戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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第九章/運命ノ少女×破壊者†on the load①(前)

 

 

―symphony・405号室―

 

 

「……う〜……」

 

 

 S.O.N.G.管轄のマンション、symphonyの蓮夜の自宅前。その玄関前にて、立花響は一人頭を抱えていた。

 

 

 彼女の手には、蓮夜の為に家で作ってきた献立が幾つか入れられたバックが握られており、これを渡さなければと思いつつも中々インターホンを押す事が出来ずにいた。

 

 

 その理由は勿論、先日の彼とのデートで蓮夜からいきなり爆弾投下された愛の告白のせいである。

 

 

(この間はイレイザーの事件の事もあったから普通に話したりは出来てたけど……いざ二人っきりになると緊張しちゃうなぁっ……)

 

 

 数日前の事件の最中も、合間を縫っては蓮夜と普通に接したりは出来ていたのだが、いざこうして日常生活で会うとなるとあの日の事を思い出してやはり意識してしまい、どうしても緊張してしまう。

 

 

 しかし、そんな事ばかり言ってはいられない。

 

 

(いつまでもこうやって玄関先で考え込んでいる訳にはいかないし……今日は未来も用事でいないんだから、此処はちゃんとしてしっかり渡しておかないと……!)

 

 

 何せ食生活に関して悪食ばかりの彼の事だ。自分達が目を離せば、その隙にまたも缶詰ばかりの生活に逆戻りしてしまうやもしれない。

 

 

 それを防ぐ為にも、響は一度深く深呼吸した後、「よしっ」と意を決してチャイムを押そうと指を伸ばして……

 

 

「──〜♪……って、あっ……」

 

 

「へ?……あれ、クリスちゃん?」

 

 

 近くのエレベーターが不意に音を立てて開き、そこから鼻歌を歌いながら降りてきたのは、何やら買い物袋を手にした私服姿の雪音クリスだった。

 

 

 突然現れた彼女に響は驚き、インターホンに伸ばした手を途中で止めて思わず固まってしまう。それは相手も同じ事であったらしく、クリスも同じく驚いた様子で響を見ていた。

 

 

「な、何だよ。お前も不器男に用があって来たのか?」

 

 

「え……あ、う、うん。未来と一緒に作った献立を蓮夜さんに渡そうと思って……そういうクリスちゃんは……?」

 

 

「は?あ、あぁ。あたしは、そのぉ……」

 

 

 まさかのタイミングで鉢合わせしてしまった事に動揺を隠しきれず、クリスは言葉を詰まらせながら視線を泳がせて買い物袋を背中に隠すも、響はそれを見逃さなかった。

 

 

「その荷物……ひょっとして、蓮夜さんの所に持っていくつもりだったの?」

 

 

「そ、そんな訳ねぇだろッ!?これは、その、あれだ!その……ちょっとした暇潰しに、街をぶらついてたら偶然見つけた店で買ったモンであって別にアイツの家に行くついでに寄ろうかなとか思ってた訳じゃなくて……!」

 

 

「…………(分かりやすいぐらいにテンパってる……」

 

 

 顔を真っ赤にして必死に言い訳を並べるクリスだが、どう見てもただの照れ隠しにしか見えない。そんな彼女の分かりやすい反応に響も苦笑を浮かべる中、クリスは息を吐く間もなく喋り過ぎたせいで肩を上下に揺らしながら荒い呼吸を繰り返した後、咳払いをして誤魔化した。

 

 

「と、とにかくっ……!あたしはあたしで不器男に用があるってだけなんだっ。お前との長話に付き合ってる暇はねーんだよっ」

 

 

「え、あ、ちょっ!待ってよクリスちゃーん!」

 

 

 慌ただしく会話を切り上げると、クリスはそのまま駆け足で響の横を素通りし、彼女の制止の声にも構わず合鍵のカードキーを使って家の鍵を開ける。そして勢いよく家の中へと入っていく彼女の後を、響も慌てて追いかけた。

 

 

「ご、ごめんくださーい……」

 

 

「おーい、不器男!いるなら返事しろー!あたし等がきてやったぞー!」

 

 

 恐る恐ると声をかけながら玄関に入る響の横で、クリスが奥に向かって叫ぶ。しかし、蓮夜からの応答はない。

 

 

「あれ……いないのかな……?」

 

 

「いや、そんな筈は……ってか、不器男の靴があるじゃねえか。出掛けてる訳でもなさそうだし、もしかしてまだ寝てんのか?」

 

 

「そうなのかな……ん?」

 

 

 ふと玄関先の隅を見ると、そこには見慣れた女性物の靴が二組置かれているのが見えた。

 

 

「これ……調ちゃんと切歌ちゃんのじゃない?」

 

 

「なんだ、アイツらも来てたのか?ったく、幾らこっちにもあたし等の部屋があるからって、来てるんなら連絡ぐらい入れとけよなぁ……」

 

 

