戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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皆様ご無沙汰しております、風人IIです!

いよいよ今章もエピローグとなりますが、今回は思っていたより少々長くなりそうなので分割でお送りさせて頂きます。







第八章/繋xX式・調(ツキ)が読み解くわたしの答え×黎明・それでもme侶スは駈ke走ル⑦(前)

 

 

―ドッッバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーアアァァンッッッ!!!!!―

 

 

「くうぅっ……!っ、蓮夜さんっ!」

 

 

 クロス達の連携技を喰らった海神の巨体が派手に消し飛び、弾けた無数の肉片がただの水となって雨のように空から絶え間なく降り注ぐ。

 

 

 嵐雨の中、調と切歌はギアインナーの姿のまま降り掛かる雨の水圧を振り払いながら倒れた蓮夜の下へと慌てて駆け寄り、うつ伏せに倒れる彼の身体を抱き起こして仰向きに寝かせていく。

 

 

 覗き込んだその顔は血色も悪く真っ青に青ざめており、此処までの戦いから無理を通し過ぎて自らの血を流し過ぎたのだと、彼の全身の至る所から流れ出る流血が否が応にも其れを物語っていた。

 

 

「っ、傷がひどいっ……!このままだと……!」

 

 

「ア、アタシを庇ったから……蓮夜さんっ……!気をしっかり持つデスよ!蓮夜さんっ!」

 

 

「…………っ、ぅ…………」

 

 

 出血の酷い身体を下手に揺さぶる訳にもいかず、必死に大声で呼び掛ける切歌の声に僅かな反応を示し、目を閉ざしたまま眉間に皺を寄せる蓮夜。

 

 

 その反応から今からでも治療すればまだ間に合うと確信した二人は急ぎ救護ヘリを寄越してもらうべく、切歌が自身のヘッドギアから本部へ通信を繋ごうとした、その時……

 

 

 

 

 

「────まさか、こんな結末になるとはね……理想通りって訳じゃないけど、まぁ、ギリギリ及第点ってとこかなぁ……」

 

 

「「……!!?」」

 

 

 

 

 

 不意に何処からか聞こえてきたのは、最早聞き馴染みすらも覚える飄々とした男の声。

 

 

 しかし何処か辛そうにも聞こえるその声に釣られて調と切歌が振り返ると、其処には海神が霧散して消えた濡れた地面からどろりとしたゼリー状の流動体が生えて徐々に人型を形成していき、やがて全身血塗れでボロボロになり、右腕が欠損した青年……先の蓮夜達の渾身の技で撃退したかに思われたクレンが姿を現したのであった。

 

 

「貴方は……!」

 

 

「オマエ……!?まだ生きてたデスか?!」

 

 

「ははっ、そりゃ当然……と言いたい所だけど、さっきのは流石にヤバかったかな……咄嗟に身代わりを立てて凌いだはいいけど、それでもこの有り様な……っ……ワケだしっ……」

 

 

 苦笑い混じりにそう言ってクレンが己の肩口に視線を向けると、失くした右腕を水を用いて何とか再生させようと試みているようだが、再生の途中で腕の形をした水が霧散し上手く復元する事が出来ずにいる。

 

 

 恐らく先程受けた蓮夜達の技の能力の影響なのか、この分では他の傷を癒すのも当分時間が掛かりそうだと疲れも混じった溜め息を面倒そうに漏らし、クレンは調と切歌、そして調の膝の上に頭を乗せ気を失っている蓮夜を一瞥し僅かに微笑んだ。

 

 

「今回の勝負は、癪に障るけど完全に僕の負けだ。それは素直に認めるよ。……けれど、君達が選んだこの"選択"は一筋縄では行かない茨の道だ。君達は、君達自身の手で、自ら苦難の道への一歩に足を踏み入れたといっても過言じゃない」

 

 

「……茨の、道……?」

 

 

「何またワケのわからないこと言ってるデスか……!そうやって意味深な発言で不安を煽って、負け惜しみのつもりならその手には乗らないデスよ!」

 

 

「ハハッ……まぁ、若干の負け惜しみの気があるのは否定しないよ……でも、半分は僕なりの親切心でもあり、警告でもある……何せ、君達が相手取ろうとしている"彼"は──」

 

 

 

 

 

 

「───其処までにしておくといい。君は少々おしゃべりが過ぎるにしても、それ以上は流石に看破出来ないよ?」

 

 

「……っ!」

 

 

 

 

 

 

 何処となく真剣味を帯びたクレンの言葉を遮る、少女の声。

 

 

 その声に釣られてクレンが慌てて振り返ると、空から黒い鎧を纏った少女……ヴィーヴルが背中の機械的な黒翼を閉じ、クレンの背後に降り立った。

 

 

「キミ、は……」

 

 

