私の転生物語 〜海神としての生〜 リメイク編 作:夜刀神 闇
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「んっ……ふぁあ、ここは何処かしら?」
さっきまで何が起きていたのか思い出せない。
確か、人間の里から追い出されて、そこから……どうだったかしら?
とりあえず、此処がどこなのか分からない。見たことがない天井だわ。
「……」
私は、部屋の襖を開けてみる。
そこには、よくあるちゃぶ台とよくある座布団が置いてあり、ちゃぶ台にはお茶とご飯と味噌汁と紙が。
「『私は、見回りに出かけます。こんなものしか用意出来なくてごめんなさい。起きたら食べてね。 家の主より』」
私は、涙を一筋流しながら味噌汁を1口啜った。
「美味しい」
私は、物心ついた時から親がいなかった。村の奴らに抹殺された。
味噌汁は飲んだことがあったが、こんなに具が入ったものは1度たりとも飲んだことがなかった。
こんな私にも、優しくしてくれる人がいるなんて思いもしなかった。
「こんなにふっくらしたご飯食べたことない、とっても美味しい」
私が妖怪化した時は、意識を失っていたからその後のことはあまり覚えてないけれど、多分人間を喰らった。
未だ口の中に血の味を覚えているが、この白ご飯が美味しすぎてそんなこと気にならなくなった。
私は、思うがままにご飯を食べた。
……私は今、この家の主である、ルナっていう人に身の内話をしていた。
あの森にいた理由、生まれた時の話、どうして妖怪になったのか。
ルナは、目を瞑って相槌を打ちながら、静かに私の話を聞いてくれている。
そして、私が話し終えた時、静かに目を開いて言った。
ルナ「……君がとても辛い思いをしてきたのは重々分かった。私にしてやれることはこれ位しか無いが……許してくれ」
ルナは、ギュッ……と私を抱き締めた。
ただ、抱き締めた。
それだけのことなのに、何故だか安心する。
感じる体温が、心地よくなる。なのに……
「あれ……どうして私、泣いているんだろう」
私は、気づかない内に涙を流していた。
涙って、悲しい時に流すものじゃなかったっけ。なのに……
「こんな時に、出てくるなんて……どうかしてるわ」
悲しい訳じゃ無いのに。どうして?
なんでだろう、と考えている内にも、私の涙は止まることを知らない。
心做しか、勢いを増しているような気がする。
ルナ「泣きたい時は泣けばいい。私が受け止めてあげるから。……胸位なら、貸してあげられるから」
私は、その言葉に耐えきれず子供のように泣いた。
悲しかった訳でもない。きっと、嬉しかったんだ。
誰かに抱き締められたことなどある訳でもなかった。
……初めて、誰かの愛を感じた気がした私は、それから暫くの間ルナに抱きついて泣いていた。
その間ルナは、私の背中を優しくさすって、安心させてくれていた。
「……ありがとう、もう落ち着いたわ」
ルナ「そうか、それは良かった」
私は、改めてルナの前に座った。
改めてルナを見てみると、凄く引き込まれそうな程の美しさを持っている。
いや、美しさというよりは何というか……そういう感じのオーラを放っている。
まず、特徴的なのはリボンで束ねた長い髪。青い色をしたその髪は、誰が見ても美しいと言うだろう。
そして、切れ長の青い目。その目は、見つめるだけで吸い込まれそうな程に青かった。
ルナ「で、改めて聞くが……」
「?」
ルナ「君は、これからどうしたい?」
これから、か。
今までまともな生活を送れていなかった私からしてみれば、ここは夢のように思える場所だ。
ルナが、私がここで幸せになることを許すのなら。私の答えは1つだ。
「ここで、暮らしたい」
私がそう言うと、ルナの顔は嬉しそうになった。
ルナ「そうかそうか、そう言ってくれて私も嬉しいよ。家族が増えるのは賑やかになるし良いからね」
「ありがとう!」
私たちは、お互いに笑い合った。
ルナは、見た目に反して意外と面白かったりして、話しててとても楽しかった。
ルナ「改めて自己紹介しようか。私は、海月ルナ。海を司る海神だ、これからよろしく。君は?」
「私は
私が話してて1番驚いたのが、ルナが神であること。
私も薄々、ルナが人間ではないことには気づいてはいたのだが……まさか、神とは。
まぁ、私も妖怪である以上、とやかく言えないのだが。
ルナ「君は秋葉っていうのか。では秋葉、ここで暮らしていく以上、君に知っておいて貰わないといけないことがある」
「?」
ルナ「この神社には、私たちの他に住人が1人いるんだ……桜花ー!」
ルナが呼んだ声と同時に、1人の少女の声が神社の奥から聞こえてきた。
?「はーい、どうかしましたか?」
はーい、と言う声が聞こえ、居間に入ってきた少女は、特徴的な服装をしていた。
綺麗な黒髪で、大きな襟の付いた服を着ている。
また、ネクタイをしていて、よく見ると巫女服……モドキのような服だ。
ルナ「桜花、新しい住人だ。自己紹介してくれるか」
桜花「そうですか!私は
綾波 桜花、と名乗る少女は、ニコッと笑った。
身長は私より少し低い位だろうか。
低くない背丈ではあるが、笑顔は幼さが残っており、可愛らしい感じがする。
「私は
私は、桜花に笑いかけた。
今、桜花の強さを測っていたのだが、かなり強い感じがする。
本当のところはよく分かっていないが、彼女から発せられる霊力が半端ない。
恐らく、並の人間では持てない程に……
ルナ「まぁ、この神社にあるものは自由に使っていいし、もう思いっきりくつろいじゃって構わないからな」
桜花「そうですね。それでは、私は夕飯の用意をしてきますね」
桜花はそう言うと、神社の奥に消えていった。
夕飯は巫女である桜花が作るのか……そういえば、もう少しで夕方だったな。時間が経つのは速いな。
ルナ「というわけで、改めてよろしくな。秋葉」
「えぇ、よろしく」
私とルナは、手と手を握りあった。
少しびっくりしたことがあるのだが、ルナの手が大きかった。
成人男性位あるだろうか。
ルナは、凄く良い体格を持っていると思う。
立った時に確認したのだが、身長が結構高かった。
私と並んでみたら、頭一つ分程違うのではなかろうか。
「ここは古風で素敵ね。まさか神様と共に生活を共にするだなんて……拝んでおいた方が良いのかしら?」
ルナ「いやいやいや!私はそういうの、苦手だからさ。無理に畏まられると困ってしまうというか……」
私は、冗談交じりにルナを拝んでみたら、意外と面白い反応を得られた。
私は、ここでの生活を心底楽しめそうだ。
ここの神社の主さんも優しいし、今までの生活なんかよりずっと幸せで過ごせそうだ。