放浪騎士   作:赤い月の魔物

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…だが、まあ、そろそろ潮時かもしれないな

何より俺は、もうお前との約束を守れそうにない

そんなのは嫌なんだよ






Goblin Slayer&Ashen One
第24話 ナイト・リターン


―――――――――ッ!!

 

低く地鳴りを思わせる雄叫びが空気を震わせる。太めの樹木ほどもある四つの足を踏みしめ只人(ヒューム)など比較にもならないほど遥かに巨大な体格を持ち長い首をもたげたそれは多くの物語に付き物である(ドラゴン)そのものだ。祈らぬ者の中でも強大な存在であるそれは真紅の鱗を全身に纏い空を覆い尽くさんとする程の翼を持っていた。一般的に冒険者が太刀打ち出来る竜というのは若火竜(ヤングレッドドラゴン)と言われる幾ばくかの年を経た竜である。それでも危険な事は変わりないし熟練の優秀な冒険者の一党(パーティ)でも苦戦はするだろう。しかしこの竜は最早数年幾ばくと言った生温い年月では語れない程の時を過ごした竜だった。普通ならば例え歴戦の冒険者でも出くわせば撤退をするであろう状況で『彼』は立っていた。

 

軽量化の為に削られた兜に手甲。闇に溶け込む色合いの隠密性と最低限の防御力を両立した皮鎧。そしてその上に纏う黒い外套。

 

名を「放浪騎士」

 

今や王都の「金等級」の冒険者であり、その活躍は都の吟遊詩人がこぞって歌にするくらいには有名になっていた。

 

ある時は悪魔の群れを青き光で薙ぎ払い攫われた令嬢を助け出したと。

 

またある時はトロルの群れを燃え盛る業火で焼き払ったと。

 

またある時は太陽の如き輝きを放つ雷で竜を屠ったと。

 

彼の活躍、その歌は一貫性が無くしかし全てが真実故に多くの民衆に好まれた。夢見る少年少女にその歌は大いに受け入れられたのである。

 

「竜狩りもいい加減飽きたものだ…かの鷹の目のような芸当が出来ればあるいは・・・」

 

唸り声を鳴らす竜を前に彼は一人呟く。左手には布で作られた触媒(タリスマン)を右手には巨大な雷の力を宿した溶鉄の大斧(竜狩りの大斧)を持ち相対する。

 

「…潮時か。此方での活動も」

 

 

 

 

 

山の頂きに激しい雷が落ちた。

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

山脈に住み着いた強大な竜(古の竜)に《雷の杭》を突き立て、葬ってから王都のギルドへとすぐに帰還した。本来なら何日も掛かる道のりを帰り道だけでも一瞬で済むようになったのは国王陛下の計らいだった。此方で金等級としての活動を始めてすぐに城への招集を受けた際に取引をしたのだ。

 

彼方が出す依頼をギルドに通し優先して請ける代わりに此方での専用の活動拠点と()()()()()()()()()()()の情報があればすぐにでも伝えろというものだ。

 

そんな王宮の懐刀じみた事を続けてはや五年が経ったわけだが肝心のデーモンの情報はなかった。ならば少しでも奇妙な事や、変わった事はないかと情報の趣向を変えてみるもどれもこれも見当外れなものばかりだった。決して国王が約束を違えている訳ではない。むしろ統治者としての責務に追われながらもどんなに小さく些細な情報でも報告をしてくれるあたり彼の誠実さや責任感の強さは伝わっているし実際に王の口から話を聞いたときには心底申し訳なさそうにしていたのは記憶に新しい。

 

だが、それ故に…こちらで冒険者として活動を続けていて()()()()()()()()()()()()と全くと言っていいほど出会わなかったことがある種の確信を持たせた。

 

ここには探し求める物はない。王都周辺から付近で発見された遺跡や洞窟などあらゆる所へ探りに入ったが何の成果も得られなかった。

だがあの辺境の街では正体不明の騎士(おそらく積む者)や、デーモンの王子といった少なくとも俺の知っている奴等がいた。不死としての勘が自らをあの街へと引き寄せている気がしてならないのだ。実際自分にとって時間は味方だ。老いて死ぬことなどもはや叶わないのだから。

