戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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第九章/運命ノ少女×破壊者†on the load②(中)

 

 

『ガァアアアアッ!!』

 

 

『シャアァアアアアアッ!!』

 

 

「くッ……!ハァアアッ!!」

 

 

 ファートムと呼ばれる謎の少女を巡り、翼とマリアの装者、無数のダストを率いるマンティスイレイザー、そしてそのマンティスイレイザーに味方するように装者達を襲い始めたfirstが入り乱れ、戦場は混沌を極めつつあった。

 

 

 その中で、翼は入れ替わり入れ替わりに襲い来るダストの襲撃を謎の少女、ファートムを背に何とか守りながら迎撃しアームドギアの刀を振るい続けているが、彼女が斬り付けるダスト達は斬られた箇所から不気味に肉が泡立ちながら忽ち修復してしまい、撃破には至らぬ苦戦を強いられていた。

 

 

「クッ……!(やはりこちらの刃が通じないっ……!クロスが齎す『記号』とやらの力がない限り無力化されるか……!」

 

 

 翼が手にする日本刀型アームドギアの切れ味を以てしても、ダスト達に刻まれた切断面は瞬く間に再生して元通りになってしまい、倒せない。

 

 

 ならばと、翼はアームドギアの刀身から蒼ノ一閃を繰り出し、ダストの群れを一網打尽にしてみせる。

 

 

 しかし、その一撃を受けても尚、ダストの群れは怯む事なく襲い掛かり続け、翼は思わず舌打ちしてしまうが、そんな彼女の死角にいつの間にか回り込んだマンティスイレイザーが鋭い横蹴りを放ち、彼女を吹っ飛ばした。

 

 

「ぐぁああっ?!──っ、がはっ!?」

 

 

「っ、翼っ!」

 

 

 咄嵯の不意打ちに反応してガードしたものの、凄まじい衝撃を全身に受けてしまい、そのまま地面の上を転がっていく翼。そんな彼女に追い討ちを掛けるようにマンティスイレイザーは追い掛け、刀を振り下ろす。

 

 

 それに対し翼はどうにか片膝を着いて起き上がりながらアームドギアを盾のように構えて攻撃を防ぐと、マンティスイレイザーは冷淡な眼差しで翼を見据えながら吐き捨てた。

 

 

『この程度の雑魚を相手に手間取っているようでは話にならないぞ。お前の剣はその程度なのか?』

 

 

「貴様……ッ!!」

 

 

 マンティスイレイザーの挑発的な言葉に翼は歯を食い縛り、アームドギアの力押しで相手の刀を徐々に押し返し何とか身を起こして立て直そうとするが……

 

 

「──いやぁああっっ!!」

 

 

「……!!?」

 

 

 突然背後から聞こえてきた悲鳴に驚き、翼が慌てて振り返ると、そこにはダスト達に取り囲まれたファートムの姿があった。

 

 

 ファートムは乱雑に両腕を振り回し必死に抵抗しているが、ダスト達の数に押されて次第に追い詰められていく。

 

 

「しまったっ……!クッ!」

 

 

―ドゴォオオッ!!―

 

 

『ヌウ……!』

 

 

 翼は急いでファートムを助けに向かうべく、鍔迫合うマンティスイレイザーの横腹に蹴りを叩き込み、よろめいた隙を突いてファートムの下へ駆け出し、彼女に群がるダスト達を背後から擦れ違い様に斬り付けながらファートムの前に庇うように立った。

 

 

「無事か?!」

 

 

「っ……ありが、とう……」

 

 

「礼などいい!それよりも、私から離れるなよ!」

 

 

 翼の言葉にファートムがコクリと小さく首を縦に振ったのを確認すると、翼は再びダスト達に向けてアームドギアを構える。その一方で……

 

 

―ガギィイイイイッ!!ギィンッ!!―

 

 

「くうっ!はぁああっ!」

 

 

『フンッ……!ハァッ!』

 

 

 翼達とマンティスイレイザー達から少し離れた場所では、マリアがfirstを相手に防戦一方の戦いを強いられていた。

 

 

 マリアが振りかざす短剣型のアームドギアをfirstは左腕の前腕のみで受け止めて防ぎつつ、すかさず右腕の拳をマリアの顔面に目掛けて放つ。マリアはそれを反射的に顔の前に伸ばした左腕で防御するも、firstの攻撃の威力を殺し切れずに両足で地面を削りながら吹き飛ばされてしまう。

