戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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第六章/五等分のDestiny×紅弾の二重奏(デュエット)⑦(中)

 

 

「デェエエエエエエスッ!!」

 

 

「はああああッ!!」

 

 

 タイプイチイバルに変身したクロスと、記号の力に覚醒したクリスがイグニスイレイザー達と激突し始めたその一方、二人から風太郎達の守りを託された響達は彼等を狙って絶え間なく迫るダスト達を前に多彩な技を繰り出し、突破力に優れた響を主軸に切歌と調も後方から投擲攻撃を用い彼女の援護に回っていた。

 

 

 切歌と調のそれぞれの得物から放たれる刃や鋸が高速で回転しながら、ダストの首を次々と刈り取って跳ね飛ばしていく。

 

 

 しかし、記号を持たぬ二人ではイレイザーと同じ特性を持つダスト達を完全に倒し切る事はやはり叶わず、ダスト達は首を切断されてもたちまち切断面から頭を生やし復活してしまう。

 

 

「うう……!何なんデスかコイツら?!斬っても斬っても全然倒れないデスよ?!」

 

 

「ザババの刃が通じないなんて、どうすれば……!」

 

 

 手応えは確かにある筈なのに、どれだけ斬って切り刻んでも次から次に復活してしまう初めて交戦するダストの不死性に切歌と調も気遅れてしまうが、先陣切って突貫する響がマフラーを雄々しく棚引かせながら多方向から襲い掛かるダスト達に次々と打撃技を打ち込んだ瞬間、肉体が一瞬で霧散し跡形も残さず消滅するダスト達を見て響は僅かに目を見張った。

 

 

「(私の拳は通る!という事は、この怪物達もイレイザーと同じ性質を……!)……切歌ちゃん、調ちゃん!敵を一箇所に集めて!コイツらもイレイザーと同じなら、倒すのは無理でも……!」

 

 

「……!分かりました!」

 

 

「そーゆー事なら、アタシ達にお任せデス!」

 

 

 ダストの特性にいち早く気付いた響からの呼び掛けで彼女が言わんとしている意図を瞬時に汲み取り、調と切歌はすぐさま行動に移してほぼ同時に左右に別れて動き出す。

 

 

 その気配を背中越しに感じ取った響もダストの攻撃をかわしながら背後へ一気に飛び退くと、その隙に切歌がダスト達の周囲を駆け回りながら手の中で大鎌を回し、両手で握る大鎌を大きく振るった瞬間、凄まじい大旋風が巻き起こり、ダスト達を風で巻き込んで纏めて空へと打ち上げていった。

 

 

『『『ゴッ、ォアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーアアアァァァッッッ!!!!?』』』

 

 

「今デス!調っ!」

 

 

「ハァアアアアッ!!」

 

 

 抵抗すら出来ず大旋風に攫われるダスト達を見上げながら切歌が大声で呼び掛けると共に、上空に跳び上がって待ち構えていた調が両手のヨーヨーの糸を際限なく伸ばしていく。

 

 

 そしてヨーヨーの糸を器用に操ってダスト達を一体一体縛り上げていき、ダスト達を一箇所に纏めるように固めて身動きを封じていった。

 

 

「これで……!響さんっ!」

 

 

「──おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」

 

 

 糸を手繰り寄せながら地上に着地した調が響に視線を向けたと共に、タイミングを見計らい右腕の手甲をドリル状の形態に変形させ待機していた響が腰のブースターを噴かせながら地面を蹴り上げ、まるでロケットが如く勢いで空へと飛び上がる。

 

 

 そしてダストの群れの塊に向かってそのまま一直線に突撃していき、橙色の軌跡を宙に描きながらダスト達の塊をドリルで打ち貫き、纏めて木っ端微塵に粉々にしていったのだった。

 

 

「す、すげぇ……!」

 

 

「あ、あれだけの数の怪物を、あんな一瞬で……」

 

 

「ふふーん、どんなもんデス!これくらいの雑魚相手、アタシ達だけでも十分に…………ほえ?」

 

 

 瞬く間にダストの大群を撃破した響達の強さに思わず感慨の声を漏らす風太郎と五月の賞賛を背に、切歌も得意げに胸を張る。

 

 

 しかし、その顔色もすぐに間の抜けた物に変わり、ダスト達が散った空を見上げて呆然とした表情を浮かべてしまう。何故なら……

 

 

 

 

 

―シュウウゥッ……ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーオオオォッッッッッッッ!!!!!!!!―

 

 

 

 

 

───上空に漂うダスト達の残骸。それら全てが突然独りでに動き出して一箇所に集まっていき、黒く巨大な球状の塊を形作り始めたからである。

 

 

「ッ!怪物の残骸が……集まっていく……?!」

 

 

「こ、今度は一体何事デスか?!」

 

 

 粉々になった筈のダスト達の残骸が空中に集まり出し、調や切歌、地上に降りた響も残骸が集まるに連れ徐々に巨大化していく黒色の塊を見上げて戸惑う中、全ての残骸を吸収し終えた黒色の塊はそのまま地上に落下して凄まじい衝撃波を巻き起こすと、更に塊の中から無数の悍ましい黒い腕、そして巨大な口が塊の前面に裂けるようにして出現し、咆哮した。