 

「報告だ。山脈に住み着いていた竜は討伐した。もうこれで人々が脅かされる事はないだろう」

 

「…流石です。伊達に五年も金等級(第二位)を背負っていないですね。あ、それと陛下から招集令が掛かってますよ」

 

「わかった。すぐに向かおう」

 

―聞いたか? またドラゴン単独討伐だとよ。

 

―はぁーっやっぱ世の中にはいるもんだねぇ…俺もあやかりたいもんだ。

 

―馬鹿言うんじゃねぇ俺らじゃついていけねぇよ。あいつが一日に何件依頼請けてっか知らねぇのか?

 

周囲から口々に自分の行動に対する評価が漏れる。さすがに五年も続けば慣れたものだが妙な気分だ。灰…不死という呪われた存在ならば疎まれ蔑まれるばかりだと思われていたがそうでもないようだった。実際何度か此方で組んだ冒険者達とは宴に同席させてもらったこともあったものだ。

 

一先ずは王城へ向かおう。まぁ何であれもうここを離れるつもりではあるのだが。

 

 

 

~~~

 

 

 

「陛下。招集に応じ馳せ参じました」

 

「ああ。・・・皆下がってくれ」

 

国王がそう言うと周囲の人間は謁見の間を後にする。少しして顔を上げ国王へと向けた。

 

「それで陛下。招集をしたのは・・・」

 

「ああ、だがここでは些か堅苦しい。場所を変えよう」

 

「・・・はっ」

 

玉座から立ち上がる国王の後に続く。・・・毎度の事ながら無用心な御仁だ。護衛の一人も付けないでこうして冒険者を従えるなど有り得ない事だ。いくら金等級だとて一介の冒険者だろうに・・・顔見知りだからと言って何故ここまで信を置くのかわからなかった。

 

王城の会議室にて二人は向かいあう。この光景を何も知らない人が見れば国王と冒険者が話し合っているなど誰も予想できないだろう。

 

「もう卿が王都に来て五年か・・・早いものだ」

 

「ええ、時が過ぎるのは早いものです。過去の事を思い起こせば尚更・・・」

 

「ああ、そんなに堅苦しくするな。立場を気にしなくていいように場所を移したのだからな」

 

「・・・私も初めて会った時は驚いたものだ。酒場で一度だけ口を聞いた冒険者がよもや国王になっているなど・・・」

 

「はははっ私もまさか卿だとは思わなかった。王城で対面した時に以前と寸分違わぬ見てくれであったからな。すぐに分かったよ」

 

「そうか・・・妹君は元気か?」

 

「相変わらずいつ飛び出すかハラハラしているがな。元気にしているよ」

 

それはまるで旧友と思い出話をするような気さくさを思わせる会話だった。・・・この場を赤毛の枢機卿達が見ればさぞ無礼者などと叫びだすのだろうな。

 

「昔話に花を咲かせるのもいいが本題に入らねばな。ようやく卿に報いる事ができそうなのだ」

 

「・・・と言うと?」

 

「これを」

 

そう言って国王は一枚の羊皮紙を取り出した。そこにはまるで岩の塊のようなデーモンが書き記されていた。

 

「・・・これは・・・」

 

「最近になってギルドから届いた物だ。西の辺境で見つかった廃遺跡で遭遇した悪魔(デーモン)だと。これは討伐されたそうだが最近になって西方で見たことの無い怪物の情報が散見しているそうだ」

 

「西方・・・」

 

己の見当違いであったのかやはり居るべき場所はあの辺境の街らしい。

 

「・・・感謝する。おかげで次の行動は決まった」

 

「やはり戻るのか?西の辺境へ」

 

「ああ、どちらにせよそろそろ戻ろうとは思っていたのだが」

 

「そうか・・・フッ。約束を違えずに済んだと思うべきか、卿が離れることを嘆くべきか?」

 

「どちらでも構うまい。俺がいずとも王都の冒険者は皆優秀だろうに」

 

「だが卿のような型破りはいなかった。単独で古竜の住処や悪魔の巣窟に乗り込むなど私とて御免こうむる」

 

「・・・真似をする者が出ない事を祈るばかりだな」

 

「まったくだ。・・・そういえばあの娘には会ったか?」

 

「娘?」

 

唐突に思い出したように国王が話題を切り替える。娘とは誰の事だろうか?

 

