私の転生物語 〜海神としての生〜 リメイク編   作:夜刀神 闇

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第3話 新しい住人

「そっか、そんなことが……」

?「あぁ……まぁ、海神であるお前なら大丈夫だと思うが」

 

私は、とある人物と会話している。

この人は、アリシア・カミーユ。

天界出身の、天人なのだとか。

またまた凄いことに、龍神である闇の式なんだと……いやぁ、この地に転生してからは驚くことが多すぎて正直疲れるわ。

 

「……一応気をつけておくけど。貴女の言う通り、その"妖怪"はとても強いんでしょ?」

アリシア「まぁな。……本当、化け物並だ。特に身体能力が」

 

私は、海神になってからは妖怪と戦ったことはそこまで沢山あったわけじゃないから、どの妖怪が弱くてどの妖怪が強いのか分からない。……自分が弱いのか強いのかすらも。

 

アリシア「まぁ、お前なら襲われてもやられることはまずないだろう。お前は海神だし、かの妖怪とは格が違う。そして、なにより……お前は強いからな」

それじゃ、と一言だけ残してアリシアは消えた。

 

……私が、強いだと?

そんなこと考えたこともなかった。

強ければ、何か良いことがあるのだろうか。自分の身を守れるのか?

 

「そんなこと考えてても仕方が無いか。よし、この辺りの見回りをしましょうか……っと!」

私は、縁側から飛び出した。

 

……その時だった。

「?何かを感じる……違和感か?いや、でもなぁ……ま、いっか!」

何か、嫌な雰囲気を一瞬覚えた気がしたが、そこまでな感じだったので気にしないで、飛び立った。

 

闇「あら、今から見回りかしら?」

 

誰かの声が聞こえたので振り返ってみると、後ろに闇がいた。

「あ、うん。まぁそれ以外にはすることないしね……で、どうかしたの?」

闇「見回りが終わったあとに、着いてきて欲しいところがあるのだけれど……」

「着いてきてほしいところ?別に良いけど」

 

闇がどうやら、私の見回り後に着いてきてほしいところがあるようだ。

闇が着いてきてほしいなんて珍しいな……と思いながらも、見回りを続行する。

 

 

 

見回り終了後……

 

「手伝ってくれてありがとう……で、着いてきてほしいところって?」

闇「あー、それは直に分かるわよ」

「?」

 

私は、疑問を抱えながらも闇に着いて行った。

闇は、終始笑顔で少し怪しかったが、何かを楽しみにしているかのような雰囲気だった。

 

「で……さ、どうして森なんかに?」

闇「貴女に見て欲しいものがあってね」

「私に見て欲しいもの?」

 

ますます怪しくなってきた。

しかも、ここは森だ。

周りは鬱蒼としていて、いつ妖怪が出てきてもおかしくないくらいの妖気を感じる。

 

闇「ついたわ、此処よ」

 

闇が、山肌に面した洞窟のようなところの入口で止まった。

穴はかなり大きく、横幅だけで10mはあるのではなかろうか。

高さも、私が腕を伸ばして背伸びしても、天井に付かないくらい相当だ。

 

「ねぇ、闇?いい加減何をしに来たのか教えてくれる?何か、血?みたいな匂いもするし……」

 

そこまで酷い異臭って訳でもないが、薄らと臭うのだ。

まるで、ここで殺し合いがあった様な……

 

闇「血、ね……貴女、血は大丈夫なの?」

「別に。今まで妖怪しか殺してきたことはないけど、その時に血なんて腐るほど見てきたし大丈夫」

 

まぁ、海神として仕事を始めた初期の頃は、うっ、てなったけれど。

妖怪退治やったのなんて数え切れないくらいだし、海神として血見ただけで吐きそうになるなんて、ダメだしね。

 

闇「なら、大丈夫ね……此処よ」

「……!」

 

闇が指をさしたその先には、数え切れないくらいの傷を負い、身体中血に濡れた巫女服みたいな服を着た女の子がいた。

 

「……えっ?闇が見せたかったのって、まさか、この娘のこと?」

闇「……そうよ」

 

目の前の女の子は、かなり苦しそうにしており、荒い息を繰り返している。

私が見る限り、口からも血を流しているので多分……内臓がやられているのではないか。

そして、なにより。

 

「……この娘、人間じゃない」

闇「大当たりよ」

 

真っ白な髪に紅色の瞳。

頭に生えた犬のような獣耳に、お尻に生えた大きな尻尾が9本。

1000年を生きた妖獣は尻尾が9本ある……というが、それが本当だった場合、この娘はかなり強力な妖獣であるということが分かる。

 

「ど、どうするの?このまま放っておけば……」

闇「最悪死ぬわね」

「そんな」

 

私は、迷った。

今この娘を助けなければ、1つの命を見捨てたということになる。

 

闇「……私が貴女を呼んだ理由はね、この娘を引き取って欲しかったのよ」

「は?」

 

意味が、分からない。

何故私に引き取らせようと?

