私の転生物語 〜海神としての生〜 リメイク編 作:夜刀神 闇
あれから何年かの時が経った。
18歳だった私は、人間でいうところの20歳を超えた。
従って、もう成長期などとっくに終わっているはずである。
しかし、私の身長や髪の毛はまだ伸びている。
闇に聞いたところ、
闇「海神は、20歳を超えても身体は成長するわ。髪に至ってはゆっくりだけど延々と。身体は……そうね、30歳くらいまでかしら?」
とのこと。
……ここ何年かで身長がかなり伸びたのが残念であり、あまり女性として見られないことがどうも気分が悪い。
闇「こんにちは、お邪魔するわね」
「邪魔をするなら帰ってもらえるかしら?」
闇「あら、ひどーい」
なんて言って縁側から入ってくる闇を尻目に、私はある作業に没頭していた。
闇「何してるの?」
「服縫ってるのよ」
私は、何日か前から服作りをしていた。
こんな古代に服の素材なんて無いため、闇に幾つかもらっていたのだ。
一応、現代から自分の服は何着か持ってきていたのだが、自分で縫うというのも意外に楽しいものである。
闇「服、ねえ……この前、いろんな布とか素材とか、頂戴って言ってたのはそのためだったのね」
「そうよ」
ちなみに今縫ってるのは、普通の服ではない。"仕事服"だ。
海神として働くにおいて、何か制服のようなものが欲しかった。
だから、闇に色々と頼んでいたのだ。
「海神だから……海軍が着ているようなもの、縫ってみたのよ。どうかしら?」
闇「あら、それは良いじゃない。軍服風に縫ったのね」
「ええ、そうなのよ……って、ん?」
私は、闇の言ったことに、少し疑問を感じた。
何か違和感を感じる。別に、口調がおかしかった訳でもない。
……何かが、おかしい。
「なんで……"軍服"風って分かったの?」
闇「あ」
闇は、しまった!と言う顔をして、少し慌てた様子だった。
何か、知られて不味いことでもあったのだろうか。
闇「……貴女は、これから言うことを聞いて、驚かない?」
「うん」
闇は、深呼吸をして、1拍置いたあとこう言った。
闇「実は……私も貴女と同じ、現代出身の転生者なのよ」
「……そう」
正直、闇が私と同じ現代出身で、転生者ということには驚いた。
だって、自分を転生させた人物が、その転生者だというのだから。
闇「そして、この星を創ったのも私。宇宙全ての銀河を創ったのも私。私の種族は……神は神でも、龍神。全ての神の頂点に立つ者なのよ」
「へえ……」
私は、闇の話を聞いてさらに驚いた。
現代出身で、転生者というまでは良い。
だが、この世界の頂点に立っているだと?そんなの……
「嘘でしょ!?」
闇「え、えっと……」
闇は、私の剣幕に驚いたのか、少し引き気味な姿勢になっている。
「こんなにちっちゃくて、こんなに可愛い神様だなんて聞いたことないわよ!?」
闇「!?」
闇から、まるでお湯が沸騰したかのような音が聞こえた気がした。
顔を近づけてみると、闇の顔が段々と赤く染まり、心做しか熱くなっているようにも感じる。
「あら、闇。熱でもあるんじゃないの?とっても熱いけど」
闇「ハッ!?な、何を言ってるのよ!龍神が熱なんか出す訳無いじゃない!あははは……」
私は、思わず笑みを零す。
面白かったのだ、闇の反応が。
でも、今言ったことは嘘じゃない。本当のことだ。
可愛い、というのは誰がどう見てもそう思うはず。
「闇は、本当に可愛いわよ?ちっちゃいしねw」
闇「そ、それを言うならルナの方こそ、クールだと思うわよ?身長高いし」
クール、か。
そう言われてみれば、クールだなんて言われたことが無かったな。
現代で過ごしていた時は、身長はそれなりに高い方ではあったが、ありえないくらい高いという訳でもなかった。
闇「あっ、そうそう……ルナに言い忘れていたことがあったんだけど」
「どうしたの?」
闇が、懐から小さな何かを取り出した。……紙袋?
