戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~ 作:風人Ⅱ
「────…………ぅ…………くっ…………?」
二度目に世界を覆い尽くした白光が、徐々に徐々に薄れて視界が元に戻っていく。
キィーーンッ……と、不快な耳鳴りに混じって耳に届く燃え盛る炎の音を聞きながら徐に目を開いた切歌は、気だるげに身体を起こしながらぼんやりと辺りを見渡していく。
「っ……アタ、シ……今の、は……?」
「……ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
「……え」
キマイライレイザーの雷撃に身を焼かれる寸前だった筈なのに、何故か五体満足の自身の身体を見下ろして訝しげな顔を浮かべる切歌の隣で、荒い呼吸が聞こえた。
思わずそちらに目を向ければ、其処には顔を横に、俯せに倒れて息も絶え絶えに呼吸をする少女……ギアも無しに此処まで全力疾走で駆け付け、切歌の窮地をギリギリの所で救った月読調の姿があった。
「し……調……!?」
「ハァッ……ハァッ……よかった……切ちゃん……間に合っ、てっ……」
『グゥウウウウウッ……ギィイイイイイイァァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーアアァァァッッッ!!!!!!!!』
驚愕する切歌の反応も他所に、彼女の無事な姿を確認して額から汗を滴らせながら安堵を浮かべる調だが、キマイライレイザーはそんな二人を見て折角の好機を邪魔された事を憤っているかのように雄叫びを上げ、今度こそ切歌を邪魔をした調ごと仕留めるべく二人に迫ろうとする、が……
『Code x…clear!』
『させる、かぁっっ!!』
―バキィイイイイッ!!―
『グウゥッ!?』
「!」
「れ、蓮夜さん?!」
鳴り響く電子音声と共に、キマイライレイザーの側面からクロスに変身した蓮夜が一足でキマイライレイザーへの距離を詰め、身体ごと叩き付けるように蒼光を纏う片腕を振り上げ、その横顔を全力で殴り飛ばした。
思わぬ不意打ちにたじろぐキマイライレイザーだが、それも一瞬。すぐに何事も無かったかのように立て直すと共に尻尾を振り回して迎撃するが、クロスは素早く身を屈めながらソレを回避すると共に自身の四肢へのエネルギー供給を保ったままキマイライレイザーに拳や蹴りを放って何とか反撃するも、敵の異形の強靭な肉体の前ではやはりパワー不足は否めず、まともにダメージを与える事もままならずにいた。
「蓮夜さん……!っ!」
「し、調!?待つデスよっ!!」
苦戦を強いられるクロスを見て思わず走り出す調。そんな彼女を止めるべく切歌が慌てて後を追うが、その時……
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアッッ!!!―
「……ッ?!調ぇ!!」
「?!うっ、ぁああっ!!」
そんな彼女達の進行を止めるかのように、真横から突然金色の雷撃が飛来し調の足元の地面を抉るように走ったのだ。
いち早くそれに気付いた切歌は後ろから調の肩を掴んで共に側面へ跳躍し、雷撃の直撃から何とか免れると、二人は今の雷撃が放たれてきた方に慌てて目を向ける。其処には……
『──これは意外な助っ人だ。てっきりもう完全に塞ぎ込んで、事が終わるまであの神社に引き篭ってるものと思ってたけど』
「ッ!」
「お、オマエは……!!」
『ッ!アイツ……!―バキィイイイイッ!!―ぐぅううっ!』
雷の残滓が先端に走る、金色の三叉槍を二人に突き付けて佇む青の亜人……切歌が戦場に現れた以降、いつの間にか姿を隠していたポセイドンイレイザーの姿があったのだ。
調と切歌、そしてクロスも姿を現したポセイドンイレイザーを見て険しい顔になるも、クロスはキマイライレイザーからの猛攻に圧されて意識を戻され、一方でポセイドンイレイザーはそんなクロスの奮闘も尻目に淡々とした足取りで調と切歌へ近付いていく。
『今更一体何しに来たんだい?仲間を裏切り、装者である事を自ら辞めた君が』