「覚えていないか?城塞都市で卿が連れ立った至高神の司祭の娘がいたであろう」

 

「・・・ああ、いたな」

 

あの至高神の女司祭の事だろう。一度組んだだけだが彼女(火防女)を思い起こさせるのも合って印象に残っている。そういえば彼女は今何をしているのだろうか?やはり冒険者を続けているのだろうか?

 

「・・・まさかあれから会っていないのか?」

 

「・・・・・・・・・ああ」

 

「卿・・・これは彼女も苦労しそうだ」

 

「どういう意味だ?」

 

「いや、な。彼女は今水の街にいる。機会があれば顔くらい見せに行ってやるといい」

 

「分かった」

 

話を終え立ち上がろうとして一つ思い出す。辺境へ戻るならこのまま帰るわけにはいかない。

 

「一つ頼みがある。・・・等級の意図的な降格は可能か?」

 

「む?どういう事だ?」

 

「それは――」

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

再びギルドへ戻り受付へ向かうが何やら揉めているようだった。こういった風景も大きな都やギルドだと珍しくもない。とは言っても最近は見なかったが・・・

 

「こんなにするのか?護衛にこんな払ったら赤字になっちまうよ」

 

「実績のある冒険者の方を雇うとなるとどうしてもこのくらいかかってしまいます。社会的に信用されている方ですし貴重ですので。それ以外ですと比較的経験の浅い人達にお願いすることになりますが・・・」

 

「うーん・・・積荷を新人に任せたくはないが・・・」

 

後ろで話に聞き耳を立てれば護衛の依頼か。どこかへ荷を下ろしにでも行くのだろう。そしてその報酬金の関係で話し合っていると。

 

あくまで個人の見解だが正直な話護衛の依頼は割に合っていない。というか報酬(リターン)は大きいがそれ以上に危険(リスク)が大きすぎるからだ。まず大前提として依頼主を守る必要がある。これは当然だがそれに加え今回の場合積荷を守る必要もあると来た。そして自らも死なないように立ち回なければいけない。勿論何事も起こらず目的地に辿り着くこともあるだろうが何が起こるか分からない以上常に最悪を想定しなければいけないだろう。冒険者達だってそれなりに準備をする必要があるし人数も必要になる。そうなれば更に費用は嵩むだろう。結果として費用を差っ引いて報酬を分配すれば比較的簡単な依頼(※ベテランの基準)を受けたときと同じになってしまう事も多い。更に言えば最悪なのは依頼を失敗した時だ。自身が死ぬのもマズいが積荷が守れなかったり依頼主や依頼対象を守れなかったりすれば冒険者としての信用が地に・・・とまでは行かないかもしれないが大きく落ちるだろう。そうすれば昇級にも響くだろうし何より周囲の評判が落ちる。故に余り人気が無いのだ。

 

「参ったな・・・しかし・・・」

 

・・・思いの外長引いているな。仕方ない、あまり得意ではないのだが・・・

 

「少しいいか?」

 

「ん?なんだあんた・・・」

 

「あ、騎士さん。戻られたんですね」

 

「ああ、話は聞いた。その護衛の依頼だが良ければ私が引き受けよう」

 

「え?」

 

「大丈夫なのか?見たところ腕に自信はありそうだが・・・」

 

「少なくともならず者に遅れは取らんと自負している。場所はどこなんだ?」

 

「水の街に積荷を下ろしに行くんだが今日取引先が遅れてな。出発が遅れたもんだから冒険者を雇おうって事になったんだが・・・」

 

チラチラと此方と受付を交互に見やる依頼主。つまりは実力を疑っているのだろう。それはそうだ。単独で護衛を引き受ける冒険者などいないだろうしいきなり現れた冒険者を信じろと言っても無理がある。しかし水の街に行くといったか。都合がいい。

 

「この方なら心配要らないと思いますよ。この方が依頼を失敗したことはありませんから」

 

「過度な期待はやめてくれ。後が怖い」

 

「こぞって詩人の方達に詠われる人が何を言ってるんですか」

 

「こぞって詠われる?それじゃあんた・・・」

 

「ええ、『放浪騎士』の詩なら最近じゃ誰もが聞いた事あると思いますよ」

 

