戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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第一章/戦姫達の物語×忘却の仮面ライダー④

 

 

『顧みろ、だと……?急に出てきておいてっ、カッコつけたこと吐かしてんじゃねえッ!!』

 

 

変身して迫る仮面ライダーを前に幾許かの冷静さを取り戻したのか、ノイズイーターは土壇場で邪魔をされた憤りがフツフツと湧き上がり、力を凝縮した両腕を突き出して仮面ライダーに目掛け光弾を乱射していく。

 

 

だが、仮面ライダーは僅かに首を左右に逸らしただけで光弾を避けながら一息で肉薄し、ノイズイーターの胸部に素早い二の打ちを叩き込んで後退りさせると、更に怒りが増したノイズイーターが荒々しげに振りかざした拳を軽く掻い潜って背後に回り込み、ノイズイーターの背中に裏拳を打ち込み怯ませた。

 

 

『グッ?!テ、テメェッ!』

 

 

まるで自分の一挙一動を先読みしてるかのように手玉に取って翻弄する仮面ライダーの立ち回りに苛立ちが募り、拳を振るうノイズイーターの動きが目に見えて力任せに乱雑なモノに変わっていくが、仮面ライダーも冷静にノイズイーターの攻撃を捌きながらカウンターを主体とした動きで圧倒していく。

 

 

そして鋭い横蹴りを突き刺してノイズイーターを強引に後退させると、仮面ライダーのベルトのバックル部分から両脚に向かって突然青白い光がスーツの上のラインを走り、光が両脚に到達したと同時に仮面ライダーが左足で地面を軽く蹴り上げた瞬間、まるで縮地でも使ったかのように宙に浮き、右足を振り上げた姿勢でノイズイーターの眼前にまで一気に距離を詰めた。

 

 

『な、なにィ?!ガッ?!』

 

 

驚く間もなく、仮面ライダーが振り抜いた光を纏う右足が蒼い線を宙に描きながらノイズイーターのこめかみに叩き込まれ、ノイズイーターを横殴りに吹っ飛ばす。

 

 

更にそれだけで終わらず、着地と同時に今度はバックルから両腕に向かって青白い光がラインを走り、光を纏った拳を振りかざしながら追撃しノイズイーターにストレートを叩き込んだ。

 

 

そして吹っ飛ばされるノイズイーターを追尾しながら更に高速の連続ラッシュを打ち込み続けていき、トドメに全力で振りかぶった一撃を叩き込み、ノイズイーターの身体をきりもみ回転させながら勢いよく殴り飛ばしていったのだった。

 

 

『ガァアアアアアアッ?!』

 

 

「こ、攻撃が通じてるデスよ?!」

 

 

「何なんだ……アイツ……」

 

 

「…………」

 

 

先程の戦いではギアを用いた攻撃が一切通じなかった筈の相手に、何故か仮面ライダーの攻撃が通じる状況を前にクリス達は困惑を露わにし、響も無言のまま二人の戦いをジッと見つめる中、仮面ライダーに追い詰められて地面を転がるノイズイーターも顔を抑え、ダメージを受ける自分の身体に混乱を極めた様子で頭を振っていく。

 

 

『こン、なっ……!こんな事が有り得てたまるかっ……!お、俺は物語を超越した力を手に入れたんだぞっ?!なのに、何でお前なんかにィいいッ!!』

 

 

『……俺を知らないという事は、お前もこの世界の中で作られた個体か……となると、得られる情報も今までと同様変わり映えしないか……』

 

 

『……なにっ……?』

 

 

奇妙な言い回しをする仮面ライダーの発言に首を傾げるノイズイーター。だが仮面ライダーは感情の機微を変えることなく、空手のままノイズイーターへと近付いていく。

 

 

『俺も、お前も、この世界にとってはただの「異物」でしかない……本来あるべき世界の流れを逸脱し、歪める存在はいずれ排他される……それがお前にとっての、この俺だ……』

 

 

『ッ……何だそりゃっ……意味が分かんねぇんだよォッ!!』

 