「……そんなの、分かり切ってる……」
グッと、力強く握り締めた拳を胸に当て、調はポセイドンイレイザーをまっすぐ見据える。
「私は、この手で終わらせに来たの……宮司さんを縛る"今"を……あの人を蝕む貴方達の改竄から、解放する為に……!」
「……調……」
迷いなく、ハッキリと己の決意を示して叫ぶ調。そんな彼女の言葉に切歌も驚きから僅かに目を見開くが、ポセイドンイレイザーはハッと肩を竦めながら一笑した。
『それが今更だって言うんだ。君はあのおじいさんを救う代わりに、仲間達との繋がりを自分から捨てたんだろ?その"選択"を、今になってなかった事にするって?それこそ流石に都合がいいにも程があるんじゃないのかい?』
「……それは……」
そんな事で己の罪をなかった事にするつもりなのかと、暗にそう伝えるポセイドンイレイザーの言葉に咄嗟に何も言い返せず口を閉ざしてしまい、周囲の街の惨状……自分がカメレオンイレイザーを逃さなければ起こる筈のなかった被害を見渡して思い詰めた顔を浮かべる調の前に、切歌が庇うように出てポセイドンイレイザーと対峙した。
「調だけが悪いように言うなデス!元はと言えば、オマエが調を誑かしたせいで……!」
『だから彼女は悪くない……と?確かに僕が原因ではあるけど、自分が何も悪くない訳はないと、そんなのは調ちゃん自身が一番よく分かってる筈だと思うけどね』
「っ、オマエ……!」
「…………」
淡々と、まるで悪びれもせず己の非を開き直るだけでなく、同時に調の心の内を見透かすかのような物言いに切歌も険しげな表情でポセイドンイレイザーを睨み付ける。
一方で、そんな二人のやり取りを前に口を閉ざし俯いていた調は徐に顔を上げると、切歌の隣からポセイドンイレイザーの前に歩み出ていく。
「確かに、貴方の言う事は間違っていないと思う。……この街も、其処で何も知らず暮らしていた人達も……私が選択を誤る事さえしなければ、こんな目にも遭わずに済んだ筈だった……その罪は貴方だけでなく、私も抱えるべき物だって、そう思う」
「……調……」
『それが解っているなら、その選択を最後まで突き通すのが筋ってもんじゃないかい?……君と僕のせいで、犠牲になった者達を思うのなら尚更ね』
「……だから、これから生まれる犠牲者も良しとしろって……貴方はそう言いたいの?」
『それが僕の選んだ、"選択"って奴さ。何もかも失い、地獄の底へ叩き落とされた以上、其処から失った物を取り戻すのは容易な事じゃない。正道を生きて罪を償い、真っ当にやり直すにしても圧倒的に時間が足りない。だから何だってすると決めたのさ。初めて手を汚したその時から、そう生きなければならないと、僕は僕自身にそう課したんだよ……"あの時"から、ずっとね』
「……あなた、は……」
見下ろす自身の掌を固く握り締めるポセイドンイレイザー。
その姿から、その声音からは今までのような軽薄な雰囲気はなく、何処か強い決意のような物を感じ取った調が一歩前へと踏み出てて何かを言い掛けようとするも、ポセイドンイレイザーはまるでソレを制するように金色の三叉槍を調と切歌に突き付けた。
『清濁併せ呑む、なんてご立派な高説を垂れるつもりはないけどね……どんなに罪を繰り返しても、僕の覚悟は決して揺るぎやしない。迷うつもりもない。そんな僕に、今更自分の選んだ"選択"を後悔する君が敵う筈もなければ、元の居場所へ戻れる筈もないのさ!』
―ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!―
「!!」
「調ぇ!!」
吐き捨てるような叫びと共に、ポセイドンイレイザーの三叉槍から再び放たれた雷撃が一直線に調へ襲い掛かる。
迫る雷撃を前に調は思わず歩み出た足を後ろへ下げて後退りし、切歌も慌ててそんな彼女の腕を引っ張りながら共に屈んで雷撃をかわそうとした、その時……
―バッ……!ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!―