 

 

『グゥルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!』

 

 

「ひっ?!」

 

 

「な、何だありゃっ?!」

 

 

「怪物の残骸が融合して……巨大化した?!」

 

 

 黒色の球状の塊からウネウネと無数の黒い腕を生やし、巨大な口から粘膜を吐き散らして大気を震わせる程の叫喚を上げる、まるで消しカスの塊のような姿形をした異形のバケモノ……無数のダストの集合体である"ダストクラスター"を前に五月や風太郎、響達も目を見張り驚愕する中、ダストクラスターはそんな響達に向けて無数の腕を一斉に伸ばし襲い掛かった。

 

 

 それを目にした響達も慌てて散開して無数の腕を回避するが、かわされた無数の腕は突然急転換し、そのまま分散して響達を執拗に追い掛けていく。

 

 

「うぇええええッ?!こ、この腕追い掛けてくるデスよっ?!気持ち悪ぅっ!」

 

 

「っ、これじゃ本体に近付けないっ……!―ズガァアアアアンッ!!―ぁああああッ!!」

 

 

「調ちゃんっ?!ぐうっ!!」

 

 

 何処までも執拗に追ってくる無数の不気味な腕を回避、或いは得物で切り落として何とか振り払おうとするも、その度にダストクラスターがその肉塊から新たな腕を生やして切歌と調に攻撃の手を緩める事なく襲い掛かる。

 

 

 響もどうにか二人の助けに向かおうとするも、ソレを阻むように空から降り注ぐ無数の腕の対処に追われて思うように動く事が叶わず、次第に三人はダストクラスターの猛攻に押されて劣勢に追い込まれつつあった。

 

 

「クッソッ……!せっかく助けが来てくれたかと思えば、あんなバケモンが出てくるとか聞いてねえぞ……!」

 

 

「こ、このままだとあの子達までっ……上杉君!何とかならないんですか?!」

 

 

「無茶を言うな!あんなデカブツ、俺なんかにどうしろって……ん……?」

 

 

 ダストクラスターのあまりの手数の多さに徐々に追い詰められていく響達のピンチを前に、焦りに駆られて無茶ぶりしてしまう五月に風太郎も反論し掛けるが、その時、先程ダストクラスターが着地した際に発生した衝撃波に煽られて転倒したクロスのバイク……クロスレイダーが視界の端に映り、それと同時に風太郎の脳裏にある考えが過ぎる。

 

 

(いや、待て、何を考えてんだ馬鹿か俺はっ……!俺はアイツ等と違ってただの高校生だぞ……!そんな無謀な真似した所でアイツ等の足をただ引っ張るだけに決まって──!)

 

 

「上杉君……!」

 

 

「……うっ」

 

 

 無理だ、出来る訳がないと、頭を過ぎった無茶無謀が過ぎる愚かな考えを振り払うように頭を振る風太郎だが、不安げに見上げてくる五月の顔、ダストクラスターに苦戦する響達を交互に見て逡巡する素振りを見せた後、やがて「あーっ……クソォッ!」と頭を掻き毟り、ヤケクソ気味に叫びながらクロスレイダーに向かって走り出していくのだった。

 

 

『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!』

 

 

「くぅっ!!(敵の攻撃が激し過ぎて全然反撃が出来ない!このままじゃ二人まで……!」

 

 

 その一方、響もダストクラスターの繰り出す無数の手を高速のラッシュでどうにか打ち返しながら凌いでいたが、向こうは体力に限りがないのか攻撃の手が一切緩む事がなく、次第に押され始めてこのままでは不利になると踏み、一度立て直そうと後ろへと飛び退く。

 

 

……しかしその瞬間、響の真下の地面から突如ボゴォッ!と勢いよく拳を固く握り締めた黒い腕が飛び出し、響に不意打ちで襲い掛かった。

 

 

「っ?!しまっ、うぁああああああああッ!!」

 

 

「?!響さん!!」

 

 

 迫る拳を前に反射的に両腕を十字に組んで防ぐ響だが、バックステップの最中、身体が宙に浮いている状態では踏み止まる事が出来ず、そのまま殴り飛ばされて地面に倒れ込んでしまう。

 

 

 其処へ更に追撃を仕掛ける様に無数の手が響に目掛けて一斉に伸ばされていき、どうにか身を起こした響もそれを見て回避は間に合わないと踏み咄嗟に両腕で顔を庇い、次に襲い来るであろう痛みに備えて歯を強く食いしばった、その時……

 

 

「───掴まれぇええええええええええええええええええっ!!!!」

 

 

「……へ?―ガバァアッ!!―へぇああああっ?!!」

 

 

 突然横手からそんな雄叫びと共に、何かが猛スピードで駆け抜けて響の首根っこをすれ違い様に掴み上げ攫っていったのである。

 

 