 

全く意図が掴めない発言に更に苛立ちを募らせ、ノイズイーターは思わず頭を掻き毟りながら再び仮面ライダーに殴り掛かる。

 

 

それに対して仮面ライダーも即座に身体の重心を横にズラしノイズイーターの突き出す拳を避けると、そのまま相手の手首を片手で掴んで引き寄せながら鳩尾に目掛けて膝蹴りを突き刺し、ノイズイーターが腹を抱えて怯んだ隙にその場で身を捻らせながら跳躍、流麗な後ろ回し蹴りをノイズイーターの頭へと叩き込んで蹴り飛ばしていった。

 

 

『ウグァアアッ!』

 

 

『……もう止めておけ。この場にあのノイズなんて化け物が異常発生したのも、恐らく餌に釣られたお前に俺が食いつくと見越しての意図的なモノ……使い捨ての囮に使われたんだ、お前は……』

 

 

「ッ!それって、つまり……?」

 

 

『ッ……おと、り……だと……?この……オレがっ……?』

 

 

この状況は偶発的でなく、誰かの意図で作られた作為的なモノだった。

 

 

その内容に彼の言葉の意味を早くに理解した調や響達も衝撃で目を見開き、ノイズイーターも困惑と戸惑いを露に自身の両手を見下ろしていく中、仮面ライダーは改めてノイズイーターと向き直っていく。

 

 

『使い捨ての駒として扱われた今、仮にこの場を切り抜けられたとしても、お前を待つのはこの状況を作った奴らに死ぬまで使い潰される未来だけだ……だから、そうなる前に──』

 

 

「……?あの人……」

 

 

今の今まで無機質的な口調だった仮面ライダーの声が、何処か不安を帯びているように一瞬震えたような気がする。

 

 

その微妙な変化に気付いた響が仮面ライダーに怪訝な眼差しを向けるが、その時、頭を両手で抱えるノイズイーターの身体が突然ワナワナと震え出し……

 

 

『……る、せ……うるせぇ…………うるせぇっ、うるせェっ、ウルセェっ、ウルセェエエエエエエエッッ!!!!どいつもこいつも俺をっ、何処まで俺を馬鹿にすりゃ気が済むんだァアアアアアアアアアアアッ!!!!』

 

 

『……!』

 

 

天を仰ぎ、地を震わせる程の激昴の雄叫びを上げた瞬間、ノイズイーターの全身から凄まじいエネルギー波が放出されて周囲に無数のスパークを撒き散らしていき、ノイズイーターが佇む地面が徐々に軋んで陥没し始めていた。

 

 

「グッ……!こ、今度は一体なんなんだよッ?!」

 

 

「うううっ……ま、前が何も見えないデスよっー!」

 

 

『ッ……これはっ……』

 

 

『アァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』

 

 

凄まじいエネルギーの嵐に装者達も視界不良で何も見えない中、嵐を巻き起こす発生源のノイズイーターはその血のような眼を輝かせながら獣の如く咆哮を上げ続けていくと、突然その右腕が変化をし始めて徐々に変容していき、まるで機械を腕に埋め込まれたかのような禍々しい形状をした砲撃型の腕へと変わっていったのであった。

 

 

「?!腕の形が、変わった……?!」

 

 

『ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!死ねェッ!!死ね死ね死ね死ね死ね死ねェッ!!俺を否定する奴はみんなっ、お前らみんな死んじまえよォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!』

 

 

『ッ!』

 

 

突如変容したノイズイーターの右腕の砲撃を見て調が驚きの声を上げるのを他所に、ノイズイーターは狂った雄叫びを上げながら仮面ライダーに突き付けた銃口から高出力のエネルギー弾を放って襲い掛かった。

 

 

それを見て仮面ライダーも咄嗟に上空へと空高く跳んでエネルギー弾を回避し、そのままノイズイーターの頭上を飛び越えながら背後へと着地すると共に、振り向きざまに放った拳で再攻撃を仕掛けようとしていたノイズイーターの顔を殴り飛ばし砲撃の手を強引に中断させようとするが……