『グッ……ァアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』
「?!なっ……!」
「れ、蓮夜さんっ!?」
蒼の残光を宙に描きながら、高速移動で二人の前に割り込んだクロスがポセイドンイレイザーの雷撃をその一身で正面から受け止めたのである。
無数の火花を全身から派手に撒き散らしながら悲痛な叫び声を上げ、雷撃が止んだと共に足から崩れ落ちるように前のめりに倒れて変身も解除されてしまい、元の姿に戻ったボロボロの蓮夜を見て調と切歌も慌てて傍に駆け寄っていく。
「蓮夜さん……!!しっかりするデスよっ、蓮夜さんっ!!」
「蓮夜さんっ……!」
「ッ……ぅ……ぐっ……!」
『……ほんっと、君は何処までも他人他人と、自らを顧みる事をしないね……そのせいで何もかも失い、今のようになってしまったというのに、まるで進歩がない……』
『ィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーアアァァァッッッ!!!!!』
此処までの戦いのダメージが蓄積し、見るも無惨な姿に変わり果てた蓮夜に心底呆れ果てたように肩を竦めるポセイドンイレイザーだが、そんな亜人の声を遮るかのようにキマイライレイザーが雄叫びを上げて倒れる蓮夜を追撃し猛スピードで突進してくる。
まるでダンプカーの如く勢いで迫り来るキマイライレイザーを見て調と切歌も顔を引き攣らせながら倒れる蓮夜の上に覆いかぶさり、彼を庇おうとするも、ポセイドンイレイザーが徐に三叉槍の先端をキマイライレイザーに突き付けた瞬間、キマイライレイザーが踏み付けた地面から巨大な青い魔法陣が展開されて広がっていき、魔法陣から発生した強力な雷がキマイライレイザーの全身に駆け走って動きを封じていったのだった。
「!あ、あれは……?」
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーアアァァァッッッ!!!?』
『君と蓮夜君が奴の気を引き付けてくれてたおかげで、強力な罠を仕掛ける準備が出来たよ。アレを用意するにもそれなりに時間が必要だったから、ホント助かった』
「っ!オマエっ、アタシ達を囮にして……!?」
『そりゃそうだろう?アレを殺さずに捕らえるとなれば、真っ向から戦うのはジリ貧にしかならない。蓮夜君でも倒し切れない化け物とまともに戦うほど、こっちも愚直ではないんだ。小狡い策を弄し、利用出来るモノは何だって利用する。それが僕が最も得意とする芸だ』
あんまり胸張って言える特技でもないけどねと、ポセイドンイレイザーは溜め息混じりにそう言いながら魔法陣に捕らえられて動けないキマイライレイザーを見つめ、蓮夜も血で赤く染まった目でキマイライレイザーを一瞥すると、腕に力を込めて無理矢理に身体を起こし、ふらつきながらも立ち上がる。
「れ、蓮夜さん……!そんな体で動いたらダメデスよっ!」
『彼女の言う通りだ。アレを捕らえられた事だし、こっちとしても君に無理をされて死なれるのは都合が悪い。……其処までして、立ち上がる理由が一体何処にある?』
「ッ……理由なら、あるっ……俺と切歌は、調を迎えに来たんだ……だから、っ……此処でその化け物を逃す訳にはいかないっ……調が元の居場所へ帰れる為にも、だっ……!」
「……蓮夜、さん……」
息も絶え絶えに、絞り出すような声でまっすぐにポセイドンイレイザーを瞳に捉えて離さない蓮夜。そんな彼の言葉と気迫に調も切歌も息を呑む中、ポセイドンイレイザーは首を横に振って溜め息を吐き出した。
『君までそんな甘い戯言を口にするとは……一度犯した罪は消えてなんてなくならない。取り返しの付かない過ちを犯した人間に居場所なんてある筈がないんだよ。僕たちイレイザーがそうであるようにね』
「……そう、だな……お前の言う通り、罪は簡単に消えるものでも、償えるものでもない……」
「…………」
目を伏せる蓮夜の言葉に、調も顔を伏せて罪悪感を滲ませた表情を浮かべる。しかし、蓮夜はポセイドンイレイザーに目を向けて、真っ直ぐな眼差しと共に言葉を続けていく。
