戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~   作:風人Ⅱ

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皆様お久しぶりです!更新が遅れて申し訳ございません。
仕事の方が漸く少し落ち着きを取り戻してきたので、何とか執筆活動に戻ってこられました(苦笑
今回の話も大分長くなりそうなので、分割して更新していきたいと思います








風鳴翼&マリア・カデンツァヴナ・イヴ編(前編)
第九章/運命ノ少女×破壊者†on the load③(前)


 

 

───イレイザーと錬金術師の技術を組み合わせ生み出されたと名乗るホムンクルスの少女、ファートムを巡り、マンティスイレイザーやマスクドライダーfirstと激闘を繰り広げるも苦戦を強いられていた翼とマリア。

 

 

 其処へ飛行機墜落事故から今まで消息不明となっていた黒月蓮夜ことクロスの思わぬ参戦により、マンティスイレイザー等を退ける事に何とか成功。

 

 

 しかし戦闘直後、墜落事故で負った重傷の身のまま戦った事で傷が更に悪化し、蓮夜は意識不明に陥って一時は命の危機に瀕してしまうも、ファートムの謎の力による治癒能力のおかげで一先ずは一命を取り留めた。

 

 

 その後、マリアの連絡により駆け付けた救急車で病院へ急ぎ搬送され、緊急手術。

 

 

 数時間の手術の末にそのまま入院となった後、翼とマリアは状況が落ち着いた頃合いを見て本部に連絡する為に蓮夜が眠る病室にファートムを残し、一度病院前の玄関先に出て日が完全に沈んだ夜の下、専用端末からこれまで起こった出来事を本部の弦十郎、そして蓮夜の捜索に参加していた響達に報告を済ませていた。

 

 

『──それじゃあ、蓮夜さんは無事だったんですね……!』

 

 

「ああ。とは言え、かなりの傷を負っていて一時は危ない状態だった」

 

 

「しかも医師の話によると、墜落した飛行機の破片とかが体中に突き刺さってたらしくてね。そんな状態で無理を押して戦ったのが祟って傷が更に悪化して……さっき話したファートムって子の治癒能力がなければ、今頃どうなっていたやら……」

 

 

『っ……あの馬鹿ならやりそうだなぁ、ったく……!』

 

 

『でも、無事に生きててくれて良かったデスよぅ……!』

 

 

『うん……ホントに良かった……』

 

 

 またも無茶をした蓮夜に激しく憤るクリスの横で、切歌が思わず涙ぐみ、調も胸を撫で下ろして心からの安堵を浮かべている。

 

 

 そんな彼女達の反応に、翼の横から端末の画面を覗き込むマリアが訝しげに首を傾げた。

 

 

「もしかしてと思うけど、彼のこういった無茶な行動は過去に何度もあったりするの……?」

 

 

『"何度"も、なんて生易しい話じゃないデスよ!』

 

 

『以前にも、皆の中の私に関する記憶が改竄された事件じゃ上級イレイザーとの戦いで骨にヒビが入ったり重度の火傷を負ったり、クリスちゃんと一緒に別の世界に跳ばされた事件でも同じような目に遭ったり、調ちゃんと切歌ちゃんが関わった事件でも死ぬような怪我をしても、それでも戦ったりして……しかもどれも私達を庇ったりして出来たもので、自分の体の事とか全然顧みたりしないから余計に悩みの種になってて……』

 

 

『そんな感じに戦いで無茶は勿論、全然関係ねーとこで無駄に怪我はするわ、トラブルを起こすわで……あの不器男に関しては最早日常レベルに過ぎんだよっ』

 

 

『無茶な事はもうしないって、前に約束したのに……今度という今度はもう、絶対にお説教しないと気が済まない……』

 

 

(……し、調が此処まで分かりやすく怒りを見せるなんて……それだけ相当な事をやってきてたのね、彼……)

 

 

 響達がこれまでの蓮夜の無茶を思い返して揃って頭を抱える中、グッと拳を固く握り締め、怒りのオーラを漂わせているのが画面越しに伝わるほど分かる調の珍しい憤りっぷりにマリアも若干気圧され冷や汗を流すと、そんな彼女の隣に立つ翼が溜め息混じりに納得するように頷く。

 

 

「成る程、ようするに普段の立花から更に酷くさせたような人柄という訳か……それならば皆の苦労も頷けるな……」

 

 

『……え?つ、翼さん?其処で私を引き合いに出されると、何か、私も立つ瀬がないかなーってっ……』

 

 

『元々お前にそんなもんある訳ねーだろ、バカ』

 

 

『ひ、酷い?!というかクリスちゃんだって人の事言えないよね?!前の事件の時、まだ蓮夜さんから『記号』の力を貰ってなかった時なんて一人で無茶して上級イレイザーに挑んだりとかしてたし!』

 

 

『あ、あん時は不器男と色々と行き違いがあったからそうなったってだけだ!その後はその、な、なんつーか……!』

 

 

 蓮夜の安否を知れた事で緊張が解れたからか、いつもの調子でガヤガヤし出した響達のやり取りを背に弦十郎もヤレヤレと肩を竦めると、翼とマリアに目を向けて話の続きを語る。

 

 

『それで、そちらで保護したという例のホムンクルスの少女……ファートム君からは、何か他に情報を聞き出せたのか?』

 

 

「いえ、それについては「彼が意識を取り戻してから話す」との一点張りで……」

 

 

「というか、取り付く島もない感じなのよね、あの子……初めて出会った時も人と関わろうとするのを避けたり、触られると尋常でないぐらい反発したりとか……あまり信用されてる感じがしないわ」