 

 

『グゥッ!ギッ、ギィッ……コロスっ……コロスコロスコロスゥウウウウウウウウウウウウウウッッ!!』

 

 

『ッ!クッ……!』

 

 

「な、何か様子が変わってない?!うわわっ?!」

 

 

「あぶねっ?!あ、アイツ、急に手当り次第かよっ?!」

 

 

仮面ライダーに殴られても殆どダメージを受けてる様子もなく、右腕の砲撃を乱雑に振るいながらエネルギー弾を見境なく乱射するノイズイーターの変貌ぶりに混乱してしまう響達だが、仮面ライダーは飛来するエネルギー弾を手刀で払い除け、ノイズイーターの変容した右腕を見つめながら頭の中で思考していく。

 

 

『(形状変化……ノイズ達を一気に喰らった事で急成長したのか……?いや、だとしても此処までの目に見える変化は今まで戦ってきた奴らには一度も……)』

 

 

あの突然変異は仮面ライダーにとっても初めて出くわすケースなのか、今までにない変化を遂げたノイズイーターを見て内心困惑するも、正面から迫るエネルギー弾を見てすぐに我に返り、咄嗟に左に避けながら左腰のホルダーに指を掛けていく。

 

 

『(いや、今は考えるのは後回しだ……ともかくまた狂い出した以上、もう俺の言葉も届く事はない……こうなれば俺の手で……ッ?!)』

 

 

これ以上被害が広がる前に奴を倒すしかないと覚悟を改め左腰のホルダーを開こうとした仮面ライダーだが、その時、何かに反応を示して何故か急にその場に踏み止まり、ノイズイーターから放たれるエネルギー弾を両腕で防御し動かなくなってしまった。

 

 

「!マスクドライダーが……!」

 

 

「え?!」

 

 

『アヒッ、ヒヒッ……!ヒハハハハハハハハハハッ!!!死ね死ね死ね死ねェッ!!!今度こそ死んじまえよォォおおおおおおおおおおおおッッ!!!!』

 

 

『……ッ……!』

 

 

乱れ狂いながら無差別にエネルギー弾を乱射するノイズイーターの攻撃を避け続ける装者達も、何故か突然回避も切り払う事すらもせずガード一択で踏み止まる仮面ライダーを見て怪訝な反応を浮かべる中、ノイズイーターは卑しい笑みと共にその姿を見て無差別に放っていたエネルギー弾の狙いを仮面ライダーへの一点に絞り、エネルギー弾の集中砲火を浴びせていく。

 

 

それにより仮面ライダーも更にダメージが増して全身が傷付きボロボロの姿に変わり果てていくも、何故かそれでも仮面ライダーはその場から動かず防御のみで耐え続けていた。

 

 

「な、何だかあっちも様子が変デスよ?!」

 

 

「何やってんだアイツっ……!このままじゃ一方的にやられちまうぞっ?!」

 

 

「…………?」

 

 

攻撃を受ける度に装甲が削られ傷付いていくというのに反撃に転じようとしない仮面ライダーを見て装者達も焦燥感を募らせる中、クリス達と共にその様子を見守っていた響がある事に気付く。

 

 

ノイズイーターのエネルギー弾の嵐を一身に受け続ける仮面ライダーが、防御を取りながら何度か自身の背後へと目を見遣っているのだ。

 

 

その視線の先を追って響も振り向いていくと、其処には仮面ライダーの遥か後方の建物の一角に積み重なる瓦礫の山があり、その瓦礫の山を目を凝らしジッと凝視していくと、瓦礫の一角が音を立てて崩れ穴ができ、その向こうで何かが僅かに蠢いているのが見えた。

 

 

「──ッ!もしかして……!」

 

 

「?!響さん?!」

 

 

「お、おい!何する気だお前?!」

 

 

何かに気付いた響が突然地を蹴って飛び出し、瓦礫の山に目掛けて一直線に走り出す。

 

 