「それでも……その罪と向き合い、背負って、償い、戦う事は決して赦されない事なんかじゃない……調はその道を、答えを自ら選んで"選択"したんだ……それは弱さからなんかじゃない、調自身の強さだ……!」
「……!」
「蓮夜さん……」
ハッキリと、力強く断じるようにそう言い切る蓮夜のその言葉に調はハッと弾かれたように顔を上げ、切歌も微笑を浮かべ微笑むが、ポセイドンイレイザーは声色を低く呆れるように返す。
『そんな事で、彼女の犯した罪をなかった事に出来るとでも?犠牲になった者たちへの報いになるとでも言う気かい?……あのおじいさんも』
「報いになるかどうかは、分からない。その答えも、選び取って進んだ選択の先を目にしなければ分からないんだからな……そうだろ、調」
「……蓮夜さん……」
改竄が解けた元の宮司に先はないと信じ切っているポセイドンイレイザーの思惑を否定するかのように、顔だけ向けて振り返る蓮夜は不敵に微笑む。
自身の心の内に微かに残る迷い、恐れを払い除けるような力強いその言葉、その笑みに目を奪われるそんな調に、先に立ち上がった切歌がそっと横から手を差し伸ばした。
その手の上に、蓮夜から預かったシュルシャガナのギアのペンダントを乗せて。
「切ちゃん……」
「一人で悩むなんて、水臭いにも程があるデスよ。ずっと二人一緒だったんデス。これまでも、これからだって……調一人にそんな重荷を背負わせたりなんてしない。アタシや蓮夜さん、皆が付いてるんデスから!」
「…………。うん」
いつもと変わらぬ、しかし不思議と久しい感覚すら覚えるその暖かな笑顔に安心感を覚え、切歌の手を掴んで握り返しながら彼女に引っ張られるように立ち上がり、彼女から手渡されたギアのペンダントを握り締めた手を胸に当て、調は迷いのない瞳でポセイドンイレイザーをまっすぐに見据える。
「私は、もう迷わない。惑わされない。どれだけ責められて、罵倒されたとしても……私は、この"選択"を後悔なんてしない……切ちゃんや、蓮夜さん、仲間達と一緒に……あの人の"未来"は、私達が守ってみせるっ!」
『……ッ!』
「調……」
「エッヘヘ……そうこなくっちゃデス!」
己の心の内の決意を淀みなく、未来を見据えてハッキリと告げた調からの気迫にポセイドンイレイザーも気圧され、蓮夜も切歌もそんな彼女の啖呵に思わず笑みを深めた。その時……
―……パァアアアアッ……バシュッ!―
「……!えっ?」
「カ、カードが?!」
調と切歌の懐から突然淡い光が放たれ、次の瞬間、彼女達のポケットから二つの光……蓮夜が渡していたブランクカードがなんと独りでに飛び出し、宙を舞ったのである。
そして二つの光はクルクルと飛び回りながら蓮夜の目の前に止まると、光を放つ二枚のカードは互いに惹かれ合うかのように一つとなっていき、蓮夜が戸惑い気味に一枚となったカードを手に取ると、光が晴れたそのカードには調と切歌のギア……シュルシャガナとイガリマを模した紋章がまるで対になっているような絵柄が刻み込まれていたのだった。
「これは……」
『そんな……二枚のカードが、一つにっ?!』
二枚のカードが合わさり、一枚のカードとなる。
こんな事態は初めてなのか、ポセイドンイレイザーは戸惑いを隠せず動揺を露わにしており、蓮夜も初めて目にする現象を前に目を見張って呆然と手にしたカードを見つめていたが、それも一瞬。
二人との繋がりの証であるカードを握り締めて真剣な表情に切り替わり、左右に並び立った調と切歌にそれぞれ目線を送り無言のまま力強く頷き合うと、調と切歌はペンダントを掲げ、蓮夜は新たに手にしたカードを迷いなくクロスベルトのバックルに装填した。
『Code Zababa……』
「Zeios igalima raizen tron……」
「Various shul shagana tron……」
「変身……!」
『clear!』
明媚な旋律の歌と無機質な電子音声が重なって響き渡り、三人の姿が変わっていく。