 寸前の所で標的を見失った無数の手はそのまま地面へと突き刺さっていき、響もいきなりの展開に理解が追い付かず戸惑い気味に目をパチパチさせている間に身体を強引に持ち上げられ、響を攫ったクロスレイダーを駆る青年……風太郎の後ろに乗せられた。

 

 

「あ……貴方は確か、蓮夜さんとクリスちゃんと一緒にいた!?ええっと……名前は確かー……?」

 

 

「自己紹介なんか後でいいっ!!それよりアンタ、アイツらみたいにあのバケモノ倒せるんだよなっ?!奴に近づければあのデカブツを仕留められるのかっ?!」

 

 

「えっ?えぇっと、は、はいっ。でもあの腕が厄介なせいで、こっちから近付く事が……」

 

 

「それさえ分かればいいっ……!振り落とされないようにしっかり掴まってろよっ!」

 

 

「え?ちょっ、何を?!ぅええええええええええっ!!?」

 

 

 一体何をするつもりなのかと、そんな疑問を投げ掛けるよりも先に風太郎はマシンのアクセルを全開にして走り出し、急なスピードアップで上半身を後ろに反って危うく振り落とされそうになる響を他所にダストクラスターに目掛けて全速力で走り出す。

 

 

 そして切歌と調を蹂躙していたダストクラスターも自分に向かってくる風太郎と響を乗せたクロスレイダーに気付くと共に再度無数の腕を伸ばして迎撃を行おうとするが、風太郎はギアを素早く操作しながら無数の手が空から降り注ぐ黒い雨の中を潜り抜けていき、とても普通の人間のソレとは思えないバイクテクで被弾一つなく突き進んでいた。

 

 

「す、凄い?!攻撃を全部かわし切ってる?!」

 

 

「フッハハハハハハッ!!今の俺はドーパミンもアドレナミンも何かも全部全身から噴き出しているからなぁああっ!!無事に生きて帰れたらあの五つ子共にあれこれ文句叩き付けた後に速攻でぶっ倒れてやらぁああああああーーーーっっ!!」

 

 

「な、何か物凄くハイになってませんか?!って、あ、危ないっ!前っ!上からもっ!」

 

 

 恐らく限界値を超えた恐怖心や五月達を助けねばならないという使命感などの様々な感情が彼の中でごちゃ混ぜになっているのか、最早半ば、いや、完全にヤケクソになった勢いのままにクロスレイダーを全速前進で走らせて限界以上の力を引き出す風太郎のハイテンションに若干引いてしまう響だが、今度は目前と上空の二方向からダストクラスターの無数の手が迫る。

 

 

 これでは幾ら風太郎でも避け切れない。瞬時にそう悟った響は後部席の上に爪先で立ち、右腕のナックルを構えて襲い来る無数の手を殴り払おうとした、次の瞬間、

 

 

「やぁああああっ!!」

 

 

「やらいでか、デェェェスッ!!」

 

 

α式百輪廻―

 

 

―切・呪リeッTぉ―

 

 

「!?調ちゃん、切歌ちゃんっ!」

 

 

 無数の手が目前にまで迫ったその時、真横から無数の鎌の刃と小型の鋸が飛来してダストクラスターの手を次々と切り落としていき、響と風太郎の窮地を救ったのである。

 

 

 驚きと共に響が振り返れば、其処には遠方から調と切歌が無数の手の攻撃でボロボロになりながらも投擲攻撃を絶やす事なく繰り出してダストクラスターへと向かう響と風太郎を援護する姿があり、二人は際限なく再生し続ける無数の手を切り落としながら響に向けて力強く頷き返す。

 

 

「露払いはアタシ達に任せるデスっ!だから響さんも──!」

 

 

「最速で最短で、まっすぐにっ!」

 

 

「ッ……!うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーおおおおぉぉッッ!!!!」

 

 

 二人の後押しを受け、響は右腕のナックルの形状を巨大なドリルへと変形させながらクロスレイダーの後部座席から一息で飛び上がり、腰部のブースターから火を噴かしながら風太郎が此処まで縮めてくれたダストクラスターまでの最短距離を迷いなく突き進む。

 

 

 それでもなおダストクラスターも抵抗を続けてその肉塊から絶え間なく悍ましい異形の手を伸ばして響へと差し向けるが、それらも調と切歌が放つ小型の鋸と大鎌の刃により端から全て切り落とされていき、斬り飛ぶ手首が響の頬を掠めて血を噴き出しながらも、怯む事なく全力で突き出した回転するドリルの切っ先がダストクラスターの肉塊に突き刺さり、そして……

 

 

「一直線にィいいいいいいいいいいいいいいいいィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいいいいぃぃぃぃッッッッ!!!!!!」

 

 

『ォォッ……オオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォッッッッ!!!!?』

 

 

 最後の一押しを加えた響の渾身の一撃がダストクラスターの肉塊を打ち貫き、巨大な風穴が身体に開かれたダストクラスターを背に響が地上へと着地して右腕のドリルを大きく振るった瞬間、ダストクラスターは亡者の呻き声が如く不気味な断末魔を上げ、身体の内側から爆発を起こし木っ端微塵に吹き飛んでいったのであった。

 

 

 

 

 

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