いきなり飛び出した響を見てクリス達も驚き慌てて呼び止めようとするが、響はそれを振り払い瓦礫の山へと躊躇なく飛び込んでいき、数泊の間を置いた後、瓦礫の山が突然内側から弾け飛んで吹っ飛ばされていった。

 

 

そして、瓦礫が取り除かれて周囲に漂う粉塵の向こうには拳を突き出す響の姿があり、その背後には……

 

 

 

 

 

「──ぅっ……ぅぅっ……」

 

 

「お父さんっ……!お父さんっ!しっかりしてっ……!」

 

 

 

 

 

「ッ!あれは……?!」

 

 

「負傷者……?!瓦礫の中に取り残されてたのか?!」

 

 

そう、響の背後には頭から血を流して倒れる負傷者の男性と、その男性の息子と思われる土まみれの幼い男の子が涙目で父親の傍に寄り添う姿があったのだ。

 

 

恐らく、ノイズ達が出現した際に避難しようとした矢先に建物の崩落に巻き込まれ二人諸共瓦礫に埋もれてしまっていたのか、それを見たクリス達もすぐさま負傷者達の下へと駆け付け、響が残りの瓦礫を取り除く間にクリスと切歌が負傷者の男性を、調が男の子を抱き抱えて救出し、急ぎ全員でその場から離れながら響が仮面ライダーに向けて呼び掛けた。

 

 

「仮面ライダーさんっ!この人達は大丈夫、二人とも無事ですっ!」

 

 

『──ッ!』

 

 

二人を安全地帯にまで運ぶ響の声が届き、男性と子供の安否を伝えられた仮面ライダーはすぐさま次に放たれてきたエネルギー弾を手刀で払い除け、前傾姿勢でエネルギー弾の嵐の中を素早く掻い潜りながら一気にノイズイーターとの距離を詰めていく。

 

 

そして、ノイズイーターに肉薄すると共にその右腕の銃口を掴んで上に逸らし、再びバックルから走らせた青白い光を右手に纏わせ、拳を握り締めた仮面ライダーの一撃がノイズイーターの顔面にめり込み殴り飛ばしていった。

 

 

『アグゥウウッ?!グッ、ギッ……チ、クショォオオオオッ……ナンデダヨッ、ナンデェエエエエエエエエエエッッ……!!!!』

 

 

『…………』

 

 

仮面ライダーに殴られた顔を抑え、まるでこの世の全てを憎むかのように呪詛の呻き声を漏らすノイズイーターだが、仮面ライダーの方は既にその声に耳を傾けるつもりもなく、ボロボロに傷付いた腕の汚れを手で払いつつ左腰のカードホルダーからカードを一枚取り出し、バックルから立ち起こしたスロットに装填して掌でバックルに押し戻していった。

 

 

『Code slash…clear!』

 

 

電子音声が鳴り響いた瞬間、仮面ライダーの蒼い装甲が分離して新たに朱色のアーマーへ変わっていき、再び仮面ライダーに身に纏わられると共に複眼の色も赤から緑色へと変化し、両手に二本の黄金の剣が出現していく。

 

 

全ての変身シーケンスを完了し、黄色くシャープなラインが特徴の朱い鎧に緑色の複眼、両手に黄金に輝く双剣を逆手に持った姿へと変わった仮面ライダーを見て、響達は目を見開き再び驚愕の表情を浮かべた。

 

 

「色が変わったデスよ?!」

 

 

「あれは……もしかして私達のギアと同じ、変容(リビルド)……?」

 

 

『グゥウウウウッ……ガァアアアアアッ!!』

 

 

新たな姿に変貌した仮面ライダーに装者達が各々反応を示す中、ノイズイーターも警戒心を露わに唸り声を上げ、砲撃の銃口を仮面ライダーに突き付けてエネルギーを再充填しようとするが、それよりも速く先程とは比にならない速度で仮面ライダーが距離を詰め、素早く振り上げた左手の刃がノイズイーターの砲撃の銃口を斬り裂いた。

 

 