闇「じゃーん!誕生日プレゼントよ!」
「えっ?誕生日プレゼントって……あっ!」
すっかり忘れていた。
服や色んな物を作ったり、勉強したり、修行したりでうっかりしていた。
この世界に来てから、一応はカレンダー的なものを使っていたのにも関わらず……
「……そうか、そうだった。今日、私の誕生日だったわね」
闇「カレンダーめくってる癖に、何やってるのよ。……8月15日、貴女のために、最高の誕生日プレゼントを用意しておいたのよ。誕生日おめでとう、ルナ」
……少し、不覚にも泣いてしまいそうだった。
1人の時にならそうしていただろうが、今は闇がいるから……
「ありがとう。……それにしても、何が入っているの?」
と聞いても、
闇「私から言うより、貴女自身の手で開けて欲しいのよ」
と言うだけだった。
闇がくれた紙袋は、そこまで重い訳でもなく、むしろとても軽かった。
不思議に思い、開けてみた。すると……
「リボン?」
闇「そう。貴女も年頃の女の子じゃない?だから、喜んでもらえるかなーって……」
闇は、少し頬を赤らめながら恥ずかしそうにそう言った。
年頃の女の子というワードが少し気になったが、闇がこのリボンをくれたことに関してはとても嬉しいことだった。
「ありがとう、とても嬉しいわ……本当に、ありがとう」
ずっと大切にしていこう、と心底思った。
転生してからの初めての友達。前世も合わせて、2人目の友達……
闇「……あら」
闇が、こちらを向いて笑っているのに気がついた。
「どうしたの?何で笑って……」
……それは、すぐに分かった。
私は、自分で気づかない内に泣いていた。
前世では、両親が死んでから嬉しくて泣くことなんて全く無かったのに。
「……ふふ、ごめんなさいね。私、泣いちゃうなんて」
闇「別に、泣きたい時は泣けば良いのよ。……まぁ、貴女の泣いてる顔を見れて、私は楽しかったけどね♪」
闇が、クスクスと笑う。
普段だったら頭に1発くれてやっていたが、今は辞めておこう。
……こんなやつだけど、本当に良い"親友"だから。
「これ、大事にするわね……どこにつけようかしら?」
くれたのは良いものの、どこにつけようか迷っていた。
ブレスレットやネックレスとかにも出来るが、やっぱり1番合うのは髪飾りよね……
闇「……髪、結っちゃえば?きっと似合うわよ!」
「あ、あらそう?じゃあ……」
私は、自分の部屋に戻り、悩んだ。
「私の……1番似合う髪型……」
皆が褒めてくれるような髪型。おかしくないような髪型。
「……そうだ!」
私は、鏡の前にクシを持って座った。
「まずこうしてこうやって……」
数分後……
「あの~……どうかな……」
闇「?……あら」
闇が、私を見て嬉しそうに笑った。
闇「とっても似合ってるわね!ポニーテールにしたの……良いわね!」
悩んだ結果、私が選んだ髪型はポニーテールだった。
私は、元々髪が長かったのもあって、その髪を活かせる髪型を考えた結果、ポニーテールしかなかったという訳だ。
「私、これから頑張っちゃう!海神としての仕事だって、何だってできる気がしてきたのよ」
闇「身体を壊さない程度にね。頑張って!まあ、困ったことがあれば何でも言いなさいね。その時は助けてあげるから」
転生してきた時はアレだったけど、これからの海神としての生を満喫できそうだ。
まだまだこれからは長い。
不老長寿だからというのもあるが、これから先の海神の仕事が、今と同様に楽とは限らない。
だから、これからも修行は欠かさずやろうと思う。
「これからどこか行くの?」
闇「まぁー……そうね。貴女のところに寄ってから、行こうと思っていたところがあるのよ」
「行こうと思っていたところ?」
闇「そう……ツクヨミのところ。貴女も聞いたことあるんじゃないかしら?
まぁ、聞いたことくらいならある。まさか実在していたとは……
私や闇がいるんだから、ね。月の神くらいいるか。
「また今度会いに行ってみようかな」
そう呟き、私は、これから先の神生を想うのだった……