我、死二場所ヲ探s...あ、兎ちゃん   作:IS提督

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第二話

第二話

 

カランカラン

 

???「ヒッ!?」

 

???「...い、いらっしゃいませ

...何名様で、でしょうか?」

 

「1人です」

 

ココア「もー!冗談キツいよ!

2名でお願いします!」

 

「ハァ、」

 

気を取り直して店内を隅々まで見渡す

....

...

..

.

アレ? 兎は?

 

ココア「兎~!兎~!」

 

???「...こ、此方の席にどうぞ」

 

「...?」

 

何故かビクついた店員に席を紹介され 席に付く

 

ココア「田中君!兎が居ないよ!」

 

「ハァ、見れば分かる

早く席に付け 店員さんが困ってる」

 

そう言いココアを席に付かせる

 

「何で同じ席?」

 

ココア「友達だったら当たり前でしょ?」

 

「あ、そう」

ーーーーーーーーーーーー

 

「ハァ...」

 

ココア「元気無いよ どうしたの?」

 

「兎が居ない...」

 

ココア「私よりショックを受けてる...」

 

???「...いらっしゃいませ

お、お待たせしました メニュー表です」

 

「有難うございます」

 

店員からメニュー表を受け取り 2部ある内の1部をココアに渡す

 

ココア「有難う~」

 

ココア「...う~んどれにしようかな~」

 

...コーヒーってこんなに種類があったっけ?

 

ココア「...アレ?もじゃもじゃ?」

 

そう言うとココアは店員の頭に乗っかって居る物体を指さした

 

???「コレですか? コレは兎のティッピーです」

 

「...」ピクッ

 

兎!?

 

ココア「じゃぁ、その兎!」

 

???「非売品です」

 

ココア「ヴェェァ!

....じゃぁ、せめてモフモフさせて...」

 

???「....コーヒー1杯で1回です」

 

「...」ピクピク

 

コーヒー1杯で1回か...

良いサービスだな

俺にもそのサービスを適用してもらうか

 

ココア「じゃぁ、3杯!」

 

「...あの、店員さん」

 

???「は、ハイ..,

な、なんでしょうか?」

 

「私にも そのサービスを提供して貰っても良いですか?」

 

???「へ?」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

店員がカウンターに入ってから数分 ココアは 兎が待ち遠しいのかウズウズしていた

 

さて、そろそろ書類を渡すか…

 

早いうちが良いと思いカバンの中から茶封筒を取り出し立ち上がる

 

ココア「あれ?何処か行くの?」

 

「...」

 

ココアが声を掛けてきたが ソレに反応せずにカウンターに行き声を掛ける

 

「あの...」

 

???「ヒィッ!!」

 

「....」

 

???「な、何か用でしょうか?」

 

「今日から此処でお世話になる 田中です」

 

そう言い 胸ポケットから自己証明書である手帳を取り出し店員に渡した

 

???「ち、父から話はきいて居ます」

 

「...父 、という事は貴女は娘の『香風智乃』さん?」

 

チノ「はい...苗字呼びだと父と被るので 私の事は チ、チノと呼んでください」

 

「では、チノさん

御迷惑を掛けると思いますが、宜しくお願いします」

 

チノ「こちらこそお願いします...」

 

「早速で悪いのですが ご主人は何処に居るか教えて貰っても良いですか?」

 

チノ「ち、父は、今 急用で居ません...」

 

「...いつ頃に帰って来るか分かりますか?」

 

チノ「よ、夜になると思います...」

 

「...そうですか

わかりました」

ーーーーーーーーーーーー

ココア「田中君 ちゃんと渡し物を渡さないと駄目だよ」

 

「...」

 

ココア「駄目だよ?」

 

「...渡す相手が不在ならしょうが無いだろ...」

 

ココア「そっか、それは残念だね」

 

「まぁ、今日中に帰って来るから 問題ない」

 

チノ「お待たせしました

まずこちらのコーヒーが k...」

 

ココア「待って!」

 

チノ「?」

 

ココア「コーヒーの種類を当てるヤツやりたい!」

 

チノ「利きコーヒーですか?」

 

「できるのか?」

 

ココア「こう見えて私、パンの違いを見極める事が出来るんだよ!」

 

「コーヒーとパンじゃ、大違いもいい所だろ...」

 

ココア「じゃぁ、行くよ」

 

そう言いココアは目の前に置かれたカップを持ち、コーヒーを飲む

 

ココア「この味!コレがブルーマウンテンか~」

 

チノ「コロンビアです」

 

...イキナリ外してんじゃん

 

そう言いながら2杯目のカップに口を付ける

 

ココア「この酸味!キリマンジャロだね!」

 

チノ「それが ブルーマウンテンです...」

 

ココア「えぇと、コレが最後だね」

 

「....」

 

ココア「安心する~

コレ、インスタント...チノ「ウチのオリジナルブレンドです!」..アレ?」

 

「...イヤ、インスタントは無いわ」

 

ココア「....

で、でも 全部美味しい

だよね!田中君!」

 

涙ぐましいな...

 

そう思いながら 出されたコーヒーを飲む

 

「...今まで飲んできたコーヒーの中で1番美味い」

 

ココア「だよね!だよね!」

 

「...何でこんなに美味いコーヒーをインスタントと間違えるのか....訳が解らない」

 

ココア「あぅ!

そ、それよりも 3回モフモフする権利を手に入れたよ!」

 

チノ「...じゃぁ、どうぞ…」

 

不満気な声を出しながらもチノはココアにうさぎを渡す

 

ココア「有難う~

わぁ~!