『ッ?!ナ、ニッ?!グァアアッ?!』

 

 

『ハッ……!ハァアアッ!』

 

 

銃口を斬り裂かれた自身の右腕を見てノイズイーターが動揺する中、仮面ライダーは続けざまに両手の双剣を目にも止まらぬ速さで振り翳していき、朱色の雷光を纏う斬撃がノイズイーターの身体を何度も切り刻んで怯ませ、トドメに放った後ろ回し蹴りでノイズイーターを蹴り飛ばし、ゴロゴロと異形の身体が勢いよく地面を転がっていく。

 

 

『ガァッ!ァッ……ウ、ソダッ……コンナハズッ……?!』

 

 

一気に形成を逆転され、信じられないと頭を振るノイズイーターを見据えたまま仮面ライダーは両手に持つ双剣を片手に束ねると、空いた手で左腰のホルダーからカードを一枚再び取り出し、バックルのスロットに装填して掌で押し込んでいった。

 

 

『Final Code x……clear!』

 

 

再度鳴り響く電子音声と共に、両手に持ち直した双剣の刃に朱色の雷光が火花を撒き散らして纏われていく。

 

 

そして仮面ライダーは腰を徐に落として双剣を身構えると、右手に持つ片手剣をノイズイーターに向けて勢いよく投擲し、投げられた剣はブーメランのように高速回転しながら朱色の光の軌跡を宙に描きノイズイーターへ一直線に突き進んでいった。

 

 

『ゥ、グッ……マ、ダダッ……コンナトコロデっ、オワレルカァアアアアアアアアアアッ!!』

 

 

しかし、ノイズイーターも抵抗を諦めない。銃口を潰されて使い物にならなくなった右腕で片手剣を空へ弾き飛ばし、そのまま左腕に力を溜め光弾を放とうとするが、それに対し仮面ライダーは落ち着き払った動作で右腕を中空に掲げながらノイズイーターに掌を翳し……

 

 

『いいや──これで終わりだ……』

 

 

仮面ライダーの右手の掌が朱色に発光した瞬間、空へと打ち上げられた片手剣が突然空中で停止し、刃の切っ先を独りでにノイズイーターに向けたと共に剣が分身をし始めていき、あっという間に空を無数の刃が埋め尽くしていったのだった。

 

 

『ナ、ナンダトォッ?!イッ──ギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!?』

 

 

無数の刃が覆い尽くす空を見上げ驚愕と共に後退りするノイズイーターの頭上へと、空から一斉に黄金の刃が暴雨の如く降り注ぎ、その肉体を絶え間なく切り刻んでいく。

 

 

それと同時に仮面ライダーも残ったもう片方の剣を順手に持ち替えながらその身を朱い閃光と化して猛スピードで飛び出し、上空から降り注ぐ黄金の刃の雨の間を素早くすり抜けてノイズイーターに飛び掛かると共に、すれ違いざまにXを描くように朱い斬撃を叩き込んでノイズイーターの背後に姿を現した。

 

 

『ァッ──!!!?コン、ナ……バ、カッ…………!!!?』

 

 

『……それがお前のエンドマークだ……』

 

 

『ガァァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーアアァァッッ!!!?』

 

 

朱い火花を撒き散らしながら空から返ってきた片手剣を仮面ライダーがノールックで手にした瞬間、それと同時にノイズイーターの身体から無数のスパークが噴き出し、直後に巨大な爆発を巻き起こしながら断末魔の悲鳴を上げて完全に消滅していったのであった。

 

 

「ッ……ノイズイーターを、倒した……?」

 

 

「終わった、のか?……はぁああっ……何だったんだ一体っ……」

 

 

「うう……もうクタクタデスよっ……」

 

 

あの難敵だったノイズイーターを倒した仮面ライダーの力にも驚きだが、今はそれ以上にこの局面を乗り切れた事への安堵から溜め息と共に緊張感から解放されていくクリス達。

 

 

