我、死二場所ヲ探s...あ、兎ちゃん   作:IS提督

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「頼む......。そのまま立ち去ってくれ......。」

 そういって泥と草むらの下で、うつ伏せの状態で照門と照星からボルト式ライフルを構えている私の友達が呟いた。

 私は気配を最大限に殺し、彼の隣で彼が見てる方向に目を向ける。

 目線の先には、私たちと同じ様な背格好をした13歳~15歳ほどの少女が、泣き叫びながら目の前で赤い鮮血をまき散らした初老の男の前で立っていた。

 少女の泣き叫び声はすさまじく、我々がいる場所から100メートルは離れているはずだが、鮮明に耳に入ってくる。

 少女がしゃがみ込み、もう動かない男の体を激しくゆすっているが、次第に近くに落ちている銃に目を落とす。

 彼は息をを一瞬吸ったかと思うとそのまま呼吸を止め、引き金に指を掛けた方の左手を、小指から順に再度握りなおす。

 緊張が私を支配する。

 少女が銃を拾い上げ、あたり周辺に見当もつけずに銃を撃つ。

 その瞬間、私の隣から1発分の銃声が響く。

 少女の体は地面に倒れ、二度と動く事はないだろう。

 私の隣の彼は「ふぅ」と一息入れると同時に照準から目を離し、顔を地面につける。

 昨夜の雨で水が掃けていない土が、彼の熱くなった顔の熱を取るり、冷たい感触が彼を現実に戻らせる。

 再び彼が照準器を覗き込むと、少女の母親らしき初老の女性が、倒れた少女の体を抱える様にして泣き叫んでいた。

 結末は少女と変わらず、数分の後にもう一発の銃声が私の隣から鳴り響いた。

 「なぁ......。私たちは......。」

 その日の帰り道、私は無言では居られず隣の彼に言葉を掛けようとした。

 私たちは1日で多くの敵を倒した高揚感とも違う「自身の行動に何かしらの正当性があり、間違いはなかった」と己に言い聞かせる様に、自然と高まる気持ちの高揚感を胸に帰路についていた。

「誰がなんと言おうと、自分の行動は正しかった」

 自分に言い聞かせるように彼が言葉を紡ぐ

「男女なんで別にどうでも良い。 同じくらいの人を撃つことは、敵だとしても故郷の同級生たちを撃つ様な感覚がして嫌だ。 でも、それよりも、自分は、自分の仲間が、友達が、自分を慕ってくれる後輩や、面倒を見てくれる先輩や上官がやられるよりはずっとマシだ。 彼女らを感情にしたがって撃たなかった時は、きっと自分達の仲間を撃つだろう。」

 そういうと彼は、私の方を向き、力強く言う。

「彼女らには申し訳ないが、自分は自分の行った事は正しいとしか思わない。」

 彼は背中に背負っている銃の位置をジャンプするように調整し、再び歩き出した。

架空図書「英雄の友達」より引用


13話

「ついたぞ。これからの流れは道中話した通りだから、よろしく頼むぞ」

 

 バイクのエンジンを切りながら運転していた男が言った。

 

 田中はその言葉を聞きながら、男の肩から手を離し、少し離れた所に見知った顔が多くいる箇所を横目に、バイクから下りる。

 

「了解。ありがとな。......、にしても、急発進されてバイクから振り落とされるとは思わなかったわ」

 

「うるせーな。ここまで乗っけてきたんだから、何か言うことがあるんじゃない?」

 

 若干、小馬鹿にしたように男言うと同時に、見知った顔ぶれの中から1人の小さな少女がバイクに近づいて来た事を男は認識し、さらに口元をゆがませた。

 

「送迎ありがとうございました。鈴木少尉殿」

 

「あれぇ? 違うだろ? 帰還する前に俺達で感謝や謝罪をする際のルールを決めただろ? え?」

 

「お前はなぁ......、漬け込むスキがあればすぐにコレだ」

 

 ニヤニヤニヤと笑う鈴木を見ながら、田中は心底呆れたように呟いた。

 

「ニャニャ?! 鈴木少尉殿! 送迎してくれてありがとニャ! またお願いしたいニャ!」

 

 目の前で文字通り、腹を抱えて笑っている男を眼下に田中は明るくなった空を見上げる。

 

 恥ずかしさが田中を支配するが、発した言葉に恥ずかしがった仕草を見せると目の前の男はさらに大笑いし、もう一度言いなおさせられる事になるし、ここはあえて堂々と言葉を発した方が、一周回って傷口が小さくなると考えた田中は、その後も堂々とした姿で仁王立ちをしていた。

 

「田中准......、少尉! エット......、あの......。」

 

 近づいてきた小さな少女が、未確認生物を見たかの様な若干怯えが混ざった反応をする。

 

 田中はグルリと辺りを見回すと、見知った顔の大半が腹を抱えて笑っている。

 