モフモフ~!」

 

「....」

 

???『ノォ゛ーー!!』

 

「ん?」

 

ココア「アレ? 今、この子(兎)に拒絶された様な...」

 

チノ「気の所為です」

 

「....」

 

ココア「気の所為なのかなぁ..

それにしてもこの感触は癖になるなぁ」

 

チノ「あの、返してください…」

 

ココア「モフモフ~」

 

???『えぇい!!

早く離さんか!

この小娘が!!』

 

ココア「何かこの子にダンディな声で拒絶されたんだけど!?」

 

チノ「私の腹話術です...」

 

ココア「え?!」

 

チノ「早く、コーヒー飲んでください...」

 

...イヤイヤ 騙されんなよ…

 

明らかに声が出ていた音源は君が抱えてる兎だからね…

 

...まぁ、コイツ(ココア)だし 気付かなくても不思議じゃ無いわな

 

ココア「?田中君 どうしたの?」

 

「...イヤ、別に...」

 

ココア「兎..いる?」

 

「ん?あぁ、有難う

...良いですか?」

 

チノ「ど、どうぞ…」

 

ココアに礼を言い、チノにも許可を貰った所で 左手をココアに伸ばす

 

ココア「田中君 離すよ」

 

「あぁ、頼む」

 

兎を手に乗せ上手くバランスを取りながら 自分の太腿に兎を乗せる

 

「こりゃ、癒されるわ...」

 

ココア「でしょ!でしょ!」

 

「...何でアンタが自慢気なんだよ...」

 

ココア「えへへ~」

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

ココア「私、春からこの街の学校に通う事になったの」

 

チノ「はぁ...」

 

ココア「でも、下宿先を探してたら迷子になっちゃって」

 

チノ「下宿先?」

 

ココア「田中君の用事のついでに休憩しながら道を聞こうと思って」

 

ココア「『香風』さんって知ってる?

ここら辺のハズなんだけれど…」

 

「...え?」

 

ココア「え?」

 

チノ「香風は此処です

もう1人は 貴女ですね」

 

「...、

..マジで?」

 

ココア「アレ?もう1人って?」

 

「...俺も今日から此処で世話になるんだけれど」

 

ココア「えぇぇぇ!!?」

 

ココア「田中君の用事って私と同じだったの!?」

 

「...マジかよ」

 

コイツと一緒とか...先が思いやられるわ…

 

ココア「2人との出逢いは偶然を通り越して、奇跡だよ!!!」

 

チノ「私はチノです

...どうぞよろしくお願いします」

 

ココア「私はココアだよ

宜しくね!チノちゃん!」

 

チノ「宜しくです」

 

ココア「それで 早速なんだけれど

通う高校の方針で お世話になる家庭に御奉仕しなきゃなんだけれど…」

 

チノ「ウチで働くって事ですね」

 

ココア「そうそう!」

 

チノ「と言っても、家事は私1人でなんとかなってますし、お店の方も人手が足りてますので

何もしなくて結構です」

 

ココア「イキナリ要らない子宣言されちゃった...」

 

ココア「とりあえず、マスターさんに御挨拶したいんだけれど…」

 

チノ「...祖父は去年...」

 

ココア「そっか...今はチノちゃん1人で切り盛りしてるんだね…」

 

チノ「いえ、父も居ますし

バイトの子も...」

 

ココア「チノちゃん!」

 

そう言うとココアはチノに抱き着く

 

ココア「私を姉だと思って何でも言って!」

 

チノ「ぁ...」

 

ココア「だから、お姉ちゃんって呼んで」

 

...お前の場合、そっちがメインだろ

目がイキイキとしてるぞ…

 

チノ「じゃぁ、ココアさん...」

 

ココア「お姉ちゃんって呼んで!」

 

チノ「ココアさん」

 

ココア「お姉ちゃんって呼んで!」

 

チノ「ココアさん、早速働いて下さい」

 

ココア「任せて」

 

...ちょろ過ぎないか?

ーーーーーーーーーーーー

チノ「あ、あの田中さん...」

 

「...何ですか?」

 

チノ「今から、ココアさんを着衣室に連れて行くので ティッピーを預かって貰えません..か?」

 

「えぇ、全然問題無いですよ」

 

チノ「あ、有難うございます」

 

そう言い チノはティッピーをテーブルの上に置きココアを連れて2階へと上がって行った

 

「...」

 

「単刀直入に聞く」

 

ティッピー「」

 

「なぁ、ティッピー

...アンタ、喋れるだろ?」

 

ティッピー「」

 

「今、此処に俺達しか居ないし 俺はこう見えても『軍人』だから 口は固い」

 

ティッピー「」

 

「...まぁ、確かに今日初めて会った人間を信用するのは難しい事だけれどもな」

 

ティッピー「」

 

「もし、アンタの気が変わって何かを話す事があったら そん時は遠慮せずに話して欲しい」

 

ティッピー「」

 

「隠しているのは、結構辛い事だ」

 

ティッピー「」

 

相変わらず喋らないティッピーを横目にコーヒーを啜る

 

ドタッ!!バタッ!!

 

ココア「~!~~!」

 

???「~~~!!」

 

「...何か2階が五月蝿くないか?

ってか 揉めてる?」

 

ティッピー「」

 

「...申し訳無いんだが アンタは此処で待ってて貰えるか?

店番の意味も含めて」

 

ティッピー「」

 

「必要ないと思うけど 揉めてるって事は 用心しないとな...」

 

そう呟きスタッフオンリーと書かれたドアを開け階段を登った

 

 

 


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