「・・・そういう事らしい」

 

「頼もしいな。そういう事ならすまないが頼めるかい?」

 

「ああ、分かった」

 

「それで報酬の方は・・・」

 

「ああ、それなんだが。水の街に到着したらその足で辺境の街まで乗せていってはくれないだろうか?報酬はそれでいい」

 

「そりゃ俺としては願ってもない話だが・・・良いのかい?」

 

「ああ、ちょうど辺境の街へ向かう所だったからな。・・・これを」

 

そう言って受付に国王に頼んでもらった羊皮紙を渡す。それを見た受付嬢は目を丸くした。

 

「え?これって・・・」

 

「これを見せれば良いと言われた。頼む、()()をぶら下げて向こうに戻るのは・・・な」

 

「確かにそうですね。分かりました。少々お待ちくださいね」

 

そう言って受付嬢が奥に消えるのを見送ると依頼人に確認を取る。

 

「水の街へどのくらいで着く予定だ?」

 

「日が暮れる頃には到着出来るはずだ。あんたの条件で行くなら水の街で一泊して翌朝に辺境の街へ・・・ってとこだな」

 

「分かった」

 

実際辺境の街には螺旋の剣を刺した場所があるので破片を使えば即座に戻れるのだが・・・丁度いいというには大分リスキーだが落としどころとして使うなら十分だろう

 

「お待たせしました。こちらを」

 

戻ってきた受付嬢から()()()()()を受け取り首から掛けていた金の認識票を渡す。最初はこのまま戻っても良いかと思ったが等級の影響もバカには出来ないもので金等級がいる=金等級が関わるような案件もとい脅威が潜んでいると周囲にいらん心配を掛けない為の一種の保険のような物だった。悪く言うなら等級詐称である。

 

「ではお預かりしますね。・・・ご武運を」

 

「すまない、次がいつになるかは分からんが。では行こう」

 

依頼主を連れ立ってギルドを後にする。一党の皆や世話になった受付嬢は元気にしているだろうか?

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

「見事に何事も無かったな」

 

「ははは・・・まぁ何も無いのが一番なんだがね。だがいるのといないのとではいてくれた方が安心だし大きな違いだよ。あんたには割に合わない仕事だったかもしれないが・・・」

 

「構わんさ。都合が良かったから付いてきたようなものと考えてくれ」

 

「そう言って貰えると助かるよ」

 

何事も無く水の街まで到着して依頼主と共に水の街のギルドへ報告をする。何度か来た事はあったので報告自体は滞りなく終わった。こういう時に無駄に色んな所を駆け回った甲斐があったと思う。

 

「宿代はこっちで払わせてくれ。さすがに人として示しがつかなくなっちまうし護衛をしてくれた礼・・・にもならないけどな」

 

「いや十分だ。感謝する」

 

「少し早いが私は休ませてもらうよ。部屋の場所は受付で聞いてくれ」

 

「分かった」

 

そう言って依頼主はそのまま自分の部屋へと向かっていった。さてどうしたものか・・・

 

(特にすることも無いな・・・俺も部屋に―)

 

「ん?・・・貴様・・・」

 

「?」

 

唐突に声のする方へと顔を向ければそこにはシルクハットを被り顔には不敵な笑みが張り付いているコートを来た男がいた。壁にもたれ掛かるようにして立っており近くには大きなクロスボウが立てかけてあった。だがそれには見覚えがある。何故なら―

 

(スナイパークロス・・・!?いや、形が似ているだけのものか?だがあの形と意匠・・・)

 

間違いない。あれは自分が持つ物と同じカリムで用いられていたとされる物と同一の物だ。だが、何故・・・?

 

「もしや・・・私と同じか?気が付けば見知らぬ世界に一人立っていた・・・」

 

(!?)

 

間違いない。この男は自分と同じだ。あの呪われた世界から迷い込んだ者の一人だ。だが嘗て旅してきた場所にこのような男はいなかった。態度・・・というか腕を組んでいる立ち姿は銀仮面(薬指)の男と似ているが・・・

 