 

 

「ぐぅっ……!?(なんて、馬鹿力……!!」

 

 

 マリアは苦痛に顔を歪めながらも、どうにかfirstの攻撃を凌いで反撃の機会を探るが、その僅かな隙にfirstはマリアとの間合いを詰めており、マリアの腹部目掛けて強烈な掌底を放つ。

 

 

「くっ!?」

 

 

 マリアはその攻撃を避けきれずにまともに喰らってしまうも、どうにか地面に着地して膝をつくことは回避した。しかし、firstは間髪入れずに追撃を仕掛けようとしてくる。

 

 

「っ、舐めるなあっ!」

 

 

 その瞬間、マリアは身体を回転させて勢いをつけながらアームドギアを蛇腹剣に切り替えて薙ぎ払い、それを見たfirstが後ろに飛び退いて回避すると、マリアは更に回転の勢いを付けながら連続でアームドギアを振るい、次々と銀色の斬撃を放っていく。

 

 

 だが、マリアの連続攻撃はどれも空を切り、やがてアームドギアを元の短剣に戻して動きを止めると、其処にはfirstの姿はなく、いつの間にかマリアの背後に回り込んでいた。

 

 

「なっ……!?―ガシィッ!―ぐぁうっ!か、はっ……?!」

 

 

 背後から忍び寄ってきたfirstに気付いて振り返ろうとするも、それよりも先に彼の右手がマリアの首を鷲掴みにし、そのまま強引に身体を持ち上げられてしまう。

 

 

 ギリギリと首を締め上げられ、マリアは呼吸困難のあまり顔を歪めながらもfirstの右腕を何度も殴って逃れようとしてもビクともせず、逆にfirstはそんなマリアを見て、訝しそうに小首を傾げた。

 

 

『解せないな……。未だクロスも引き連れずにイレイザーを相手に戦うとは。俺の忠告に聞く耳を持ち合わせていなかったのか?』

 

 

「ぁ、ぐ、っ……なにを、白々しいっ……!!彼を乗せた飛行機を襲撃しておきながら、どの口でっ……!」

 

 

『……何だと?』

 

 

 マリアの言葉を聞いた途端、firstはピタリと動きを止め、マリアの首を絞め上げる手の力を緩めた。

 

 

 その隙を見逃さず、マリアはすかさず短剣を振るいfirstのボディを斬り裂いて拘束から逃れると、その場に膝を着いて喉を抑えながら何度も激しく咳き込み、一方で胸から派手に火花を撒き散らしながら後退りしたfirstは特に大したダメージを受けた様子もなく胸の汚れを払うように手を動かしつつ、顔を背けて軽く舌を打った。

 

 

『そういう事か。最近連絡が付かないと思えば、アイツ……余計な事を……』

 

 

「っ──敵を前に、余所見をォおおッ!!」

 

 

―HORIZON†CANNON―

 

 

 一瞬だけ意識を逸らすfirstに目掛けて、マリアは怒声を上げながら立ち上がってアームドギアの短剣を左腕部ユニットの肘部側から装甲内部に納刀するように接続し、左腕部ユニットが多数の光り輝くフィンを有する射撃形態へと変形。更に掌部を変形させて形成した砲身から、高出力の銀色のエネルギー光波を迸らせた。

 

 

 並の相手なら直撃すればひとたまりもない一撃。

 

 

 しかしそれでもfirstは顔色一つ変えず、悠々と佇んだまま右手のグローブの内側から溢れ出す水をまるで水掛けのように右手を振るって目の前に撒き散らし、更に左手を前に突き出して今度は掌から白霧の冷気を放出。

 

 

 冷気を浴びた宙を舞う水は一瞬の内に凍り付き、氷の盾を形成してマリアが放ったエネルギー光波を受け止めた直後、凄まじい爆発を起こして辺り一帯を白霧が包み込んでいった。

 

 

「くッ?!(これは、目眩し……?!不味い、敵の姿が視えない……!」

 

 

 視界を奪われ、慌ててアームドギアを構え直そうとするマリア。

 

 

 が、そんな彼女の背後に全身に雷を身に纏ったfirstが超速度で回り込み、既に拳を振り上げていた。

 

 

「?!しまっ──!―バキィイイイイッ!!―ぐぁあううっ!?」

 

 

