変形してドリルのような武器を備えた形状に変わっていき、クロスが両腕を伸ばし両肩のアーマーとナックルを連結させ肩から切り離した瞬間、両腕のナックルに装備したドリルが起動し、火花を撒き散らしながら激しく回転し始めた。

 

 

『ッ?!なん、だ……?ドリルっ……?!』

 

 

『ハァアアァァァァァァァッ……!!ぜぇぇぇぇえやぁッ!!』

 

 

新たな武器を取り出すクロスを見てフロッグイレイザーが警戒し身構える中、クロスは両腕のドリルをナックルごと交互に投擲する。

 

 

スラスターから火を噴いて放たれた二つのドリルナックルは互いにぶつかり合いながらフロッグイレイザーに目掛け飛来していき、迫り来る白のドリルナックルを前にフロッグイレイザーは慌てて身を翻し紙一重で回避するが、直後にフロッグイレイザーの背後にクロスが瞬時に回り込んだ。

 

 

『ッ?!何だとッ?!』

 

 

『おおおおおおおッ!!』

 

 

避けられた白のドリルナックルを拾い上げるように右手に再装着し、グルリと回転して勢い付けたクロスのドリルがフロッグイレイザーの背中に炸裂した。

 

 

『ガァアアアアアアアッ?!』と、背中を襲う削り取られるような痛みにフロッグイレイザーが堪らず悲痛な雄叫びを上げ、そのまま殴り飛ばされた先でもう片方の黒のドリルナックルが飛来し、フロッグイレイザーの胸に抉るように突き刺さっただけでなく、

 

 

「やぁああああああああああああああああッッ!!!」

 

 

『?!なんっ……?!―ガギィイイイイイッ!!ーうぐぁあああああああああああッッ!!?』

 

 

正面から腰のスラスターで加速した響が猛スピードで突進し、フロッグイレイザーの胸に突き刺さる黒のドリルナックルの接続部に殴るように左拳を挿し込み、その勢いでドリルの先端を更に深く食い込ませていったのだ。

 

 

そして響はフロッグイレイザーの胸から引き抜いた左腕に装着した黒のドリルナックルの刺突と右腕のパイルバンカーを組み合わせた連撃を立て続けに打ち込んでいき、響が右腕のバンカーで殴り飛ばした先で待ち構えていたクロスが左脚のスラスターを噴かせ、フロッグイレイザーを上空へ打ち上げるように蹴り飛ばしていった。

 

 

『ガハァアアアアッ?!』

 

 

『続けて行くぞッ!』

 

 

「はいッ!」

 

 

二人の猛攻はまだ止まらない。

 

 

後部のスラスターに火を灯して勢いよく飛び立ち、まるで天翔ける流れ星のように空に打ち上げられるフロッグイレイザーを飛び越えるほど速く飛翔した二人は遥か上空で合流し、互いに向けて空いた右手と左手を伸ばし繋ぎ合わせていく。

 

 

「蓮夜さんッ!」

 

 

『ああ……!コイツで決めるッ!』

 

 

握り合わせた手と手を起点に立ち位置を入れ替えるようにその場で一回転し、クロスと響はドリルアーマーを纏ったそれぞれの腕を合わせるように構えていく。

 

 

すると次の瞬間、二人のそれぞれの腕に纏われるアーマーが分離・連結して徐々に一つとなっていき、クロスと響の右腕と左腕を繋ぐように巨大な橙色に輝く豪腕を形成していったのである。

 

 

『……ッ!!!?な、んだっ……アレはっ……!!!?』

 

 

『「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!!」』

 

 

巨大な豪腕を目にして動揺を露わにするフロッグイレイザーに目掛け、クロスと響は拳を固く握り締めた豪腕を突き出しながら豪腕に備え付けられるスラスターの火を点火し、高速落下していく。

 

 

それに対しフロッグイレイザーも慌てて口から水弾を乱射して抵抗するが、二人が突き出す豪腕の拳は無数の水弾をものともせず全て弾き飛ばしていき、そのまま空中で身動きが取れないフロッグイレイザーに凄まじい激突音を轟かせながら、豪腕の一撃が炸裂していったのだった。

 

 

『ウグァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!?こ、こんなっ…………嘘だっ…………こんなっ────!!!!?』

 

 

『「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!破ァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!!!」』

 

 

響と共に全力のエネルギーを豪腕に注ぎ込むクロスの仮面のクラッシャーがガギィッ!と音を立てて開かれて発光し、内部装甲が露出するクラッシャーと全身の装甲から凄まじい熱量と共に発せられる橙色の光が輝きを増していく。

 

 

そしてフロッグイレイザーに打ち込まれる豪腕があまりのエネルギー量に耐え切れずに徐々に罅割れていき、やがて硝子のように粉々に砕け散った豪腕の中から飛び出したクロスと響の全力を込めた拳がフロッグイレイザーの両脇を穿ち、その身体に巨大な二つの風穴を開けながらクロスと響は地上へと滑るように着地していったのだった。

 

 

―交錯x天照裂破―

 

 

『ガッ……ァ、ッ…………!!!!!?ま、だっ…………まだだっ…………オレ…………オレっ、は…………っっっ!!!!!』

 

 

バチバチィッ!と青白い火花が散る、二つの風穴が開いた自身の身体を見下ろし、フロッグイレイザーが苦しげに呻く。

 

 

その声を背に、クロスは光のマフラーを揺らして徐に身を起こしながら全身の装甲を元に戻していき……

 

 

『……いいや……それがお前のエンドマークだ……』

 

 

『ッッッッ!!!!!!?ゥッ……アッ……ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアアアァァァァァッッッッッッ!!!!?』

 

 

その一言と共に仮面のクラッシャーが最後に閉じられた瞬間、フロッグイレイザーの全身から一際大きい火花が撒き散り、悲痛な叫びと共に公園の上空で巨大な大爆発が巻き起こったのであった。

 

 

 

 

 


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