一方で仮面ライダーもノイズイーターが爆散した跡の炎を暫しジッと見つめた後、そのまま踵を返しながら元の蒼い姿へと戻り、自分が乗ってきたバイクの下へと向かおうとするが……

 

 

「ま、待って下さい!」

 

 

『……?』

 

 

ノイズイーターを撃破して立ち去ろうとした仮面ライダーを呼び止める声が聞こえ、仮面ライダーが訝しげに振り返ると、其処には傷付いた身体で駆け寄ってくる響の姿があり、仮面ライダーの前で足を止めて息も絶え絶えに口を開いた。

 

 

「あ、あのっ……さっきは助けて頂いて、ありがとうございました!おかげで負傷者の方々も助ける事が出来て、本当に助かりました!」

 

 

『…………』

 

 

活発な笑顔で一礼と共に、自分達や先程の親子を助けてくれた事への感謝をの言葉を口にする響。一方でそんな彼女に対し、仮面ライダーはジッと響の顔を見つめたまま何も語ろうとせず、マスクのせいで表情が読めない仮面ライダーに響の方も若干やり難そうになりながらも言葉を続けていく。

 

 

「ええ、と……そ、それで何ですけど、良ければさっきの怪物の事とか、仮面ライダーさん自身の事とか、もっとお話を聞く事って出来ませんか……?私達も、色々と話したい事が──ッ!」

 

 

あのノイズイーターの正体や仮面ライダー自身の事、街で今起こっている事件の事を何か知っているなら話を聞かせてもらえないかと願い出ようとする響だが、その時彼女やクリス達の下に通信が届き、回線を開くと、それは本部にいる弦十郎からの通信だった。

 

 

『お前達、全員無事か?!』

 

 

「師匠……!はい、私達は大丈夫です!現場に取り残されてた負傷者の人達も、今さっき近くの救助の人達にお願いして運んでもらいましたから」

 

 

『そうかっ、良かった……。突然発生した謎のジャミングのせいでモニターも通信も途絶えてしまった時は、一時はどうなる事かと思ったが……』

 

 

「……え?」

 

 

「ジャミング……?」

 

 

どういう事だ?と、装者達が互いに顔を見合わせ不思議そうに首を傾げる中、彼女達の口にしたジャミングというワードに仮面ライダーはピクっと反応を示し、僅かに考える素振りを見せた後、そのまま自身のマシンに乗ってエンジンを掛けていく。

 

 

「!ま、待って下さい、仮面ライダーさんっ!まだ聞きたい事が……!」

 

 

『何?仮面ライダーだとっ?マスクドライダーが其処にいるのかっ?!』

 

 

弦十郎の驚きの声が通信から聞こえるが、それより今は彼を引き止めなければと仮面ライダーを慌てて呼び止める響。するとそれに対し、仮面ライダーは僅かに響の方に顔を向け……

 

 

『……俺も……さっきは助かった……』

 

 

「……え?」

 

 

漸く口を開いた仮面ライダーが告げたのは、短い感謝の言葉。

 

 

そんな思わぬ一言に思わず響も呆気に取られる中、仮面ライダーはそれだけ伝えるとマシンを発進させて何処かへと走り去っていき、残された響は遠ざかる背中に虚しく手を伸ばし、呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「──で、どう思う?やっぱアレ、彼って事で間違いないのかなぁ」

 

 

──場所は変わり、ノイズの出現によって今は人気のない路地では、先程の場所を後にした金髪の男と青髪の青年が何処かへ歩く姿があった。

 

 

ノイズ達が暴れ回ったせいで至る所に破壊の痕跡が残る街並みを眺めながら、後頭部に両手を回す青髪の青年は呑気な口調で先程ノイズイーターを倒した仮面ライダーの正体について正面を歩く金髪の男にそんな疑問を投げ掛けるが、金髪の男は明らかに苛立ちを露わにした足取りで先を歩いて何も答えず、目の前に転がる破片を乱雑に蹴り飛ばしていく。

 

 

「クッソッ、マジで生きてたとか笑えねえぞこりゃっ……。どうすんだよっ、これじゃ俺らの計画もホントに潰され兼ねねぇぞっ……!」

 