 咄嵯にアームドギアを短剣に切り替えて振り向き様に防御を試みるも、firstの雷を纏った右ストレートがアームドギアを砕くと同時に彼女の身体にも衝撃を与え、マリアはそのまま吹き飛ばされて地面の上を転がっていく。

 

 

「マリアっ!?」

 

 

 その光景を目の当たりにして、翼は思わず悲鳴に近い叫びを上げるも、マリアはどうにか受け身を取って僅かによろめきながらも身を起こしていく。

 

 

「はぁっ、っ……!まだっ……この程度、でっ……!」

 

 

『流石のしぶとさだな。だが……』

 

 

 ふらつきながらも立ち上がるマリアを見てその不屈の精神力に感心するように呟き、firstはマゼンタのバックルの両サイドのハンドルを開くと、左腰のカードケースから取り出した金色のカードをマリアに見せつけるように翳す。

 

 

『……それだけでは、俺には及ばない』

 

 

『FINALATTACKRIDE:FIR・FIR・FIR・FIRST!』

 

 

 バックルにカードを投げ入れて装填し、両サイドのハンドルを閉じるようにスライドさせて電子音声が鳴り響く。

 

 

 直後、firstの足元からマリアの下にまで絶対零度の冷気が放出され凄まじい速さで地面が凍り付いていき、マリアだけでなく、彼女の背後で翼とファートムに襲い掛かろうとしてた複数のダストの足まで一瞬で凍らせてしまった。

 

 

「これはっ……!!?」

 

 

『ゲァッ、ガッ?!』

 

 

『ガゲェアッ?!』

 

 

 突然の事に動揺するマリアと、動けなくなった事で狼煙を上げているかのように情けない鳴き声を上げて暴れるダスト達。

 

 

 その隙にfirstは両脚を揃えて空高く跳躍すると、空中で一回転してから右足を突き出し、足に炎を纏いながらマリアに向かって急降下していく。

 

 

『ハァアアアアッ!!』

 

 

「くッ?!」

 

 

「ッ!!マリアァッッ!!!!」

 

 

 頭上から迫り来るfirstを前に凍り付いた足では身動きも取れず、目を見開いて焦燥を露わにするマリア。

 

 

 そんな彼女に向かって目の前のダスト達を押し退けた翼が一目散に駆け出し、横からマリアを抱き抱えて力尽くで氷の拘束から脱しながらその場から共に飛び退くと、本来の標的から逸れたfirstの飛び蹴りはそのまま足が凍り付いて動けないダスト達の中心に突き刺さり、直後、firstを中心に炎が螺旋を巻きながら発生し、周囲のダスト達を一瞬で飲み込み爆発していった。

 

 

『『『ガ、ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーッッ!!!?』』』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!―

 

 

「ぐうぅああっっ?!!」

 

 

「うぁああうっっ!!!」

 

 

 爆風と共に熱波が二人を背中から襲い、翼とマリアはそのまま地面に落下して倒れ込む。

 

 

 パチパチッと、二人の周囲で火の粉が舞う中、どうにか翼の腕の中で庇われたマリアは痛みで表情を歪めながら顔を上げて振り返ると、其処にはダスト達を焼き払った炎の中心地で徐に身を起こす、firstの姿があった。

 

 

「(なんて奴なの……あれだけの数を、一瞬でっ……)」

 

 

『……流石にあの程度でやられるほどヤワではないか。さて、次はどうするか──』

 

 

『──貴様ァ!一体何のつもりだ?!』

 

 

 次の行動に移ろうとしていたfirstだったが、そんな彼の下に怒りの形相を浮かべたマンティスイレイザーが駆け付け、声を荒げながらfirstの肩をド突いて詰め寄った。

 

 

『急に何だ?こっちはお前達の要求通り、装者達の足止めに協力してやってるだろ?』

 

 

『味方を巻き添えにしておいてどの口で言っているっ?!貴様のせいでこちらが余計な被害を被っているんだぞっ?!』

 

 

『ソイツを俺に言われてもな……あの雑魚共を率いてるのはお前だろう?なら、こっちの戦いに巻き込まれないように統率し切れなかったお前の監督に責任があるんじゃないのか?』

 

 

『っ、貴様ァッ……!!』

 

 