「ぇ……アレは……も、もしかして……!?」

 

 

「シン……フォギア……?」

 

 

 前触れもなくいきなり現れたヴィーヴルにクレンは目を見張り、切歌と調は少女が纏ってる黒い鎧が自分達と同じギアだとその雰囲気から一目で看破して驚愕する中、ヴィーヴルはそんな一同の反応や奇異の視線にも気にも留めず、ボロボロの姿のクレンの頭から足の爪先まで見下ろし嘆息した。

 

 

「それにしても酷い格好だ。仮にも上級イレイザーともあろう者がそんな醜態を晒していては、君達が飼ってる他のイレイザー達に示しが付かないんじゃないか?」

 

 

「……急に後から出てきておいて、随分な言い草じゃないか……そもそも君達が余計な邪魔さえしてくれなければ、此処までの苦労に見舞われる事もなかったと思うけど……?」

 

 

「そんな愚痴、ボクに言われても困るとしか言いようがないよ。こっちとしてもただ命令に従っただけに過ぎないんだから。というか、君の立場からすれば寧ろボクに感謝の念を口にしてもバチは当たらないと思うよ?現に今さっきまで、君が自分の務めを果たせるようにその手伝いをしてた訳なんだし」

 

 

「……手伝い……?」

 

 

 怪訝に眉を顰めるクレン。

 

 

 と其処へ、遠方の空から二基の大型ミサイルが上空を駆けて猛スピードで現れ、ミサイルの上から二人の少女……先程までのヴィーヴルとの激闘でインナースーツやギア、素肌等が切り傷と土埃で薄汚れた響とクリスが飛び降りて蓮夜達の前に着地し、クレンとヴィーヴルに向けて颯と身構えた。

 

 

「!響さん、クリス先輩……!」

 

 

「遅れてごめん、みんなっ……!状況は……って、蓮夜さん?!」

 

 

 駆け付けるのに遅れて謝罪しながら振り返るも、調の膝の上で血塗れになりながら気絶している蓮夜を目にしギョッとなる響。

 

 

 そんな響の隣に立つクリスも蓮夜の容態を横目に苦虫を噛み潰したように顔を歪め、クレンとヴィーヴルに視線を戻し睨み付けながらアームドギアの銃口を突き付けるも、ヴィーヴルは構える事すらせずにヤレヤレと溜め息を漏らした。

 

 

「そんな状態でまだやる気なのかい?あれだけ一方的に痛め付けられておいて性懲りも無いというか……力の差は目に見えて歴然だって、ボクなりに嫌という程分からせてあげたつもりなんだけどね」

 

 

「ふざけんのはその舐め腐った態度だけにしろ!してやられたまま帰すほどあたし等は安くはねぇし、テメェには聞きてぇ事が山ほどあんだよ!」

 

 

 激昂を露わに今にも発砲し兼ねない気迫でクリスが吠える。

 

 

 そのやり取りからある程度の経緯を察し、クレンは鼻を軽く鳴らしてヴィーヴルの方に振り向きながら目を細める。

 

 

「そういえば、『記号』持ちの彼女達の横槍が入らないようそっちで足止めしてたんだっけ……それも"彼"の指示かい……?」

 

 

「これぐらいの仕事はしないと、幾ら君でもクロスと『記号』持ちの両方を相手しつつ件のノイズ喰らいを守り切るのは荷が重いだろう?……まぁそんなボクの健闘虚しく、まんまと件のノイズ喰らいを仕留められた上に装者二人に『記号』の力を与えられてしまうなんて、これはただの失態って程度で済む話じゃないんじゃないかい?」

 

 

「……っ……(元はと言えば誰のせいでっ……」

 

 

 元を辿れば、デュレンが余計な茶々を入れさえしなければこんな面倒な事にならずに済んだというのにと、心中では彼への愚痴がグツグツと滾るそんなクレンの横顔も涼しげに一瞥し、ヴィーヴルはクレンの前に歩み出て華やかに微笑んだ。

 

 

「まあそんな君でも、"彼"の目的の為にも此処で失う訳にはいかない。そういう訳だから装者諸君、彼はこのまま連れ帰らせてもらうよ?」

 

 

「!何を言って……!」

 

 

「そう言われて、ハイ分かりましただなんて頷く訳ねーだろっ!」

 

 

 蓮夜達の奮闘により弱っているクレンをこのままみすみす見逃すなど容認出来る筈もない。

 

 

 ヴィーヴルの馬鹿げた発言に反発する調の声を背に、クリスもいよいよ我慢がならずヴィーヴル達に向けてアームドギアの拳銃を容赦なく発砲するが、対するヴィーヴルは小さな溜め息と共に、徐に口を開く。

 

 

 

 

 妖の 誘いに

 

 応えたまえ……

 

 

 

 

―……ドバァアアアアアアアアンッッッッ!!!!!!