 

「ホントびっくりだよねー。アレでまだ生きてたって言うんだし、これじゃ苦労して罠に掛けたのが水の泡だよ」

 

 

やれやれー、と青髪の青年は肩を竦めて露骨にガッカリし、金髪の男も焦りを露わにした様子で街を歩く足取りにも何処か余裕がなくなり始めていた。其処へ……

 

 

「──なに、まだ気を落とすのは早いかもしれんぞ」

 

 

「「……ッ!」」

 

 

何処からともなく冷たい声が響き、驚く二人がその声の主を探して辺りを見渡すと、路地の裏の方から革靴の音を鳴らして一人の男……デュレンがゆっくりと闇の中から姿を現した。

 

 

「デュレン……?!お前まで来てたのかよっ?!」

 

 

「当然だろう。何せ我々の計画の根幹に関わる事態なのだから、この目で直接確かめる必要がある……それに念の為、裏工作の必要もあったからな……」

 

 

「?裏工作?」

 

 

「こっちの話だ」

 

 

お前達には関係ないと、短く返し切って捨てるデュレン。その仲間内にまで必要以上の事を語ろうとしない口ぶりに金髪の男も内心疑心感を覚えながらも、今はそれどころではないかと自分を諌めて溜め息を吐き、デュレンにジト目を向けて問い掛ける。

 

 

「んで?さっきの、気が早いみたいな言い口はどういう意味なんだよ?実際問題、奴が生きてたんなら結構な一大事だろ、コレ」

 

 

「……奴が生きていた、だけの話なら確かにその通りだろう。だが、恐らく今の奴は──」

 

 

口元を手で覆い、デュレンの脳裏に蘇るのは先程戦場でノイズイーターを相手に戦っていた仮面ライダーの戦闘スタイル。

 

 

一挙一動、『以前の奴』を知っていれば何もかもが違い過ぎるその戦いぶりに一つの推測が頭を過ぎり、クッ、と声を殺して笑うデュレンの表情に嬉々とした笑みが浮かび上がる。

 

 

「──どうやら、ツキはまだ俺達の方にあるかもしれんな……」

 

 

「「……?」」

 

 

口元を覆う手で笑みを隠しながらそう告げるデュレンの言葉に、二人も訝しげに眉を顰めるが、デュレンはそんな二人を他所に歩き出していき、僅かに口端を吊り上げ不敵な笑みを浮かべながら自分達が破壊に導いた街並みの間を過ぎ去っていくのであった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「…………」

 

 

ノイズの異常発生、そしてノイズイーター撃破から数時間が経ち、黄昏時の空がよく見える海岸にて、仮面ライダーから元の姿に戻った青年がバイクを脇に停め、海へ沈むように消えていく夕陽を無言のまま見つめる姿があった。

 

 

「…………」

 

 

フードで顔を隠したその横顔からは表情は一切読めない。だが、僅かに俯いて自身の右手を見下ろし、ジッと己の掌を見つめるその様は何処か物悲しげに見える。

 

 

「……シンフォ……ギア……か……」

 

 

拙い口調で声に出し、頭に思い起こすのは先程の戦場で出会った少女達の姿と美しい歌。

 

 

何度口にしても、その音を耳にするだけで胸の内を締め付けるような感覚に襲われながらも、青年は顔を上げて海の向こうの夕陽を見つめ、戦場で聴いた歌のメロディーを思い出しながら小さく口ずさんでいく。

 

 

「……〜♪……〜♪……」

 

 

風が吹けば飛ぶような、波の音が響けば簡単に搔き消せるようなか細い歌声。

 

 

戦場で彼女達が歌っていたような力強さなどないが、それでも青年は歌い続ける。

 

 

誰に届く事はないと分かっていても、誰かに聴かせ、求めるように小さく、か細く、沈む夕陽を見つめて歌い続けていた───。

 

 

 

 

 

第一章/戦姫達の物語×忘却の仮面ライダー END

 

 

 

 


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