 飄々とした口調でダスト達を巻き込んだ事を詫びれもしないfirstに、マンティスイレイザーが怒りに震えて今にも彼に殴り掛かりそうな雰囲気を醸し出す中、マリアはそんな二人のやり取りを遠巻きに見て訝しげに眉を顰めていた。

 

 

「(何だか知らないけど、揉めている……?仲間同士という訳ではないの?……いえ、どちらにせよ今がチャンスに違いない!)……翼!起きて、しっかりしなさい!」

 

 

「──っ……マリ、ァ……?」

 

 

 マンティスイレイザーとfirstが言い争いしているこの隙に態勢を立て直すべく、先程の爆風を受けて隣で気絶する翼の背中を何度も揺さぶり意識を取り戻させるマリア。

 

 

 その声と身体を揺さぶられる感覚から翼も意識を取り戻し、徐に顔を上げる姿を見て一先ず安堵するマリアだが……

 

 

「──いや、だっ……!離せぇっ!」

 

 

「「……ッ?!」」

 

 

 悲痛な悲鳴が聞こえ、二人は慌ててそちらに目を向ける。

 

 

 其処には、先の爆発から生き残ったダスト達に両脇から腕を掴まれ、捕らえられて逃げようと必死に暴れるファートムの姿があった。

 

 

「不味い……!あの子が!」

 

 

「っ、その少女を離せっ!」

 

 

 捕らわれるファートムを救出すべく、すぐさま地面から起き上がった翼とマリアがファートムの下へ走り出す。

 

 

 が、其処へマンティスイレイザーが横合いから刀を振りかざしながら飛び掛かり、二人の前に立ち塞がってしまう。

 

 

「ッ!貴様っ!」

 

 

「邪魔よっ!其処を退きなさいっ!」

 

 

『邪魔なのは貴様らの方だ……ファートムを連れていけ。これ以上、面倒を増やされては困る』

 

 

「っ……!い、嫌だ……!もう戻りたくないっ!私はあんなっ、嫌だァッ!!」

 

 

 ダスト達によって両腕を拘束されながらも激しく抵抗を見せるファートムだが、ダスト達は一向に拘束を解く気配がなく、寧ろ力尽くで彼女を何処かに連れ去ろうとしている。

 

 

 その様子を見た翼とマリアは焦燥感を募らせるが、これより先には進ませまいと刀の切っ先を向けるマンティスイレイザーが立ち塞がっているせいで前に進めず、立ち往生してしまう。

 

 

 そうしている間にもダスト達に連れ去れるファートムの背中がどんどん遠ざかっていき、一体どうすればいいのかと二人が焦りに駆られながらも必死に思案に暮れていると……

 

 

 

 

 

 

―……ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオッッ…………!!―

 

 

「「……っ?」」

 

 

『……うん?』

 

 

『なんだ……この音は……?』

 

 

 

 

 緊迫したこの状況下の中、不意に何処からともなく謎の不審な音が聞こえてきたのだ。

 

 

 まるで何かが飛来してくるような、そんな轟音を響かせながら近付いてくるその異質な音の正体を察する事が出来ず、マンティスイレイザーと翼達が思わず辺りを見回す中、彼等と同様に音の発生源を探していたfirstがふと空を見上げ、彼方から少しずつ近付いてくる謎の物体に気付く。

 

 

『アレは……』

 

 

「え…………ッ!あれは……!」

 

 

『……ミサイル、だと?』

 

 

 firstの呟きを聞き逃さず、マリアが彼の視線の先を追って空を見上げたのを見て翼とマンティスイレイザーも顔を上げると、ロンドンの街の上空を猛スピードで突っ切り、こちらに向かって空の向こうから赤い弾頭の一基の大型ミサイルが飛来してくる姿が見えたのだ。

 

 

 何故ミサイルが?とマンティスイレイザーが困惑を隠せない一方、翼とマリアにはそのミサイルに見覚えがあった。

 

 

「あのミサイル、確かクリスの……?」

 

 

「まさか……雪音か!」

 

 

『何?!』

 

 

 そう、遠方から飛来してくるそのミサイルは、翼とマリアが共に戦ってきたクリスが武器に、そして時に長距離間の移動や空中戦での足場としても使用するソレに酷似しているのだ。

 

 

 もしや本部からクリス、或いは他の装者達が救援に駆け付けてくれたのか。

 

 

 マリアと翼がそう予測する中、その間にも大型ミサイルは一同が入れ乱れる戦場の真上を猛スピードで通過すると同時にミサイルの上から人影らしき影が飛び降り、戦場に目掛けて急速に降下していく。