切歌は再びイガリマのギアを、調は一度は手放したシュルシャガナのギアを。
そして蓮夜は黒のアンダースーツを纏った後、更にその上から何処からともなく現れた無数の緑のアーマーを右半身に、左半身には続けて現れた桃色のアーマーを左半身に次々と纏い、最後には三つの刃の鎌を模した緑色の右目と丸鋸を模した桃色の左目が特徴的な仮面を顔に身に纏っていった。
全ての変身を終えた蓮夜のその姿は、右肩や右腕、右脚がまるで刃のように鋭利な意匠のアーマーが特徴的で、右肩甲骨部には巨大な黒の線が入った緑のブースターを装備した緑色の右半身。
全体的に重装甲であり、左脚側面に高速移動用のホイールであるランドスピナーが備わり、左側の背中からはまるで翼のように伸びた機械的な桃色の巨大アームが特徴的なピンク色の左半身。
右半身と左半身で装備も色も異なり、まるで仮面ライダーWのようにアンシンメトリーなその姿こそ、切歌と調との繋がりが一つとなり、新たに顕現した第三の形態……紅刃シュルシャガナと碧刃イガリマの両方の力をその身に宿した『仮面ライダークロス・タイプザババ』へ変身を果たしたのであった。
『ば、かな……装者二人との繋がりを、一つの力にして宿しただって……?!』
『ィイイイイイイイイイッッ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーアアァァァッッッッ!!!!!!』
有り得ないものを目の当たりにしたかのように驚愕するポセイドンイレイザーだが、その時、魔法陣に拘束されていたキマイライレイザーが地を震わす雄叫びを上げながら自身の両足から地面へ莫大なエネルギーを流し込み、地面を大爆発させて魔法陣を消し飛ばして拘束から逃れてしまった。
『しまっ……!』と、ポセイドンイレイザーが慌てて三叉槍を構え直すよりも早くキマイライレイザーが猛スピードで一同へ突進するが、其処へクロスが素早く迎撃して突っ込み、真正面からキマイライレイザーと激突して異形の進行を押し留めた。
「「蓮夜さんっ!」」
『このイレイザーは俺に任せろ……!お前達は──!』
『っ、そうはさせないよ!』
互いに引けを取らないパワーでせめぎ合うクロスの背中に目掛けて、ポセイドンイレイザーが咄嗟に雷撃を放つ。
しかし、その間に調と切歌が素早く割り込むと共にそれぞれのアームドギアで雷撃を全力で打ち払い、ポセイドンイレイザーと対峙した。
「貴方の相手は、私達……!」
「蓮夜さん!アイツはアタシ達に任せるデスよ!」
『っ……すまん、助かる!』
得意げにサムズアップをしてポセイドンイレイザーの相手を受け持つと言ってくれた切歌と調に感謝しつつ、クロスは左脚側面のランドスピナーを展開し、更に右肩甲骨部の巨大ブースターから火を噴かして戦いの場を別の場所へ変える為にキマイライレイザーを全力で押し出していった。
凄まじい速さで遠ざかっていくクロスとキマイライレイザーを横目にポセイドンイレイザーも苦虫を噛み潰したような顔を浮かべると、アームドギアを構えて立ちはだかる調と切歌に目を向けて呆れ混じりに口を開く。
『舐められたものだ……幾ら僕が不完全体だからって、『記号』の力を手にした程度で君達が僕に勝てると、本気で思ってるのかい?』
「トーゼン、本気で思ってるデスよっ!」
「貴方から受けた、今までの仕打ち……宮司さんの分まで……此処で私達が、万倍にして返してあげる……!」
『……そうかい……なら見せてくれよ。やれるものなら、さぁっ!』
―バチィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッ!!!!!―
二人の自信を一笑すると共に、ポセイドンイレイザーが横薙ぎに振るった雷撃が切歌と調に襲い掛かる。
それに対し、切歌は跳躍、調は雷撃を掻い潜りながら上手く避けてポセイドンイレイザーへ接近すると共にそれぞれのアームドギアを全力で振るい、ポセイドンイレイザーが引き戻した三叉槍の一撃とぶつかり合って因縁の勝負に火蓋が切って落とされたのであった。