「どうして私に?」

 

闇は、先程まで楽しそうだった顔から一変、少し悲しげな顔になった。

闇「この娘は、元人間で、しかも人間から追放されたの。生贄として」

「生贄って……本当に?」

 

そうよ、と闇は頷いた。

信じられない。こんな可愛い女の子が?

どうして?

 

「なんでこんな目に……」

闇「人間に恨みを持ちすぎて、妖怪としての力が覚醒してしまったのよ……それも、発生源であるはずの自分にまで害が及ぶほどに大きくね」

「つまり?」

闇「本当に狂っていたの。もはや自我が無くなっていたわ……私でも、ここまで抑えるのにかなり苦労したのよ」

 

龍神である闇を手こずらせるほどの力を持っているのか。

人間に恨みを持ち、そして、その怨念は自分にまで矛先が向いた……と。

 

「……良いよ、私が引き取る。この娘を助けたい、こんなに苦しそうな姿、見てられない」

 

私は、過去の自分を思い出した。

過去の自分は、自ら生命を絶とうとしていた。

そこで現れたのが闇だった。私を助けてくれた。

もし、闇が助けてくれていなければ、今頃私はこの世にいないだろう。

だからこそ。

 

「……」

 

私は、女の子……いや、近くで見ると大人びた女性に見えた。

妖獣の少女に近づき、そっと手を翳し、力を込めた。

 

「きっとこれで……」

 

すると、少女が光り始め、身体中に刻まれた痛々しい傷が治り、安らかな表情に変わって、すぅすぅと寝息を立てた。

 

「これで良いんだよね、闇?」

闇「えぇ、完璧よ。まさか、この娘の心の闇まで取り去ってしまうなんて……貴女、本当に立派になったのね」

「まだまだよ」

 

私は、少女を優しく抱きかかえた。

……あぁ、強さとはそういうことか。

私は、少女の顔を見つめて気づいた。

お父さんやお母さん、この世界の人々に言われていた『強さ』というものが漸く。

 

「ねぇ闇……」

闇「何?」

「私、強くなる。強くなって、この娘……皆を護る義務が、使命が私にはあるんだ」

 

闇が、何かに気づいたようにクスクスと笑う。

闇「あらあら、貴女ももうそんな時分かしら?」

 

海神として私を転生させてくれた闇には本当に感謝しなきゃ。

そして、今よりずっと強くなって、皆を護れる位の力を手に入れないといけない。

"優しさ"も強さなんだってことを胸に刻みながら。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

~神社の境内にて~

 

「よいしょっ……と」

 

私は、闇と別れ、妖怪の少女を布団に寝かせた後、1人でずっと考えていた。

確かに、強くなるのは悪いことじゃない。

むしろ、良いことだし、大切な人を護れる強さを手に入れることだって出来る。ただ……

 

 

「この口調、直した方が良いのでは……」

 

そう、私がずっと悩んでいたのはこの口調についてだ。

自分で言うのもなんだが、私の口調は「~かしら」 「~なのよ」などというように、少々女性的な感じがある。

それに対して、私の容姿はどうだ。闇から言われたことだが、所謂「中性的」ということらしい。

 

「中性的、かぁ……どうしようかなぁ……」

 

一応自覚はしている。

この何年かで17cm位伸びたし、闇との身長差が前より激しくなった。

 

「う~ん、どうしたものか……」

 

鏡の前に立ち、考えてみる。

中性的な口調……どんなものがあるのだろうか。

 

「~だろ、とかかな。そして、二人称は君とか?」

 

あっ、結構良いかも?なんて言いながら1人テンションが上がる私。

早速、使ってみようか。まぁ、鏡の私に対してなんだが……

 

「自己紹介してみようか。えーと、(´ρ`*)コホンコホン……あー、私は海月ルナ、海神をやっている。好きなものはダンスとピアノを弾くことだ。君は?……こんな感じか。闇に驚かれそうだけど……」

 

まぁ、馬鹿にされた時は容赦なく鉄拳を叩き込んでやろう。

そういうことをするから女として見られることが少なくなるのかな。なんて思いながらも闇にお仕置きをする私は馬鹿か。

だって腹が立つんだもの。

 

「まぁ、闇も帰ったし、明日から使ってみようか。皆の反応が気になるけど……」

 

でも、無理矢理にでも変えないとちょっとしたことで折れそうだからな。

口調や性格から変えていかないと、いくら身体能力とかが強かったって意味が無い感じがするし。

 

そう思いながら、私は今日を終えるのだった。

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