 

 

「──!!?なっ……?!」

 

 

「な、なに……?この、重圧っ……?!!」

 

 

 ヴィーヴルの小さな口から囁かれる、美しき声の歌。

 

 

 一見流麗で、されども何処か悲哀が込められているようにも聞こえる歌声が響き渡った直後、ヴィーヴルの全身から凄まじいまでの威圧感と共にオーラが放出され、クリスの放った弾を消し飛ばしただけでなく、彼女が立つ足元の地面に無数の亀裂が走り大きく陥没する。

 

 

 そのプレッシャーに肌がビリビリと痺れるモノを感じて圧倒される装者達のヘッドギアに、本部の騒然とした声が届いた。

 

 

『正体不明の装者の、フォニックゲインが急激に上昇中っ!』

 

 

『これは……不味いっ……!お前達っ!!』

 

 

「ッ!くっそぉおおっ!!」

 

 

 通信越しに弦十郎が指示するよりも速く、直感的に危機を感じ取ったクリスが十字に組んだ両腕を前に突き出しながら即座にエネルギーリフレクターを展開し、背後にいる響と蓮夜達を守る障壁を張る。

 

 

 その間にもヴィーヴルの歌はギアから流れる不穏且つ壮大な伴奏と共に紡がれ続け、彼女の歌声に呼応するかのように両肩のアーマーが黒いドラゴンの頭部を模した形状へと徐々に変化していき、更に双頭のドラゴンの口から巨大な砲口が突き出て蒼白い炎のエネルギーを収束していく。

 

 

 胸の楔に

 

 手向けの 賛歌

 

 深淵の地ヘ……

 

 

No.F-15 龍聯獄 Over Drive

 

 

 双頭のドラゴンの砲口から同時に放たれた炎のように揺らめく二閃の蒼白い砲撃が、クリスが展開するリフレクターの障壁を呑み込む。

 

 

 その威力や凄まじく、リフレクターの反射で軌道を逸らされ左右ヘと別れた砲撃の直撃と余波だけで大量のビルを瞬く間に粉砕してゆくどころか、月を破壊する一撃をも凌ぐハズのクリスのリフレクターが数秒とすら保たずに次々に消滅していき、彼女の両腕のアーマーも障壁越しだというのに砲撃の威力に耐え切れず徐々に融解し始めていた。

 

 

「ぐうっ!ク、クリスちゃんっ!!」

 

 

「がっ、ぁあああ……!!!!ち、くしょおォおおおおおおっっ……!!!!…………っ?」

 

 

 リフレクターの数も残り僅かとなり、これ以上持ち堪えるのは無理やもしれないと半ば覚悟を決め掛けていたクリスだが、障壁で受け止める砲撃の勢いが心做しか段々と弱り始めている気がする。

 

 

 現に正面から障壁と拮抗する二閃の砲撃が少しずつ線が細くなっていっており、リフレクターも残り二つというギリギリの状態で砲撃が完全に止まっていき、最早まともに維持することすら出来ない障壁を消して目を凝らしながら黒煙が立ち込める正面に視線を向けると……

 

 

「くっ、そ……逃げられたっ……」

 

 

 其処には既に、ヴィーヴルとクレンの姿は何処にもない。

 

 

 唯一残されたのは、ヴィーヴルの砲撃によって街の大半が消し飛んだ凄惨な破壊の光景が何処までも続くだけ。

 

 

 リフレクターを解除し、片膝を着いて項垂れるクリスの元に響が慌てて駆け寄っていく。

 

 

「クリスちゃんっ……!大丈夫?!」

 

 

「ッ……あたしの事は、いいっ……それより、不器男を……!」

 

 

「本部……!本部っ!早く救援のヘリを!急ぐデスよっ!」

 

 

「蓮夜さん……?目を開けてください……!蓮夜さんっ、蓮夜さんっ!!」

 

 

「────────────」

 

 

 苦悶の表情で振り返ったクリスの視線の先には、ヘッドギアの通信機から本部に救援ヘリを急ぎ要請する切歌と、完全に意識を失ったのか何も反応を返さず、呼吸音も微かにしか聞こえないほど衰弱している蓮夜に悲痛に呼び掛け続ける調の姿が。

 

 

 そんな彼女達の下に響とクリスも体中の痛みと疲労から足を縺れさせながらも慌てて駆け寄って蓮夜の傍に着き、響は蓮夜の血で赤く染まった手を強く握り締めて調と同じように必死に彼に呼び掛け、クリスは両手を地面に着いてそんな蓮夜の無惨な姿を前に自分達の到着が遅れた事を悔い、悔しさから堪らず地面に拳を打ち付けて「クソッ……!」と悪態を吐き出してしまうのだった。

 

 

 

 

 

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