 咳払いをし、近づいてきた少女に敬礼、返礼を互いに行った後に用事を聞く。

 

「はい! 第4456小隊 32名! および、第4457小隊 30名! 全員現着しています!」

 

「報告ありがとう。」

 

 そういうと同時に田中は、周りを見渡した際に目についた人がいない箇所に向かって歩き出す。

 

「そういえば新田上等兵の所属は?」

 

 新田上等兵と呼ばれた小さな少女の胸元に縫い付けられた階級章を確認し、田中の移動についてくるように横に並んだ少女に問いかける。

 

「はい! 私の所属は田中少尉が指揮する第4457小隊です!」

 

 元気な返答をする少女に改めて、田中は彼女の方を向いた。

 

 外見的にはおよそ中学1年から3年の間ぐらいの年齢に、身長が140あるかどうかの小柄な女の子で、髪型は彼の記憶にある物よりも少し伸びている。

 目は大きくクリッとしていて、整っている。全体的にボーイッシュでハキハキと元気が良い印象を、見る人に与える少女である。

 

「そうか......、また君と一緒の小隊でうれしいよ。これからもよろしく頼むね」

 

「はい! 私も田中さんと一緒に居られてうれしいです!」

 

 そういうと彼女は、歩を速めると田中の目の前に出ると、歩く速度を落とし、彼の前で嬉しそうに鼻歌を歌いながら歩く。

 

「横っ腹はもう大丈夫かい?」

 

「はい。田中さんのおかげで、大丈夫です。治りました。」

 

 そう言いながら新田は右腹をさすりながら振り返り後ろ歩きをしながら進んでいく。

 

「鈴木少尉! そろそろ出るぞ!」

 

 腕時計を確認した田中は出発時間が迫っていることを確認し、大きな声を上げる。

 

「田中さん、これ付けてください」

 

 そういうと、新田がいつの間にか手にしていた、軍刀付きのベルトを田中に渡す。

 

「お! ありがとう」

 

 田中は、受け取ったものをマジマジと見た後、それを腰に巻き付けた。

 

 それは歴史の教科書で見たことがある旧日本軍の士官が付けていた軍刀と同じ形をした日本刀であった。

 

 田中が軍刀を身に着け顔を上げると、こちらもいつの間にか先ほどまで各々自由にしていた兵士達が田中の後ろで横に4列で整列をして待機していた。

 

 田中は、兵士達の方を向き、姿勢を整えると同時に鈴木も彼の隣に立ち、兵士達と向き合う。

 

「総員、傾注!」

 

 田中が発した言葉により辺り一帯の空気がピリ付き、すべての兵士の視線が、彼の号令と同時に一歩前に出た鈴木に向けられる。

 

「これより我々は、我々と共に過ごし、共に飯を食い、共に笑い合い、共に苦しみ合い、共に泣き、共に帰ってこれなかった戦友たちを家族の元に返しに行く」

 

 そこまで言うと、鈴木は一歩下がり、田中に目線で「ここからはお前が喋れ」と言い、鈴木自身は動こうとしない。

 

 田中は一歩前に出るが、ここでしゃべることを予想していなかったため、何を言えば良いかまったくわからなかったが、戦友達にたいして、心の内を言うことにした。

 

「はっきり言って、私はこの様な事はしたくなかった。それは君たちも同じ思いだと思う。それはきっと遠くの別地域の人達も同じだと思う。我々は常に一緒に過ごした。戦場に行く前夜に不安で眠れなかった事、戦場についてからも今後の行く末が解らず泣いたこと。」

 

 そこまで田中は言うと「ふぅ」と一呼吸おいて続ける。

 

「私達はあの場所で、知り合いや友人を超えて、家族と呼んでも過言ではないと思っている。しかし、我々はどこまでも一緒にいることはできななかった。」

 

 そこまで言うと田中なの口が止まる。

 

「......、我々の戦友を見送ろう。彼らが夢見た場所に連れて行こう。最後に、もし、泣きたくなったのであれば、涙を堪えずに感情のままに泣いてほしい。彼らは泣くよりも笑ってほしいかもしれないが、今日が彼らと近くにいる最後の日である。今日くらいは我々の思いを優先させてもらおう。以上!」

 

 辺りはシンっと静まり返っており、誰もが言葉を発さずに直立で立っていた。

 

 田中は声を発すると同時に一歩下がり、入れ替わるように鈴木が一歩前に出る。

 

「これより第4456小隊および第4457小隊は別々に目的地に向かう。第44556小隊は私に、第4457小隊は田中少尉の指揮のもと出発する。解散!」

 

 鈴木の号令により一同は一斉に小銃を担ぎ、回れ右をした。

 

 鈴木と田中もそれに合わせる様に姿勢を整えて整列している隊に加わった。




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