 

 

『……その少女が本当にイレイザーと錬金術の技術によって産み出されたのだとするなら、奴らにそれ相応の目論見があるのだと考えるのが妥当だ。その為に彼女を利用する事を視野に入れているのだとすれば、奴らの元にいてまともな仕打ちを受けていたハズもない……。その結果がお前達の言うように人を避け、人に触れられるのを極端なまでに拒否しているのだとしたら……』

 

 

「……彼女のあの様相の原因は、イレイザーやそれに与していた錬金術師達の仕業によるものかもしれない、と」

 

 

「『……!』」

 

 

 重々しい雰囲気の弦十郎と翼のやり取りを耳に、マリアと響達が衝撃を受けたようにハッと息を呑み、弦十郎も翼の推察に対して無言で頷き返す。

 

 

『とは言え、これも彼女本人の口から直接事情を聞き出すまでは推測の域を出ない。蓮夜君が目覚め次第、二人もそのファートム君から可能な限り話を聞いてみてくれ』

 

 

「分かりました。……それから逃亡したイレイザーとfirstの足取りについては、現在緒川さんが追っている最中です。そちらも情報を掴み次第、追ってこちらより連絡します」

 

 

『ああ、頼む。蓮夜君の安否が確認出来た以上、我々本部もこのままこの海域を発って日本へ戻る予定だ。……本当ならこちらからもあと一人くらい増援を送れれば良かったんだが、日本に残っているであろう上級イレイザーやヴィーヴル達が大人しくしていてくれる保証がない現状では、下手に戦力を分散するのも難しくてな……』

 

 

「気にしないで頂戴。元よりこの件には私達だけで挑むつもりだったのだし。散々向こうには煮え湯を呑まされてきたのだから、リベンジの機会を得られて寧ろ好都合よ」

 

 

 心做しか申し訳なさそうな弦十郎に対し、強気な口調からイレイザー達に対する意気込みを口にするマリアの隣で、彼女の意見に同意するように翼も神妙な表情で頷く。

 

 

 そんな二人の毅然とした様子から弦十郎も要らぬ杞憂だったかと苦笑した後、一先ずはヴィーヴル本人の口から詳しい情報を聞き出す為にも蓮夜の回復を待つ方針に結論を固めて日本に戻る準備を進めるべく通信を切り上げようとした所、マリアが其処で先程から気になっていたある疑問を訝しげに口にする。

 

 

「ところで、エルフナインは?今回の件に錬金術やホムンクルスが関わっているから、あの子の意見も聞いておきたいと思ったのだけど……」

 

 

『ああ、エルフナイン君は今席を外していてな……。少々重要な案件を急に抱える事になった為、今はそちらの調査を進めてもらっている所だ』

 

 

「重要な案件……?」

 

 

 翼が怪訝に聞き返すと、画面の向こうの響達が不思議そうにお互いの顔を見合わせている。

 

 

 その反応からしてどうやら彼女達も今の件について初耳だったようだが、弦十郎は構わず話を続けていく。

 

 

『それについてはエルフナイン君の調査が進み次第、皆にも改めて説明する予定だ。今はともかく、敵の目的や勢力の規模が分からない以上警戒を怠らないでくれ。翼、マリア君。ロンドンに滞在してる間、蓮夜君とファートム君の事を頼んだぞ』

 

 

『本当に、ほんっとー!にお願いしますね!二人とも!』

 

 

『ぜってぇー目を離さないでてくれよ?ほっとくとマジで何処までも無茶しがるからなアイツ!』

 

 

『ついでに、目を覚ましたらアタシ達にもソッコー連絡するように伝えといて欲しいデス!』

 

 

『お説教2時間コース……場合によっては延長もアリ』

 

 

「え……ええ、了解したわ……けど、ほどほどにねっ?」

 

 

 最後に何度も念を押してくる響達からの圧力に圧倒されつつも頷き、マリアは本部との通話を終えながら静かに溜め息を吐く。

 

 

「何だか色々と大変な事になってきたわね……錬金術やイレイザーに加えて、まさか今度はその二つの勢力が結託してホムンクルスを生み出してたなんて……」

 

 

「そうだな……だが逆に言えば、手掛かりらしい手掛かりを得られなかった今までと違い、漸く敵の尾の先を掴み、僅かにでも前進したとも言える。黒月蓮夜も見付かった今、敵の目論見を打壊するには今がまたとない機会だ」

 

 

「……確かにね。当面の問題だったイレイザーへの対策も一先ずは心配せずに済むし、そういう意味では前向きに捉えた方が建設的かもね」

 

 

 まだ完全に安心出来る状況ではないものの、それでも蓮夜の生存やイレイザー達の目的を知る手掛かりとなるファートムを保護した事で、少なからず光明が見えてきた事に安堵の表情を浮かべるマリア。

 

 

 そんな彼女に釣られるように翼もフッと小さく微笑み、病院の建物を徐に見上げていく。

 

 

「取り敢えず、私達もそろそろ病室へ戻ろう。彼が動ける状態でない今、奴等がいつ襲撃を仕掛けてきても対応出来るように厳戒態勢を取っておかねば」

 

 

「そうね……あの子達からも目を離さないようにと何度も釘を刺された事だし、私達がしっかり守ってあげないと」

 

 

 先程までの響達との会話を思い出しながら呟きつつ、翼とマリアもヴィーヴルの待つ蓮夜が眠る病室へ戻るべく歩き出した。

 

 

 

 

 

 

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