 

 

『ッ!何者か知らんが、これ以上邪魔者に増えられてたまるか……!奴が降り立つ前に迎え討てッ!』

 

 

『『グルァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』』

 

 

「ッ!待て!―ガギィイイイイッ!!―ぐぅっ?!」

 

 

「このっ……!邪魔よ!!」

 

 

 残ったダスト達を引き連れてミサイルから舞い降りた新たな敵を迎撃せんと指示を下すマンティスイレイザーを止めようとする翼とマリアだが、他のダスト達の妨害により思うように動けず足止めを喰らってしまう。

 

 

 一方でマンティスイレイザーの指示を受けたダスト達は一斉にミサイルから落下してきた敵を迎え撃つべく跳び上がり、それぞれが持つ鋭い爪を振るって乱入者を同時に仕留めに掛かる。が……

 

 

―……ジャキィッ!―

 

 

『──ふッ……!』

 

 

『……?!―ドゴォオオオオッ!!―ゴァアアッ?!』

 

 

 乱入者の右腕のパーツが稼働し、パイルバンカーとなった拳を振りかざして最初のダストの頭に打ち込み、バンカーが起動して炸裂し頭部を丸ごと綺麗に吹き飛ばしたのだ。

 

 

 更にそれだけに終わらず、乱入者は身動きが取れない空中でバンカーを打ち込んだ衝撃とダストが消し飛んだ爆風を利用して別のダストへ飛び掛かりながら続けてパーツを起動した左腕のバンカーを叩き込み、再度爆砕。

 

 

 其処から同様の動作を繰り返して次々にダスト達を撃退していき、ラストに両サイドから同時攻撃を仕掛けようとした二体のダストそれぞれに両腕を交差させた両拳を叩き込み、バンカーを作動して同時に撃破。瞬く間にダストの群れを全滅させたのである。

 

 

『な、なんだと?!』

 

 

 差し向けたダスト達を一瞬で撃破されたマンティスイレイザーが動揺する中、乱入者は連鎖爆発が立て続けに巻き起こる空からクルリと身を翻し、戦場のど真ん中に着地した瞬間、粉塵が勢いよく舞い上がってその姿を遮ってしまう。

 

 

 しかし、砂埃の向こうで橙色の装甲と、強風ではためく翼のようなマフラーが微かに見え、マリアと翼が目を見張る。

 

 

「あれはガングニール……?立花響なの?!」

 

 

「立花?……いや、アレは……?」

 

 

『……フッ……』

 

 

 見覚えのある色合いとマフラーから救援に駆け付けたのが響だと思い驚くマリアだが、その横に立つ翼は何か違和感を感じ訝しげな顔を浮かべ、静かに事の成り行きを傍観していたfirstは何かを察した様子で仮面の下で意味深に笑い、踵を返し、悠々とした足取りでその場を後にしていく。

 

 

 そして未だ粉塵が漂う向こう側で乱入者がユラリと身を起こす姿を微かに捉え、マンティスイレイザーが困惑と忌々しさの混じった声音で怒号を上げる。

 

 

『何だ貴様っ……一体何者だ!』

 

 

『───見て判らないのか……?』

 

 

「ッ!この声……男……?」

 

 

「(やはり……!だとすれば、まさか……!)」

 

 

 乱入者が発した聞き覚えのない男の声にマリアが戸惑う一方、翼は相手の正体に気付いて驚きの表情を浮かべ、やがて煙の中から現れた姿を目の当たりにして確信を得る。

 

 

 煙が晴れていくと共に徐々に姿を現したのは、滑らかさと刺々しさが溶け込むように両立した形状のオレンジ、白、黒の三色が入り交じったボディと、両肩の肩甲骨部から生えた橙色に輝く二翼の光のマフラー。

 

 

 金色に近い橙色の瞳でマンティスイレイザーをまっすぐに捉え、オレンジと白の仮面の戦士は冷淡な声音で告げる。

 

 

『御覧の通り───お前達の……敵だ……!』

 

 

 純白と橙色の右腕で煙を払い除け、完全にその姿を現したのは仮面ライダークロス・タイプガングニール。

 

 

 二日前、飛行機墜落事故以来消息不明だった、黒月蓮夜その人の姿であった───。

 

 

 

 

 

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