どうする?肯定するか否定するか。・・・長い旅で培われた直感が警報を鳴らしている。この男は悪人ではないかもしれないが決して善人ではない。敢えていうなら・・・酷く人間臭いのだ。それに迂闊に正体をバラせば何があるか分かったものではない。バレているかもしれないが少なくとも自分の口で肯定するのだけは避けるべきだ。

 

「・・・何の話をしているんだ?」

 

「・・・・・・ほう、そうか・・・。まぁいい忘れろ。同じ冒険者なのは変わりあるまい。お互い助けあっていこうじゃあないか」

 

・・・少し間があったが誤魔化せたか?声に震えなどは出ていないし表情も兜で見えていないはずだから大丈夫だと思いたいが・・・

 

「貴様、都でも有名な放浪騎士だろう?竜をも屠る高名な冒険者様がこの街になんの用だ?」

 

「ここには偶々立ち寄っただけに過ぎんよ。たまには一党を組んでいた仲間に顔を見せておこうと思ってな」

 

「ふん、仲間想いな事だ。竜を屠り悪魔を容易く狩る英雄様らしい。クックックッ」

 

「・・・そういう貴公は?一人か?」

 

「うん?まぁそんなところだ」

 

・・・よく見れば男の首には銀色の認識票がぶら下がっている。不屈のあいつ(パッチ)のように人は見かけによらないとは言ったものだが・・・

 

「この街は平和だ。剣の乙女とやらのお膝元だから当たり前だがな」

 

「何?」

 

「高名で力ある者に守られ平和である事が当たり前になっている。だがそう言った場所にこそ悪意というのは潜みやすい物だ。脅威が無い。あるわけが無いと思いこんでいるのだからなぁ・・・平和すぎるというのも考え物だ。クックックッ」

 

・・・ギルドが認めた以上は問題無いのかもしれないが自分は少なくともこの男に背中を預けようとは思わなかった。パッチほどあからさまで無く敵なのか味方なのかをこうも判別しずらい奴は初めてだった。首から下がる認識票がその判断を更に曖昧にさせていたのもあるが・・・

 

「そういえば辺境の勇士『小鬼殺し(ゴブリンスレイヤー)』を知っているか?五年前に冒険者になってからずっと小鬼(ゴブリン)ばかりを退治している変わり者だ。奴等を根絶しようとしているのか知らんが憐れなものだ。蔓延る疫病と同じように元を絶たねばいくら倒しても意味など無いというのにな。だが、その行い自体は素晴らしいものだ。とても素晴らしいものだよ・・・クックックッ」

 

(変わらず彼はゴブリンを狩り続けているのか。彼らしい)

 

しかしこの男は表情を崩さずによく喋る。意外と世情に詳しいのだろうか?・・・だが情報を聞き出そうにも下手をすれば自分のボロが出かねない。眠る必要はないがもう今日は休み―あ。

 

(都の拠点から螺旋の剣を回収するのを忘れていた・・・)

 

やらかした。都の拠点に突き刺してから持ち運んでいなかった為にすっかり忘れていた。どうする?今から回収に戻るか?だがそうなるとまた態々都に戻る時に不便が生じる。・・・少し位置が極端だが一先ず置いておこう。新たに見つければいいだけの事だ。必ず見つかる訳ではないが。

 

「もう少し世間話をするのもいいのだが・・・すまないが・・・」

 

「引き止めてしまったか、それはすまなかったな。クックックッ」

 

「いや構わない。ではな」

 

じゃあな(So long)]

 

 

 

そうして背を向けてその場を後にし受付に部屋の場所を聞いて中へと入る。ベッドの上に身を投げ出し目を閉じるがあの男の張り付いたような不気味な笑みがどうしてか頭から離れ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―カランコロン。         

 

 

                あっ

 

 

 

《召喚されています》

 

 

 

 

 

 

 

 




ブラボの方を書いてて遅くなってしまった。続きを待っててくれた人は御免なさいね。
許してください!何でもしますから!←

今回からちょっと書き方変えてます。え?そんなに変わってない?そうねぇ・・・
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