 呆れた様子で呟きながらクリスは靴を脱いで廊下を進み、リビングへと向かう。その後を響も追い、リビングの扉を開いた。

 

 

「おい、後輩共っ!いるんなら返事くらい……って、あん?」

 

 

「……あれ?誰もいない?」

 

 

 室内を見回してみるものの、そこには二人どころか家主の蓮夜の姿すらなかった。響とクリスは揃って首を傾げる。

 

 

「おかしいな……玄関にはちゃんと靴があったし、出掛けてる筈はねーだろうに……」

 

 

「うーん……?もしかして、私達が借りてる部屋の方にいるのかなぁ?それか蓮夜さんの自室とか?」

 

 

 キョロキョロと見渡してみたり、耳を澄ませてみても、リビングに人の気配は感じられない。

 

 

 もしかすると自分達が借りている部屋にいるのかもしれないと思った二人はそのままリビングから移動し、自分達が使っている部屋の扉を開けて室内を確認するが、其処にも誰もおらず、自分達が持ち込んだ私物だけが綺麗に整頓された状態で置かれていた。

 

 

「うーん……此処でもないかぁ……じゃあ、残るは蓮夜さんの部屋?」

 

 

「かもなぁ……ったく、わざわざ来てやってんのに手間取らせやがってっ……」

 

 

 ブツブツと文句を垂れるクリスに苦笑いを浮かべつつ、響は彼女と共に移動して蓮夜の自室の前に立つと、コンコンッと軽く扉をノックする。

 

 

「蓮夜さん、いますかー?」

 

 

『……』

 

 

「蓮夜さーん?」

 

 

 何度か呼びかけるが、やはり反応はない。

 

 

 仕方ないとばかりに響はクリスの方へ振り返ると、彼女はコクリと小さくうなずいた。

 

 

「……蓮夜さーん、勝手に入りますよー?」

 

 

 返事を待たず、扉のドアノブを手に取ってガチャッと回し、中へ入る。

 

 

 室内は家具選びが分からないという蓮夜に代わって自分達が選んだカジュアルな家具が置かれており、その部屋の隅には、何やら不自然に掛け布団が盛り上がっているベッドが存在した。

 

 

「やっぱり此処にいたんだ……」

 

 

「ったく、まだ寝てんのかよ。呑気な奴だなぁっ」

 

 

「……ぅ……ぅうぐぅっ……」

 

 

二人が近付いていくと、蓮夜はベッドの上で仰向けに倒れ込んだまま魘され、苦しそうな声を上げている。そんな彼の姿を見た響とクリスは顔色を変え、すぐさまベッドに駆け寄り慌てて声を掛けた。

 

 

「れ、蓮夜さん!?大丈夫ですかッ!」

 

 

「お、おい、どうした!不器男!」

 

 

「…………」

 

 

「あ、あれ……?蓮夜、さん?」

 

 

「何か様子が変だぞこいつ……!取り敢えず布団引っペがせ!なんかヤバいかもしれねぇ!」

 

 

「わ、分かった!」

 

 

どう見ても尋常ではない様子の蓮夜から緊急事態を感じ、響とクリスは彼を起こすべく強引に掛け布団を勢いよく引っペがして……

 

 

 

 

 

 

───何故か蓮夜の両脇に寝そべり、彼の身体に抱き着きながら二人を見てギョッとした顔を浮かべる切歌と、彼女と同じく無表情のまま蓮夜の胸元に顔を埋めて抱きつき、二人を無言で見上げる調の姿を発見したのであった。

 

 

「「………………………………」」

 

 

「……………………ぁ……アハ、ハ……あ、あのデスね……?コ、コココレはそのっ……」

 

 

「……………」

 

 

 掛け布団を手にしたままの二人からの冷ややかな視線に、切歌が青ざめた顔でダラダラと冷や汗を流しながら動揺で上手く回らない口で何とか弁明しようとする。

 

 

 一方で調は特に気にした様子もなく、魘される蓮夜の胸に頬を埋めたまま、一言。

 

 

「おはようございます」

 

 

「……『おはようございます』、じゃねェえだろォおおッッ!!何やってんだお前らァああああああああーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!」

 

 

―ブォオオオオッ!!―

 

 

「ひぇええええっっ!!?」

 

 

「ほっ」

 

 

―ドゴォオオオオオオオッッ!!!!!―

 

 

「ゴハァアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーッッ!!!!?」

 

 

「ああーッ!?れ、蓮夜さーーんッッ!!?」

 

 

 調の呑気な挨拶にクリスは叫びながら切歌と調に目掛けて手に持っていた買い物袋(因みに中身はそれなりのお値段の箱入り大玉メロン)を全力で投げ付けた。

 

 

 しかし切歌と調は咄嵯に左右にゴロンと転がって買い物袋を素早く回避し、二人にかわされた袋はそのまま蓮夜の土手っ腹に食い込むように炸裂してしまい、彼の大絶叫が室内に木霊したのであった。

 

 

 

 

 

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